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Q&A なんでもお答えします 1985年10月号

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月刊ボディビルディング1985年10月号
掲載日:2021.08.04

上半身の発達に比べて脚が思うように発達しないが


 ボディビル歴は3年5ヵ月、 脚部を逞しくする目的で、トレーニングジムに通い始めたのですが、思うように脚が発達しません。現在、週6日の練習で、後述の脚のトレーニング・スケジュールを週2回実施しています。
いろいろな方法、例えば、種目、セット数の変更等を試みたのですが、ほとんど効果がみられません。
それに比べて上半身は、トレーニングに良く反応し、発達も早いように思われます。
 これから先、コンテストにも出場したいと思っていますので適切なアドバイスをお願いします。
 最後にもう1つお伺いしたいのですが、自転車やサッカー、ラグビーの選手の脚はボディビルダーに負けないくらい立派な脚を持っていますが、彼らは毎日のように脚を酷使してもオーバーワークは起こらないのでしょうか。

<脚のトレーニング・メニュー>
(月曜・木曜の週2日実施)
記事画像1
<現在の体位>
記事画像2
[註]
Aコース(月曜・木曜)は脚
Bコース(火曜・金曜)は胸と背
Cコース(水曜・土曜)は腕と肩
翌日に多少、疲れが残る程度
(愛知県K・S会社員24歳)

 あなたの体位を拝見すると、確かに上半身の方が発達しているようですね。
現在、スクワットを普通のセット法で行なっていますが、これはピラミッド法に変えた方がよいでしょう。
ピラミッド法とは別名、ウェイト・インクリーズ・システムとも呼び、セットを進めるに従い、重量を増し、逆に回数は減ります。
この方法だと、最初に軽い重量から始めるので、ウォーム・アップが充分にでき、怪我などの心配が少なく、重い重量を扱えます。
 現在のあなたの場合、次のようにして行なってみるとよいでしょう。
記事画像3
 3セット目に最高重量をもってきますが、最高重量でも最低5回は反復できる重量を用いた方がよいでしょう。
つまり、自己のベストの重量を用いるのではなく、ここでの最高重量というのは、そのトレーニングにおける使用重量の最高のものということです。
したがって上記の例はあくまでも現在のあなたのトレーニングから“推測”して出したものですので、1つの目安として考えて下さい。
また、当然筋力がついてきて余裕が生じれば、重量をふやして下さい。できれば、最後の3セットは、補助者についてもらい、フォースト・レップスを2レップスほど行うとさらに効果的です。
 次に、あなたはスクワットの次にレッグ・カール、レッグ・イクステンションの順で行なっていますが、大腿四頭筋が主働筋であるスクワットとレッグ・イクステンションを続けて行なって下さい。
つまり、①スクワット、②レッグ・イクステンション、③レッグ・カール、④ワン・レッグ・カーフ・レイズの順で行なって下さい。
 レッグ・イクステンションの使用重量に関しても、問題があるようです。
あなたは、レッグ・イクステンションとレッグ・カールを同じ重量が行なっていますが、大腿四頭筋と大腿二頭筋では、大腿四頭筋の方がより強大な筋肉ですので、大腿二頭筋を主働筋とするレッグ・カールよりも、大腿四頭筋を主働筋とするレッグ・イクステンシの方がより重い重量が扱えるはずです。
正確なフォームで反復できる範囲で重量を増して下さい。
 カーフ・レイズに関しては、下腿三頭筋は高回数(15回以上)で行う方が効果的です。
 最後に、自転車やサッカー、ラグビーの選手は、確かに立派な脚を持っています。
彼らがオーバー・ワークを起こさない原因は、脚部にかかる負荷にあります。彼らの運動の負荷は、主として自分の体重だけなので、毎日使ってもオーバー・ワークにならないのです。
もしベビー・ウェイトでのスクワットなどを毎日行なえば、必ずオーバー・ワークになるでしょう。
 余談ですが、ボディビルのトレーニングに於いても、自転車は非常によいトレーニングになりますので、脚のトレーニングの仕上げとして自転車に乗るのもよいでしょう。

