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ボディビルディングの理論と実際<22> 第6章 トレーニング種目

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月刊ボディビルディング1982年12月号
掲載日:2020.09.23
名城大学助教授 鈴木正之

胸の筋肉運動

 胸の筋肉の中心は大胸筋と小胸筋である[筋肉図参照]。胸の運動の特色は上腕を内側に内転することにあるので通常の立体状態の運動ではまったく使用されない。そのため、胸の筋肉を鍛えるためには、特殊なマシンを使用するか、伏臥姿勢、または仰臥姿勢で運動をしなければならない。

 最近、トレーニング・マシンの研究により伏臥や仰臥の姿勢をとらずに胸のトレーニングが出来るようになったが、基本的なトレーニング法としては仰臥姿勢によるフリー・ウェイト(バーベル、ダンベル)を使用するものが多い。

 また、運動種目についても、複雑な胸の筋肉の運動には、トレーニング方法や器具にこだわることなく、胸筋の起始点から付着点までの走行を考えてトレーニング種目を組まなければ、目的とする筋肉に的確に刺激を与えることはできない。

 そこで、まず大胸筋の特色を考えてみよう。筋肉図でわかるように、大胸筋は、鎖骨部(上部)、胸肋部(中心部)、腹部(下部)とに分れ、その起こり(起始点)は鎖骨内側1/2より胸鎖関節を通って胸骨を下り、下部は腹筋の上(腹直筋鞘前葉)に至る長い起始を持ち、上腕骨の根元(大結節稜)に付着している。ちょうど扇のような形をしており、その下には小胸筋が縦方向に走っている。小胸筋は第2~第5肋骨より起こり、肩甲骨の前(鳥口突起)に付着している。

 従って、胸のトレーニングをする場合、大胸筋の3方向と、小胸筋の縦方向について考えなければならない。

 大胸筋の走る3方向の基本的な違いは、例えば、通常のベンチ・プレスなら胸肋部に刺激を与え、インクライン・プレスなら鎖骨部に、デクライン・ベンチ・プレスなら腹部に刺激を与えるということである。プーリーを用いるものなら、ハイ・プーリーとロー・プーリーでは当然、そこに違いが出てくるし、ダンベルではプルオーバーとラテラル・レイズでは全く違った刺激を与えることになる。

 さらに、筋肉の起始側(内側)と付着部(外部)、あるいは上部と下部とでは、刺激の与え方によって、同じ運動種目でも違いが現れてくる。

 例えば、ナロウ・グリップ・ベンチ・プレスは、肘を体側につけてプレスすれば、刺激は胸の内側にいかずに、肩の方に移行するし、バー・ディップス肩(肩甲骨)の上下運動が入らず肘だけで屈伸していると、小胸筋は刺激を受けずに、上腕三頭筋の運動になってしまう。

 このように、胸筋は、三角筋や上腕三頭筋の力も借りて幅広く活動するので、各人の体質的特徴やトレーニング技術、グリップ幅、プレス方向、腕のストレッチ方向等にも充分留意して、種々の種目による刺激部位の変化を考慮してトレーニングするとよい。
 
 トレーニング種目の解説は次の8つの系統に分けてすすめていく。

1.ベンチ・プレス系
2.プルオーバー系
3.プーリー系
4.ダンベル・プレス系
5.プッシュ・アップ系
6.ディップ系
7.特殊マシン系
8.其の他
記事画像1

1.ベンチ・プレス系の胸の運動

 1940年代から50年代にかけて、上半身の鍛錬法としてベンチ・プレスが生まれた。スタンディング・プレスやスクワット、デット・リフトの歴史に比べて比較的新しいトレーニング法であるが、現在ではウェイト・トレーニングにおいては、最もポピュラーな基礎的な運動種目となった。

 現代の科学は、筋肉の合理的トレーニングのため、ユニバーサル・マシンやチェスト・プレス・マシン、インナー・ペック・マシン(バタフライ・マシン)など各種マシンを開発したが、バーベルを中心とするフリー・ウェイト・トレーニングの有効性を忘れてはならない。

 例えば、ベンチ・プレスは胸筋のトレーニングになるだけでなく、グリップ幅、肘の運動方向、ベンチの角度、シャフトを下ろす位置、プレス方向、足を置く位置等々により、三角筋、上腕三頭筋のトレーニングとしても有効なトレーニングができるからである。

aベンチ・プレスにおけるグリップ幅について(バーを握る両手の間隔の基準)

