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なんでもQ&Aお答えします 1985年12月号

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月刊ボディビルディング1985年12月号
掲載日:2021.09.24

もっと厚い胸にしたいのですが

Q ボディビル歴は3ヵ月。現在高校2年です。トレーニングは、きっちりとやっているのですが、胸の発達が思わしくありません。でも腕は太くなっているみたいで友人からもそういわれました。でも、僕の希望としては胸をもっと厚くしたいと思っています。

 僕は水泳部に所属していて、毎日のように泳いでいます。トレーニングはその後なので、かなりハードです。練習時間は、水泳が4時間、トレーニングが1時間です。また、食後と、トレーニングの後にプロティンを牛乳に混ぜて飲んでいます。よいアドバイスをお願いします。
(尼崎市 酒井則和 17歳 高校生)

《トレーニング・スケジュール》
記事画像1

 あなたのウェイト・トレーニングの週間頻度が分りませんが、いずれにせよ、(多分)毎日の4時間の水泳の後のウェイト・トレーニングは、確かにハードでしょう。ウェイト・トレーニングの頻度が多ければ、オーバー・ワークが充分考えられます。普通の初心者の場合、週3回が一般的ですが、あなたの場合には、週2回(月・木、火・金、水・土というように)ウェイト・トレーニングを実施するようにして下さい。

 また現在、胸の種目を3種目、合計で11セット行なっていますが、トレーニング歴・使用重量・他の種目のセット数などからしても、これは多すぎるようです。胸を発達させたい気持は判りますが、あせらずじっくりとトレーニングしてください。

 では、これらを考慮してトレーニング・スケジュール例を作成します。

《トレーニング・スケジュール例》

(週2日)

①ベンチ・プレス 4セット
②ベント・アーム・ラテラル・レイズ 4セット
③ベント・オーバー・ローイング 3セット
④ワン・ハンド・ロー 3セット
⑤バック・プレス 3セット
⑥スタンディング・ロー 3セット
⑦バーベル・カール 3セット
⑧フレンチ・プレス 3セット
⑨スクワット 4セット
⑩カーフ・レイズ 3セット
⑪シット・アップ 2セット


 胸の種目がプレス系の運動ばかりでしたので、ベンチ・プレスの他は、ベント・アーム・ラテラル・レイズに換えました。では方法を説明します。

◎ベント・アーム・ラテラル・レイズ

両手にそれぞれダンベルを持ってベンチに仰臥し、左右のダンベルを胸の上方に挙上してかまえる。その位置から、両腕を少しまげながら真横へ広げるようにしておろし、充分におろしたなら、つぼめるようにして元の位置へ戻す。あげるときに、肘の屈折度を増さないように留意する。肘の屈折度が増すようなあげ方は、ダンベル・ベンチ・プレスともラテラル・レイズ・ライイングともつかない中途半端な動作になるので、大胸筋に負荷が的確にかからなくなる。[写真参照]

 トレーニングと同様に食事も非常に大切な要素です。ウェイト・トレーニングで筋肉を発達させたい場合、体重1kg当り2~2.2gのたんぱく質を毎日補給するようにしなければいけません。まして、あなたのように他の運動を激しく行なっているのであればなおさらのことです。

 その重要なたんぱく質を補うためにも、プロティンなどの高たんぱく食品を摂るのはよいことですが、たんぱく質は1回に30g位しか消化できませんので、一度に多く摂るより、何回かに分けて摂る方が効果的です。ですから、プロティンを食後に摂るのは、悪くはありませんが、もったいないですね。食事は食事で充分にたんぱく質を摂り、それに加えて間食としてプロティンなどの高たんぱく食を摂るとよいのです。

 筋肥大を目的とする場合、トレーニングの30分前とトレーニング直後に摂るのが最も効果的です。体重を増加したい場合は、就寝前にもう一度摂っておくとさらに効果的です。

 このように1日5~6食の感じで食事をすることがポイントです。

 また、水泳などの持久力のいるスポーツにはジャーム・オイルも効果的です。朝食後とトレーニング前にジャーム・オイルを摂っておくとバテずにトレーニングができます。
ベント・アーム・ラテラル・レイズ