練習前に食事をしてもいいか


 私は現在、5時に会社が終ってからジムに直行し、6時半ごろから約1時間トレーニングしています。
そのため、家に帰って食事をするのが9時頃で、お腹がすいて気持が悪くなることがあります。
また、トレーニングの後半はスタミナがなくなり、集中してトレーニングすることも出来ません。
 最初は、いったん帰宅して、食事をしてからトレーニングをしていましたが、それだとどうも胃が重く感じられましたので、現在のようにトレーニング後に食事をするように切りかえたわけです。
効果と体調を考えて、トレーニングの前後のどちらに食事をした方がよいかアドバイスをお願いします。
(横浜市 田尻義夫 会社員 25歳)

 一般社会人にとって、トレーニングと夕食時間との問題は大きいと思われます。多くの読者の中にも、同じ悩みを持っている方が多いのではないでしょうか。
 では、まず結論から述べますと、空腹時、満腹時のどちらのトレーニングもよくありませんので、会社が終ったらすぐ軽食をとり、それからジムに行ってトレーニングをすることをおすすめします。
(ただし、減量を目的としている場合は違います。)
次に別表をご覧ください。これはソ連の運動生理学者であるポポワが、ネズミを使って行なった実験で、これにより次のことが考察されます。
<別表>トレーニングと高蛋白質の相乗効果

<別表>トレーニングと高蛋白質の相乗効果

①普通食でも、トレーニングを行えば筋肉はある程度発達し、パワーも強くなる。
②高たんぱく食を摂ると、より効果は大きい。トレーニングの30分くらい前に高たんぱく食をとるのが最も効果が大きく、次にトレーニングの30分後が効果が大きい。
③トレーニングの2時間後になってしまうと、せっかくの高たんぱく食も効果が小さくなってしまう。
 次に、人間の血液は全体重の約13分の1、つまり体重65kgの人は5ℓが血液ということになります。この意外に少ない血液の量が、必要なあらゆる部位に効率よく運ばれます。
 本来、食後には主として胃・腸の消化に血液が使われますが、ウェイト・トレーニングなどで筋肉を使うと、その部位に血液が行ってしまうので、トレーニングの直前・直後の食事は、消化によくありません。
少なくともトレーニングの前後30分以内の食事はよくありません。
 また、あまり空腹すぎてもよくありません。筋肉の発達の1つの目安でもあるパンプ・アップは、空腹では起こりにくくなります。
 従って、あなたのような場合には、会社が終ったらすぐ軽い(胃腸に負担をかけない、つまり、もたれない)高たんぱく食を摂り、その30~45分後位にトレーニングを行うようにするとよいでしょう。
 そして、夕食はトレーニング後、しばらくしてから摂ります。ただし、ジムと自宅が離れていて、夕食までに時間があきすぎるといった場合には、トレーニング後にもう一度、軽く高たんぱく食を摂ってもよいでしょう。
 なお、トレーニング前は、トレーニング中のエネルギー消費も考え、糖質も一緒に摂るとよいでしょう。
プロティン・ドリンクとか、サンドウィッチとか、あるいは、おにぎりなどを摂ると、たんぱく質と糖質の補給になります。
トレーニング後に摂る場合は、プロティン・ドリンクなどを摂るだけでOKです。

上腕三頭筋の下部、前鋸筋、大腿の外側広筋などを特に鍛えたいが


 トレーニングを始めて早5年になります。筋量も増え、体もだいぶまとまってきて、コンテスト出場を目標に、日夜トレーニングに励んでいます。
これからコンテストに向けて、一層充実させたい部位がいくつかありますので、それについての適切なトレーニング方法等を紹介していただきたいと思います。
①上腕三頭筋の下部、及びカットを良くするトレーニング。
②前鋸筋に有効なトレーニング、及びどんな部位、または種目と組合わせて実施したら良いか。
③長大胸筋に深い横のスジを作るのに有効なトレーニング。
④大腿四頭筋、特に外側広筋に有効なスクワット等のフォーム。

<現在の体位>
記事画像5
[註]近くのトレーニング・センターに通っているので、器具はほとんどそろっています。
(新潟県 I・K 会社員 29歳)

