なんでもQ&Aお答えします 1982年10月号
月刊ボディビルディング1982年12月号
掲載日:2020.09.28
片方7.5kg(2個で15kg)のダンベルを使ってできる有効なトレーニング法は
Q ボディビル歴は1年7ヵ月、自宅でトレーニングしています。しかし、近いうちに出向社員として遠隔地に赴任しなければならなくなりました。期間は3~4ヵ月ですが、その間、せっかく効果が見えだしたというのにトレーニングを中断するのが残念でなりません。
任地では寮で生活するようになりますので、バーベルを持ち込むのはさしさわりがあります。そのようなわけでダンベルを持って行ってトレーニングをしようと考えています。
ところで、私は軽量のプレートを僅かしか所有していないので、ダンベル運動を行うにしても、ほとんどの運動が重量不足になってしまいます。よんどころない場合には、重量の不足を反復回数を多くすることでカバーすればよいと思いますが、できることならば、鍛錬する部位に的確な負荷を与えて運動を行いたいと考えています。
所有しているプレートは、1.25kgが4枚に、2.5kgが2枚の計10kgです。シャフトの重さ2.5kgを加えても片方が7.5kgにしかなりません。なんとか手持ちの重量の範囲で上手にトレーニングする方法はないものでしょうか。よろしくご指導ください。
ちなみに私の現在の筋力は下記のとおりです。
ベンチ・プレス 50kgで8回
スクワット 60kgで10回
バック・プレス 25kgで8回
ベント オーバー・ローイング 25kgで10回
ツー・ハンズ・カール 22.5kgで10回
トライセンプス・プレス・ライイング 25kgで10回
(広島県 上村稔 社会員25歳)
任地では寮で生活するようになりますので、バーベルを持ち込むのはさしさわりがあります。そのようなわけでダンベルを持って行ってトレーニングをしようと考えています。
ところで、私は軽量のプレートを僅かしか所有していないので、ダンベル運動を行うにしても、ほとんどの運動が重量不足になってしまいます。よんどころない場合には、重量の不足を反復回数を多くすることでカバーすればよいと思いますが、できることならば、鍛錬する部位に的確な負荷を与えて運動を行いたいと考えています。
所有しているプレートは、1.25kgが4枚に、2.5kgが2枚の計10kgです。シャフトの重さ2.5kgを加えても片方が7.5kgにしかなりません。なんとか手持ちの重量の範囲で上手にトレーニングする方法はないものでしょうか。よろしくご指導ください。
ちなみに私の現在の筋力は下記のとおりです。
ベンチ・プレス 50kgで8回
スクワット 60kgで10回
バック・プレス 25kgで8回
ベント オーバー・ローイング 25kgで10回
ツー・ハンズ・カール 22.5kgで10回
トライセンプス・プレス・ライイング 25kgで10回
(広島県 上村稔 社会員25歳)
A 合計15kg(片方7.5kg)の重さのダンベルを使っての有効な運動ということですが、ワン・ハンドの運動を交えて行うようにすれば、かなり重量の不足をカバーできるかと思います。
では、胸・肩・背(広背)・腕(上腕二頭筋)・腕(上腕三頭筋)・脚など、各部位について運動種目を部位別に選択してみることにします。なお、あまりなじみのないと思われる種目に関しては、運動法を併せて記述することにします
◆胸の運動―――
◎ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング
ベンチプレスの力から判断されるあなたの筋力であれば、使用重量が片方7.5kgでもかなりの負荷が大胸筋に与えられると思います。フラット・ベンチの代用としては、2~3枚の座ぶとんを2つ折りにして重ねて使うなり、電話帳を利用するなどすればよい。
◎プッシュ・アップ・ウイズ・フィート・エレベイティッド(エレベイティッド・プッシュ・アップ)[写真参照]
両足を高い所に載せて行うプッシュ・アップ。(腕立て伏せ運動)窓のフチや椅子などの上に両足を載せておこなうとよい。
では、胸・肩・背(広背)・腕(上腕二頭筋)・腕(上腕三頭筋)・脚など、各部位について運動種目を部位別に選択してみることにします。なお、あまりなじみのないと思われる種目に関しては、運動法を併せて記述することにします
◆胸の運動―――
◎ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング
ベンチプレスの力から判断されるあなたの筋力であれば、使用重量が片方7.5kgでもかなりの負荷が大胸筋に与えられると思います。フラット・ベンチの代用としては、2~3枚の座ぶとんを2つ折りにして重ねて使うなり、電話帳を利用するなどすればよい。
◎プッシュ・アップ・ウイズ・フィート・エレベイティッド(エレベイティッド・プッシュ・アップ)[写真参照]
両足を高い所に載せて行うプッシュ・アップ。(腕立て伏せ運動)窓のフチや椅子などの上に両足を載せておこなうとよい。
プッシュ・アップ・ウイズ・フィート・エレベイティッド
◆肩の運動―――
◇フォワード/ラタラル・ダンベル・レイズ
<動作>
両手にそれぞれのダンベルを持ち、腕をいくぶんまげた状態で、まず、ダンベルを前方へ肩の高さまであげる。次いで、その高さを保ったまま両腕を拡げ、両手のダンベルをそれぞれ左右、真横へ移動させる。ダンベルを真横まで移動させたなら、大腿部の横へとおろす。なお、この運動とは逆の順序で動作を行う運動を厳密にはラタラル/フォワード・ダンベル・レイズというが、両者を1往復の運動として組合せて行うようにしてもよい。
◎ワン・ハンド・プレス
片手のみのダンベル・プレス
◆背の運動―――
◎ワン・アーム・ローイング(ワン・ハンド・ローイング)
片手のみによるベント・オーバー・ローイング。空いている方の手を椅子などの上に付き、体重を支えるようにして運動を行うと動作がやり易くなる。
◎ベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズ
<動作>両手にそれぞれダンベルを持ち、上体を床面と平行になるように前倒し、腕を垂直に伸ばした状態から、ダンベルを後方へあげる。腕をまげないように留意して運動を行うのがコツである。
この運動は本来、上腕三頭筋のための運動であるが、広背筋にもけっこうよく効く。なお、参考写真では片手の運動になっているが、広背筋の運動として行う場合には、両手にダンベルを持って行うほうがよいようである[写真参照]
◇フォワード/ラタラル・ダンベル・レイズ
<動作>
両手にそれぞれのダンベルを持ち、腕をいくぶんまげた状態で、まず、ダンベルを前方へ肩の高さまであげる。次いで、その高さを保ったまま両腕を拡げ、両手のダンベルをそれぞれ左右、真横へ移動させる。ダンベルを真横まで移動させたなら、大腿部の横へとおろす。なお、この運動とは逆の順序で動作を行う運動を厳密にはラタラル/フォワード・ダンベル・レイズというが、両者を1往復の運動として組合せて行うようにしてもよい。
◎ワン・ハンド・プレス
片手のみのダンベル・プレス
◆背の運動―――
◎ワン・アーム・ローイング(ワン・ハンド・ローイング)
片手のみによるベント・オーバー・ローイング。空いている方の手を椅子などの上に付き、体重を支えるようにして運動を行うと動作がやり易くなる。
◎ベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズ
<動作>両手にそれぞれダンベルを持ち、上体を床面と平行になるように前倒し、腕を垂直に伸ばした状態から、ダンベルを後方へあげる。腕をまげないように留意して運動を行うのがコツである。
この運動は本来、上腕三頭筋のための運動であるが、広背筋にもけっこうよく効く。なお、参考写真では片手の運動になっているが、広背筋の運動として行う場合には、両手にダンベルを持って行うほうがよいようである[写真参照]
ベント・オーバー・ダンベル・バック・レイズ
◆上腕二頭筋の運動―――
◎ゾットマン・カール[写真参照]
<動作>両手にそれぞれダンベルを持ち、参照写真のように、体の前面で円を描くようにカールを行う。1回ごとに方向を変えて行うが、運動中は上体を横へ傾けないように留意する。
◎ゾットマン・カール[写真参照]
<動作>両手にそれぞれダンベルを持ち、参照写真のように、体の前面で円を描くようにカールを行う。1回ごとに方向を変えて行うが、運動中は上体を横へ傾けないように留意する。
ゾットマン・カール
◎ワン・ハンド・カール
片手で行うダンベル・カール
◆上腕三頭筋の運動―――
◎ワン・ハンド・トライセプス・プレス
片手で行うダンベル・トライセプス・プレス。スタンディングによる方法でも、またライイングによる方法でも、好みに合った方法で行うようにすればよい。
◎ナロウ・グリップ・プッシュ・アップ
<動作>普通のプッシュ・アップ(腕立て伏せ運動)よりも両手の間隔を狭くした状態で運動を行う。傾向として、両手の間隔を狭くするほどに上腕三頭筋に負荷が強くかかるようになる。
◆脚の運動―――
◎シングル・レッグ・スクワット(ワン・レッグ・スクワット)