ベント・アーム・ラテラル・レイズ

腹筋運動をやっても腹部の脂肪が思うように落ちない

Q 現在トレーニング歴6ヵ月です。近所にジムがありませんので自宅で1人でトレーニングしています。

 そこで質問ですが、腹部全体についた脂肪で悩んでいます。腹筋のトレーニングは3種目行なっていますが思うように効果がありません。また、上体に比べて大腿部が細いのも気になります。しかし自宅での練習なので特別な器具はありません。よきご指導をお願いします。

《トレーニング・スケジュール》
[註]以上を週2回ずつ計4回トレーニングしています。なお、分割法は1ヵ月前から採用しています。

[註]以上を週2回ずつ計4回トレーニングしています。なお、分割法は1ヵ月前から採用しています。

《体位》
身長 170cm 上腕囲 38cm 体重 74kg 前腕囲 29cm 胸囲 103cm 大腿囲 56cm 腹囲 85cm 下腿囲 37cm 

(北海道、東館由斉 30歳、会社員)

 トレーニング歴6ヵ月の割には立派な体をしているようですね。しかし、やはり腹囲が85cmというのは大きすぎます。

 消費カロリーよりも摂取カロリーが多くなると、余分なカロリーは脂肪となって体にたまってきます。(消費カロリーは、日常生活や運動などで使われるカロリー、摂取カロリーは、食物から摂るカロリー)ですから、脂肪を取り除きたいのなら、このカロリーのバランスを逆転させる、つまり消費カロリーを高め、摂取カロリーを減らせばよいのです。

 消費カロリーを高めようと、腹筋運動などを多く行なっても、摂取カロリーがそれを上回っていれば、脂肪は落ちません。効果的に減量するには、食事による摂取カロリーも少なくしなければいけません。

 この際とくに注意しなければいけないのは、単にカロリーを減らそうとして、たんぱく質やビタミン、ミネラルなども不足することです。たんぱく質は体に蓄えておくことができず、しかも新陳代謝で毎日入れ替わっているので、必ず毎日摂取しなければいけません。また、炭水化物も全くカットするのではなく、トレーニングや仕事その他の活動源として、最少限は摂る必要があります。

 では、具体的なモデル・メニューをご紹介しますので参考にして下さい。

朝食:ご飯茶わん1杯、みそ汁1杯、ゆで卵、納豆、のり、生野菜

昼食:ご飯茶わん1杯、みそ汁1杯、焼肉、豆腐1/2丁、生野菜、果物

間食(トレーニング前):プロティン・ドリンク、果物

夕食:ご飯茶わん軽く1杯、みそ汁、ほうれん草のおひたし、野菜、(プロティン)

 これは、あくまでもモデル・メニューですので、これに近い内容で変えてかまいません。

 それ以外で注意することは、脂肪の摂取に充分気をつけることです。炭水化物やたんぱく質が1g4カロリーなのに対し、脂肪は9カロリーもあります。油を使った料理にも充分注意しましょう。

 また、夕食を食べすぎないように注意し、逆に朝食はしっかりとバランスよく摂ることが大切です。

 次にトレーニング・スケジュールの問題点を挙げると、次のようなものがあります。

①トレーニング種目の順序の問題

 現在、胸→上腕三頭→肩の順で行なっていますが、これでは肩の前に上腕三頭筋が先に疲労してしまい、肩のためのバック・プレスなどが充分にできず、肩に的確に効かせることができませんので、この順序を逆にした方がよいのです。

 同様に、デッド・リフトはスクワットの後に行なって下さい。デッド・リフトを先に行うと、スクワットの時に大腿四頭筋に効果が集中しにくくなるだけでなく、腰を痛めやすくなるので特に気をつけて下さい。

②使用重量の問題

 ベンチ・プレスやデッド・リフトが60kgなのに対し、ベント・オーバー・ローイングの60kgは重すぎます。もっと軽くして、正しいフォームで行なって下さい。

 逆にスクワットは、もう少し重量を増やすように努力して下さい。

 少し横道にそれましたが、以上の2点を改善すれば、大腿部も徐々に太くなってくるものと思われます。

 では、次にトレーニング・スケジュール例を作成しますので、参考になさって下さい。

《トレーニング・スケジュール例》

◆Aコース
①ベンチ・プレス 5セット
②インクライン・ベンチ・プレス 4セット
③バック・プレス 4セット
④スタンディング・ロー 4セット
⑤フレンチ・プレス 4セット
⑥デクライン・シット・アップ (デクラインとは頭が下になる傾斜) 3セット
⑦レッグ・レイズ(インクライン) 3セット
⑧サイド・ベンド 3セット

