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なんでもQ&Aお答えします 1985年11月号

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月刊ボディビルディング1985年11月号
掲載日:2021.08.25

高年令でトレーニングを始めるにあたっての食事法とトレーニング法

Q 前略、私はボディビルディグという貴社の出版されている雑誌を読み、感じる所が多くありました。

 そこで、今年で42歳になりますが、運動不足がちなので、私もトレーニングを始めようと思っています。ですが始めてですのでどのようにやったら良いかわかりません。また、どのような器具を揃えていいかわかりません。

 そこで、私のような高年齢からでも始められるトレーニング・スケジュールと食事法をご指導ください。私の場合、朝30分、夜30分の1日2回のトレーニングができます。

 なお、体位は、身長165cm、胸囲86cm、腹囲80cm、体重60kgです。

(新潟県 N.S.42歳 会社員)
A ボディビルは各人の年齢や体力などに合わせて、無理なくできるという所に長所があります。あなたのように42歳からでも、始めてみようという気持が大切です。頑張って下さい。

 器具を揃える場合は、バーベル、ダンベル、そしてフラット・ベンチの3つは必要です。欲をいえばもっとあった方が便利ですが、とりあえずはこれでOKです。

 まず、トレーニングを始めるにあたっては、医師による健康診断を受けることをおすすめします。健康診断の結果がOKであれば、いよいよトレーニングに入ります。種目は下記の通りです。

①ウォーム・アップ

②ベンチ・プレス

③ベント・オーバー・ローイング

④バック・プレス

⑤バーベル・カール

⑥スクワット

⑦シット・アップ

⑧クール・ダウン

 以上を週3回、隔日的に実施してください。では、個々の種目の説明をします。

①ウォーム・アップ

 ウェイト・トレーニングを行う前に実施する準備運動。そのあたりを歩きまわったり、軽く走ったりした後で、簡単な体操を活発に行う。特に上体の前後屈や側屈、腰の回転、肩や手くび、足くびなどの各関節をよく動かして柔軟にし、体を充分に温める。(ストレッチングも非常に有効)

②ベンチ・プレス

 フラット・ベンチに仰臥し、肩幅よりいくぶん広く開いた両手でバーベルを握り、肘を深くまげ、胸の上にバーベルの中央部を触れさせ、ゆっくりとまっすぐに胸上に押し上げて、肘を伸ばす運動。主として大胸筋に有効。

③ベント・オーバー・ローイング

 上体を床面と平行になるくらいに前倒し、その体勢で下にぶらさげたバーベルを、オーバー・グリップで握り、腹部のあたりへ引き上げる運動。左右のグリップの間隔は、肩幅よりも少し広くするとよい。主として広背筋に有効。

④バック・プレス

 首の後ろ側からバーベルを挙上するプレス運動。左右のグリップの間隔は、肩幅の倍くらいが適当。主として三角筋に有効。

⑤バーベル・カール

 バーベルを肩幅ぐらいの間隔で、アンダー・グリップで握り、腰の前にぶらさげたまま立つ。反動をつけないでゆっくりと肘を曲げ、バーベルを肩まで巻き上げたら、ゆっくりと元に戻す。主として上腕二頭筋に有効。

⑥スクワット

 バーベルを肩にかつぎ、両足を肩幅ぐらいに開いて立ち、バランスを保ちながら、ゆっくりとしゃがむ。しゃがんだ時に背と腰を彎曲させないことと、踵を浮かさないことに注意する。また、立ち上がる時に、上体をしゃがんだ時の傾き以上に前傾させないようにする。下半身、特に大腿四頭筋に有効。

⑦シット・アップ

 床または、腹筋台に仰臥し、上体を起こす腹筋運動。ひざを軽く曲げて行なうようにする。

⑧クール・ダウン

 ウォーム・アップで行なった運動をゆっくりと行ない、最後に深呼吸をする。


 使用重量に関しては、最初は15回ぐらい繰り返せる重量を用いて、10回反復してください。セット数は、最初の1週間は1セット、2週間目から2セットずつ行ない、体力的に余裕が出てきたら3セット行なうようにしてください。

 食事に関しては、1日3回の食事をバランスよく摂ることが大切です。できるだけ数多くの食品を食べるようにしましょう。また後述しますが、腹囲を減らすためには、カロリーを摂りすぎてはいけません。脂肪の多いもの、油を使った料理、甘いものなどには充分注意してください。