片脚立ちして行うスクワット。体重のみの負荷で足りない場合は、両手にダンベルを持って行うとよい。
◎ヒンズー・スクワット
ウェイトを使用せずに、空身で行うスクワット。反復回数が数十回を越えるような多回数ならば、場合によってはセット数を1セットにしてもよい。
以上、部位別に運動種目を2種目ずつ紹介してきましたが、あなたの場合は、もとよりこれらを全部行う必要はないと思います。したがって、オーバー・ワークにならないように留意して自分の好みで採用種目を選択されるとよいでしょう。
片手で行うダンベル・カール
◆上腕三頭筋の運動―――
◎ワン・ハンド・トライセプス・プレス
片手で行うダンベル・トライセプス・プレス。スタンディングによる方法でも、またライイングによる方法でも、好みに合った方法で行うようにすればよい。
◎ナロウ・グリップ・プッシュ・アップ
<動作>普通のプッシュ・アップ(腕立て伏せ運動)よりも両手の間隔を狭くした状態で運動を行う。傾向として、両手の間隔を狭くするほどに上腕三頭筋に負荷が強くかかるようになる。
◆脚の運動―――
◎シングル・レッグ・スクワット(ワン・レッグ・スクワット)
片脚立ちして行うスクワット。体重のみの負荷で足りない場合は、両手にダンベルを持って行うとよい。
◎ヒンズー・スクワット
ウェイトを使用せずに、空身で行うスクワット。反復回数が数十回を越えるような多回数ならば、場合によってはセット数を1セットにしてもよい。
以上、部位別に運動種目を2種目ずつ紹介してきましたが、あなたの場合は、もとよりこれらを全部行う必要はないと思います。したがって、オーバー・ワークにならないように留意して自分の好みで採用種目を選択されるとよいでしょう。
トレーニングを始めて1年になるが、ほとんど体位の変化がみられないが
Q ボディビルを始めて約1年が経ちましたが、仕事の関係なのか、あるいはスケジュール、または運動のやり方のせいなのか判りませんが、体位の向上がほとんど見られません。現在行なっているトレーニング内容は下記のとおりですが、どこが間違っているかアドバイスをお願いします。なお、仕事は水商売です。
A 質問にお答えする前に、あなたの手紙が、アドバイスをするための資料として大きく分けて次の3点が不十分であることを指摘させていただきます。
<1>仕事がただ水商売とあるだけで、その内容がよくわからない
体位の向上が見られないことの原因として、現在の仕事に疑いをもっている以上は、その内容に関して、就業時刻、勤務時間、終了時刻、それに、トレーニングを始めたときにすでに今の仕事についていたかどうか等、もっと具体的に書いて欲しいと思います。さもないと、仕事がトレーニングに対してどのような関わりを有しているのか、そのことを検討する手がかりがまったくつかめません。したがって、はたして仕事が体位の向上を阻害する要因になっているのかどうか、その点についても判断できません。
<2>トレーニング内容の記述が不十分
あなたの疑問を解明するには、トレーニングの量的な適、不適を検討する必要があります。ところが、あなたのスケジュール表には採用種目が羅列してあるだけで、反復回数やセット数の記述がありません。したがって、そのような不完全な資料ではトレーニング上の問題点をより的確に指摘することができません。
<3>トレーニングの日取りがわからない
トレーニングの頻度については、週に3回交互に行うとありますが、どのような日取りで行っているのか具体的な記述がありません。運動の効果をあげるためには(体位の向上を促すためには)、トレーニングの頻度のみならず、その日取りにも検討を加える必要があります。
以上に述べた3点によって、あなたの手紙の内容が、あなたの疑問にお答えするための資料としていかに不十分なものであるかということが分かっていただけると思います。
そのようなわけで、この際は、あなたの質問に直接的にお答えすることはやめ、ボディビルにおける常識的な判断にもとづいてトレーニング上のアドバイスをすることにします。
まず、現在におけるトレーニング上の問題として次の3つが考えられます。すなわち、
1.トレーニングの量が多い
2.採用種目の数が多すぎる
3.同一種目を行う頻度が少ない
では以上の3点について検討してみることにしましょう。
<1>トレーニングの量について
ここへきて体位が全般的に低下しているということは、その原因が他にあるとしても、トレーニングの量的な問題が無関係であるとはいえません。つまり、トレーニングの量的な問題が、よしんば体位低下の直接的な原因ではないとしても、現実に体位が低下している以上は、いまのトレーニング量をそのままにしてトレーニングを続けることには大いに疑問があるといえます。