 コンテストを目標にすることは、毎日のトレーニングにも熱が入り、よいことですね。
では質問の①から順に説明します。

①上腕三頭筋の下部、及びカットを良くするトレーニングについて
 上腕三頭筋の下部に効かせるにはフレンチ・プレスの場合、ライイングよりもスタンディングの方が効果的です。
また、トライセップス・プッシュ・アウェイも有効です。
 カット・アップには、食事のしめる比率が大きいのですが、トレーニングでは、最大収縮時に最大負荷がかかるような種目が効果的です。
具体的には、やはりトライセップス・プッシュ・アウェイやベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズなどがあります。
その他の種目としてはトライセップス・イクステンテンション・ライイングやハーフ・ムーブメント・トライセップス・イクステンション・ライイングなどが有効と思われます。(種目については後述します)

②前鋸筋に有効なトレーニングと他の部位、種目との組み合せについて
 前鋸筋の作用は肩を前へ突き出して胸を圧することなので、僧帽筋と拮抗して働きます。
専門種目としては、スーパイン・シュラッグがありますが、組み合せる部位としては、この筋は胸の筋群なので、大胸筋と組み合わせるとよいでしょう。
インクライン・ベンチ・プレスやプル・オーバーでも十分効果があります。
また、肩のフロント・プレスでも効きます。

③大胸筋に深い横のスジを作るのに有効なトレーニングについて
 大胸筋の深い構のスジ、つまりストリエイションを作るには、①と同様、食事法が大切ですが、トレーニングにおいては、やはり、最大収縮時に最大負荷がかかり、しかも筋肉が緊張している時間の長いものが有効です。
 ですから、ケーブル・クロス・オーバーのような種目を可動範囲いっぱいに、特にフィニッシュ時で1~2秒間静止して行うのがポイントです。
フライ(ラタラル・レイズ)も可動範囲は広くてよいのですが、これは伸長時に最大負荷がかかり、最大収縮時の負荷は弱まります。
最大収縮時の負荷という点では、チェスト・マシン(ペック・デッキ)が優れていますが、可動範囲がフライよりも狭くなります(マシーンの器種にもよりますが)。
やはり両者の長所を兼ね備えた、ケーブル・クロス・オーバーが出来れば、それにこした事はありません。
 一言つけ加えておきますが、十分な筋肉の発達がなければ、ストリエイションは得られません。ストリエイションは筋繊維なのですから。
ですから、まず、本当のバルク(脂肪でなく)をつけるのが重要な課題です。(あなたの体位を拝見すれば、かなりの筋量はあるようですね)

④大腿四頭筋、特に外側広筋に有効なスクワットのフォームについて
 大腿四頭筋の外側広筋に効かせるスクワットのフォームとしては、フィート・パラレルやワイド・スタンスによるものがあります。
 フィート・パラレルは、両足を肩幅ぐらいの間隔に並行に位置し、膝を横ぶれさせずに、左右の大腿部が常に平行を保つように留意して脚を屈伸します。
かかとの下に厚さ2~3cmの木片を置くと動作がしやすくなります。
ワイド・スタンスは、両足を肩幅の倍くらいに広くして、つま先をできるだけ外側へ開き、膝を前方へ屈するというよりは、横方向へ屈するようにスクワットの動作を行う。

<種目説明>

◎トライセップス・プッシュ・アウェイ
 片手(または両手)にそれぞれダンベルを持ち、上体を床面と平行になるくらいに前倒し、肘をわき腹のあたりに位置させる。
その姿勢でぶらさげたダンベルを上腕部を動かさずに、手を後方へ押しやる感じで腕を伸ばす。

◎ベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズ(写真参照)
 上体を床面に平行になるまで前倒し、その体勢で腕を伸ばしたまま反動を使わずにダンベルを下から後方へあげる運動。
片手ずつ行う場合、ダンベルを後方へあげた時に上体を横向きに起こさないよう留意する。(上腕三頭筋とともに広背筋にも有効)
ベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズ

ベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズ

◎スーパイン・シュラッグ
 床の上、またはフラット・ベンチの上に仰臥し、両手でバーベルを持ち、胸の上にまっすぐ押し上げてかまえる。
バーベルを両腕で押し上げたままの形で両肩をもち上げ、そのまま大きく両肩をすくませたらもとの姿勢にもどる。
バーベルは胸上に押し上げたままの姿勢で動作をゆっくりと行うこと。
両手の幅は肩幅よりも狭めた方がよい。

