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ニュース 1983年11月号

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月刊ボディビルディング1983年11月号
掲載日:2020.12.23

■世界パワー選手権大会日本代表選手決まる

来る11月10日から4日間、スウェーデンのゴーゼンバーグで開催される第13回1983年度世界パワーリフティング選手権大会に出場する日本チームのメンバーが下記のとおり決定した。

団長兼監督 遠藤光男(JPA常任理事)
選手 52kg級・因幡英昭(日立武蔵、39才、10回目) 56kg級・伊差川浩之(米国在住、30才、3回目) 60kg級・伊藤長吉(ブラザー、32才、3回目) 75kg級・植田英司(高松TC、26才、3回目) 90㎏級・前田都喜春(名城大学職。38才、3回目)

■JPA国際部ニュース.........国際部長・吉田進

1983年全米パワーリフティング選手権レポート

軽量クラスの少ないアメリカでも、今年の大会は特に異常と言っていいほど軽いクラスの選手が集まらなかった。
52kgクラスでは、スクワット242.5㎏の世界記録を持つクンハは、子供が生まれたこともあり、練習不足で不参加。
昨年のミュンヘン世界選手権大会で日本の因幡にあと2.5kgまで迫ったダンバーは肩を痛めて同じく不参加。長い全米選手権の中で初めてノーコンテストとなった。

◆56㎏クラス
記事画像1
鉄人ガントには勝てないと読んだのか、このクラスもさびしくカピュートただ1人ということになってしまった。当のガントは今年は60kg級に出たため、出場をあきらめた何人かの選手にも優勝のチャンスはあったのだろうに。カピュートの記録はトータル522.5kgと平凡で、世界選手権参加のメンバーからは外されてしまった。

◆60㎏クラス
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このクラスもガントを含めて3人というさびしさでありその内の1人、ハンザーがスクワットのスタート235㎏でつぶれて失格したために、のこり2人という結果になってしまった。
ガントは今年も優勝したが、ブラッドレーの持つ世界記録707.5kgには遠くおよばない622.5㎏と不調であった。

◆67.5kgクラス
記事画像3
アメリカではこのクラスから急に層が厚くなる。記録を見てわかるとおり、82.5kgクラス(ブリッジスのいるクラス)を除いて、このクラスを含めどのクラスもかなりの接戦になっている。
このクラスでも732.5kgの世界記録を持つブラッドレーはいなかへ帰って、気の向いた時しかトレーニングしていないという状態のため不参加なのだが次々と新しい選手が登場してくるので、次にブラッドレーがカムバックしても優勝はむづかしいかもしれない。
1位になったウォールのスクワット300kgは世界新に相当するものだが、この大会ではドラッグ・テストが行われなかったため、IPF公認記録とはならない。

◆75kgクラス
記事画像4
常勝クレインが今年も優勝したが、デッドリフトでかろうじて逆転したというきわどいもの。おかげで325kgという世界タイ記録のおまけがついた。
2位のベル、3位のゲイが共に近年急に力をつけてきており、来年はクレインにとって厳しい年となろう。なお、6位に入ったリック・ウェイルはベンチプレスで220kgの大記録を出した。

◆82.5kgクラス
記事画像5
このクラスは王者ブリッジスを避けてか、出場者はわずか4名。その内1人が失格したので結果として3名となっている。ブリッジスは今年もまったく危なげなく優勝。スクワットでは第3試技で世界新相当の382.5㎏で立ち上がったが、しゃがみが浅く赤2、白1で失敗。
このクラスの驚きは2位のエド・コーンである。彼は前日まで75㎏クラスに出場すべく減量していたのだが、どうしても体重が落ちないので当日になって1クラス上げ、その結果が842.5㎏である。もし75㎏クラスに出ていればクレインに一泡吹かせていたかもしれない。

◆90kgクラス
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このクラスで特に印象に残ったのは2位になったアーニー・フランツである。彼の年令は48才、マスターの世界選手権では無敵である。しかし彼は、マスターのチャンピオンだけでは満足せず、今年も全米選手権に参加して世界選手権へのキップに挑戦した。結果は2.5kgの差でバディー・デュークに敗れ「48才で世界チャンピオン」の夢は成らなかった。
なお、昨年の世界チャンピオン、トーマスはケガのため不参加であった。

◆100kgクラス
記事画像7
世界選手権9連勝の記録をもつラリー・パシフィコ。彼が引退してからはジム・キャッシュがこのクラスを征してはいるものの、毎年激しいトップ争いが演じられ予断を許さないのがこのクラスである。
結果は、ラリー・パシフィコの秘蔵っ子、ジョー・ラドニエが初出場で初優勝をかざった。2位は今年4月のハワイ国際大会での足の負傷から立ち直り、ドクター・スクワットの名のとおり397.5kgのスクワットを成功させたフレッド・ハットフィールド。3位はジム・キャッシュ。
キャッシュの名誉のためにつけ加えておくと、彼は逆転のデッドリフト385kg(世界新相当)をほとんど引きながらも、胸をピシッとはることができずに惜しくも失敗ということであった。

