フィジーク・オンライン
  • トップ
  • スペシャリスト
  • 新ボディビル講座 ボディビルディングの理論と実際<36> 第6章 トレーニング種目

新ボディビル講座 ボディビルディングの理論と実際<36> 第6章 トレーニング種目

この記事をシェアする

0
月刊ボディビルディング1984年2月号
掲載日:2021.01.22
名城大学助教授 鈴木 正之

Ⅲ.上腕二頭筋(バイセプス)の運動
◎プーリー系の上腕二頭筋の運動

 壁面に取り付けたプーリー(Pulley)系マシンを利用して行なう上腕二頭筋のトレーニングには、ラット・マシンとチェスト・ウェイト・マシンが利用される。中でも上腕二頭筋の運動の場合は、ロー・プーリーを活用する方法が多く用いられるので、両マシン共にロー・プーリー付きのものであることと、重量物側の上下動を小さくして運動をしやすくするため、1/2負荷となるダブル・プーリー・マシンを使うと効果的である。
 また、使用するハンドル・グリップは、ワン・ハンド・グリップ、カール用のショート・バー共に、手首に負担がかからないよう、ローリングするものを選ぶことが大切である。そして、これらグリップにはローリングしやすいように充分グリスや潤滑油をつけ、使用しやすくしておくことが肝要である。
 その他、グリップにワイヤーが付いている関係で、上腕二頭筋の長頭や短頭にポイントをおく前腕の回外、回内の運動はやりにくいが、カールのコースが必然的に決ってくるので、コンセントレーションしやすく、初心者でも導入しやすい。
 補助用具としては、バーベルやダンベルの時と同じく、カール・スタンドやインクライン・ベンチを用いて、トレーニングにバリエーションをつけるようにする。特に中級者以上になったら、バーベル、ダンベルのみの刺激にたよらず、常に新しい刺激を与えるように考えてみよう。

《1》スタンディング・アンダー・グリップ・バー・カール・オン・ロー・プーリー(通称:プーリー・バー・カール、初心者)〔図1〕

<かまえ>両手でショート・バーをアンダー・グリップで持ち、肘を伸ばしてバーを大腿部前にかまえる。
<動作>肘を曲げながら胸まで巻き上げ、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>カール系動作の中で最も初心者がなじみやすい運動であるので、プーリー系のカールはこの運動から入るとよい。また姿勢や動作が難しくなく、比較的、上腕二頭筋にポイントがおきやすいので、女性向きの運動といえる。特に注意する点は、肘を前に出し過ぎないようにすること。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図1〕プーリー・バー・カール

〔図1〕プーリー・バー・カール

《2》スタンディング・オーバー・グリップ・バー・カール・オン・ロー・プーリー(通称:プーリー・オーバー・グリップ・バー・カール、初心者)〔図2〕

<かまえ>両手でショート・バーをオーバー・グリップで持ち、肘を伸ばしてバーを大腿部前にかまえる。
<動作>肘を曲げながらバーを胸まで巻き上げ、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>バーをオーバー・グリップで持つと、ハイ・クリーンのような感じとなり、肘が前後しやすくなるので肘をしっかりと体側につけて固定し、前腕の腕橈骨筋を含めたカール動作を行なうようにする。上級者は積極的にフォースド・レプス・セットを採用し、上腕二頭筋のオール・アウトをねらうようにする。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・腕接骨筋、前腕伸筋群。
〔図2〕プーリー・オーバー・グリップ・バー・カール

〔図2〕プーリー・オーバー・グリップ・バー・カール

《3》ライイング・フロアー・ヘッド・フォワード・ハイ・プーリー・バー・カール(通称:ライイング・ハイ・プーリー・バー・カール、中級者)〔図3〕

<かまえ>両手でショート・バーをアンダー・グリップで持ち、フロアーに仰臥し、肘を伸ばして真上にかまえる。
<動作>両手に持ったショート・バーを額まで巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>関節角度と姿勢からして、トレーニング効果はベント・オーバー・カールと同じように、スタート時に抵抗が少なく、フィニッシュで最大負荷となる。よって上腕二頭筋のピークにポイントをおいたトレーニングとなる。
 カール系動作は多種目あるので、あえてハイ・プーリーを利用したカールを行なう必要はないが、ロー・プーリーの付いていないラット・マシンの場合は、このライイング・フォームでもって、バーベルやダンベルでは得られない刺激をねらうようにする。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図3〕ライイング・ハイ・プーリー・バー・カール