 ベンチ・プレスにけるグリップ幅についての目安は、肩幅を基準として、それより狭く握った場合をナロー・グリップ、またはクローズ・グリップ、肩幅より広く、プレス時の腕方向が35度(手幅は内幅で約80cm)方向までのものをミディアム・グリップ、それよりもさらに広いものをワイド・グリップと呼ぶように、一応の基準をおいてみた。


bベンチのラック幅について

 パワーリフティングの発展に伴って、ベンチのラック(バーベル・シャフトの受け台)が、ヨーロッパやアメリカで利用されているワイド・ラック型のものが出まわりはじめた。従来からあるナロー・ラックとワイド・ラックを比較した場合、別表のようにそれぞれ一長一短があるが、総体的に見ればワイド型ラックの方が有効度が高いといえよう。
 
 次にトレーニングの安全性とトレーニングのしやすさという面から考えると、やはりワイド・ラックの方が有利であろう。筆者らはワイド・ラックの使用にふみ切ったが、最初は少しとまどったものの、馴れてしまえば気にもならず、要は、馴れの問題であることが解った。[図参照]
記事画像2
◇ナロー・ラックとワイド・ラックの比較◇

◇ナロー・ラックとワイド・ラックの比較◇

<1>ミディアム・グリップ・ベンチ・プレス(通称:ベンチ・プレス、初級者から上級者まで)[図1]

<かまえ>ベンチに仰臥し、ミディアム・グリップでバーを握り、押し挙げてバーベルをラックからはずし、胸の真上にかまえる。

<動作>肘を外側に開くようにして、肩甲骨を背中で合わせるように胸を上方に張り出しながらバーベルを下ろし、バーが胸についたら、腕をやや外側に押し出すようにして、大胸筋をしぼるように押し挙げる。

<注意点>バーを胸の真上でかまえ、バーベルを下ろすコース、挙上するコースを真すぐにする。腕の運動にならないように充分注意して、大胸筋を使ってバーベルをゆっくり下ろして力強く押し挙げる。ベンチ・プレスのバリエーションにもいろいろあるが、プレス動作はこれが基本となるので早くこの動作を覚えること。そして、その後、腰を浮かして挙げるブリッジ・プレスや、フォースド・レプス・プレス、あるいは補助用具を使用するトレーニング法を採用するとよい

<作用筋>主働筋……大胸筋(胸助部) 補助筋……上腕三頭筋
[図1]ベンチ・プレス

[図1]ベンチ・プレス

<2>ナロー・グリップ・バーベル・ベンチ・プレス(ナロー・グリップ・ベンチ・プレス、中級者)[図2]

<かまえ>ベンチに仰臥し、ナロー・グリップでバーを握り、バーベルを胸の上に押し上げたら、やや腹よりにかまえる。

<動作>肘が体側より45度方向に開くようにして、バーが大胸筋の下にくるように下ろしたら、大胸筋の内側に力を入れ、しぼるように押し挙げる。

<注意点>肘の方向に注意してプレスすること。大胸筋内側に刺激を与えるためには、プレス最後の段階で内側へのしぼり込みを意識すること。この運動は、上腕三頭筋も刺激を受けるので、三頭筋が疲労すると、刺激が大胸筋まで伝わらないので、トレーニング・コースに注意する。

<作用筋>主働筋……大胸筋(胸肋部内側、鎖骨部) 補助筋……上腕三頭筋
[図2]ナロー・グリップ・ベンチ・プレス

[図2]ナロー・グリップ・ベンチ・プレス

<3>ワイド・グリップ・バーベル・ベンチ・プレス(ワイド・グリップ・ベンチ・プレス、中級者)[図3]

<かまえ>ベンチに仰臥し、ワイド・グリップでバーを握り、胸の上にかまえる。

<動作>息を大きく吸いながら、肘を張り、大胸筋の外側に刺激を与えるように真すぐに下ろす方法と、頸に近く下ろす方法がある。同じく挙上方向にも胸の真上に挙げるのと、頸の近くに下ろす方法がある。
<注意点>この運動の目的は、胸郭の拡大と大胸筋の付着部(外側)に対する刺激である。そのためには、頸側に近くなるほど刺激が強くなるがこの方法は一歩間違えば危険もあるので、初心者の段階では胸の真上で行い、経験をつむにつれて頸側でプレス運動をするようにする。