 たんぱく質は、減量・増量にかかわらず大切なものですから、脂肪分の少ない良質のたんぱく質を採るようにしてください。あなたの場合、年齢も考えて、コレステロールなどの心配のない植物性のたんぱく質がよいと思われます。大豆製品(納豆、豆腐、プロティン・パウダーetc)は特にすぐれています。

 1つのモデル・メニューの例を記します。

<朝食>白米茶わん1杯、みそ汁、ゆで玉子、のり、生野菜、納豆

<昼食>白米茶わん1杯、みそ汁、焼魚、ほうれん草のおひたし、野菜の煮物

<夕食>白米茶わん1杯、みそ汁、豆腐、焼肉少々、生野菜、果物

<間食>プロティン・ミルク、季節の果物

 トレーニングによるカロリーの消費と、正しいダイエットによる摂取カロリーの制限でウエストを引き締めることができます。トレーニングとしては前述のシット・アップの他にレッグ・レイズ(仰臥し、脚を上下させる)を加えるとさらに効果的です。

 最後になりましたが、あなたの場合は、朝・夕30分ずつのトレーニングですので、前述の種目を次のように分割するとよいでしょう。

<朝>1、2、4、7、8

<タ>1、3、5、6、8

 ただし、これを毎日は行なわず、必ず、月、水、金とか火、木、土の1日おきに行なうようにしてください。

(数字は前述の運動種目の番号)

筋肉の発達過程におけるビタミンB6の重要性とは?

Q 私はプロティンを購入するにあたって疑問に思っていることがあります。まず、“プロテインスコア90”とか“メチオニンを添加し、プロティンスコアを高め・・・”などと書かれていますが、プロティンスコアとはいったいなんですか。またプロティンの中にはビタミンB6というのが含まれていて、友人の話によると「筋肉を作るにはビタミンB6が必要」ということを聞いたことがありますが、B6にはどういう働きがあるのか教えて下さい。

 もう1つ、ミキサーの使用についてですが、ミキサーはビタミンCを破壊する恐れがあると聞きましたが本当ですか。

(東京都 M・T 21歳 会社員)
A プロティン・スコアは、別名たんぱく価ともいいます。たんぱく質の栄養価は、それを構成するアミノ酸のバランスによって優劣が決まります。

 人体のたんぱく質を構成するアミノ酸のうち、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、バリンの8種類の必須アミノ酸は、人体内で作ることができないので、必ず食物から摂るようにしなければなりません。

 この8種類のアミノ酸バランスを数字で表わしたのがプロティン・スコアで、バランスが良いほど100に近い数値になります。

 たんぱく質の特徴として、8種類のアミノ酸のうち、1つでも必要量に満たないものがあると、他のアミノ酸がどんなに多くてもその食品は、全体としては少ないアミノ酸の割合になってしまいます。

 たとえば、1つのアミノ酸が50%だとすると、他のアミノ酸がそれ以上あっても、50%しか利用されなくなってしまうのです。

 プロティンは普通、大豆たんぱくから作られていますが、大豆のアミノ酸バランスはメチオニンだけが少なく、したがってプロティン・スコアも55と低い値となっています。そこでメチオニンを添加することにより、アミノ酸バランスを良くして、プロティン・スコアを高めてあるわけです。

 ちなみに各食品のプロティン・スコアは、鶏卵100、牛肉79、あじ88、牛乳74、大豆55、じゃがいも47、トマト14、などです。

 次にビタミンB6について。食物として摂取したたんぱく質は、アミノ酸となって吸収されますが、そのアミノ酸が、われわれにとって必ずしも都合の良いアミノ酸組成とはいえません。そこで、それらのアミノ酸を、われわれの必要とするアミノ酸組成に組みかえる必要があります。ビタミンB6は、このアミノ酸の変換に重要な役割をはたします。

 筋肉の発達を目的として、多くのたんぱく質をとるボディビルダーの場合、せっかく摂取したたんぱく質を有効に利用するためにもB6は欠くことのできないビタミンと言えます。ビタミンB6を多く含む食品としては、酵母、レバー、魚、豆腐、卵、糖みつ、とうもろこし、などがあります。

 最後に、ミキサーがビタミンCを破壊するかという質問ですが、これはある程度事実です。ミカンなどの柑橘類は、ミキサーにかけてもビタミンCはこわれにくいのですが、リンゴ、バナナなどのビタミンCは早くこわれてしまいます。

