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なんでもお答えします Q&A 1980年8月号

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月刊ボディビルディング1980年8月号
掲載日:2019.10.28

身体各部に2種目ずつ実施しているのを分割法にして3種目ずつに増やしたいが

Q

 ボディビル歴は1年8ヵ月です。現在は自宅で1人でトレーニングしています。しかし秋には会社に隣接した寮に入る予定なので、それ以後は会社のクラブでトレーニングしようと考えています。会社のクラブにはラット・マシーン、レッグ・カール・マシーン、チンニング・バー、ディッピング・バー等、一通りの器具がそろっています。

 私は現在、胸・肩・背・背・脚・腹などについてそれぞれ2種目ずつの運動を行なっています。ところで、会社のクラブでトレーニングを行うようにするのを機会に、それを3種目ずつくらいに増やしたいと考えています。

 現在採用している運動種目は下記のとおりですが、よきアドバイスをお願いします。なお、できれば分割法による方法でお願いしたいと思います。

<現在採用している運動種目>
記事画像1
<現在の体位>
 身 長 174cm
 体 重  79kg
 胸 囲(拡張時)109cm
 上腕囲  37cm
 前腕囲  29cm
 腹 囲(へこませた状態)84cm
 大腿囲  59cm
 下腿囲  40cm

(鳥取市 T・K 会社員 19歳)
A

 トレーニング量の増加といったことは、あくまでも、いま現在のトレーニング量が自分にとって体力的に余裕のものであるという自分なりの確認を得た後になすべきものです。

 あなたの手紙では、その辺のところを客観的に推測するのは不可能ですがあなた自身はどう感じておられるのでしょうか。手紙ではトレーニング頻度や各種目の使用重量、反復回数、セット数、トレーニング後の疲労感等ビルダーとしてのあなたの力量を客観的に推測するための資料となる記述が全くありません。

 というわけで、あなたのご希望にお答えして一応はアドバイスいたしますが、運動法としての最終的な取捨については、あなた自身で慎重に検討してください。

◇トレーニング・スケジュール(例)

 あなたが現在採用しておられる種目をそのまま引きつづき行うものとしてアドバイスいたします。なお、新たに加える種目は、ここに記載する以外のものをご自分の判断で選んでも一向にさしつかえありません。次のスケジュール表は、分割法に重点を置いたものとして参考にしてください。

◎2分割による分割表を採用

 Aコース週2日(月曜・木曜)
 Bコース週2日(火曜・金曜)

<Aコース>
記事画像2
<Bコース>
記事画像3
 ところで、あなたの体位表から判断すると、かなり体脂肪がついているように見受けられます。したがって、体脂肪を落とすためにジョギングを併せて行うようにするのもよいでしょう。

 なお、上述したトレーニングのメニューに欠けている部位、つまり、頸、前腕、下腿、腰などの運動については体力的な余裕に応じて、必要と思われるものから1種目ずつ漸次採用していくようにするのがよいと思います。決してあせってはいけません。

短期間で前腕を発達させる方法は?

Q

 ボディビル歴は2年です。トレーニングを続けてきた甲斐もあり、近頃からだも著しく発達してきました。とくに上腕の発達は自分でもびっくりするほどです。

 しかし上腕の発達に比べて前腕の発達が非常に遅れていて貧弱に見えます。欲をいえばきりがないと思いますが、ある程度バランスのとれた腕にしたいと願っております。

 現在の体位は下記のとおりですが、前腕の発達を短期間で、しかも、効果的に促す方法についてアドバイスしてください。

<現在の体位>
 身 長 172cm  上腕囲 38cm
 体 重  70kg  前腕囲 29cm
 胸 囲 108cm  大腿囲 55cm

(大阪府堺市 M・M 16歳)
A

 16歳という年令にしては体位的にみてなかなか立派なからだをしておられるようです。しかし、あなたの「体位表」に腹囲についての記載がないので、どのような体形をしておられるのか判りません。つまり、筋肉質の体格をしているのか脂肪質の勝った体格をしているのか、その辺のところがいまひとつつかみきれません。

 体位表に腹囲を記入することは、体質と体格を判断する上で貴重な資料になります。したがって、次の機会には、体位表を忘れずに記入するようにしてください。

 さて、上腕囲38cmに対して前腕囲29cmというのは、ボディビルダーとしての見方からすれば、サイズ的に確かにもの足りないといえます。しかし、だからといって、一般の男性に比べて、あなたが気にしておられるほど貧弱に見えるサイズとも思われません。