◆Bコース
①チンニング 4セット
②ベント・オーバー・ローイング 4セット
③バーベル・カール 4セット
④オルターニット・ダンベル・カール 3セット
⑤スクワット 5セット
⑥カーフ・レイズ 3セット
⑦デッド・リフト 4セット
⑧トランク・カール 3セット
⑨レッグ・レイズ 3セット
⑩サイド・ベンド 3セット

 なお、脂肪を落とすには、ジョギングなどの長時間行なえる運動が適しています。週2~3回走れれば、さらに効果的です。

脂肪を大幅に落として減量した体重を筋肉で増やしたい

Q トレーニング歴1年半の高校2年生です。高校1年から自宅でトレーニングを行なっています。当時は、身長168cm、体重78kgの脂肪太り、肥満体に近い状態でした。この体ではいけないと思いトレーニングを始めました。食事もかなり制限したところ、半年経つと25kgも体重が落ちて53kgとなりました。あの時は自分でも驚きました。脂肪が落ちたのはいいのですが、それ以来、気力がなくなり、体型もガリガリです。これではいけないと思い、必死で努力し、現在では身長171cm、体重58kgになりました。58kgとはいっても自分なりに、しまった体だと思っています。

 これから、65kgぐらいまで体重を増やしたいと思っていますが、下記のトレーニング法をどう改めたらよいでしょうか。なお、体重を落とす薬などは一切使用しておりません。また、下記のトレーニングのエネルギー消費量は何カロリーぐらいでしょうか。

《トレーニング内容》(月曜~土曜)
[註]ⒶⒷは1日交代で行います。

[註]ⒶⒷは1日交代で行います。

《現在の体位》
身長 171cm 腹囲 70cm 体重 58kg 大腿囲 51cm 胸囲 90cm 上腕囲 34cm 

(山口県 D.Y. 17歳 高校生)

 半年で25kgの減量は大変だったでしょう。しかし、やせすぎてしまったというのはいけません。これからは正しいトレーニングと適切な栄養摂取で体重を増やすようにしましょう。

 さて、あなたのトレーニング内容を拝見すると、いくつかの問題点が見受けられますので、それについて述べます。

①トレーニングの頻度について
②種目の順序について
③種目の不備について

①トレーニングの頻度について

 あなたのトレーニング内容では(月曜~土曜)となっていますが、筋肉を発達させ、体重を増加させる場合には、毎日、休みなしでトレーニングするのはよくありません。筋肉はトレーニングのあと、栄養を摂り、休養している間に大きくなるのです。現段階では週3回、1日おきのトレーニングがいいでしょう。

②種目の順序について

 現在、バーベル・カールから行なわれていますが、上腕二頭筋のように小さい筋肉を使うこの種目などより、ベンチ・プレスなどで大筋群を先にトレーニングするのが一般的です。しかもベンチ・プレスなどは腕(上腕三頭筋)や肩の筋肉も使いますので、先に腕や肩をやってしまうと、胸に集中できません。胸・背・脚のうちのどれかからトレーニングを行いますが、初心者の場合は、胸のベンチ・プレスから行うのが最も一般的です。

③種目の不備について

 あなたのトレーニングには背中の種目が含まれていませんが、これは何か理由があってのことでしょうか?特別な理由がなければ、背中の種目を加えて下さい。背中は上半身でも最も大きい筋肉群ですので、体重増加のためにも是非ともトレーニングに加えたい種目です。

 では以上の3点を考慮してトレーニング・スケジュール例を作成します。

《トレーニング・スケジュール例》

隔日的、週3日

①ベンチ・プレス 5セット
②ラテラル・レイズ・ライイング 4セット
③ベント・オーバー・ローイング 5セット
④バック・プレス 3セット
⑤サイド・レイズ 3セット
⑥バーベル・カール 4セット
⑦フレンチ・プレス・ライイング 3セット
⑧スクワット 5セット
⑨ワン・レッグ・カーフ・レイズ 3セット
⑩シット・アップ 2セット
⑪レッグ・レイズ 2セット

 ボディビルのトレーニングで使うカロリーは、個人差が大きく、特にその人のトレーニングのやり方によって大きく違いますが、一般的には、初心者の場合、2時間で約670カロリーですから、あなたの場合は1,000カロリー前後だと思います。

腕に限って効果が現われないが?

