第1回全日本ジュニア パワーリフティング選手権大会
月刊ボディビルディング1982年7月号
掲載日:2018.12.04
5月2日 於・名城大学第2体育館
大会実行委員長 鈴木 正之
ボディビル,パワーリフティングを含むウェイト・トレーニングの普及と共に,その競技人口も急激に増加してきたが,比較的トレーニング経験の浅い若人にその発表の機会がなかったので,日本パワーリフティング協会は,20歳未満の選手を対象として,去る5月2日,名城大学において第1回全日本ジュニア・パワーリフティング選手権大会を開催したところ,全国から48名の選手が集まり,予想以上の盛大な大会となった。
全日本ジュニア選手権としては第1回大会であったためこれまでのジュニア記録が低かったこともあって,記録ラッシュとなり種目別36,トータル15の新記録が生まれ,ようやく記録らしい記録となってきた。このジュニア選手権も回を重ねるにしたがい,若い選手の目標となり,今後ますます内容が充実し,将来この中から口本のパワーリフティング界を背おって立つリフターが必ず育ってくることを確信した。
各クラスの優秀選手を追ってみると,52kg級では,岡崎城西高校の佐々木選手かリフター向きの素質を生かし,腰痛で練習不足ながら,2位の奥野浩治選手をトータルで50kg近く引きはなし, 320kgのジュニア日本新で優勝。
56kg級は目標となったジュニア記録(290kg)が低かったので記録ラッシュとなり,4名の選手が新記録を作った。中でも最優秀選手となった岡崎城西高の加藤紀正選手は,全種目に記録を書きかえ,トータルで2位以下に60kg以上の大差をつけ, 375kgで優勝した。とくに加藤選手のデッド・リフトは素晴らしく,特別試技での160kgが光った。なお,加藤選手にはJPA賞が授与された。
60kg級はジュニア日本記録が400kgと高かったため,日本記録は出なかった。2種目か終った時点で,大同工大の木村選手が2位以下を10kg以上リードしていたが,最後のデッド・リフトで姫路高校の喜多選手が150kgを引き,一気に逆転してしまった。喜多選手のパワーリフティングに対する情熱と試合態度には高校生ばなれしたものがあり,将来の有望選手である。またこの逆転剩は,デッド・リフトを制するものがパワーを制する,という諺を現実に見せつけてくれたものといえよう。
67.5kg級は,3種目にバランスのとれた強さを持つ名城大学の河内裕彦選手が,各種目で好記録をマークし,トータル420kgで優勝した。2位には,高校生ながらデッド・リフトで162. 5kgのジュニア記録を作り,トータル392.5kgを出した岡崎城西高の山本一郎選手が入った。
75kg級は,トータル400kg以上出した選手が5名というハイ・レベルの激戦となったが,西友ストアーの中村寛選手が475kgを出し, 467.5kgの明大中野高の荒瀬順隆選手が激しく追い上げたか及ばなかった。荒瀬選手はデッド・リフトの2回目,3回目で190kgを成功すれば逆転優勝できたのに,何故か200kgに挑戦して2回とも失敗し,優勝を逃がしたが,試合のかけひきという面で研究の余地があろう。
75kg以上級では,今大会最高記録490kgを出した和光大学の渡辺実選手が楽勝。なお,渡辺選手はジュニアでは初めて200kg台のデッド・リフトに成功した。
今大会を通じて感じたことは,大会に馴れていない選手が多かったので,次のような点がとくに目についた。
①合図の前に動作を開始してしまう。②ダウンの合図を聞かない。③試合のかけひきをしない。④ウォーム・アップの本数を数えない。⑤バンテージを巻くタイミングが悪い。⑥精神集中をやらないで,コールされるとすぐ試技を開始する。⑦パワー3種日の基本フォームがまだ充分にできていない。
以上が,私が本部席で見ていて感じたことである。今後若いリフターは,できるだけ試合を体験し,諸先輩の良い手本を見習って立派なリフターに育ってほしい。
最後にこの大会のために東京から朝早くかけつけてくれた斎藤JPA理事長をはじめ,大会役員,審判をつとめていただいた愛知県協会の役員の方々,そして大会準備から運営にいたるまで,すべてを担当してくれた名城大学ボディビル部員の諸君に厚く御礼申し上げます。