 では、あなたの質問にお答えけることにします。

 現在、あなたがどのような方法で前腕のトレーニングをしているのか全く分りませんので、アドバイスをといわれても、アドバイスのしようがありません。したがって、前腕を鍛練する際のポイントと強化種目について述べることにします。といっても、あなたが期待しておられるような短期間で多大な効果が得られる、といった内容のものではありません。本来、ボディビルの効果というものは、地道なトレーニングの積み重ねによって得られるものなので、その点をまず自覚してください。

 前腕には、手指の屈伸、手首の屈伸および回転、肘の屈折等に作用する種々の筋があります。したがって、前腕を本格的に鍛練する場合には、それらの筋の作用上の特徴をよくとらえて運動を行うようにする必要があります。

◇掌側前腕部の運動種目

◎リスト・カール

 通常行われているリスト・カールには次の2つの方法がある。

①バーベルをアンダー・グリップで持ち、ベンチに腰掛けた姿勢(または中腰の姿勢)で、手首から先を膝からのぞかせるようにして左右の前腕をそれぞれの側の大腿部の上に固定し、その状態で手首だけの屈曲運動を行う。

②バーベルをアンダー・グリップで持ち、両膝を床に付き、あらかじめ体の前に横向きにして据えおいたベンチに手首から先を向う側へ出すようにして前腕を載せ、その状態で手首の屈曲運動を行う。


◎ストレート・アーム・リスト・カール
 肘を屈せずに腕をまっすぐに伸したフォームで行うリスト・カール。

 運動のやり方は前述したリスト・カール①の体勢で、手首を膝に固定し、腕を伸した状態で手首の屈曲運動を行うようにすればよい。

◇背側前腕部の運動

◎リバース・リスト・カール
 前腕の背側方向に手首を反らしまげるリスト・カールのこと。つまりバーベルをアンダー・グリップではなくオーバー・グリップで持ち、リスト・カール①または②と同様な体勢で、手を伏せたかたちで手首を上方へ反らしあげるようにする。


◎ストレート・アーム・リバース・リスト・カール
 腕を伸した状態で行うリバース・リスト・カール。いいかえれば、バーベルをアンダー・グリップではなくオーバー・グリップで持って行うストレート・アーム・リスト・カール。(ストレート・アーム・リストカールの項参照)


◎スタンディング・ダンベル・リバース・リスト・カール
<かまえ>両手にそれぞれダンベルを持ち、立った姿勢で体の横にぶらさげる。この場合、手の甲が外側へ向くようにする。

<動作>上述のかまえの状態から、できるだけ腕を動かさずに手首だけを外側へ反らしまげるようにする。後で紹介するスタンディング・ダンベル・リスト・カールと連続した動作で行うようにしてもよい。

◇掌側部と背側部の中間(小指のある側)の部位に効く運動

 この部分には前述したリスト・カールに類する運動が有効であるといえるが、より重点的に鍛練するには次に説明する種類の運動を行うようにするとよい。


◎スタンディング・バーベル・リスト・カール
<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、立った姿勢で大腿部の前あたりにぶらさげる。この場合、いくぶん上体を前傾し、バーベル・シャフトが大腿部に触れないようにする〔写真参照〕
(スタンディング・バーベル・リスト・カール)

(スタンディング・バーベル・リスト・カール)

<動作>両腕を伸したまま、手首の力だけでバーベルを内側へ巻き込むようにする。この運動は動作が小さい割には意外に有効である。


◎スタンンディグ・ダンベル・リスト・カール
<かまえ>両手でそれぞれダンベルを持ち、立った姿勢で体側にぶらさげる。この場合、腕は伸し、手のひらが内側へ向くようにする。

<動作>腕は伸したまま、手首だけの動作でダンベルを内側へ巻き込む。


◎レバレッジ・バー・バック・レイズ
<かまえ>レバレッジ・バー(ダンベル・シャフトの一端にのみプレートを取りつけた形状のもの)を立った姿勢で後ろ向けに握る〔写真参照〕
(レバレッジ・バー・バック・レイズ)

(レバレッジ・バー・バック・レイズ)

<動作>腕は下へ伸ばしたまま、手首だけを動かしてレバレッジ・バーの先端を後方で上下させる。

◇その他の運動
◎リバース・カール
 バーベルをオーバー・グリップで持って行うカール。
<効果>主として腕橈骨筋
◎レバレッジ・バー・ツイスティング
<かまえ>レバレッジ・バーのおもりのついていない方の端を握り、ベンチに腰をかける。前腕を大腿部の上に載せて固定し、レバレッジ・バーを垂直な状態に立てて固定する。〔写真参照〕

(レバレッジ・バー・ツイスティング)

(レバレッジ・バー・ツイスティング)

