新ボディビル講座
ボディビルディングの理論と実際〈47〉
第7章 トレーニング処方のあり方
月刊ボディビルディング1985年2月号
掲載日:2021.05.13
名城大学助教授 鈴木正之
1.トレーニング・コースの作り方
第6章までに、身体各部の基本的トレーニング種目から応用種目まで、トレーニング種目のバリエーションを解説してきたが、これらすべての種目をマスターし、実施する必要はない。つまり、自分のレベル、目的に応じて、その中のいくつかを採用して、どのようなトレーニング・コースを作り上げるかが課題となる。
コースの作り方についての基本的な原則を示してみると次のようになる。そのためには、まず身体各部を大きく下記の12に区分して考えてみる。
①頸の筋肉を発達させる運動
②肩の筋肉を発達させる運動
③胸の筋肉を発達させる運動
④上腕三頭筋を発達させる運動
⑤上腕二頭筋を発達させる運動
⑥前腕筋を発達させる運動
⑦上背の筋肉を発達させる運動
⑧下背の筋肉を発達させる運動
⑨腹の筋肉を発達させる運動
⑩大腿前面の筋肉を発達させる運動
⑪大腿後面の筋肉を発達させる運動
⑫下腿の筋肉を発達させる運動
以上のように区分することができる。そして全くの初心者の場合は、この中から大筋群を中心として、特に発達させたい部分の運動種目をピック・アップし、合計7~8種目でもってトレーニング・コースを作る。
ところが、自分でコースを作ると往々にして欠点がでてくるのが普通である。つまり、自分の長所となる部分や、好きな部分の運動に集中しがちになり、本来の目的であるバランスよい発達とはちがってくるので、まず、弱点を強化するということを念頭に置いてコースを組むことが大切である。
次に、運動の順番であるが、これは大筋群を強化する運動から入り、そのあとで中筋群、小筋群へと移行するようにする。
[例]①大胸筋→上腕三頭筋→前腕筋
②広背筋→上腕二頭筋→前腕筋
③三角筋→上腕二頭筋→前腕筋
④大殿筋→大腿四頭筋→下腿三頭筋
その他、腹筋、下背筋については別個のものとして組んでもよい。また、準備運動、整理運動を必ずトレーニングの前後に入れることを忘れないこと。
コースの作り方についての基本的な原則を示してみると次のようになる。そのためには、まず身体各部を大きく下記の12に区分して考えてみる。
①頸の筋肉を発達させる運動
②肩の筋肉を発達させる運動
③胸の筋肉を発達させる運動
④上腕三頭筋を発達させる運動
⑤上腕二頭筋を発達させる運動
⑥前腕筋を発達させる運動
⑦上背の筋肉を発達させる運動
⑧下背の筋肉を発達させる運動
⑨腹の筋肉を発達させる運動
⑩大腿前面の筋肉を発達させる運動
⑪大腿後面の筋肉を発達させる運動
⑫下腿の筋肉を発達させる運動
以上のように区分することができる。そして全くの初心者の場合は、この中から大筋群を中心として、特に発達させたい部分の運動種目をピック・アップし、合計7~8種目でもってトレーニング・コースを作る。
ところが、自分でコースを作ると往々にして欠点がでてくるのが普通である。つまり、自分の長所となる部分や、好きな部分の運動に集中しがちになり、本来の目的であるバランスよい発達とはちがってくるので、まず、弱点を強化するということを念頭に置いてコースを組むことが大切である。
次に、運動の順番であるが、これは大筋群を強化する運動から入り、そのあとで中筋群、小筋群へと移行するようにする。
[例]①大胸筋→上腕三頭筋→前腕筋
②広背筋→上腕二頭筋→前腕筋
③三角筋→上腕二頭筋→前腕筋
④大殿筋→大腿四頭筋→下腿三頭筋
その他、腹筋、下背筋については別個のものとして組んでもよい。また、準備運動、整理運動を必ずトレーニングの前後に入れることを忘れないこと。
2.初心者のトレーニング・コース例と注意事項
〈A〉バーベルを中心としたトレーニング・コース例
(初心者のセット法によるトレーニング・コース)
