フィジーク・オンライン

新ボディビル講座
ボディビルディングの理論と実際<34>
第6章 トレーニング種目

この記事をシェアする

0
月刊ボディビルディング1983年12月号
掲載日:2021.01.12
名城大学教授 鈴木正之

Ⅱ.上腕三頭筋の運動<その4>
◎チェスト・ウェイト・マシン系の上腕三頭筋の運動(前号つづき)

《16》スタンディング・フェイス・アウェイ・ワン・ハンド・フレンチ・プレス・オン・ロー・プーリー(通称:スタンディング・ワン・ハンド・フレンチ・プレス、中級者)[図16]

<かまえ>片手でハンドルを握り、耳横にかまえる。もう一方の手でハンドル側の上腕を押える。
<動作>ハンドルを握った腕を伸ばしつつ、ハンドルを頭上に押し上げる。
<注意点>他のフレンチ・プレス同様、立つ位置はロー・プーリーの場所よりもやや前に出て行なうようにする。プレス方向は頭のややうしろの方にし、重心を少し前に出すようにする。なお、アンダー・グリップで行なってもよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図16]スタンディング・ワン・ハンド・フレンチ・プレス

[図16]スタンディング・ワン・ハンド・フレンチ・プレス

《17》スタンディング・ベント・オーバー・ワン・ハンド・トライセプス・エクステンション・オン・ロー・プーリー(通称:ベント・オーバー・トライセプス・エクステンション、中級者)[図17]

<かまえ>片手でハンドルを握り、反対側の手でバンドル側の上腕を押さえ、上体を前に倒してかまえる。
<動作>肘を伸ばしながら、腰横までハンドルを押し出す。
<注意点>エクステンション系の運動は、肘関節90度より伸展方向に向かって刺激を受けることになる。つまり、三頭筋のピークを作りあげるのに有利である。特にこのベント・オーバーの運動は、かまえと肘方向をコントロールしやすいので、次項の種目と組み合わせて、三頭筋の長頭、外側頭を考慮して行なうようにするとよい。この場合は、肘をしめやすいので、当然、長頭側に意識を集中する。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋(長頭)。
[図17]ベント・オーバー・トライセプス・エクステンション

[図17]ベント・オーバー・トライセプス・エクステンション

《18》スタンディング・ベント・オーバー・コンセントレーション・トライセプス・プレス・オン・ハイ・プーリー(通称:ベント・オーバー・トライセプス・プレス、中級者)[図18]

<かまえ>片手でハンドルを握り、反対側の手でハンドル側の上腕をおさえ、プーリーに対して横向きに立ち、上体を前に倒してかまえる。このとき、肘を大腿部内側に固定してもよい。
<動作>肘を伸しながら外側方向にハンドルを押し出す。
<注意点>上腕三頭筋のコンセントレーション運動であると共に、外側頭側にピークを求める方法である。さらに強く正確な運動を行なう場合は、ハンドル側の大腿部内側に肘をしっかりと固定し、肘の動きを固定すれば、コンセントレーションがより強まる。なお、肘方向は外側に向いているように注意する。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋(外側頭)。
[図18]ベント・オーバー・トライセプス・プレス

[図18]ベント・オーバー・トライセプス・プレス

《19》シーテッド・フェイス・アウェイ・ワン・ハンド・フレンチ・プレス(通称:シーテッド・ワン・ハンド・フレンチ、中級者)[図19]

<かまえ>ベンチに腰かけ、片手でハンドルを握り、頭の耳横にかまえる。反対側の手はハンドル側の腋の下に置く。
<動作>肘を伸ばしながら頭上に押し上げる。
<注意点>ベンチをロー・プーリーより1mくらい前に出して腰かけ、上体が後方に引かれないように、やや前に倒す。反対側の手はぶらぶらさせないで、意識集中を高めるため、ハンドル側の腋を押さえるようにする。グリップはアンダー・グリップで行なってもよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図19]シーテッド・ワン・ハンド・フレンチ