〔図3〕ライイング・ハイ・プーリー・バー・カール

《4》ライイング・フロアー・オーバー・グリップ・ヘッド・フォワード・ハイ・プーリー・バー・カール(通称:ライイング・ハイ・プーリー・バー・カール、中級者)〔図4〕

<かまえ>両手でショート・バーをオーバー・グリップで持ち、フロアーに仰臥し、肘を伸ばして真上にかまえる。
<動作>両手に持ったショート・バーを額まで巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>前項のアンダー・グリップの場合は、上腕二頭筋の短頭にポイントをおくが、オーバー・グリップの場合は、二頭筋の長頭にポイントを置く。また、手首より背面側に巻き込むようにして、前腕の伸筋群の強化をねらう。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・腕橈骨筋、前腕伸筋群。
〔図4〕ライイング・ハイ・プーリー・バー・カール

〔図4〕ライイング・ハイ・プーリー・バー・カール

《5》ライイング・フロアー・フット・フォワード・バー・カール・オン・ロー・プーリー(通称:フロアー・ロー・プーリー・カール、中級者)〔図5〕

<かまえ>両手でショート・バーをアンダー・グリップで持ち、フロアーに仰臥し、肘を伸ばして大腿部前にかまえる。
<動作>両手に持ったショート・バーを胸まで巻き上げる。
<注意点>この運動はスタンディングのカールと同様な動きであるが、フロアーに仰臥しているので、腰や上体の反動が使えないため、必然的にストリクト・スタイルとなる。また、仰臥姿勢でも足の裏にストッパーがあると力がしっかり入るので、必ずストッパーをつけるようにする。その他、三角筋の作用を入れて、肘を上にあげないようにする。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図5〕フロアー・ロー・プーリー・カール

〔図5〕フロアー・ロー・プーリー・カール

《6》ライイング・フロアー・フット・フォワード・オーバー・グリップ・バー・カール・オン・ロー・プーリー(通称:フロアー・オーバー・グリップ・ロー・プーリー・カール・中級者)〔図6〕

<かまえ>両手でショート・バーをオーバー・グリップで持ち、フロアーに仰臥し、肘を伸ばして大腿部前にかまえる。
<動作>両手に持ったショート・バーを胸まで巻き上げる。
<注意点>スタンディングのオーバー・グリップ・カールと同様な動きである。手首は巻き返すようにする。他は前項と同様の点に注意をして行なう。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・腕橈骨筋。
〔図6〕フロアー・オーバー・グリップ・ロー・プーリー・カール

〔図6〕フロアー・オーバー・グリップ・ロー・プーリー・カール

《7》スタンディング・ツー・ハンド・カール・オン・ロー・プーリー(通称:ロー・プーリー・ツー・ハンド・カール)〔図7〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、腕を伸ばして大腿部前にかまえる。
<動作>両手の肘を同時に曲げながら、ハンドルを顎のところまで巻き上げる。
<注意点>同じスタンディング・カールでも、ラット・マシンと同じく、ロー・プーリー・カールは、立つ位置によってその効果に変化があるので注意する。プーリーに近く立つと90度以後に、プーリーから離れて肘を下におろせば90度で上腕二頭筋のピークに最大刺激がくる。ただし、プーリーから離れても肘を前に出せば、プーリーの近くに立った場合と同じように、90度以後に最大刺激がくる。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図7〕ロー・プーリー・ツー・ハンド・カール