トレーニングの量というものは、ただ消化できさえすればよいよいったものではありません。かりに消化できたとしても、余裕のないところには効果が得られません。どのような事情があるにしても、効果をあげるにはそれなりの余裕があるトレーニングを行うことが大切です。
あなたの場合、あるいは仕事による消耗が体位低下の直接的な原因になっているかも知れません。もしそうであるとすれば、なおさらのこと量的な面でのトレーニング内容を改める必要があると思います。
<2>採用種目の数について
ボディビルダーとしての身体的完成度が未熟な段階では、採用種目をあまり多くしないほうがよいといえます。ましてあなたのように、初心者に等しい段階ではことさらそのようなことが強くいえます。
トレーニングの効果というものは採用種目を多くしても、筋力的な向上がみられなければそう得られるものではありません。そして実際的な問題として、初心者にあって採用種目を多くするほどに、個々の種目の筋力的な向上が弱められるという傾向が多く見られます。
したがって、初心者の場合には、むしろ採用種目を少なくして、個々の種目における筋力向上に励むほうがトレーニングとしての効率がよいと考えられます。
<3>同一種目を行う頻度について
より積極的な意味でのトレーニング効果を得るためには、同一種目(あるいは同一部位の運動)を週に2回以上は行う必要があるといわれております。つまり、胸ならば、胸を鍛えるための運動を週2回以上は行う必要があるということです。
あなたの場合は、AコースとBコースの運動を週3回交互に行うということなので、当然のことながらどちらか一方の運動が週に1回になってしまいます、したがって、今後も従来どおりの分割法を採用してトレーニングを続けていくとしたら、いま述べたことがらを考慮して、各コースとも週に2回ずつトレーニング出来るように改める必要があるといえます。
以上、トレーニングの問題点として今後改める必要があると思われる問題点について述べてきましたが、最後にそれらのことがらを要約する意味で、参考までにトレーニング・スケジュール例を書き添えておくことにします
<1>仕事がただ水商売とあるだけで、その内容がよくわからない
体位の向上が見られないことの原因として、現在の仕事に疑いをもっている以上は、その内容に関して、就業時刻、勤務時間、終了時刻、それに、トレーニングを始めたときにすでに今の仕事についていたかどうか等、もっと具体的に書いて欲しいと思います。さもないと、仕事がトレーニングに対してどのような関わりを有しているのか、そのことを検討する手がかりがまったくつかめません。したがって、はたして仕事が体位の向上を阻害する要因になっているのかどうか、その点についても判断できません。
<2>トレーニング内容の記述が不十分
あなたの疑問を解明するには、トレーニングの量的な適、不適を検討する必要があります。ところが、あなたのスケジュール表には採用種目が羅列してあるだけで、反復回数やセット数の記述がありません。したがって、そのような不完全な資料ではトレーニング上の問題点をより的確に指摘することができません。
<3>トレーニングの日取りがわからない
トレーニングの頻度については、週に3回交互に行うとありますが、どのような日取りで行っているのか具体的な記述がありません。運動の効果をあげるためには(体位の向上を促すためには)、トレーニングの頻度のみならず、その日取りにも検討を加える必要があります。
以上に述べた3点によって、あなたの手紙の内容が、あなたの疑問にお答えするための資料としていかに不十分なものであるかということが分かっていただけると思います。
そのようなわけで、この際は、あなたの質問に直接的にお答えすることはやめ、ボディビルにおける常識的な判断にもとづいてトレーニング上のアドバイスをすることにします。
まず、現在におけるトレーニング上の問題として次の3つが考えられます。すなわち、
1.トレーニングの量が多い
2.採用種目の数が多すぎる
3.同一種目を行う頻度が少ない
では以上の3点について検討してみることにしましょう。
<1>トレーニングの量について
ここへきて体位が全般的に低下しているということは、その原因が他にあるとしても、トレーニングの量的な問題が無関係であるとはいえません。つまり、トレーニングの量的な問題が、よしんば体位低下の直接的な原因ではないとしても、現実に体位が低下している以上は、いまのトレーニング量をそのままにしてトレーニングを続けることには大いに疑問があるといえます。