①ウォーム・アップ(準備運動)
②シット・アップ(腹の運動)
③ベンチ・プレス(胸+上腕三頭筋の運動)
④ベント・ローイング(広背筋+上腕二頭筋の運動)
⑤フレンチ・プレス(上腕三頭筋の運動)
⑥バーベル・カール(上腕二頭筋+前腕屈筋群の運動)
⑦スクワット(大殿筋+大腿四頭筋の運動)
⑧カーフ・レイズ(下腿三頭筋の運動)
⑨バック・エクステンション(下背の運動)
⑩クール・ダウン(整理運動)
①ウォーム・アップ(準備運動)
②シット・アップ(腹の運動)
③ベンチ・プレス(胸+上腕三頭筋の運動)
④ベント・ローイング(広背筋+上腕二頭筋の運動)
⑤フレンチ・プレス(上腕三頭筋の運動)
⑥バーベル・カール(上腕二頭筋+前腕屈筋群の運動)
⑦スクワット(大殿筋+大腿四頭筋の運動)
⑧カーフ・レイズ(下腿三頭筋の運動)
⑨バック・エクステンション(下背の運動)
⑩クール・ダウン(整理運動)
〈B〉1回のトレーニング時間
以上の運動をセット・システムで各3セットずつ行い、1セットに要する時間を2分とすると、次のような計算が成り立つ。
8種目×3セット=24セット 24セット×2分=48分
これに準備運動と整理運動を加えると約1時間のトレーニングとなる。全くの初心者にとっては、最初はこれでもかなりハードに感じると思う。年齢、体力差等にもよるが2~3週間もすれば運動にも慣れ、筋肉痛もとれるから、その時は、このセットにランニングや縄とびを加えて心肺機能を強化し、次のもう少し強度の強い段階に進んでも、充分に耐えられる体力を作っておく必要がある。
8種目×3セット=24セット 24セット×2分=48分
これに準備運動と整理運動を加えると約1時間のトレーニングとなる。全くの初心者にとっては、最初はこれでもかなりハードに感じると思う。年齢、体力差等にもよるが2~3週間もすれば運動にも慣れ、筋肉痛もとれるから、その時は、このセットにランニングや縄とびを加えて心肺機能を強化し、次のもう少し強度の強い段階に進んでも、充分に耐えられる体力を作っておく必要がある。
〈C〉トレーニングの週間頻度
1週間に何回ぐらいのトレーニングを行えばよいかということは、実施者の体力とか回復力によってかなり差があると思うが、原則としては1日おき週3回を目安として、次のように計画を立てるとよい。
①基本的には月曜・水曜・金曜の3回
②若くて体力のある人は月曜・火曜・木曜・金曜の4回
③高令者、または体力のない人は月曜・木曜(または火曜・金曜)の2回
体力がついてきても、この基本をくずさず、むしろトレーニングの内容(種目数、システム)に変化をもたせて、トレーニング効果を上げるようにすることが大切である。
①基本的には月曜・水曜・金曜の3回
②若くて体力のある人は月曜・火曜・木曜・金曜の4回
③高令者、または体力のない人は月曜・木曜(または火曜・金曜)の2回
体力がついてきても、この基本をくずさず、むしろトレーニングの内容(種目数、システム)に変化をもたせて、トレーニング効果を上げるようにすることが大切である。
〈D〉マシンを中心としたトレーニング・コース例
(初心者のサーキット・セット法)
サーキット・セットでトレーニングする場合、ある程度速くサーキットする意味において、器具取扱いと重量調整が簡単なトレーニング・マシンを利用する。
①ウォーム・アップ(準備運動)
②シット・アップ(腹筋)
③バタフライ・エクササイズ(大胸筋)
④ラット・マシン・プル(広背筋+上腕二頭筋)
⑤リバース・プッシュ・アップ(上腕三頭筋+小胸筋)
⑥カール・マシン・カール(上腕二頭筋)
⑦レッグ・エクステンション(大腿四頭筋)
⑧カーフ・レイズ(下腿三頭筋)
⑨バック・エクステンション(固有背筋)
⑩クール・ダウン(整理運動)