〔図7〕ロー・プーリー・ツー・ハンド・カール

《8》スタンディング・オールタネット・カール・オン・ロー・プーリー(通称:ロー・プーリー・オールタネット・カール)〔図8〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、腕を伸ばして大腿部前にかまえる。
<動作>左右交互に肘を曲げながら、ハンドルを顎まで巻き上げ、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>ダンベル・カールと同じような刺激を受けるがプーリーから離れることにより、肘の角度が90度から後半も強い刺激を受けることができる。カールのスタートは手首より巻き込むようにするが、フィニッシュで過度に手首を折りまげないようにする。
 その他、三角筋や広背筋の力を借りて、肘を前に出し過ぎたり、うしろに引き過ぎないように注意する。またその反対にチーティング・スタイルやフォースド・レプスの場合、上腕二頭筋以外の筋の力も借りて、積極的に反復をくり返すようにする。
<作用筋>前項同様。
〔図8〕ロー・プーリー・オールタネット・カール

〔図8〕ロー・プーリー・オールタネット・カール

《9》スタンディング・ツー・ハンド・オーバー・グリップ・カール・オン・ロー・プーリー(通称:オーバー・グリップ・カール、中級者)〔図9〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、腕を伸ばしてかまえる。
<動作>肘を曲げながらハンドルを顎のところまで巻き込み、ゆっくり元の位置に戻す。
<注意点>プーリーとの距離によって刺激の受け方が違ってくるので注意する。プーリーに近いとカールの中間点で負荷が大きくなり、プーリーから離れるとフィニッシュの位置が最大負荷となるので、目的に合わせて使い分けるとよい。その他、特に注意することは、肘を前方に出さないようにすることである。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・腕橈骨筋。
〔図9〕オーバー・グリップ・カール

〔図9〕オーバー・グリップ・カール

《10》スタンディング・ツー・ハンド・バイセプス・カール・オン・ハイ・プーリー(通称:バイセプス・カール)〔図10〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、肩と水平に腕を伸ばしてかまえる。
<動作>肩水平の腕のまま、肘を曲げながら顔のところまでハンドルを巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>ラット・マシンはハイ・プーリーの位置が高いので、この動作は不向きであるが、チェスト・ウェイトの場合は、ハイ・プーリーの位置が顔の高さ程度なので上腕二頭筋のピークをつくるトレーニングとして有効に使用することができる。
 特に注意することは、肘を下にさげ過ぎないようにカールを行ない、オール・アウトにしたところで、広背筋の力を借りてプル・インの感じで反復をくり返すとよい。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図10〕バイセプス・カール

〔図10〕バイセプス・カール

《11》ライイング・フロアー・フット・フォワード・ツー・ハンド・カール・オン・ハイ・プーリー(通称:ライイング・ツー・ハンド・カール)〔図11〕

くかまえ>両手にハンドルを持ち、プーリー側に足を向けフロアーに仰臥したら腕を伸ばしてかまえる。
<動作>肘を曲げながら、顔のところまでハンドルを巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>前項のバイセプス・カールの場合は、身体の中心線に対し90度方向にワイヤーが張られることになるがこのライイングの場合は、ワイヤーは45度方向に張られしかも床にあお向けになるので姿勢が安定するという特徴がある。この点に注意して採用してほしい。
 その他、三角筋や広背筋の助けを借りないように注意し、反復後半ないしはフォースド・レプスの時は、広背筋の力を借りて反復を継続するようにする。
<作用筋>前項同様。
〔図11〕ライイング・ツー・ハンド・カール

〔図11〕ライイング・ツー・ハンド・カール

《12》ライイング・フロアー・フット・フォワード・オールタネット・カール・オン・ハイ・プーリー(通称:ライイング・オールタネット・カール、中級者)〔図12〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、プーリー側に足を向けてフロアーに仰臥し、腕を伸ばしてかまえる。
<動作>左右交互に肘を曲げながら、顔のところまでハンドルを巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>前項と同じところにポイントがあるが、コンセントレーションを高めるために交互に行なっている。その他、グリップの変化やワイヤー角度などに注意してトレーニングするとよい。
<作用筋>前項同様。
〔図12〕ライイング・オールタネット・カール

〔図12〕ライイング・オールタネット・カール

《13》ライイング・フロアー・ヘッド・フォワード・ツー・ハンド・カール・オン・ハイ・プーリー(通称:フロアー・フェイス・ハイ・プーリー・カール、中級者)〔図13〕