◆110kgクラス
記事画像8
4月のハワイ国際大会に続いてスティーブ・ウィルソンが優勝。ジョン・クックの大記録1.000kgに少しずつ近づいている。

◆125kgクラス
記事画像9
ジョン・ギャンブルが世界新相当の1、030kgで二連勝。
2位はスーパーヘビーから減量してきた新人モランで、スクワットとデッドリフトではギャンブルを17.5kgも上まわる好記録を出しながらもデッドリフトが弱く、ギャンブルにあっさり逆転されている。
期待のダン・ウォルバーはスクワット420kgを失敗し、デッドリフト397.5kgも失敗し7位に終ってしまった。

◆スーパーヘビー・クラス
記事画像10
カズマイヤーが4年ぶりに全米選手権に優勝。しかし記録の方はあまり良くなく、胸のキズがまだ完全に治らないベンチプレスはともかくとしても、スクワット1000ポンド(453kg)、デッドリフト900ポンド(408kg)の2つの目標にどちらも達しなかったのは残念である。

■伊藤(29代)阿部(32代)10人抜き、吉村(ミスター千葉7位)は4人抜き.........勝抜き腕相撲情報

テレビ東京の“勝抜き腕相撲”で、9月23日、荒井克敏選手を破って第26代チャンピオンになった寿々木範夫選手(28才、177cm、85㎏)は、5人を抜き、9月27日、渥美久仁選手(28才、80kg)に敗れた。
27代目チャンピオンになった渥美選手は、早くも翌日2人目でマーシャルアーツ全日本ミドル級2位の猪ノ川勝也選手(23才、171cm、75kg)に負けた。

猪ノ川選手(28代目)は5人抜いたが、9月30日に登場した伊藤光浩選手(19才、170cm、78㎏)に敗れた。
伊藤選手(29代目)は、6人目、7人目に星野昌治、昌喜の親子選手(5代目チャンピオンで28人抜きを達成した星野和夫選手の父と弟)を破り、10人目、石野雄志選手に大苦戦の末に勝ってグアム旅行を獲得したが、10月7日、11人目の河野順一選手(38才、174cm、75kg)に敗れた。
河野選手(30代目)は10月10日、2人目で吉村和夫選手(22才、180cm、80kg、今年度ミスター千葉7位、新人賞獲得)に負けた。吉村選手は4人抜いたが10月12日、阿部隆選手(34才、170cm、76kg)に敗れた。

阿部選手(32代目)は8人目の小貫浩幸選手に大熱戦のすえ辛勝。そのあと3人抜いて10人抜きを達成したが、11月19日、11人目の加藤直人選手(20才、172cm、76kg)にチャンピオンの座を奪われた。
加藤選手(33代目)は2人抜きにとどまり、翌20日に登場した上村敏夫選手(34代目、22才、172cm、70kg)は5人抜いて、10月24日、仲田勇次選手に負けた。
河野順一選手(左)と伊藤光浩選手

河野順一選手(左)と伊藤光浩選手

小貫浩幸選手(左)対阿部隆選手(なお、9月中旬から、おのおのの特徴、個性を象徴する私服で登場することになった)

小貫浩幸選手(左)対阿部隆選手(なお、9月中旬から、おのおのの特徴、個性を象徴する私服で登場することになった)

(レポート・写真=小山勝)

■第10回ミスター群馬ボディビル・コンテスト
優勝・岡田晃、2位・茂木正次

4年ぶりに開催された第10回ミスター群馬コンテストは県内のジムから23名の選手が出場して9月11日、太田平安閣において筋肉美を競った。
その結果、優勝は岡田晃(28歳。太田BBC)、2位に茂木正次(32歳。太田BBC)、3位に田胡友男(33歳。高崎BBC)が入った。
出場選手が少なく、ちょっとさびしい感じがしたが、満員の観客の大声援と朝生照雄選手の迫力あるゲスト・ポージングで盛況の内に大会を終了することができた。
(写真・レポート=関塚孝行)
〔第10回ミスター群馬コンテスト入賞者〕

〔第10回ミスター群馬コンテスト入賞者〕

■UBBF第1回ミスター&ミス・オータム・コンテスト――細川佐代子選手優勝

日本ではじめての男女チャレンジ・マッチのボディ・コンテスト“第1回ミスター&ミス・オータム・コンテストが、9月2日、高知市のインターナショナル・ヘルス・クラブで行われた。
コンテストは表現能力(ポーズ)80点、筋肉10点、均整(プロポーション)10点の計100点で審査され、その結果7月のミス西日本7位の細川佐代子選手(22才)が、弱点だったポーズと筋肉を大幅に改造し、ポーズはジャズダンスの特訓を連日2時間したというハード・トレーニングのマ成果がみのり、92点を獲得して優勝。

2位にはミスター・オール高知3位の戸田健司選手(19才、88点)、3位にはオール高知優勝の村田信一郎選手(17才、85点)、4位にはオール高知2位の右城誠治選手(15才、80点)が入った。

なお、この大会の模様は高知放送TV、ラジオ高知から9月3日にTV放映とラジオ放送された。
〔第1回ミスター&ミス・オータム・コンテスト入賞者。中央が細川佐代子選手〕

〔第1回ミスター&ミス・オータム・コンテスト入賞者。中央が細川佐代子選手〕

(写真・レポート=臼井精是)
月刊ボディビルディング1983年11月号

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