トレーニング器具に不慣れな初心者にとって、バーベルなどのフリー・ウェイトよりもマシンを用いた方が、全ての運動において効果的であり、しかも、全身をトレーニングするのにサーキット法を導入すれば、特定の身体部位に連続して刺激を加えることがないので、過度に負荷がかかることがなく、安全にトレーニングすることができる利点がある。
サーキット・セットでトレーニングする場合、ある程度速くサーキットする意味において、器具取扱いと重量調整が簡単なトレーニング・マシンを利用する。
①ウォーム・アップ(準備運動)
②シット・アップ(腹筋)
③バタフライ・エクササイズ(大胸筋)
④ラット・マシン・プル(広背筋+上腕二頭筋)
⑤リバース・プッシュ・アップ(上腕三頭筋+小胸筋)
⑥カール・マシン・カール(上腕二頭筋)
⑦レッグ・エクステンション(大腿四頭筋)
⑧カーフ・レイズ(下腿三頭筋)
⑨バック・エクステンション(固有背筋)
⑩クール・ダウン(整理運動)
トレーニング器具に不慣れな初心者にとって、バーベルなどのフリー・ウェイトよりもマシンを用いた方が、全ての運動において効果的であり、しかも、全身をトレーニングするのにサーキット法を導入すれば、特定の身体部位に連続して刺激を加えることがないので、過度に負荷がかかることがなく、安全にトレーニングすることができる利点がある。
〈E〉トレーニングの実施時間
1日のうちの何時頃にトレーニングすれば最も効果が上がるかというデータはないので、自分が自由に出来る時間に行なってよい。大切なことは、最も気力が充実している時に実施することである。ただ、一般社会人にとって、自分の思う時間になかなかできないのが実情であろう。
もう1つ注意することは、食事時間との関係である。胃の中に食べ物が消化しきらない状態でのトレーニングはよくないので、食事後、少なくとも1時間、できたら2時間は避けるようにする。食事前のトレーニングは、血液が筋肉よりも胃腸に帰り自律神経の興奮がおさまることを考慮し、やはり1時間くらいは避けるようにしたい。
もう1つ注意することは、食事時間との関係である。胃の中に食べ物が消化しきらない状態でのトレーニングはよくないので、食事後、少なくとも1時間、できたら2時間は避けるようにする。食事前のトレーニングは、血液が筋肉よりも胃腸に帰り自律神経の興奮がおさまることを考慮し、やはり1時間くらいは避けるようにしたい。
3.中級者のトレーニング・コース例と注意事項
〈A〉中級者のトレーニング・コース作成に当って
経験年数2~3年になると、初心者用のトレーニング方法だと効果は頭打ちになってしまう。そこで、基本的にはセット法を採用しつつ、内容に変化を持たせることが重要となる。
では、トレーニング・コースを作成するに当って注意すべき基本的問題を整理してみよう。
①目標の設定(単なる体力づくりであるか、バルク・アップ、あるいはディフィニッション、カットを目標とする等々)
②トレーニング日数とスプリット・ルーティーンの決定
③目標に対してどのようなトレーニング法を採用するか(セット法、スーパー・セット法、フラッシング法など)
④セット間の休息時間のとり方
⑤トレーニング時に採用するスタイルは(ストリクト・スタイルからチーティング・スタイルの採用など)
⑥使用重量と反復回数、及びセット数の決定
以上の点をふまえて、コンテスト時や、シーズン・オフ等を考慮して使用重量や反復回数などを決定する。各運動種目のセット数は、原則として主力種目を多くし、補助種目は少なめとして、3~6セットくらいとする。セット間の休息は1分間程度とし、パワー・アップを目指す場合は2~3分間休むようにする。
では、トレーニング・コースを作成するに当って注意すべき基本的問題を整理してみよう。
①目標の設定(単なる体力づくりであるか、バルク・アップ、あるいはディフィニッション、カットを目標とする等々)
②トレーニング日数とスプリット・ルーティーンの決定