<かまえ>アンダー・グリップで両手でハンドルを持ち、プーリー側に頭を向けて仰臥し、腕を伸ばして真上にかまえる。
<動作>両手同時にハンドルを額まで巻きおろし、ゆっくり元に戻す。
<注意点>両手にそれぞれハンドルを持つためショート・バーによるカールと同様な動きを持つ。手首の回内、回外の動きが前腕への刺激の変化と、二頭筋の長頭、短頭への変化となるので、この点に注意して行なう。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図13〕フロアー・フェイス・ハイ・プーリー・カール

〔図13〕フロアー・フェイス・ハイ・プーリー・カール

《14》ライイング・フロアー・ヘッド・フォワード・ツー・ハンド・オーバー・グリップ・カール(通称:フロアー・ヘッド・フォワード・オーバー・グリップ・カール、中級者)〔図14〕

<かまえ>前項同様。
<動作>両手同時にハンドルを額まで巻きおろし、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>前項同様であるが、かまえの姿勢が補助筋(この場合は広背筋)を利用しやすいので、オール・アウトしたら広背筋の力を借りて引きおろすとよい。その他、コンセントレーションを高めるために、オールタネット運動を取り入れてもよい。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・腕橈骨筋。
〔図14〕フロアー・ヘッド・フォワード・オーバー・グリップ・カール

〔図14〕フロアー・ヘッド・フォワード・オーバー・グリップ・カール

《15》ライイング・フロアー・フット・フォワード・ツー・ハンド・ロー・プーリー・カール(通称:フロアー・ツー・ハンド・カール・中級者)〔図15〕

<かまえ>両手でハンドルをアンダー・グリップで持ち、足先をプーリー側に向けて仰臥し、肘を伸ばして大腿部前にかまえる。
<動作>両手に持ったハンドルを顎のところまで巻き込みゆっくりと元に戻す。
<注意点>スタンディングのバーベルやダンベル、およびロー・プーリー・カールと同様であるが、ショート・バーの時と同じように、ストリクト・スタイルが重視される。その他、足裏にストッパーをつけ、他種目と同じように注意する。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図15〕フロアー・ツー・ハンド・カール

〔図15〕フロアー・ツー・ハンド・カール

《16》ライイング・フロアー・フット・フォワード・ロー・プーリー・オールタネット・カール(通称:フロアー・オールタネット・カール、中級者)〔図16〕

<かまえ>前項同様。
<動作>左右交互にハンドルを肩口まで巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>前項同様であるが、特にストリクト・スタイルとオールタネットによる方法でコンセントレーションを高めるようにする。その他、手首やグリップに変化を求めてバリエーションをつけるようにする。
<作用筋>主働筋・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図16〕フロアー・オールタネット・カール

〔図16〕フロアー・オールタネット・カール

《17》スタンディング・ワン・ハンド・カール・オン・ロー・プーリー(通称:ワン・ハンド・カール、初心者)〔図17〕

<かまえ>片手にハンドルを持ち、腕を伸ばしてかまえ、もう一方の手はハンドルを持った腕の肘を支える。
<動作>ハンドルを持った腕を曲げ、ハンドルが肩口にくるように巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>この運動はプーリーを利用したコンセントレーション・カールである。ロー・プーリーとの距離、つまり、ワイヤーの方向と角度に注意してコンセントレーションする。
 ハンドルを持った腕の肘を支える、もう一方の手のテコ作用を上手に利用すれば、カーリング・ベンチを利用した時と同じようになるので、この支持作用を大切にして運動すること。なお、この姿勢からシーテッド、およびカーリング・ベンチを利用した方法も採用できる。その他、オーバー・グリップ・カールも採用できる。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図17〕ワン・ハンド・カール

