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“ミス健康美コンテストに想う”

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月刊ボディビルディング1981年11月号
掲載日:2020.07.29
 去る9月15日、品川公会堂において日本ボディビル実業団主催のミスター実業団とミス健康美コンテストが開催された。

 昨年のこの大会で、ミス健康美コンテストが一躍マスコミの注目するところとなり、優勝した西脇美智子さんはもとより、山際大会実行委員長や当社にも数十社の雑誌社、新聞社が押しかけ、取材合戦が展開された。

 そこで、今年の大会には、きっと大勢の報道陣が動員されるのではないかと私は想像した。

 コンテストは、まず男子青年の部から開始された。ところがどうだろう。報道関係者といえば、ボディビル専門誌の当社と、テレビ1社だけなのだ。やがて男子壮年の部に移ったが、この状態は依然として変わらない。

そして舞台はミス健康美の部へと進んだ。そのとたんである。どこにいたのか、一見して報道関係者とわかる数十名のカメラマンがあらわれ、ステージの前は押し合い、へし合いの大混乱となった。おそらく会場のどこかにいて、女性の部が始まるのを待っていたのだろう。それにしても、その取材のしかたが、あまりにも対象的なのには驚いた。

 前置きが長くなったが、これまで長い間、男性のコンテストを見つづけてきた者にとっては、選手の体をひと目見れば、だいたいの順位は見当がつく。この選手はおそらく決勝に残るだろう優勝は誰と誰の争いになるだろう、といった予想は、ほとんど狂ったためしがない。それだけ、審査基準も定着し我々の目もこえてきたということであろう。
 
 ところが、女性の健康美コンテストの場合は、正直いって、私には全く見当がつかなかった。なにせ、10位にも入らなかったT嬢が優勝するのではないかと、ひどい見当ちがいの評価をしていたくらいである。

 ではここで、ボディビル実業団の健康美コンテストの審査基準を紹介しよう。 

 まず、プロポーションが80点、ポージング、知性、スポーツマンマナーが20点、計100点満点で採点される。つまり、80点という高い比重を占めるプロポーションの良し悪しが成績を左右する。

 そしてプロポーションについての基準は「ボディビルにてシェイプ・アップされた、女性的な美しい筋肉の発達度(張り、つや、色)を重視する。また、精神的、肉体的に健康で明るい女性……」となっている。

 この基準には書いてないが、女性のコンテストであるからには、このプロポーションという言葉の中には、当然“顔”も含まれていると解釈していいだろう。

 プロポーションにしても、浅野ゆう子のように、脚の長い八等身型がいいという人もいれば、中には、榊原郁恵のように、少し寸づまりだが、ピチピチと健康的な方がいいという人もいるかも知れない。

 筋肉の発達度にしても、男性のように、大胸筋がどうの、上腕二頭筋がどうの、あるいはデフィニッションがあるとか、ないとかといった差もない。

 そこで、実際に評価・採点する場合多分に審査員の主観的好みが入ってくることにならざるを得ない。だから、審査員が変われば、また異なった結果なるかも知れない。

 このように考えてくると、ミス健康美コンテストに出場する女性たちは、あまり成績のことなどを気にしないでボディビルでシェイプ・アップされた美しい健康美を、自信をもってアッピールしていただきたい。それがこのコンテストの意義であると思う。
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月刊ボディビルディング1981年11月号

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