③目標に対してどのようなトレーニング法を採用するか(セット法、スーパー・セット法、フラッシング法など)
④セット間の休息時間のとり方
⑤トレーニング時に採用するスタイルは(ストリクト・スタイルからチーティング・スタイルの採用など)
⑥使用重量と反復回数、及びセット数の決定
以上の点をふまえて、コンテスト時や、シーズン・オフ等を考慮して使用重量や反復回数などを決定する。各運動種目のセット数は、原則として主力種目を多くし、補助種目は少なめとして、3~6セットくらいとする。セット間の休息は1分間程度とし、パワー・アップを目指す場合は2~3分間休むようにする。
〈B〉中級者のトレーニング・コース例
中級者になると、各人の個性がでてくるので、全てのビルダーに当てはまるというトレーニング・コースを作ることは困難である。次に示すのは基本的なコースの作り方であるから、これを基本として、この中で自分の弱点を克服するように種目に変化を持たせ、バルク・アップを目指す場合は高重量・低反復回数で、ディフィニッションを目指す場合は軽重量・高反復回数でもって行うようにする。
◆Aコース(月曜・水曜・金曜)-腹・胸・上背・大腿・下腿・頸
〈腹〉 ①インクライン・シット・アップ
②レッグ・レイズ
③ダンベル・サイド・レイズ
〈胸〉 ①ベンチ・プレス
②インクライン・ベンチ・プレス
③バー・ディップス
〈上背〉 ①チンニング
②ラット・マシン・プルダウン
③ベント・オーバー・ローイング
〈大腿〉 ①スクワット
②レッグ・エクステンション
③レッグ・カール
〈下腿〉 ①カーフ・レイズ
②シングル・レッグ・カーフ・レイズ
〈頸〉 ①レスラー・ブリッジ
◆Bコース(火曜・木曜・土曜)-肩・下背・上腕屈筋・上腕伸筋・前腕
〈肩〉 ①フロント・プレス
②サイド・レイズ
③アップ・ライト・ローイング
〈下背〉 ①デッド・リフト
②ケーブル・ロー・プーリー・ローイング
③バック・エクステンション
〈上腕伸筋〉①トライセプス・プレス
②トライセプス・プレス・ダウン
③リバース・プッシュ・アップ
〈上腕屈筋〉①バーベル・カール
②プリーチャー・ベンチ・カール
③インクライン・ベンチ・カール
〈前腕〉 ①リスト・カール
②リバース・リスト・カール
〈その他〉 ①ランニング3~5km
以上、全身を考慮して種目を設定したが、これはあくまでも例であるから、必ずしもこれにこだわることはない。適宜、自分に合った種目に変えたり、トレーニング・システムを採用することが大切である。特にセット法にこだわらず、また、同じセット法でもフォースド・レプスや、マルティ・パウンデッジなどを採用することにより、中級から上級への道が開かれてくる。
トレーニング・システムは、まずスーパー・セットとフラッシング・セットの導入をはかると共に、主働筋優先を考慮して、時にはプル・セットを入れる。フロント・プレスの前にフロント・レイズを入れ、ベンチ・プレスの前にダンベル・フライを入れてみるのもよい。脚の場合は、スクワットの前にレッグ・エクステンションやハック・リフトを入れれば、一層コンセントレーションが高まる。
トレーニング・スタイルも、ストリクト・スタイルからチーティング・スタイルへの導入をはかる。
◆Aコース(月曜・水曜・金曜)-腹・胸・上背・大腿・下腿・頸
〈腹〉 ①インクライン・シット・アップ
②レッグ・レイズ
③ダンベル・サイド・レイズ
〈胸〉 ①ベンチ・プレス
②インクライン・ベンチ・プレス
③バー・ディップス
〈上背〉 ①チンニング
②ラット・マシン・プルダウン
③ベント・オーバー・ローイング
〈大腿〉 ①スクワット
②レッグ・エクステンション
③レッグ・カール
〈下腿〉 ①カーフ・レイズ
②シングル・レッグ・カーフ・レイズ
〈頸〉 ①レスラー・ブリッジ
◆Bコース(火曜・木曜・土曜)-肩・下背・上腕屈筋・上腕伸筋・前腕
〈肩〉 ①フロント・プレス
②サイド・レイズ
