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シェイピング・レクレーション
ー均整美健康法ー
Iシェイピング・レクレーションの展望

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月刊ボディビルディング1974年12月号
掲載日:2018.09.06
高山勝一郎

◇複雑な健康の要素◇

 病気がちの者が真の健康を望み、太りすぎの者がやせたく思い、やせすぎた人が筋肉をつけることにあこがれる・・・。すべて、人間本来の、"あるべきもの"、に対する欲求である。
 人間は、もともと健康であるべきであり、その体は、ほどよく均整のとれた、美しい体であるべきなのだ。
 その"あるべき"体に近づけるために、近来、いろんな方法が考えられ、実践されてきた。
「〇〇健康法」だとか、「〇〇の健康食」だとかいう本が書店にあふれ、人人は争ってこれを買い求めている。それから得られるものが何であれ、彼らはとにかくむさぼり読む。
 そしてある期間、その内容をみずからやってみて、そして飽き、落胆する。
 人が教え、本が語るものは、誠に局部的であり、"森を見ずしてただ一木一草を語る"にとどまっている。だから、全体的な具体性に欠け、結局、飽かれもし、落胆されもするわけだ。
「〇〇健康食」の本しかり、「体づくりの〇〇」しかりである。
 均整のとれた美しい体、精神的にも肉体的にも健康な人間像、これには、一健康法や一ボディビル、一スポーツでは達成できない、複雑、かつ総合的な要素が含まれている。
 均整美とは、ボディビルによって得られる筋肉の均衡のみではないが、しかしウェイトによるトレーニングは不可欠の要素の一つである。
 水泳や登山、サイクリングやジョッギングも、体づくりと健康に大いに役立つが、また、それだけでは全く不十分である。
 最近の経営者が、「あなたの健康法は何か」と問われて、"青竹踏み"だとか"サウナ"だとか答えているが、これもまた、あまりに局部的だ。
 この頃、空手や剣道がみなおされ、盛んなブームを呼んでいるが、これらも、セルフ・ディフェンスと同時に均整体づくりにも効果的なものだと、私は思っている。
 食事法も当然、考慮に入れなければならないし、日常のセックス、そしてメンタル・ヘルス・エクササイズも、真の健康を考える際の重大な要素になるべきである。

◇均整美健康法とは何か◇

 私は私なりに、自分の考え方を統合して、これを「シェイピング・レクレーション」と呼ぶことにした。
 これから、時間の許すかぎり、私のいささか研究したものを、文字になおしてお目にかけたいと思う。
 私は、東京駅近くの八重洲に株式会社国際交流サービスという、会社を持つ一経営者だ。したがって、体育とか栄養学とかいう専門分野には、全くの門外漢である。
 ただ、シェイピング・レクレーションについては自分なりの意見を持ち、システムを組立て、実践もしてきた。
 もちろん、経営者であってみれば、これに投入される時間に制約があって身を以て実験した内容はしれている。あとは、読者諸賢に実践して貰ってみずから模索していただくほかはない。
 なにせ課題が大きすぎる。
 時間とカネが許せば、なんとかして「シェイピング・レクレーション・センター」を作って、総合的な均整美健康体づくりにとり組みたい、と思っているのだが、これはどうなるか判らない。
 概念としてはお判りいただけたと思うが、シェイピング・レクレーションとは"あらゆるスポーツ、武道、レクレーション、ウェイト・トレーニング食事法等の中から、最も、均整美あふれる体づくりと精神面・肉体面両面からの真の健康体づくりに役立つものを選んで、これを楽しみながら実践すること"ということになるわけだ。
 あまり長い定義づけなので、私は簡単に「均整美健康法」なる日本語訳を当てることにしている。
 いずれにしても、この骨子は"楽しみながら均整のとれた体と真の健康を得る"ことになる。
 欲ばっているようだが、これが現代の最も希求しているものである。
 欧米諸国においても、「シェイピング・レクレーション」などという名前こそないが、考え方としては、以前から定着し、実践されているものなのである。

◇理想の均整美◇

 男性と女性では、その体の構造も違うし、精神面での違いもある。
 だから「シェイピング・レクレーション」も、おのずから、それを行う人が男性か女性かによって、"カルテ"が違ってくる。
 だが、その趣旨とするところは同じなのだから、たとえば、サイクリングとか体操とか、あるいはサウナ等のカルテになれば、これはある程度平等にとり入れられる。
 ここでは、読者の大半が男性である関係上、内容を男性むきにしぼって話を進めたいと思う。
 別表を見ていただきたい。
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 男性の、骨格体系別の理想体重表を掲げてみたものだ。日本人の、最も多い身長を3~5センチずつ細分して、その理想的とされる体重を表示してある。
身長が中間の人は、体重表もその中間のところを類推してもらえばよい。
 たとえば、170センチの人は、168と172の中間点を類推してみればよいわけだ。
 小骨格体系とは、一般に"やせ型"といわれる、細身の体系をさし、大骨格体系とは、骨ぶとのいわゆるボディビルダー的な体系を範疇とする。
 普通の人は、中骨格体系を見ていただけばよい。
 この表の理想体重に、達していないか、オーバーしてしまっている人は、ここで何らかの均整美健康法を採用しなければならないことになる。