上腕三頭筋と広背筋に重点をおき、週4日のトレーニングを5日にしたいが


 トレーニングを始めてから約2年になります。現在、大学のサークルでウェイト・トレーニングに励む毎日です。
使用重量も増えて、体位も徐々に伸びていて、トレーニングがとても楽しく感じられます。
 現在週4日のトレーニングを実施していますが、現在のスケジュールでは物足りなく感じ、スケジュールの変更を考えています。
そこで今までの週4日のトレーニング頻度を週5日に変え、上腕三頭筋と広背筋に重点をおいたトレーニングを希望していますので、よきアドバイスをお願いいたします。

<トレーニング・スケジュール>
記事画像7
<体位>
記事画像8

 普通、週5日という頻度の分割法にはせず、2分割法の場合は週4日か6日、3分割法の場合は週6日になります。
ただし、あなたの場合は、上腕三頭筋と広背筋に重点をおいたトレーニングを希望されていますので、AB2分割法で、上腕三頭筋と広背筋を週3回ずつトレーニングできるようにスケジュールを組んだ方がよいと思います。
 しかし、この方法ではあまり長期間(3カ月以上)は続けないで下さい。上腕三頭筋と広背筋が思うように発達したら、各筋群が均等にトレーニングできるような分割法に変えて下さい。
 また、思うように発達しなくても、週3回のトレーニングということで、オーバー・ワークも考えられますので、充分に注意して下さい。
 ではトレーニング・スケジュール例を記します。
記事画像9
 以上のように広背筋と上腕三頭筋のみ月・水・金曜日の週3回トレーニングできるように組みました。
 では次に新しく出てきた種目の説明をします。

◎チン・ビハインド・ネック
 体を引きあげたときに、バーが首の後ろにくるように行うチンニング(懸垂)。
手幅は肩幅の倍くらいにとり、肘を充分に張って、広背筋を意識してゆっくりと(特におろす時)動作を行う。(写真参照)
チン・ビハインド・ネック

チン・ビハインド・ネック

◎フレンチ・プレス・ライイング
 ベンチに仰臥して、バーベルをオーバー・グリップで持ち、腕を垂直(または垂直に近い状態)に挙げ、上腕三頭筋が充分に作用するように、肘を支点にして前腕を屈曲、伸展させる。
なお、その際に肘が開かないように注意する。カーリング・バーの狭い方を握って行うと動作がしやすい。

◎ラット・マシン・プレス・ダウン
 ラット・マシンに面して適当な姿勢(立った姿勢、中腰の姿勢、あるいは床に両膝をついた姿勢)をとり、狭い間隔でバーをオーバー・グリップで握り、上腕部をできるだけ動かさないようにして、肘を支点としと前腕の屈曲、伸展を行う運動。(写真参照)
 運動中は肘を胸のワキ(あるいは前)のあたりに位置させ、左右の上腕が常にほぼ垂直を保つように留意する。
ラット・マシン・プレス・ダウン

ラット・マシン・プレス・ダウン

◎レッグ・レイズ
 腰を支点にして両膝を軽くまげ、上方へあげる種類の腹筋運動をいう。つまり、シット・アップのように上体を起こすのではなく、脚の方をもちあげる形式の腹筋運動のことをいう。
 多様な運動のやり方があるが、普通、レッグ・レイズというときは、床またはベンチに仰臥して両脚を上へもちあげる運動を指す。

◎ディップス
 セットディッピング・バー、または平行棒(パラレル・バー)の間で、体重を両腕で支えながら肘を屈伸して体を上下させる運動。
大胸筋に効かせるには、胸と肘を張るようにして動作を行う。

スーパー・セットの具体的なやり方は


 私はボディビルをはじめて約1年になる会社員です。本誌などに掲載されている一流選手のトレーニング法をみると、スーパーセット法を採用しているビルダーが多いようですが、このトレーニング法の利点はどういうところにあるのでしょうか。
また、キャリア1年の私が採用してもいいでしょうか。
 スーパー・セット法の利点と、具体的な組み合せ方などについて教えてください。
(練馬区 S・T 24歳)