③アップ・ライト・ローイング
〈下背〉 ①デッド・リフト
②ケーブル・ロー・プーリー・ローイング
③バック・エクステンション
〈上腕伸筋〉①トライセプス・プレス
②トライセプス・プレス・ダウン
③リバース・プッシュ・アップ
〈上腕屈筋〉①バーベル・カール
②プリーチャー・ベンチ・カール
③インクライン・ベンチ・カール
〈前腕〉 ①リスト・カール
②リバース・リスト・カール
〈その他〉 ①ランニング3~5km
以上、全身を考慮して種目を設定したが、これはあくまでも例であるから、必ずしもこれにこだわることはない。適宜、自分に合った種目に変えたり、トレーニング・システムを採用することが大切である。特にセット法にこだわらず、また、同じセット法でもフォースド・レプスや、マルティ・パウンデッジなどを採用することにより、中級から上級への道が開かれてくる。
トレーニング・システムは、まずスーパー・セットとフラッシング・セットの導入をはかると共に、主働筋優先を考慮して、時にはプル・セットを入れる。フロント・プレスの前にフロント・レイズを入れ、ベンチ・プレスの前にダンベル・フライを入れてみるのもよい。脚の場合は、スクワットの前にレッグ・エクステンションやハック・リフトを入れれば、一層コンセントレーションが高まる。
トレーニング・スタイルも、ストリクト・スタイルからチーティング・スタイルへの導入をはかる。
4.上級者のトレーニング・コース例と注意事項
〈A〉上級者のトレーニング・コース作成に当って
上級者は、すでに自分でトレーニング・コースを作ることが可能で、しかも、コンテストを目指し、ハードなトレーニングを重ねる人が対象であるから、ここであえてコース例を示す必要性はないと思うし、また過去の専門誌に多く紹介されている。
そこで今回は、著者の独断と偏見に満ちたコースを作り、読者の論議の的としたい。
上級者はすでに筋肉に多くの刺激を与え続けてきた。その刺激が現在も良好な刺激となっていればよいが、時にはマンネリ化した刺激で長いトンネルに入ったように、プラトーの高原現象が続いている場合が少なくない。この状態を脱皮し、トンネルから抜け出るためには、刺激方法を変えてみることと、強い精神的位置づけが必要である。
新しい刺激は、前よりも強くて、長く続く刺激でなければならない。それは必然的に、同じ種目であっても、アシストをも必要とするフォースド・レプスやマルティ・パウンデッジ・システムの採用となったり、チーティング・スタイルの採用となってくる。
これらのシステムの採用は、筋収縮の原理から言えば、エクセントリック・コントラクション(ネガディブ・ワーク-伸張性筋収縮)を採用することにより、コンセントリック・コントラクション(ポジティブ・ワーク-短縮性筋収縮)より大きな筋運動(約30%)ができるので、負荷効率がよくなる。
そこで今回は、著者の独断と偏見に満ちたコースを作り、読者の論議の的としたい。
上級者はすでに筋肉に多くの刺激を与え続けてきた。その刺激が現在も良好な刺激となっていればよいが、時にはマンネリ化した刺激で長いトンネルに入ったように、プラトーの高原現象が続いている場合が少なくない。この状態を脱皮し、トンネルから抜け出るためには、刺激方法を変えてみることと、強い精神的位置づけが必要である。
新しい刺激は、前よりも強くて、長く続く刺激でなければならない。それは必然的に、同じ種目であっても、アシストをも必要とするフォースド・レプスやマルティ・パウンデッジ・システムの採用となったり、チーティング・スタイルの採用となってくる。
これらのシステムの採用は、筋収縮の原理から言えば、エクセントリック・コントラクション(ネガディブ・ワーク-伸張性筋収縮)を採用することにより、コンセントリック・コントラクション(ポジティブ・ワーク-短縮性筋収縮)より大きな筋運動(約30%)ができるので、負荷効率がよくなる。