◇スポーツにおけるシェイピング◇

「シェイピング・レクレーション」という名称が意味するように、この健康法は"楽しみつつ均整美を作る"ことを主眼とする。
 特殊な方法や器具がなければ出来ないというものではないし、とくに大汗をかいて必死の努力を尽さねばならないというものでもない。
 どのような人たちでも、たいてい一つや二つのスポーツをやった経験は持っているだろう。あるいは、それを今も続けていることだろう。
 それを少しだけ、シェイピングという目的にモディファイすればよいのである。
 Shaping(シェイピング)、すなわち"形づくる"という言葉から、フィジカル・フィットネスの分野では、"均整のとれた美しい体づくり"の意味で使われている、
この目的に適合する部分を抽出するわけだ。
 たとえば、スポーツを例にとろう。

●シェイピングに最も効力のあるスポーツ例

1.水泳
2.陸上競技
3.機械体操
4.カリセニックス(一般の平面体操)
5.バスケットボール
6.テニス
7.スキー、スケート
8.登山
9.マリーン・スポーツ(スキン・ダイビング等)
10.バレーボール
11.ピンポン
12.野球
13.ラグビー、サッカー
14.ローイング(ボート等の運動)

 便宜上、私の手で1位から順に順位をつけておいたが、5位以下は絶対にこの順位、というわけではない。
 カロリーの消耗度と、各ボディ・パーツに対するバランスのとれた刺激、の2点を主として考慮したものである。
 たとえば、水泳は平泳ぎで一時間ほどゆっくり泳いだとして380~420カロリーの消耗となるが、ピンポンでも激しく1時間練習すれば400カロリーを超える運動になる。
 要は、その中味であり、やり方である。この点の詳しいことは、またそれそれの章で述べたいと思う。
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◇レクレーションにおけるシェイピング◇

「シェイピング・レクレーション」の特長の最たるものは、レクレーションそのものの中に"均整美健康法"が存在することである。
 Recreation(レクリエイション)、辞書によれば、娯楽、遊び、保養、気晴らし、等とある。
 ここでは、スポーツ等も含めて広義に使っているが、"娯楽的な楽しさ"とでも解してもらった方がよい。
 それでは、文字どおりのレクレーションとしての狭義の意味で考えて、どのようなものがシェイピングに効果的であろうか。

◎シェイピングに効果的なレクレーション例

1.サイクリング
2.サウナ
3.ジョギング
4.ハイキング
5.ゴルフ
6.ボーリング
7.バドミントン
8.ダンス(ゴーゴーを含む)
9.セックス
10.旅行

 この順位には異論のある方もあろうし、セックス等をレクレーションに入れるとは不謹慎な、と青スジをたてる人もいるかも知れない。
 しかし、この場合も、カロリー消耗度や、メンタル・リザルト、すなわち精神的な満足度や安定性なども考慮すると、こういうようなオーダーがレクレーションの中に生じる。
 たとえば、1時間、あたりの景色などを楽しみながらゆっくり走った場合のサイクリングにおけるカロリー消耗度は350カロリーだ。サイクリングは、同時に脚部をひきしめ、ウエストを細くするというシェイピング効果は抜群だし、そのメンタル・リザルトも大きい。
 ゴーゴーをフルに1時間おどりまくると、これが約440カロリーの消耗だ全身運動だ。全身運動だし、腰脚をひきしめるのには効果が大きい。
だが、メンタルなものがどの程度まで得られるか、これはおどった本人でなければ判らない。
 旅行は乗りものにもよるが、平均して1時間250カロリーぐらい、まあブラブラ歩きに匹敵するぐらいのものだ。しかし、旅行における精神面へのプラスは非常に大きい。
 なお、これらの詳述は、あとの機会ゆずることにして、概論を先に述べよう。
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◇武道とシェイピング◇

 日本古来の武道は、護身の術であると同時に、心を鍛えるすぐれた精神鍛練の法であった。
 同時に、それは、たくましい健康体づくりの整体術ともいえるべきものであった。
 これに、新しいスポーツ性も加味されて、いまや大きなブームがおとずれている。
 逆の意味では、現代の感覚にピッタリの均整美健康法であり、すぐれた護身と精神修養の法である。

◎シェイピングに効果的な武道、護身スポーツの例

1.空手、拳法
2.合気道
3.剣道
4.キック・ボクシング
5.柔道

 空手道と拳法とは、日本に伝来した径路こそ異なるが、そのよって来たるところは同じであり、決して異質なものではない。
 海外においても、現在、あたらしい形のボディビル、こでいう均整美健康法の一つとして、その効用が大きく見なおされてきている。
 その他のものも同様であり、これにウェイト・トレーニングを併用することによって、すばらしい効果が得られる。当然、護身術としてのパワーも増し、一挙両得なのである。
 次号では、この辺のところをとり上げて詳しく述べたいと思う。

◇ボディビルもシェイピングである◇

 シェイピングを最も短期間に、最も効果的に遂行するのは、食事法とウェイト・トレーニングである。
 通常ボディビルといわれるトレーング法は、ややもすると筋肉にかたよりがちな観念に立つが、これもうまくルーティーン化すれば、シェイピングの一大武器となる。

●トレーニングとしてのシェイピング例

1.ウェイト・トレーニング
2.腹筋エクササイズ
3.ポージング練習
4.踊りのバレー練習
5.ヨガ、その他の修業法

 とくに、ふだんのボディビル・スケジュールに必ずとり入れられる腹筋運動は、理想的なものである。たとえばシット・アップ、レッグ・レイズ、サイド・べンド、Vシット、トランク・カールそれにプローン・レッグ・レイズのごときは、日常のレクレーション化して行うことが大切で、これによって苦痛感のない均整美健康法が促進される。
 これらのトレーニングとシェイピングの関係にも、あとで詳しく述べる機会があると思う。
月刊ボディビルディング1974年12月号

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