 こわれにくいミカンのビタミンCもバナナやリンゴと一緒にミキサーにかけるとこわれやすくなります。これはアスコルビナーゼというビタミンC酸化酵素がバナナやリンゴに存在するためです。ミカンの中には、ビタミンCの破壊を防止する物質があるのだろうとされています。

 なお、ミキサーにかけたときのビタミンCの破壊される率は、おおむね次のとおりです。

 夏ミカン6.4% トマト15% ミカン4.2% バナナ90.5% いちご7.4% リンゴ93.4%

 ビタミンCの破壊について、一般的に次のようなことが言えます。

①褐色(酸化)しやすい果実類は、ビタミンCの破壊が多い。

②酸性の強いミカン類、トマト、ほうれん草、大根などは、ビタミンCの破壊が少ない。

③ミカン類をまぜてミキサーにかけると破壊が少ない。

無理しないのに背中の肉ばなれを二度起こしたがどうしたらいいか

Q 自宅でボディビルを始めて4ヵ月くらいたった時、背中が痛むようになりました。ふだんはあまり気にならないのですが、体をねじったりすると非常に痛みます。トレーニングを2~3週間休んでみましたが治りませんので、接骨院に行ってみてもらったところ、肉ばなれだと言われました。

 自分ではあまり無理なトレーニングをした覚えはないのですが、運動のやり方に悪いところでもあったのでしょうか。治るのに2ヵ月かかりました。

 そしてまたトレーニングを再開したところ、再び肉ばなれをおこしてしまいました。以前は左側でしたが、今度は背中の右側です。

 自分としてはかなり注意してトレーニングしていたつもりですが、どうして肉ばなれをおこすのか、原因がまったくわかりません。

 なお、背中の肉ばなれの期間中もずっと背中に負担のかからないヒンズー・スクワットは行なっていました。ほかにも無理しないで出来る種目があったら教えてください。現在のトレーニング・スケジュールと体位は次のとおりです。

≪トレーニング・スケジュール≫
①ベンチ・プレス30㎏10回×5セット
②プッシュ・アップ 30回
③シット・アップ 30回
④ヒンズー・スクワット 50回

≪体 位≫
身長163㎝ 胸囲80㎝ 体重46㎏ 腹囲65㎝

(静岡県沼津市 飯田和博 32歳)
A 肉ばなれとは、筋肉線維の一部が断裂をおこした状態のことです。肉ばなれをおこした場合は、先ず、その筋肉を使わないようにしなければなりません。そして、整形外科で詳しく診断してもらうことをおすすめします。

 さて「無理しないでできる種目」とのご質問ですが、どの程度のトレーニングが出来るのか具体的にわかりませんので、比較的、腰背部に負担のかからない種目をいくつか紹介します。背中の種目としてチンニングを紹介しますが、痛むようでしたら行わないでください。

◎チンニング

 いわゆる懸垂運動のこと。広背筋に効かせるには、手幅を広めにとり肘を張るようにして動作を行なうとよい。広背筋上腕二頭筋に有効。

◎サイド・レイズ

 直立した姿勢で、左右それぞれの手に持ったダンベルを、手の甲を外側に向けて、大腿部の横にぶら下げる。その位置から、できるだけ腕を曲げないようにしてダンベルを真横にあげる。三角筋、僧帽筋に有効。

◎ライイング・カール

 フラット・ベンチに仰臥した姿勢で行うダンベル・カール。上腕をべンチの両側に出し、できるだけ垂直に近い状態に保って、反動を利用せずに行うのが効果的。上腕二頭筋、前腕の屈筋に有効。

◎フレンチ・プレス・ライイング

 フラット・ベンチ、または床の上に仰臥し、腕を垂直にあげ、上腕三頭筋が十分に作用するように、肘を支点にして前腕を屈曲、伸展する。上腕三頭筋に有効。[写真参照]
[フレンチ・プレス・ライイング]

[フレンチ・プレス・ライイング]

 では、上記の種目と、現在あなたが行なっている種目とを合わせて、トレーニング・スケジュール例を作成してみます。

≪トレーニング・スケジュール例≫
記事画像2
 トレーニングの前後にはウォーム・アップとクール・ダウンを充分に行なってください。ストレッチングは非常に有効です。必ず行うようにしてください。