トレーニングの量というものは、ただ消化できさえすればよいよいったものではありません。かりに消化できたとしても、余裕のないところには効果が得られません。どのような事情があるにしても、効果をあげるにはそれなりの余裕があるトレーニングを行うことが大切です。
あなたの場合、あるいは仕事による消耗が体位低下の直接的な原因になっているかも知れません。もしそうであるとすれば、なおさらのこと量的な面でのトレーニング内容を改める必要があると思います。
<2>採用種目の数について
ボディビルダーとしての身体的完成度が未熟な段階では、採用種目をあまり多くしないほうがよいといえます。ましてあなたのように、初心者に等しい段階ではことさらそのようなことが強くいえます。
トレーニングの効果というものは採用種目を多くしても、筋力的な向上がみられなければそう得られるものではありません。そして実際的な問題として、初心者にあって採用種目を多くするほどに、個々の種目の筋力的な向上が弱められるという傾向が多く見られます。
したがって、初心者の場合には、むしろ採用種目を少なくして、個々の種目における筋力向上に励むほうがトレーニングとしての効率がよいと考えられます。
<3>同一種目を行う頻度について
より積極的な意味でのトレーニング効果を得るためには、同一種目(あるいは同一部位の運動)を週に2回以上は行う必要があるといわれております。つまり、胸ならば、胸を鍛えるための運動を週2回以上は行う必要があるということです。
あなたの場合は、AコースとBコースの運動を週3回交互に行うということなので、当然のことながらどちらか一方の運動が週に1回になってしまいます、したがって、今後も従来どおりの分割法を採用してトレーニングを続けていくとしたら、いま述べたことがらを考慮して、各コースとも週に2回ずつトレーニング出来るように改める必要があるといえます。
以上、トレーニングの問題点として今後改める必要があると思われる問題点について述べてきましたが、最後にそれらのことがらを要約する意味で、参考までにトレーニング・スケジュール例を書き添えておくことにします
肩と上腕三頭筋の発達を重点をおいたトレーニングをしたいが
Q ボディビルを始めてから8ヵ月になります。下記のトレーニング・スケジュールでトレーニングしていますが、肩と腕(上腕三頭筋)があまり発達していません。それで、これからは当分の間この2つの部分をとくに大きくするためのトレーニングをしたいと思っています。それにはどのようなスケジュールで行えばよいかアドバイスをお願いします。
A 肩と上腕三頭筋をとくに発達させたいとのことですが、まず上腕三頭筋について考えてみたいと思います。ところで、あなたは現在、上腕三頭筋の運動種目を1つも採用しておられません。上腕三頭筋の運動を採用しなくても、ベンチ・プレスやスタンディング・プレス等によってもある程度は上腕三頭筋の発達を促すことは可能です。しかし、初心者の段階を過ぎたならば、やはり直接的な方法で鍛えるようにする必要があると思います。
つまりベンチ・プレスやスタンディング・プレス等の上腕三頭筋を使用する運動によって、間接的に上腕三頭筋の発達を促していくというのではなく、上腕三頭筋そのもののための運動を採用して直接的にこの部分を鍛えていくということが必要になってくるということです。
では、その方法について述べることにしましょう。
上腕三頭筋は、その名称の示すとおり3つの頭を有し、その発達を促す場合には、三頭の中でも長頭と外側頭の鍛錬に重点をおいてトレーニングを行うのがより効率的であると考えられています。したがって、あなたもさし当たって、上記の外側頭と長頭のための運動を各1種目ずつ、それも基礎的な運動を選んで行うようにするのが良いと思います。
◆長頭のための基礎的な運動種目
長頭のための基礎運動としては、バーベルによるトライセプス・プレスを行うのがよいと思います。
バーベルを用いて行うトライセプス・プレスにもスタンディング(立った姿勢で行うもの)、シーテッド(ベンチ等に腰をかけた状態で行うもの)、ライイング(ベンチ等に仰臥した状態で行うもの)など、いろいろな運動法があります。しかし、当初においては、運動としての難度が比較的に低いと考えられるライイングによる方法で運動を行うのがよいと思われます。
◎トライセプス・プレス・ライイング(フレンチ・プレス・ライイング)
<かまえ>オーバー・グリップでバーベルを持ち、ベンチに仰臥してバーベルを垂直に挙上する。この場合の左右のグリップ幅は、肩幅くらいかあるいはそれよりも狭くする。