Q ボディビルを始めて半年になります。現在はジムに通ってトレーニングしています。トレーニングを始めて、胸囲が3cm増加し、腹囲が4cm減って自分なりに効果はあったと思います。ところが、腕の発達がまったくといってよいほどありません。僕なりに一生懸命、腕のトレーニングに励んでいるつもりなんですが、効果が得られません。

 そこで、太い腕をつくるのに効果のあるトレーニング法をアドバイスしてください。現在の腕のトレーニング種目と体位は次の通りです。

《トレーニング種目》
①バーベル・カール 26kg 5セット
②リバース・カール 10kg 5セット
③フレンチ・プレス 10kg 5セット

《体位の変化》開始時 現在
身長 176cm 176cm
体重 63kg 64kg
胸囲 90cm 93cm
腹囲 78cm 74cm
上腕囲 32cm 31cm
前腕囲 28cm 27cm
大腿囲 48cm 51cm
下腿囲 31cm 34cm

(大阪市 松本三善 21歳 大学生)

 半年で胸囲3cm増加、腹囲は逆に4cm減少と効果がよく現れていますね。胸囲・腹囲とも増加したのであれば脂肪太りともいえますが、あなたの場合はそうではないので、成功といえます。おめでとうございます。

 腕囲が上腕・前腕とも1cmずつ減っていますが、これは全体的に体脂肪が落ちたと考えられますので、大して心配することはありません。大胸筋のように大きい筋肉の部位は、発達の度合が大きいので、半年間で3cm増加していますが、腕はそれに比べ小さい筋肉群ですので、そんなに急には大きくなりません。まして、あなたのように脂肪が落ちたのであれば、実際に筋肉は発達してもサイズ的には増えません。

 これから腕のトレーニング法について述べますが、あまりあせらず、欲ばらずに、マイ・ペースでトレーニングを進めていって下さい。

 あなたは現在リバース・カールを行なっていますが、現段階ではまだ必要ないでしょう。今はあまり欲ばらず、上腕二頭筋と上腕三頭筋を重点的に鍛え、ある程度発達してきたら、前腕の種目を加えるべきです。

 また、リバース・カールや、フレンチ・プレスの重量に比べて、バーベル・カールの重量が重すぎるようです。(フレンチ・プレスの重量も軽すぎるようですが……)

 バーベル・カールの正しいフォームは、肩幅くらいでバーベルを握り、肘を充分に伸ばした状態から、肘を開かず、前後にぶれないようにして巻き上げますが、特にウェイトが重くなると肘が後方へさがりやすくなるので注意して下さい。肘は体側の真横よりも、ほんの心もち前に出しぎみで行なった方が効果的です。

 おろすときの動作も同様に、肘が後方へ行かないように注意して、挙げるときよりもさらにゆっくりとした動作でおろします。また、上腕二頭筋に集中するためには、手首を巻き込まないようにした方が効果的です(上下動ともに)。

 上腕二頭筋の種目としては、

①バーベル・カール 4セット
②オルターニット・ダンベル・カール 3セット

の2種目を行なって下さい。②の種目については後述します。

 上腕三頭筋については、現在のフレンチ・プレスをライイングで行なってみて下さい。この方が動作が容易なうえ、スタンディングなどで行うより高重量が扱えますので、バルク・アップの段階には好適です。使用する重量は10回がやっと挙がるウェイトを用いて下さい。

 次に、腕のトレーニングの週間頻度ですが、現段階では1日おき週3回で全身一緒にトレーニングして構いません。もう少し体が発達し、体力的にも余裕が出て来たら分割法を採用して下さい。