ボディビルと少林寺拳法を併行実施しているが、骨も筋肉も太くならない

Q 私はボディビルをやりながら少林寺拳法を練習している社会人です。両方とも2年ぐらいのキャリアです。それに現在、週5日ほど、夜1時間くらい走ったり、スクワットしたり、けったり、突いたりしています。

 バーベルを使うのは週3回ぐらいでデッドリフト、ベントオーバーローイング、スタンディング・プレス、カール、バック・ハンド・カールをやっています。その他、腕立て伏せ、チンニング、腹筋運動、ブリッジ、ブリッジの姿勢での逆腕立て伏せ、などを毎日実施しています。

 バーベルの重量は全部で40kgしかありませんが、腰が悪いのでこの程度で十分です。

 体位は身長169cm、体重57kg、胸囲86cm、上腕囲28cm(パンプアップして31cm)、ウエスト70cm、大腿囲52cm、カーフ36cm、手首囲15cm、足首囲19cmです。

 友人と比べて手首と足首が細いと思います。それに胃が悪いせいか、良く食べているんですが太れません。骨格細く、そのために全身的に線が細く見えます。

 以前はプロティンを使っていましたが、効果がないので、現在はレバー・タブとカルシウムをとっています。現在の食事法は下記のとおりです。年齢は20歳です。もうこれ以上、骨も筋肉も太くすることは不可能でしょうか。もしあったらその方法をお教え下さい。

<朝食>食前に養命酒、ごはん、生ハム、野菜、牛乳、レバータブ、食後に胃薬。(またはパンだけのときもあります)

<昼食>ごはん、天ぷら(野菜・魚)、みそ汁、とうふ1/4、大根おろし(または中華定食とぎょうざ2人前)

<夕食>ごはん、肉類(多め)、かずのこ、生野菜、フルーツサラダ(ヨーグルトをかけて)牛乳、肝油、ビタミンC、レバータブ、カルシウム
(下関市 谷口直宏 20歳)
A お手紙によると、現在あなたは週3回のウェイト・トレーニングと、週5回の拳法の練習をしているとのことですが、このような場合に、特に注意しなければならないのはオーバー・ワークです。

 例えば、週3回ウェイト・トレーニングを行い、そのうち、胸の種目としてベンチ・プレスを実施し、それ以外の日にも腕立て伏せなどを行う、などという例がよくあります。つまり、ベンチ・プレスも腕立て伏せも、どちらも大胸筋を使う種目なので、これでは大胸筋が休む日がありません。腹筋、前腕、下腿以外の筋肉は少なくとも中1日はあけてトレーニングしてください。

 また、腰が悪いようですが「腰が悪いのでこの程度で十分です」と言わずに、先ず整形外科等で腰を診察をしてもらい、本当に悪いようなら完治させてから本格的にトレーニングを行なってください。現在、デッド・リフトを行なっていますが、これは腰背部に大きな負担がかかるので、くれぐれも注意してください。

 ではトレーニング・スケジュール例を記しますので参考にしてください。

≪トレーニング・スケジュール例≫
(隔目的、週3回実施)
記事画像3
 次に胃腸を強くするポイントをいくつか述べます。

①トレーニングを規則正しく行う

 トレーニングによりエネルギーを消耗すると、新陳代謝が活発になり空腹状態になります。空腹の時は消化酵素や胃酸の分泌が高まり、栄養素がよく吸収されます。

②満腹のときは無理に食べない

 普通、食事と食事の間隔は6時間おくのがよいといわれています。運動をする人はこの限りではありませんが、食べたくないときに無理に食べることは、消化吸収されないばかりか、内臓に負担をかけることになります。

③よくかんで、ゆっくり食べる

 よくかむことによって、機械的な消化と同時に、唾液酵素が作用して化学的消化を助け、胃腸機能をカバーしてくれます。

④良質のたんぱく質を摂る

 胃自体もたんぱく質でできています。だから、胃を丈夫にするには良質のたんぱく質の補給が大切です。食事として胃に入ってきたたんぱく質は、ガストリンの分泌をうながし胃の細胞を丈夫にします。

⑤精神的な余裕をもつ

 胃腸にとって、ストレスは大敵です。胃腸を支配する神経は極めてデリケートです。悩みごとや苦しいことがあると、まっ先に胃が重くなり、ついには胃かいようや十二指腸かいようになります。