[図19]シーテッド・ワン・ハンド・フレンチ

《20》ニーリング・コンセントレーション・トライセプス・プレス・オン・ハイ・プーリー(通称:コンセントレーション・トライセプス・プレス、上級者)[図20]

<かまえ>片手でハンドルを握り、反対側の手でハンドル側の上腕を押さえ、プーリーに対して45度方向に片膝をつき、上体をやや前に倒してかまえる。
<動作>肘を伸ばしながら、斜め下方にハンドルを引き下ろす。
<注意点>片膝をつくかわりに、ベンチか椅子に腰かけて行なってもよい。運動方法はベント・オーバーの場合と「似ているが、この運動の場合は、肘方向が自由にコントロールされるよう、じゃまになるハンドル側の膝を逃がしている。より正確に行なう場合には、ハンドル側の大腿部を立てて、その内側に肘を固定して行なってもよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図20]コンセントレーション・トライセプス・プレス

[図20]コンセントレーション・トライセプス・プレス

《21》スタンディング・タオル・フレンチ・プレス・オン・ロー・プーリー(通称:タオル・フレンチ・プレス、中級者)[図21]

<かまえ>ハンドルにタオルを通して握り、頭のうしろにかまえる。姿勢は立位(スタンディング)でも坐位(シーテッド)でも、どちらでもよい。
<動作>肘を伸ばしながら、握ったタオルを頭上に引き上げる。
<注意点>人間の上肢の良性肢位(自然な状態)は、トレーニングの面からはパームイン(手掌が向き合う形)に近い状態である。つまり、この状態が、肘や肩に不快感がなく、最も力を入れやすい肢位ということになる。そして、タオルを利用するということは、上述の自然な肢位の状態で運動できることを意味している。なお、握力が弱い人は、タオルの先端にコブを作るか、輪を作っておくとよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図21]タオル・フレンチ・プレス

[図21]タオル・フレンチ・プレス

◎その他の上腕三頭筋の運動

 上腕三頭筋に刺激を与える運動種目は、バーベルや各種マシンを使った運動以外にもたくさんある。たとえば、プッシュ・アップや、リバース・プッシュ・アップは、手幅を狭くすることにより目的を達成できるし、簡単なベンチや椅子、タオルなどを利用しても上腕三頭筋に刺激を与えることができる。
 プッシュ・アップ系の種目は、すでに胸の運動のところで述べたので、ここではタオルを利用するものと、ベンチを利用するものを紹介しておく。

《22》フェイス・ダウン・フリー・ハンド・トライセプス・エクステンション(通称:フェイス・ダウン・トライセプス・エクステンション、初級者)[図22]

<かまえ>フラット・ベンチの角に両手をつき、顔をベンチの下に入れる。足の位置は、体力に応じて近くにするか遠くにするか決める。
<動作>両手でベンチを押しつけるように肘を伸ばしながら、上体をうしろ上方に押し上げる。
<注意点>最も注意することは肘の外側への開きである。肘を開くと、大胸筋や三角筋の力を借りることになるので、肘を締め、三頭筋でベンチを押さえるような気持で行なうこと。動作は簡単なので、初心者でもできるが、負荷が大きいので補助が必要となる。補助は、ウエストにベルトか帯を巻き、それを引き上てげもらうようにするとよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図22]フェイス・ダウン・トライセプス・エクステンション

[図22]フェイス・ダウン・トライセプス・エクステンション

《23》スタンディング・タオル・フレンチ(上級者)[図23]

<かまえ>タオルの中心を握って背中に垂らす。補助者は背中のタオルを握り、軽く下方に引くようにかまえる。
<動作>補助者の引く力に抵抗しながら、握ったタオルを上方に引き上げる。
<注意点>この運動の場合の注意点は、実施者より補助者にある。補助者は実施者の力を見極めつつ、上下運動が同じスピードでリズミカルに行なわれるよう、力の配分を考えなければならない。力の配分は、実施者が引き上げるときはゆるく、おろすときは強くするようにする。また、補助者はニーリング、あるいはシーテッドでもって行なってもよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図23]スタンディング・タオル・フレンチ

[図23]スタンディング・タオル・フレンチ

《24》ニーリング・タオル・フレンチ・プレス(上級者)[図24]