<動作>レバレッジ・バーを連続した動作で左右横へ交互に倒すようにして、手首の捻転運動を行う。

<効果>回内筋群、回外筋、屈筋群、伸筋群等、前腕部の諸筋を鍛練できる。


◎グリッピング
 ハンド・グリッパーやゴムマリなどを握りしめる運動。

<効果>手根屈筋群の強化。これらの筋は手を力強く握りしめてみれば容易にその所在が判る。


 以上、まだ他にも前腕のための運動はありますが、これまでに述べた運動の知識があれば十分だと思います。したがって、前述した運動の中から必要と思われる運動を適当に選んで行うようにしたらよいでしょう。1セット当りの反復回数は、前腕の運動の場合、比較的多回数にして行うのが効果的であるとされています。しかし、場合によっては、刺激に変化を与える意味で重い重量を用いて少回数による運動を行なってみるのもよいでしょう。ただし、その場合は、手首を痛めることのないようくれぐれも慎重な動作で運動を行うことが大切です。なお、運動そのものに変化を与える意味で、バーベルを用いて行う運動をダンベルで行うようにしてみるのもいいでしょう。

週2回のトレーニングで効果はあるか?

Q

 私は今年の春学校を卒業し、東京近郊の会社に就職しました。学生の頃からボディビルを始め、現在で約1年半が経過しました。学生時代は週に3~4回の頻度でトレーニングしてきましたが、社会人になった現在は、多忙で残業が多いため、週2日の休日(土・日曜日)に集中してトレーニングしています。

 そこでお尋ねしたいのですが、週2回のトレーニングで筋の肥大、および筋力強化等の効果が果して望めるでしょうか。

 参考までに私の運動法の要点を申しますと、トレーニングは全てセット法で15種目の運動を土曜日と日曜日の2日に分け、部位的に重複しないように配慮して行うようにしています。また各運動種目のセット数は4~5セットで、反復回数は6~7回の範囲で行なっています。ただし、シット・アップおよびカーフ・レイズは10回以上の反復回数で実施しています。

(埼玉県所沢市 大西基文 会社員)
A

 ボディビルの場合、通常、十分な効果を期待するには、週に2~3回(1~3日おき)ぐらいのペースでトレーニングを行う必要があるとされています。そして、週に1回のトレーニングではあまり効果が期待できないといわれています。

 したがって、筋の肥大および筋力の強化といった面での効果を積極的に促がしていこうとするからには、最低、週2回はトレーニングをする必要があります。しかし、週2回といっても、この場合、トレーニング日とトレーニング日との間隔をできるだけ等間隔にして、定期的な日程で行う必要があるといえます。

◇トレーニング日程◇
〔註〕トはトレーニング日を示す。同じ週2日、あるいは3日でも、〇印はよいが、×印は不可。

〔註〕トはトレーニング日を示す。同じ週2日、あるいは3日でも、〇印はよいが、×印は不可。

 ところで、現在あなたが、自分では週2回のトレーニングをしていると考えておられるようですが、ボディビルの基本的な考え方からすれば、それは誤りです。

 というのは、あなたの場合、トレーニングを行うのが週2日であっても、採用種目を土曜・日曜の2日に分け、部位的に重複しないように配慮して行うようにしているのですから、事実上は同一部位を週に1回しか行なっていないということになります。

 そのようなわけで、あなたの質問の趣旨を「身体各部を週1回ずつのトレーニングで・・・・・・」というように訂正したうえでお答えすることにします。

 週1回のトレーニングでは、前述したようにあまり効果を期待することはできません。しかも、トレーニングの目的が筋の肥大と筋力の強化にあるとすればなおさらです。

 普通、1週間に1回のトレーニングでは、トレーニングによって得られた超回復(効果)が、わざわざ消滅した頃になって次回のトレーニングを行うような結果になるので、効果を積み重ねていく上でのロスが多くなります。

 したがって、日程的にどうしても週に1回しかトレーニングができず、また、その1回のトレーニングでなんとかある程度の効果をあげたいという場合は、回復および超回復に要する時間を長びかせるために、トレーニングの強度と量をかなり増大して行うようにしなければなりません。

 しかし、そのようなトレーニング法は、いく日もの間、疲労が時続して残り、日常の勤務にもさしさわりがあると思うので、一般の社会人としては不向きな方法だといえます。

 ともあれ、結論的にいえば、週1回のトレーニングで多大の効果を期待するのは所詮無理なことなので、暇のないときはあくせくしないで、のんびり構えてトレーニングするのがよいでしょう。1週間に1回の適当なトレーニングであっても、それに馴れてくればそれなりに多少の効果が得られるようになります。

 回答があなたの質問の趣旨からいささか逸脱したかの感がありますが、時間的な余裕ができるまでは現状維持といったぐらいの軽い気持で適当に行うことをおすすめします。
(回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生)
月刊ボディビルディング1980年8月号

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