<動作>両肘を左右へできるだけ開かないように留意し、腕を屈してバーベルを額、または頭頂部のあたりへおろす。おろしたならやはり両肘を開かないように留意して、腕を伸ばしてバーベルを元の位置へあげ戻す「写真参照」
つまりベンチ・プレスやスタンディング・プレス等の上腕三頭筋を使用する運動によって、間接的に上腕三頭筋の発達を促していくというのではなく、上腕三頭筋そのもののための運動を採用して直接的にこの部分を鍛えていくということが必要になってくるということです。
では、その方法について述べることにしましょう。
上腕三頭筋は、その名称の示すとおり3つの頭を有し、その発達を促す場合には、三頭の中でも長頭と外側頭の鍛錬に重点をおいてトレーニングを行うのがより効率的であると考えられています。したがって、あなたもさし当たって、上記の外側頭と長頭のための運動を各1種目ずつ、それも基礎的な運動を選んで行うようにするのが良いと思います。
◆長頭のための基礎的な運動種目
長頭のための基礎運動としては、バーベルによるトライセプス・プレスを行うのがよいと思います。
バーベルを用いて行うトライセプス・プレスにもスタンディング(立った姿勢で行うもの)、シーテッド(ベンチ等に腰をかけた状態で行うもの)、ライイング(ベンチ等に仰臥した状態で行うもの)など、いろいろな運動法があります。しかし、当初においては、運動としての難度が比較的に低いと考えられるライイングによる方法で運動を行うのがよいと思われます。
◎トライセプス・プレス・ライイング(フレンチ・プレス・ライイング)
<かまえ>オーバー・グリップでバーベルを持ち、ベンチに仰臥してバーベルを垂直に挙上する。この場合の左右のグリップ幅は、肩幅くらいかあるいはそれよりも狭くする。
<動作>両肘を左右へできるだけ開かないように留意し、腕を屈してバーベルを額、または頭頂部のあたりへおろす。おろしたならやはり両肘を開かないように留意して、腕を伸ばしてバーベルを元の位置へあげ戻す「写真参照」
トライセプス・プレス・ライイング
運動の要領としては肢を支点にして前腕を屈曲、伸展させるように行うのがよい。なお、バーベルをあげるときに、両肘を左右へ動かすようにすると、あげるときの運動が差しあげる感じになり、長頭にあまり効かなくなるので注意。長頭に効かすためには、できるだけ両肘を開かないようにして運動するのが良い。
◆外側頭のための基礎的な運動種目
上腕三頭筋の外側頭を鍛錬するにはナロウ・グリップによるベンチ・プレスを行うのがよい。
◎ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス
<かまえ>左右のグリップの間隔を肩幅くらいか、あるいは、それよりも狭くしてバーベルを持ち、ベンチに仰臥してバーベルをみぞおちあたりにかまえる。
<動作>バーベルを上方へ差しあげ、差しあげたなら元の位置へおろし戻す。運動としての要点はバーベルをおろしたときに両肘を[図1]のようにあまり下へさげないように留意し、[図2]のように肘をあまり下げないで腕を十分に曲げるようにする。両肘がさがりすぎると、上腕三頭筋よりも運動としての重点が大胸筋に移ってしまうおそれがあるので注意する。
◆外側頭のための基礎的な運動種目
上腕三頭筋の外側頭を鍛錬するにはナロウ・グリップによるベンチ・プレスを行うのがよい。
◎ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス
<かまえ>左右のグリップの間隔を肩幅くらいか、あるいは、それよりも狭くしてバーベルを持ち、ベンチに仰臥してバーベルをみぞおちあたりにかまえる。
<動作>バーベルを上方へ差しあげ、差しあげたなら元の位置へおろし戻す。運動としての要点はバーベルをおろしたときに両肘を[図1]のようにあまり下へさげないように留意し、[図2]のように肘をあまり下げないで腕を十分に曲げるようにする。両肘がさがりすぎると、上腕三頭筋よりも運動としての重点が大胸筋に移ってしまうおそれがあるので注意する。
[図1]肘がさがっている
[図2]肘があまりさがっていない
では次に、肩の運動について考えてみることにしましょう。
肩を鍛錬する方法にもいろいろな方法がありますが、今後、当分の間は次の2つの方法の中からどちらか1つの方法を選んで行うようにするのが良いと思います。
◆Aの方法
①スタンディング・プレス
②バック・プレス
上記2種目を対にして採用する。
◆Bの方法
①バック・プレス
②スタンディング・ロー
上記2種目を対にして採用する。