<作用筋>主働筋……大胸筋(外側) 補助筋……上腕三頭筋
[図3]ワイド・グリップ・ベンチ・プレス

[図3]ワイド・グリップ・ベンチ・プレス

ミディアム・グリップ・インクライン・バーベル・ベンチ・プレス(通称:インクライン・ベンチ・プレス)[図4]

<かまえ>インクライン・ベンチに腰かけて、ミディアム・グリップでバーを握り、胸元にかまえる。

<動作>肘方向を体の中心線より45度方向に開いて下ろし、大胸筋の鎖骨部から真上に押し挙げる。

<注意点>この運動の目的は大胸筋の鎖骨部の発達にあるが、人体は直立姿勢、仰臥姿勢では上腕45度方向に運動することができないため、この部分の発達が大へんむづかしい状態にある。そこでこのインクライン・ベンチ・プレスを取り入れて、大胸筋全体の発達をはかるとよい。インクラインの角度は、ミディアム・グリップの場合は45度前後とする。台座は出来るだけアップしたもので、殿部が滑りにくいものを選択する。

<作用筋>主働筋……大胸筋(鎖骨部) 補助筋……上腕三頭筋、三角筋(前部)
[図4]インクライン・ベンチ・プレス

[図4]インクライン・ベンチ・プレス

<5>ナロー・グリップインクライン・バーベル・ベンチ・プレス(通称:ナロー・グリップ・インクライン・プレス)[図5]

<かまえ>インクライン・ベンチに腰かけ、ナロー・グリップでバーを握って胸元にかまえる。

<動作>肘方向をミディアム・グリップの場合(45度方向)よりもやや体側に近づけて下ろし、大胸筋鎖骨部から真上に押し挙げる。

<注意点>グリップ幅が狭くなった場合は、インクラインの角度をやや深く倒し、グリップ幅が広くなった場合(ワイド・グリップ・インクライン・バーベル・ベンチ・プレス)は角度をやや浅くすると、大胸筋鎖骨部への刺激を逃すことなく与えることが出来る。つまり、インクライン・ベンチの角度とグリップ幅の使い方に注意する。

<作用筋>主働筋……大胸筋(鎖骨部) 補助筋……上腕三頭筋、三角筋(前部)
[図5]ナロー・グリップ・インクライン・プレス

[図5]ナロー・グリップ・インクライン・プレス

<6>ミディアム・グリップ・ディクライン・バーベル・ベンチ・プレス(通称:ディクライン・ベンチ・プレス)[図6]

<かまえ>ディクライン・ベンチに仰臥し、ミディアム・グリップでバーを握って、胸の上、やや腹部よりにかまえる。

<動作>息を大きく吸いながら、肩甲骨をくっつけるように肘を広く外側に開きつつ大胸筋の下へおろし、真上よりやや腹部よりにプレスする。

<注意点>大胸筋の腹部に刺激を与えるためには、肘を引き下げる気持ちで胸を開くように下ろす。ディクライン・ベンチがない場合は、アブドミナル・ボード(腹筋台)を利用するとよい。また体を前倒してバー・ディップスを行えば同じような刺激を与えることが出来る。

<作用筋>主働筋……大胸筋(腹部) 補助筋……上腕三頭筋
[図6]ディクライン・ベンチ・プレス (以下[図7][図8] デクライン→ディクライン)

[図6]ディクライン・ベンチ・プレス (以下[図7][図8] デクライン→ディクライン)

ナロー・グリップ・ディクライン・バーベル・ベンチ・プレス(通称:ナロー・グリップ・ディクライン・ベンチ・プレス)[図7]