〈B〉上級者のトレーニング・コース例
上級者はトレーニング種目も増えて、より個性的になるので、コースは3コースが必要になってくるが、コースの中で特に他の運動に支障をきたさない腹筋は、随時行うようにして、あらかじめコースから除いておくようにするのが特色である。
◆Aコース-胸・上背・上腕屈筋・前腕
〈胸〉 ①ベンチ・プレス(補助付)
②バタフライ・エクササイズ(減量法)
③インクライン・プレス(補助付)
④バー・ディップス(重量付)
〈上背〉 ①チンニング(重量付)
②ラット・マシン・プル・イン(減量法、充血法)
③ストレート・アーム・プル・ダウン(減量法、充血法)
④ワン・ハンド・ローイング
〈上腕屈筋〉①バーベル・カール(補助付)
②プリーチャー・ベンチ・カール(補助付)
③インクライン・ダンベル・カール
④コンセントレーション・カール(片手補助)
◆Bコース-肩・上腕伸筋・下背
〈肩〉 ①フロント・プレス(高重量)
②サイド・レイズ(補助付)
③シーテッド・バック・プレス(補助付)
④アップ・ライト・ローイング
〈上腕伸筋〉①ライイング・トライセプス・プレス
②ラット・マシン・プレスダウン(減量法)
③ナロー・グリップ・トライセプス・プレス(補助付)
〈下背〉 ①デッド・リフト(パワー・セット、充血法)
②ショルダー・シュラッグ(充血法)
③バック・エクステンション(減量法)
◆Cコース-臀部・大腿部・下腿部・頸部
〈臀部〉 ①スクワット(パワー・セット、高重量)
〈大腿部〉 ②ナロー・スタンス・スクワット(補助付)
③レッグ・エクステンション(減量法)
④レッグ・カール(減量法)
〈下腿部〉 ①カーフ・レイズ
②シングル・レッグ・カーフ・レイズ
〈頸部〉 ①レスラー・ブリッジ
◆その他(随時)-腹部・ランニング
以上、上級者のトレーニング・コース例を示したが、これはあくまでも一般的な基本パターンであるので、これを基に各人に合った内容でもってシステムを確立するようにしていただきたい。
◆Aコース-胸・上背・上腕屈筋・前腕
〈胸〉 ①ベンチ・プレス(補助付)
②バタフライ・エクササイズ(減量法)
③インクライン・プレス(補助付)
④バー・ディップス(重量付)
〈上背〉 ①チンニング(重量付)
②ラット・マシン・プル・イン(減量法、充血法)
③ストレート・アーム・プル・ダウン(減量法、充血法)
④ワン・ハンド・ローイング
〈上腕屈筋〉①バーベル・カール(補助付)
②プリーチャー・ベンチ・カール(補助付)
③インクライン・ダンベル・カール
④コンセントレーション・カール(片手補助)
◆Bコース-肩・上腕伸筋・下背
〈肩〉 ①フロント・プレス(高重量)
②サイド・レイズ(補助付)
③シーテッド・バック・プレス(補助付)
④アップ・ライト・ローイング
〈上腕伸筋〉①ライイング・トライセプス・プレス
②ラット・マシン・プレスダウン(減量法)
③ナロー・グリップ・トライセプス・プレス(補助付)
〈下背〉 ①デッド・リフト(パワー・セット、充血法)
②ショルダー・シュラッグ(充血法)
③バック・エクステンション(減量法)
◆Cコース-臀部・大腿部・下腿部・頸部
〈臀部〉 ①スクワット(パワー・セット、高重量)
〈大腿部〉 ②ナロー・スタンス・スクワット(補助付)
③レッグ・エクステンション(減量法)
④レッグ・カール(減量法)
〈下腿部〉 ①カーフ・レイズ
②シングル・レッグ・カーフ・レイズ
〈頸部〉 ①レスラー・ブリッジ
◆その他(随時)-腹部・ランニング
以上、上級者のトレーニング・コース例を示したが、これはあくまでも一般的な基本パターンであるので、これを基に各人に合った内容でもってシステムを確立するようにしていただきたい。
月刊ボディビルディング1985年2月号
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