全日本ジュニア選手権としては第1回大会であったためこれまでのジュニア記録が低かったこともあって,記録ラッシュとなり種目別36,トータル15の新記録が生まれ,ようやく記録らしい記録となってきた。このジュニア選手権も回を重ねるにしたがい,若い選手の目標となり,今後ますます内容が充実し,将来この中から口本のパワーリフティング界を背おって立つリフターが必ず育ってくることを確信した。
各クラスの優秀選手を追ってみると,52kg級では,岡崎城西高校の佐々木選手かリフター向きの素質を生かし,腰痛で練習不足ながら,2位の奥野浩治選手をトータルで50kg近く引きはなし, 320kgのジュニア日本新で優勝。
56kg級は目標となったジュニア記録(290kg)が低かったので記録ラッシュとなり,4名の選手が新記録を作った。中でも最優秀選手となった岡崎城西高の加藤紀正選手は,全種目に記録を書きかえ,トータルで2位以下に60kg以上の大差をつけ, 375kgで優勝した。とくに加藤選手のデッド・リフトは素晴らしく,特別試技での160kgが光った。なお,加藤選手にはJPA賞が授与された。
60kg級はジュニア日本記録が400kgと高かったため,日本記録は出なかった。2種目か終った時点で,大同工大の木村選手が2位以下を10kg以上リードしていたが,最後のデッド・リフトで姫路高校の喜多選手が150kgを引き,一気に逆転してしまった。喜多選手のパワーリフティングに対する情熱と試合態度には高校生ばなれしたものがあり,将来の有望選手である。またこの逆転剩は,デッド・リフトを制するものがパワーを制する,という諺を現実に見せつけてくれたものといえよう。
67.5kg級は,3種目にバランスのとれた強さを持つ名城大学の河内裕彦選手が,各種目で好記録をマークし,トータル420kgで優勝した。2位には,高校生ながらデッド・リフトで162. 5kgのジュニア記録を作り,トータル392.5kgを出した岡崎城西高の山本一郎選手が入った。
75kg級は,トータル400kg以上出した選手が5名というハイ・レベルの激戦となったが,西友ストアーの中村寛選手が475kgを出し, 467.5kgの明大中野高の荒瀬順隆選手が激しく追い上げたか及ばなかった。荒瀬選手はデッド・リフトの2回目,3回目で190kgを成功すれば逆転優勝できたのに,何故か200kgに挑戦して2回とも失敗し,優勝を逃がしたが,試合のかけひきという面で研究の余地があろう。
75kg以上級では,今大会最高記録490kgを出した和光大学の渡辺実選手が楽勝。なお,渡辺選手はジュニアでは初めて200kg台のデッド・リフトに成功した。
今大会を通じて感じたことは,大会に馴れていない選手が多かったので,次のような点がとくに目についた。
①合図の前に動作を開始してしまう。②ダウンの合図を聞かない。③試合のかけひきをしない。④ウォーム・アップの本数を数えない。⑤バンテージを巻くタイミングが悪い。⑥精神集中をやらないで,コールされるとすぐ試技を開始する。⑦パワー3種日の基本フォームがまだ充分にできていない。
以上が,私が本部席で見ていて感じたことである。今後若いリフターは,できるだけ試合を体験し,諸先輩の良い手本を見習って立派なリフターに育ってほしい。
最後にこの大会のために東京から朝早くかけつけてくれた斎藤JPA理事長をはじめ,大会役員,審判をつとめていただいた愛知県協会の役員の方々,そして大会準備から運営にいたるまで,すべてを担当してくれた名城大学ボディビル部員の諸君に厚く御礼申し上げます。
〔56kg級優勝・加藤紀正選手〕
第1回全日本ジュニア・パワー選手権大会成績表
〔60kg級優勝・喜多充信選手〕
〔67.5kg級優勝・河内裕彦選手〕
〔75kg以上級優勝・渡辺 実選手〕
〔75kg級優勝・中村 寛選手〕
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