<かまえ>ディクライン・ベンチに仰臥し、ナロー・グリップでバーを握り、胸の腹部にかまえる。

<動作>大きく息を吸いながら、肩甲骨をくっつけるように肘が体の真横をとおるようにして、大胸筋腹部にバーを下ろし、真すぐに押し挙げる。

<注意点>グリップ幅が狭くなるため大胸筋腹部の内側に刺激を与えることができるので、最後は胸筋をしぼり込むようにして押し挙げる。

<作用筋>主働筋……大胸筋(腹部内側) 補助筋……上腕三頭筋、小胸筋
[図7]ナロー・グリップ・ディクライン・ベンチ・プレス

[図7]ナロー・グリップ・ディクライン・ベンチ・プレス

ワイド・グリップ・ディクライン・バーベル・ベンチ・プレス(通称:ワイド・グリップ・ディクライン・ベンチ・プレス)[図8]

<かまえ>ディクライン・ベンチに仰臥し、ワイド・グリップでバーを握り、胸の鎖骨部にかまえる。


<動作>息を大きく吸いながら、肩甲骨を首の後ろに寄せるように肘を下ろして、バーを鎖骨にのせるような感じで止める。その位置から真すぐ上に押し挙げる。

<注意点>グリップが広くなると、大胸筋外側に刺激がくるので、大胸筋を充分引き伸ばすように肘を下ろすとよい。また、腕だけを伸ばすのではなく、肩甲骨の上下が入れば、小胸筋や前鋸筋まで含めたトレーニングとなる。

<作用筋>主働筋……大胸筋(胸肋部外側) 補助筋……上腕三頭筋、前鋸筋
[図8]ワイド・グリップ・デクライン・ベンチ・プレス

[図8]ワイド・グリップ・デクライン・ベンチ・プレス

2.プルオーバー系の胸の運動

 プルオーバー(pullover)のプルとは「引き寄せる」、オーバーとは、「越す、越える」という意味である。ウェイト・トレーニングの場合、仰臥した姿勢でバーベルやダンベルを頭越しに下ろし、引き戻す動作をさしてプルオーバーと呼んでいる。

 仰臥姿勢をとるには、フラット・ベンチを縦や横に利用して仰臥する方法と、床にそのまま仰臥する方法とがある。運動の可動範囲と筋肉の伸縮を考えたならば、やはりベンチを利用した方がよい。

 プルオーバーにおける筋運動の特色は、固有の主働筋がなく、複合運動によって行われるところにある。すなわち、上腕を引くためには腹部大胸筋と広背筋、肩甲骨を引き上げるためには小胸筋と前鋸筋の複合作用によって運動が成立するのである。

 従って、この運動は大胸筋と広背筋の運動としてとらえるよりも、肩甲骨を十分稼働させる数少ない運動なので、小胸筋、前鋸筋の運動として取り入れた方がよい。

 ここでフラット・ベンチのプルオーバーを中心に解説をすすめていくが、この運動は、インクラインで行ってもディクラインで行っても、フラット・ベンチと同じようにトレーニングが出来るので、傾斜角度とグリップ幅を考えて利用してみるとよい。

<9>ミディアム・グリップ・ストレート・アーム・バーベル・プルオーバー(通称:プルオーバー、初級者)[図9]

<かまえ>フラット・ベンチに仰臥し頭をベンチより外に出して、バーをミディアム・グリップで持って胸の上にかまえる。

<動作>バーを遠くに下ろす気持ちで、ゆっくりと胸を縦方向に引き伸ばすように下ろす。引きもどす時は、脇の下で引くような感じで引き戻す。

<注意点>プルオーバーの動作はとくにゆっくりと慎重に行ない、肩を痛めないように注意する。肩関節が柔らかい人や初心者じゃ。とくにベンチから頭を外に出さなくてもよい。

<作用筋>小胸筋、前鋸筋、大胸筋腹部、広背筋
[図9]プルオーバー

[図9]プルオーバー

<10>ナロー・グリップ・ストレート・アーム・バーベル・プルオーバー(通称:ナロー・グリップ・プルオーバー、中級者)[図10]

<かまえ>フラット・ベンチに仰臥し、頭をベンチより外に出し、バーをナロー・グリップで持って胸の上にかまえる。ワイドに持てばワイド・グリップ・ストレート・アーム・プルオーバーとなる。

<動作>前項と同じ

<注意点>より強い負荷を縦方向に与えるためには、グリップ幅が狭くなるにしたがって効果が大きくなる。肩の可動範囲が狭い人は無理にグリップ幅を狭くすると、肩が窮屈な感じをがして運動が小さくなるので、あまり狭くしない方がよい、また、ワイド・グリップの場合は、腕が横に広くなるにつれて、広背筋の協力がなくなり、大胸筋への刺激が強くなってくる。