 スーパー・セットとは、2種類の異なる種目を続けて行なって、1スーパー・セットと数えるやり方です。
 スーパー・セットの利点としては、
①より強い刺激が与えられる。
②トレーニング時間が短縮できる。
③インターバルが短いので、カット・アップを目的としたトレーニングに向いている。
などの一般的利点の他、スーパー・セットにする種目の組合せにより、普通のトレーニングでは得られないトレーニング上の変化と、運動の質的向上可能にします。
これについては、その都度説明します。
 では先ず、スーパー・セットの組み方について説明します。

<1>拮抗筋のエクササイズをスーパー・セットに組む方法

 拮抗筋とは、互いに相反する動きをする筋肉のことで、たとえば、上腕二頭筋(屈筋)と上腕三頭筋(伸筋)をスーパー・セットに組むことがよくあります。
次にその具体例をいくつか紹介します。

①胸と上背
・ベンチ・プレス
・ベント・オーバー・ローイング

②肩と上背
・バック・プレス
・チン・ビハインド・ネック

③大腿四頭筋と大腿二頭筋
・レッグ・イクステンション
・レッグ・カール

④上腕二頭筋と上腕三頭筋
・バーベル・カール
・フレンチ・プレス

<2>同一筋肉のエクササイズをスーパー・セットに組む方法

 これは別名イクステンデッド・セット法とも呼ばれ、よく用いられる法です。
この方法は同一筋肉でスーパー・セットを組む方法ですが、厳密に言うと、これにも次の2種類があります。

a.補助筋(主として腕の)が違うものをスーパー・セットに組む。
これには次のような例があります。()内が補助筋。
①胸
・ベンチ・プレス(上腕三頭筋)
・ラタラル・レイズ(上腕二頭筋)

②三角筋
・バック・プレス(上腕三頭筋)
・アップ・ライト・ローイング(上腕二頭筋)

b.補助筋にはこだわらず、同一筋肉のエクササイズでスーパー・セットを組む。
例としては次のようなものがあります。

①三角筋
・バック・プレス
・サイド・レイズ

②広背筋
・チンニング
・ワン・ハンド・ローイング
 また、この方法では、プレ・イグゾースチョンが使える利点があります。
プレ・イグゾースチョンとは、事前疲労のことで、例えばベンチ・プレスを行う際に、先に上腕三頭筋が疲れてしまい、的確に大胸筋に刺激が加わらないような場合、ベンチ・プレスの前に、補助筋として上腕三頭筋を使わない種目をスーパー・セットで行うという方法です。
胸の場合は、ラタラル・レイズやチェスト(バタフライ)・マシン等がよいでしょう。
他の組み方の例としては次のようなものがあります。

③三角筋
・サイド・レイズ
・バック・プレス

④大腿四頭筋
・レッグ・イクステンション
・スクワット
 ただし、この方法だと、スーパー・セットの2種目めの使用重量は落ちます。

<3>別個の筋肉群のエクササイズをスーパー・セットに組む方法

 心肺機能を促進し、胸郭の拡張のために、運動量の多い種目と、それを助長する種目を組む方法で、次のような例があります。
・スワワット
・クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー

・ハイ・クリーン
・ストレート・アーム・プルオーバー


 一般的に、2種目で組むものをスーパー・セット法、3種目で組むものをトライ・セット法、4種目以上ではジャイアント・セット法などと言いますが、広く解釈すればトライ・セット法もジャイアント・セット法も、スーパー・セット法のバリエーションと考えてよいでしょう。
 あなたの場合、まだキャリアが1年ですので、スーパー・セット法ばかりでトレーニング・スケジュールを構成するのは、体力的に無理があると思われます。
(シェイプ・アップやカット・アップを目的としてトレーニングをする場合は別ですが)
 前述のスーパー・セット法のそれぞれの特徴をふまえ、必要に応じたものを適宜採用するとよいでしょう。
 例えば、胸郭が狭いのでスクワットとクロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバーで組むとか、自分に最も適した組み方を研究してみてください。

【回答はトレーニング・プラザ代々木・野沢秀雄先生、工藤悦弘先生
演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生】
月刊ボディビルディング1985年10月号

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