⑥日光浴・空気浴をしよう

 肌を太陽で焼いたり、外気にさらすことは新陳代謝を促進し、栄養の吸収をよくします。

⑦プロティンの使い方

 体重増加のためにプロティンを使うのなら、トレーニングの前後と就寝前の1日3回飲むのが最も効果的です(食事と一緒に摂るのではなく間食として使う)。1回分の量としては、牛乳1本にプロティン大さじ1~2杯をとかして、よくかむような気持で飲んでください。

 お手紙に「朝食がたまにパンだけのときもあります」と書いてありましたが、これはよくありません。必ず1日3食を充実させ、その上、間食も前述のようなプロティンなどで2~3回摂るようにしてしださい。

マルティ・パウンデッジ・システムの利点

Q トレーニングを開始して8ヵ月が過ぎ、今では自宅に器具を購入してコツコツと練習に励んでいます。しかし私にとって、ボディビルの運動種目はむづかしいものが多く、そのためか、体位も伸びません。そこで私が、これから先、充実したトレーニングを行なえるように下記の質問にお答え下さい。

①クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバーは、どこまで下げたらよいのか、その時の下半身の動き。

②マルティ・パウンデッジ・システムとは?

③チンニングの手幅は広ければ広いほど効果があるのですか。

④アップ・ライト・ローイングの、手幅の違いによる効果について

⑤上腕三頭筋の運動としてクローズ・グリップ・ベンチ・プレスを行なう場合、手首が痛くてバーが胸までおりない。

≪スケジュール(週3日)≫

記事画像4
≪現在の体位≫
記事画像5
(東京都 N・M 27歳 会社員)
A 自宅でのトレーニングには、器具や設備などの問題以外にコーチや上級者がいないために、トレーニングの正しい方法や、細かい点まで注意がいきわたらないといった面で難しさがあります。また、自分1人のトレーニングは気分がのりにくく、マンネリ化しやすいという問題がありますが、自分でいろいろ工夫して行なえば、きっとよい結果が得られますので、頑張ってください。では1から順にお答えします。

<1>クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバーの正しいやり方[写真・1参照]

 この運動は、各種プルオーバーの中でも特に胸郭の拡張に効果的な運動です。そのためには、ダンベルを充分に下げることと、その際に肘が開かないように注意してください。ダンベルを降ろした時に、ヒップを下げるようにすると、胸郭がより拡張されるので、さらに効果的です。

<2>マルティ・パウンデッジ・システムとは

 たとえば、バーベルの挙上を続けていって疲れてきたら、重量を次々と減らしながら、さらに運動を続行するという方法です。ベンチ・プレスなら、バーベルの両サイドにパートナーをつけ、最初の重量が挙がらなくなったら、パートナーがすばやくプレートをはずし、これをまた限界までくり返し、挙がらなくなったらまたはずす。という方法です。これで1セットと数えますので、セットごとに重量を軽減していくウェイト・リダクション・システムとは異ります。このマルティ・パウンデッジ・システムは、かなりハードなトレーニング法なので、オーバー・ワークの危険性が多く、中・上級者向けのトレーニング法です。

<3>チンニングの手幅について

 手幅は広めの方が広背筋に効きやすくなりますが、そうかといって、広ければ広いほどよいというものではありません。あまりに広すぎる手幅は可動範囲を狭くし、充分に筋肉を刺激できません。ふつうワイド・グリップ・チンニングでは、手幅は肩幅の倍くらいでです。

<4>アップ・ライト・ローイングの手幅の違いによる効果について

 この運動は三角筋側面と僧帽筋のための種目であり、的確に効かせるには、手幅を1~2こぶしくらいの間隔にするのがよいといえます。それ以上広く握ると三角筋後部や上背(アッパー・バック)の方へ効果が分散してしまい、三角筋側面や僧帽筋への効果が弱まり、中途半端な運動になってしまいます。[写真・2参照]

<5>クローズ・グリップ・ベンチ・プレスを行うと手首が痛いが

 あなたがどのくらいの手幅で実施しているのかわかりませんが、現在の手幅よりもいくぶん広めに握って行うようにすればよいでしょう。また、カーリング・バー(EZバー)を用いての方法もためしてみてください。
[写真・1 クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー]

[写真・1 クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー]

[写真・2 アップ・ライト・ローイング]

[写真・2 アップ・ライト・ローイング]

回答はトレーニング・プラザ代々木・野沢秀雄先生、工藤悦弘先生
演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生
月刊ボディビルディング1985年11月号

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