<作用筋>小胸筋、前鋸筋、大胸筋腹部、広背筋。
[図10]ナロー・グリップ・プルオーバー

[図10]ナロー・グリップ・プルオーバー

<11>ミディアム・グリップ・ベント・アーム・バーベル・プルオーバー(通称:ベント・アーム・プルオーバー)[図11]

<かまえ>フラット・ベンチに仰臥し頭をベンチよりも外に出し、バーをミディアム・グリップで持って胸の上にかまえる。肘は曲げても、伸ばしてもよい。

<動作>バーを頭の下方に下ろす気持でゆっくりと弧を描くように下ろし胸を引き開いたならば、胸の上に引き戻すようにバーを引き上げる。

<注意点>ストレート・アームの時より重い負荷を用いることができ、しかも深く下ろすことができるので、この点を利用して採用するとよい。

<作用筋>小胸筋、前鋸筋、大胸筋腹部、広背筋
[図11]ベント・アーム・プルオーバー

[図11]ベント・アーム・プルオーバー

<12>ナロー・グリップ・ベント・アーム・バーベル・プルオーバー(通称:ナロー・グリップ・ベント・アーム・プルオーバー、中級者)[図12]

<かまえ>フラット・ベンチに仰臥し頭をベンチから出し、バーをナロー・グリップで持って胸の上にかまえる。ワイドにもてばワイド・グリップ・ベント・アーム・プルオーバーとなる。

<動作>バーベルの下ろし方はミディアム・グリップの時と同じであるが肘を外に開かないように注意して下ろす。ワイド・グリップの時はその反対に肘を開くようにする。

<注意点>ナロー・グリップの場合は胸の縦方向の運動として行ない、
ワイド・グリップの場合は、胸の斜め横方向の運動として行なうとよい。手幅が広くなると、広背筋の働きが少なくなり、大胸筋胸肋部に刺激な移行する。

<作用筋>小胸筋、前鋸筋、大胸筋(腹部、胸肋部)、広背筋
[図12]ナロー・グリップ・ベント・アーム・プルオーバー

[図12]ナロー・グリップ・ベント・アーム・プルオーバー

<13>ミディアム・グリップ・ストレート・アーム・バーベル・プルオーバー・クロス・ベンチ(通称:クロス・ベンチ・プルオーバー、上級者)[図13]

<かまえ>フラット・ベンチに交差するように背を当てて仰臥し、バーを胸の上にかまえる。この時、グリップ幅が狭ければナロー・グリップ・クロス・ベンチ・プルオーバーとなり、グリップ幅が広ければワイド・グリップ・クロス・ベンチ・プルオーバーとなる。

<動作>動作は通常のプルオーバーと同じように行うが、ベンチにクロスしているために胸の拡大が大きくなるので、それを意識して動作はできるだけ大きく行う。

<注意点>他の運動で胸を拡大しにくい人は、クロス・ベンチの方が運動の可動範囲が大きく、使用重量も増すので、上級者になったら大いに利用したらいい。

<作用筋>他のプルオーバーと同様
[図13]クロス・ベンチ・プルオーバー

[図13]クロス・ベンチ・プルオーバー

<14>ミディアム・グリップ・ベント・アーム・バーベル・プルオーバー・クロス・ベンチ(通称:ベント・アーム・クロス・ベンチ・プルオーバー

<かまえ>フラット・ベンチに交差するように背中を当てて仰臥し、バーベルを胸の上にかまえる。この時、肘は曲げていてもかまわない。ストレート・アームの場合と同様、グリップ幅が狭ければナロー・グリップ・ベント・アーム・クロス・ベンチ・プルオーバーとなり、広ければワイド・グリップ・ベント・アーム・クロス・ベンチ・プルオーバーとなる。

<動作>通常のベント・アーム・プルオーバーと同様、バーを弧を描くように下ろしたら、引き戻す。

<注意点>前項と同様

<作用筋>前項と同様
[図14]ベント・アーム・クロス・ベンチ・プルオーバー

[図14]ベント・アーム・クロス・ベンチ・プルオーバー

月刊ボディビルディング1982年12月号

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