◎バック・プレス(プレス・ビハインド・ネック)
<かまえ>左右のグリップの間隔を肩幅の倍くらいか、または、それよりも少し広くしてバーベルのシャフトを握り、次いで、バーベルの持ちあげて頭の後ろ側へおろし、首の後ろにかまえる。
<動作>バーベルを首の後ろから、上方へ差しあげる。ただしこの場合、バーベルの挙上動作はできるだけ頭の後ろ側で行うようにする。差しあげる動作の中間あたりから、バーベルが前方へ移動してこないように注意する。運動の要点としては、両肘が両肩を結んだ線よりも前へこないように留意して動作を行うようにするのがよい。
◎スタンディング・ロー(アップ・ライト・ロー)[写真参照]
<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、立った姿勢で、大腿部の前にぶらさげる。左右のグリップ間隔は1~2こぶしくらいがよい。
<動作>腕をまげながら、両肘を上方へ持ちあげるような感じで、バーベルをアゴの下まで引きあげる。なおこの運動は、胸を張り、両肘を後方へ引き寄せた感じで動作を行うのがよい。
運動中に、背がまるまって両肩が前方へ寄ると、三角筋よりも僧帽筋に運動の重点が移ってしまうおそれがあるのでくれぐれも留意する。
<呼吸>この運動は、誤った方法で呼吸すると頸のつけねのすじを痛める場合があるので注意する。バーベルを引きあげながら息を吸い、おろしながら吐くようにする。
<トレーニング・スケジュール例>
隔日的、週3日
①シット・アップ
②スクワット
③ベンチ・プレス
④腕立て伏せ(プッシュ・アップ)
⑤バック・プレス
⑥スタンディング・ロー
⑦ベント・オーバー・ローイング
⑧トライセプス・プレス・ライイング
⑨ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス
⑩ダンベル・カール
肩を鍛錬する方法にもいろいろな方法がありますが、今後、当分の間は次の2つの方法の中からどちらか1つの方法を選んで行うようにするのが良いと思います。
◆Aの方法
①スタンディング・プレス
②バック・プレス
上記2種目を対にして採用する。
◆Bの方法
①バック・プレス
②スタンディング・ロー
上記2種目を対にして採用する。
◎バック・プレス(プレス・ビハインド・ネック)
<かまえ>左右のグリップの間隔を肩幅の倍くらいか、または、それよりも少し広くしてバーベルのシャフトを握り、次いで、バーベルの持ちあげて頭の後ろ側へおろし、首の後ろにかまえる。
<動作>バーベルを首の後ろから、上方へ差しあげる。ただしこの場合、バーベルの挙上動作はできるだけ頭の後ろ側で行うようにする。差しあげる動作の中間あたりから、バーベルが前方へ移動してこないように注意する。運動の要点としては、両肘が両肩を結んだ線よりも前へこないように留意して動作を行うようにするのがよい。
◎スタンディング・ロー(アップ・ライト・ロー)[写真参照]
<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、立った姿勢で、大腿部の前にぶらさげる。左右のグリップ間隔は1~2こぶしくらいがよい。
<動作>腕をまげながら、両肘を上方へ持ちあげるような感じで、バーベルをアゴの下まで引きあげる。なおこの運動は、胸を張り、両肘を後方へ引き寄せた感じで動作を行うのがよい。
運動中に、背がまるまって両肩が前方へ寄ると、三角筋よりも僧帽筋に運動の重点が移ってしまうおそれがあるのでくれぐれも留意する。
<呼吸>この運動は、誤った方法で呼吸すると頸のつけねのすじを痛める場合があるので注意する。バーベルを引きあげながら息を吸い、おろしながら吐くようにする。
<トレーニング・スケジュール例>
隔日的、週3日
①シット・アップ
②スクワット
③ベンチ・プレス
④腕立て伏せ(プッシュ・アップ)
⑤バック・プレス
⑥スタンディング・ロー
⑦ベント・オーバー・ローイング
⑧トライセプス・プレス・ライイング
⑨ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス
⑩ダンベル・カール
回答は1659年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内威先生 演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生
月刊ボディビルディング1982年12月号
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