〔図17〕ワン・ハンド・カール

《18》ベント・オーバー・ワン・ハンド・カール・オン・ロー・プーリー(通称:ベント・オーバー・ワン・ハンド・カール、中級者)〔図18〕

<かまえ>片手にハンドルを持ち、上体を前に曲げ、腕を伸ばしてかまえる。もう一方の手は膝に置いて上体を支持する。
<動作>ハンドルを持った腕を曲げ、ゆっくり元に戻す。
<注意点>これもプーリーを利用したコンセントレーション・カールである。ワイヤーがあるので膝のテコ作用は使えないが、運動をしていない方の手の上体支持により上体を安定させ、コンセントレーションを高められる。
 この運動の欠点としては、大胸筋の力を借りて肩の運動が入りやすいので、出来るだけ肩や上腕の左右運動が入らないように注意する。なお、この運動はシーテッドで行なってもよい。
<作用筋>前項同様。
〔図18〕ベント・オーバー・ワン・ハンド・カール

〔図18〕ベント・オーバー・ワン・ハンド・カール

《19》スタンディング・カーリング・ベンチ・ハンド・グリップ・カール・オン・ロー・プーリー(通称:カーリング・ベンチ・ロー・プーリー・カール、中級者)〔図19〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、カーリング・ベンチに腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>肘を曲げながら、ハンドルを肩口まで巻き込み。ゆっくりと元に戻す。
<注意点>カール・スタンドの角度は45度を利用し、ロー・プーリーよりあまり離れず、ワイヤーの角度が60度以上にならないようにし、初速からの刺激を求め、上腕二頭筋の長さを求めるようにトレーニングする。カール・スタンドがロー・プーリーより離れすぎると不安定になり、動作がやりにくくなるので注意する。
 トレーニング・フォームの変化としては、グリップをオーバー・グリップに持ちかえると、刺激部位が腕橈骨筋、上腕二頭筋の長頭へと変化してくる。また、ショート・バーを利用してのカールもできる。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図19〕カーリング・ベンチ・ロー・プーリー・カール

〔図19〕カーリング・ベンチ・ロー・プーリー・カール

《20》スタンディング・カーリング・ベンチ・ハンド・グリップ・オールタネット・カール(通称:カーリング・ベンチ・オールタネット・カール、中級者)〔図20〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、カーリング・ベンチに腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>左右交互に肘を曲げながら、ハンドルを肩口まで巻き込む。
<注意点>前項同様の目的なので、カール・スタンドの角度は45度とし、コンセントレーションを高めるために、脇をしっかりと台の先端に押しつけ、上腕部を固定した状態で巻き上げるようにする。
 その他の目的や効果も前項同様なので、注意点も同じである。グリップの向きも時にはオーバー・グリップを採用し、トレーニングにバリエーションをつける。
<作用筋>前項同様。
〔図20〕カーリング・ベンチ・オールタネット・カール

〔図20〕カーリング・ベンチ・オールタネット・カール

《21》スタンディング・ロー・プーリー・ツー・アーム・ハンド・グリップ・カール・オーバー・インクライン・ベンチ(通称:インクライン・プーリー・カール、中級者)〔図21〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、インクライン・ベンチのうしろにまわり、ベンチに腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>肘を曲げながら、ハンドルを肩口まで巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>インクライン・ベンチはカール・スタンドより大きくて安定しやすいので、プーリーの位置から離れて上腕二頭筋の最大収縮時に負荷が強くかかるよう、ピークを求めるトレーニングとして採用するとよい。他は、カーリング・ベンチの時と同じく、脇をしっかりと台の先端に固定し、動作をゆっくりと行うようにする。
<作用筋>前項同様。
〔図21〕インクライン・プーリー・カール

〔図21〕インクライン・プーリー・カール

《22》スタンディング・ロー・プーリー・ハンド・グリップ・オールタネット・カール・オーバー・インクライン・ベンチ(インクライン・オールタネット・カール、中級者)〔図22〕

<かまえ>両手にハンドルを持ち、インクライン・ベンチのうしろにまわり、ベンチに腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>左右交互に肘を曲げながら、ハンドルを肩口まで巻き込む。
<注意点>前項同様にインクライン・ベンチをプーリーより離して、ワイヤーに角度(45度)をつけた状態で、上腕二頭筋にピークを作るようにコンセントレーションし、交互にカールを行なう。その他、グリップをオーバー・グリップでもって行なってもよい。
<作用筋>前項同様。
〔図22〕インクライン・オールタネット・カール

