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1980年度NABBAミスター・ユニバース・コンテスト 日本代表選抜大会

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月刊ボディビルディング1980年9月号
掲載日:2019.10.31

日本代表に長宗、奥田

観戦記・・・・・・佐野匡宣
選抜大会上位3選手。左から2位・奥田、1位・長宗、3位・朝生

選抜大会上位3選手。左から2位・奥田、1位・長宗、3位・朝生

これから比較審査を受ける6選手

これから比較審査を受ける6選手

審査員。左から温井、佐野、栗山、金沢、太田の5審査員

審査員。左から温井、佐野、栗山、金沢、太田の5審査員

 1980年度NABBAミスター・ユニバース・コンテストに派遣する日本代表選抜大会が去る7月13日、福岡市の都久志会館大ホールで行われた。

 会場となった都久志会館は、近代的な設備の完備した舞台、ゆったりとして見やすい客席をもった新築の大ホールで、しかも、招待選手や役員の宿泊も、会場隣りのガーデン・パレスという立派なホテルがあてられ、この大会を主管された太田実九州協会々長をはじめ関係者のご苦労がしのばれる。

 では、大会の経過をふりかえる前に、まず当日の成績を掲げておく。

 1位・長宗五十夫 163cm 74kg
 2位・奥田 孝美 167cm 80kg
 3位・朝生 照雄 165cm 78kg
 4位・宮畑  豊 165cm 78kg
 5位・塚本 猛義 169cm 75kg
 6位・石井 直方 175cm 87kg

 前評判では、昨年度ミスター日本の上位6名に加えて、須藤、奥田、知名の3選手も出場と聞き、本年度の選抜大会は非常に白熱した接戦が展開されるものと期待していたが、当日出場したのは、昨年度ミスター日本の上位5名と、一昨年代表の奥田選手の計6名であった。

 いうまでもなく、ユニバース選抜大会は、過去の戦績を考え合せての選考会ではなく、その時点で最も充実した選手を代表として選ぶ大会である。したがって、今回の成績が、奥田選手を除き、昨年度のミスター日本の順位とたまたま同じであったが、これは全くの偶然といってよい。しかし、各選手とも、昨年度ミスター日本当時よりは一段と成長した状態で出場していたのは実に嬉しかった。

 選抜大会も今年で第8回目を迎えるが、過去の大会で、前年度のミスター日本優勝当時より、さらに一段と成長したと感じられた選手として、第1回の杉田、第2回の宇戸、第7回の知名の3選手が私の記憶に焼きついている。とくに第2回の宇戸選手の場合は、まさに見違えるばかりの仕上がりだったが、今回の長宗選手の状態も、宇戸選手同様、抜群の仕上がりで、文句のない優勝であった。

 2位で派遣代表に選ばれた奥田選手は、一昨年、代表としてNABBAユニバースに出場後、1年の雌伏を経ての挑戦であった。かなり充実してはいたが、胸・腹の鍛え込みの不足が目についた。また、ポージングにも、もっと執念を燃やして取り組んでほしい。恵まれた筋量を持っているのだから、努力次第では、NABBAでの優勝も決して夢ではないと思う。もっとヤル気を出して頑張ってほしい、というのが私の実感である。
太田九州ボディビル協会々長の挨拶

太田九州ボディビル協会々長の挨拶

 3位の朝生選手は、一昨年から昨年と、著しい進歩を見せてきた。筋量も身長とのバランスにおいて奥田選手に一歩もヒケをとらないが、本大会では腹筋のキレがやや物足らなかった。これさえ克服していれば、もっと迫力が出たであろう。ポージングも安定し、彼独特の味が出てきたが、少しポーズ数が多すぎるように思う。腹部が見える正面ポーズのとき、うんとバキュームをきかしたポーズに徹するか、もっと腹筋強調をきかせるよう鍛え込むか、のいずれかに徹しておれば一段と迫力が出たことであろう。私は奥田選手より買ったが、以上の点が敗因ではないか。

 宮畑選手は、昨年よりひとまわり大きくバルク・アップしていたが、ポージング数が多く、中にはかえって迫力をそぐものがいくつかあった。動きのつなぎ的に入れているのかも知れないが、フィギュアーに走りすぎ、キメたときには、もう少しマキシム強調をすべきである。華麗ではあるが、押し不足でマイナス面が出て損。ひとまわりバルクもついたのだから、以上の点を工夫してほしい。ミスター日本を目指しての調整中といっていたが、9月のミスター日本では、朝生選手との接戦が予想される。

 塚本選手は、久しぶりに彼らしい良さを示してくれた。昨年のミスター日本当時より体調もよく、成長のあとがうかがえた。色が白いために、迫力的に損をしているが、いま一層、腹筋と脚を鍛えこんで、来るべきミスター日本に備えてほしい。

 石井選手は、クラスⅡで久しぶりに大物選手の出現を期待させてくれる選手である。全身的に昨年秋より良くなっており、ポージングも手馴れて来た感じで、キメるべきところはぐっとキメるポーズ運びに進歩のあとがうかがえた。前鋸筋のキレは良かったが、他の部分は全体的にキレ不足。しかし、現在の段階では止むを得まい。徹底したバルク・アップを心掛け、これまでの日本人ビルダーに見られない大型選手に成長してほしい。

 以上、選抜大会で私が感じた点を簡単に述べたが、本大会はまた来る9月28日のミスター日本コンテストの前哨戦としての意味もあり、上位入賞者を占う参考にもなるだろう。また、聞くところによると、長宗選手はNABBAユニバース遠征にもめげず、連続優勝をかけてミスター日本に出場する決意とか、日程的にコンディションの調整が大変だろうと思うが、ぜひ頑張ってほしい。

 今大会は九州ボディビル協会創立25周年記念を祝福するにふさわしい充実した見ごたえのある大会であった。
長宗五十夫選手

長宗五十夫選手

長宗五十夫選手

長宗五十夫選手

奥田孝美選手

奥田孝美選手

奥田孝美選手

奥田孝美選手

朝生照雄選手

朝生照雄選手

宮畑 豊選手

宮畑 豊選手

塚本猛義選手

塚本猛義選手

石井直方選手

石井直方選手

月刊ボディビルディング1980年9月号

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