 腕の発達にとって、トレーニングの順序も重要です。腕を発達させたいからといって、これをトレーニングの最初にもってくるのはよくありません。(胸・背・大腿ならよい)一般的には、次の順序でトレーニングするのがよいでしょう。

 胸→背→肩→上腕二頭筋→上腕三頭筋→脚→腹

 腕は胸・背・脚などに比べ、小さい筋肉群とはいっても、やはりサイズを増やすには、体重が増加しなければいけません。そのためには、たんぱく質が体重1kg当り2gになるように栄養摂取を考えて下さい。

《種目説明》

◎オルターニット・ダンベル・カール

 両手にダンベルを持ち、体側にまっすぐぶら下げて立つ。反動をつけずに右肘を曲げて肩の前方までダンベルをまき上げたら、それをゆっくりともどしながら次は左手の方をまき上げていく。これをゆっくりと、左右交互に行う。手の向きは、ダンベルが下の時は手のひらが内側を向き、上げたときひねりながら外側に(小指側が上になるように)向くと効果的。[写真参照]
[オールタニット・ダンベル・カール]

[オールタニット・ダンベル・カール]

◎フレンチ・プレス・ライイング

 ベンチに仰臥して、バーベルをオーバー・グリップで持ち、腕を垂直(または垂直に近い状態。肘が足の方向には行かず、やや頭の方に傾斜するのなら可)に挙げ、上腕三頭筋が充分に作用するように、肘を支点にして前腕を屈曲、伸展させる。なお、その際に肘が開かないように注意する。また、カーリング・バーの狭い方を握って行うと動作がしやすい。[写真参照]
[フレンチ・プレス・ライイング]

[フレンチ・プレス・ライイング]

フル・スクワットにおける腰・膝の障害

Q ボディビルについて若干疑問に感じていることがあり、恐縮に存じますが御指導を仰ぎたく手紙を書きました。

 私は現在40歳の健康な男子です。最近(約1年前)私の職場にボディビルの器具が購入され、週3回のトレーニングを実施しています。この度、窪田先生の書かれた「正しいボディビルディング」(体育とスポーツ出版社発行)を購入し、バーベル第1コースを終えたところです。

 そこで質問なのですが、これから第2コースに入ろうとしていますが「フル・スクワット」は、腰及び膝に障害を起こす恐れがあると聞きました。本書に示してあるような正しい動作で実施すれば支障はないと思いますが、いかがなものでしょう。また「フル・スクワット」を行う際はベルト及びニーバンデージを使用すべきでしょうか。以上の2点について御指導をお願いします。(浜松市 上村増雄 40歳 会社員)

 まず結論から述べますと、椎間板ヘルニアとか、ギックリ腰などの腰部の持病、または膝の持病などがない限り、正しいフォームで動作を行なえば、全く問題はありません。ですから、逆に言えば、スクワットは正しいフォームで行なわれなければ、腰などを痛めやすい種目であることは事実です。

 フル・スクワットの正しいフォームは、バーベルを首のうしろで肩にかつぎ、腰幅くらいにスタンスをとって立ちます。背すじをピンと伸ばし、胸を張ったままゆっくりとしゃがみます。この時、必ず腰を伸ばしたまま(胸を張り、腰は充分に反らす)しゃがむことです。

 しゃがんだら、下で反動などをつけずに、すぐさまスムーズに(ただし、動作は速すぎずに)立ち上がります。足首が固い場合、かかとの下に高さ3cmぐらいの木片かプレートを置くと動作がしやすくなります。なお、バーベルをかつぐ位置が高すぎても、低すぎてもいけません。また、スクワットの動作の際中、視線は必ず水平以上に向け、決っして顔が下に向かないようにして下さい。顔が下を向くと、背中や腰が曲がりやすくなるので、それを防ぐためにも重要なポイントです。腰のベルトは、軽いウェイトでスクワットを行うのであれば、必ずしも必要ありませんが、重量が増えていくに従って、また、軽いウェイトの場合でも、安全と安心のためにも使用した方がよいでしょう。

 ニー・バンデージは、膝の故障などがない限り、特に必要はありません。
[回答はトレーニング・プラザ代々木・野沢秀雄先生、工藤悦弘先生 演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生]
月刊ボディビルディング1985年12月号

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