〔図22〕インクライン・オールタネット・カール

《23》スタンディング・カーリング・ベンチ・ワン・ハンド・グリップ・カール・オン・ロー・プーリー(通称:カーリング・ベンチ・ワン・ハンド・カール、中級者)〔図23〕

<かまえ>片手にハンドルを持ち、カーリング・ベンチに腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>肘を曲げながら、ハンドルを肩口まで巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>ツー・ハンドの場合と同じ目的の運動であるが片手で行うことにより、安定した姿勢とコンセントレーションを高めることができる。その他、グリップをオーバー・グリップに持ち変えて、腕橈骨筋を含めたトレーニングを行ってみるのもよい。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図23〕カーリング・ベンチ・ワン・ハンド・カール

〔図23〕カーリング・ベンチ・ワン・ハンド・カール

《24》スタンディング・ロー・プーリー・ワン・ハンド・グリップ・カール・オーバー・インクライン・ベンチ(通称:インクライン・プーリー・ワン・ハンド・カール、中級者)〔図24〕

<かまえ>片手にプーリーのハンドルを持ち、インクライン・ベンチのうしろにまわり、腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>肘を曲げながら、ハンドルを肩口まで巻き込み、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>前項と同様であるが、ツー・ハンドの時と同じように、ベンチをうしろに下げ、ワイヤーの角度を45度にして行なう。ワン・ハンドでの動作は手首方向に変化をつけやすいので、前腕を回内しつつ行なう上腕二頭筋短頭へのコンセントレーションと、前腕を回外しつつ行なう長頭へのコンセントレーションに注意して行なうとよい。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群(回内・・・・・・円回内筋、回外・・・・・・腕橈骨筋)。
〔図24〕インクライン・プーリー・ワン・ハンド・カール

〔図24〕インクライン・プーリー・ワン・ハンド・カール

《25》
スタンディング・カーリング・ベンチ・バー・カール・オン・ロー・プーリー(通称:カーリング・ベンチ・プーリー・カール、初心者)〔図25〕

<かまえ>ショート・バーを両手で持ち、カーリング・ベンチに腕をのせ、肘を伸ばしてかまえる。
<動作>ショート・バーを肩口まで巻き込んだら、ゆっくりと元に戻す。
<注意点>1本のバーを両手で持つことにより、動作がやりやすくなるので、初心者がプーリー系の運動でカーリング・ベンチを用いる場合は、このショート・バーのカールから入るとよい。
<作用筋>主働筋・・・・・・上腕二頭筋、補助筋・・・・・・前腕屈筋群。
〔図25〕カーリング・ベンチ・プーリー・カール

〔図25〕カーリング・ベンチ・プーリー・カール

■田村選手67人目で敗れる・・・・・・勝抜き腕相撲情報

 テレビ東京の勝抜き腕相撲で、去年の11月25日、斎藤一雄選手を破って第39代チャンピオンになった田村啓明選手は、12月1日10人抜き、12月15日、今シリーズ2人目の30人抜きを達成し、41人目に危ない場面もあったが、反則勝ちで辛勝。年が明けて1月5日、ついに60人抜きを達成。1月10日、66人抜きを記録した。この記録は、過去に伊藤政明選手が達成した64人抜きを破る、南波勝夫選手(72人抜き)に次ぐ歴代2位の記録である。
 その田村選手を破って第40代チャンピオンになったのが1月11日登場した福島延泰選手(25才、172cm、80kg)で7人目に強敵、堀隆光選手の挑戦を退け、1月17日、高橋徹雄選手を破って10人抜きを達成。1月19日現在、14人抜きで継続中である。
(レポート・写真=小山 勝)
〔田村選手(右)、67人目で、ついに福島選手に敗れる〕

〔田村選手(右)、67人目で、ついに福島選手に敗れる〕

〔福島選手(右)10人目の挑戦者、高橋選手を破り、連勝中〕

〔福島選手(右)10人目の挑戦者、高橋選手を破り、連勝中〕

月刊ボディビルディング1984年2月号

Recommend