<かまえ>前項同様。
<動作>前項同様。
<注意点>前項同様。実施者のタオルの握り方は、オーバー・グリップでもアンダー・グリップでもよい。
<作用筋>主働筋……上腕三頭筋。
[図24]ニーリング・タオル・フレンチ・プレス

[図24]ニーリング・タオル・フレンチ・プレス

Ⅲ.上腕二頭筋(バイセプス)の運動

 人が自分の力を誇示するときに、上腕を曲げて力こぶをつくって見せる筋肉が上腕二頭筋である。上腕の前面は3つの筋群(上腕二頭筋、上腕筋、鳥口腕筋)からなり、そのうちの主力となるのが上腕二頭筋で、二頭をもって肩甲骨から起こり、撓骨に付着し、前腕を肘で曲げる役目をしている。
 この筋肉の大きな特色は、日常生活における使用効率の高い機能的問題だけでなく、物的に腕が太い、細いというだけで、男性としての自信と評価にもつながる精神的にも大きな意義のある筋肉と言えることである。また、ボディビルダーにとっては、限りない発達を求めてやまない主要な筋肉である。
 上腕二頭筋は日常生活でよく使用されているので、運動しやすく、また刺激を与えやすい筋肉で、この点が、ふだんあまり使用されていない大胸筋や広背筋、腹筋などと違うところである。そのような点から見れば、刺激馴れしているということになるから、それを克服するためには、十分な意識集中と合理的な強い刺激を与えてやらなければない。トレーニングの初期においては、基本的方法で十分であるが、経験を積むにしたがい、それぞれのレベルに応じて筋肉自体の特徴を把握し、攻撃方法に工夫をこらさなければならない。
 ひと口に上腕二頭筋の運動といっても、長頭(外側)、短頭(内側)への刺激方法、さらに筋の長さの問題である上と下の刺激方法、そしてピークの作り方など、いくつものポイントがあるので、上級者になればなるほど、十分な知識と工夫が必要となる。

《1》スタンディング・ツー・ハンド・バーベル・カール(通称:バーベル・カール、初級者)[図1]

<かまえ>アンダー・グリップでバーベルを持ち、大腿部の前にかまえる。
<動作>上腕二頭筋を意識しながら肘を曲げ、手首より巻き込むように顎の下まで上げる。下ろすときは、ゆっくりとエクセントリック・コントラクション(伸張性筋収縮)を採用して下ろす。(以後、カール系運動は全てエクセントリック・コントラクションを採用のこと)
<注意点>この運動は、初心者より上腕二頭筋のトレーニング法として導入され、上級者まで続く最もスタンダードな運動である。初心者はストリクト・スタイルを中心として動作を正確におぼえ、上級者になるにしたがい、チーティング・スタイルやフォースド・レプス、マルテイ・パウンデッジなどを採用し、筋肉に与える刺激に変化をもたせるようにする。
<作用筋>主働筋…….上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群。
[図1]バーベル・カール

[図1]バーベル・カール

《2》スタンディング・オーバー・グリップ・バーベル・カール(通称:オーバー・グリップ・カール、初級者)[図2]

<かまえ>オーバー・グリップでバーベルを持ち、大腿部の前にかまえる。
<動作>肘を曲げながら、手首から巻き込むように顎の下まで巻き上げる。
<注意点>オーバー・グリップの場合は、腕橈骨筋から上腕二頭筋長頭への刺激を目的としているので、リストを背面側に曲げながら、上腕の外側を意識する。後半においては、肘を前方に出しすぎないように注意する。カール系運動で肘を前方に出し過ぎるということは、三角筋の関与を受けたということであって、しかも力学的抵抗をなくす意味を持つので、他のカール運動においても注意する。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……腕橈骨筋。
[2図]オーバー・グリップ・カール

[2図]オーバー・グリップ・カール

《3》スタンディング・ベント・オーバー・バーベル・カール(通称:ベント・オーバー・カール、中級者)[図3]

<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、上体を前に倒してかまえる。
<動作>上体を前に倒した姿勢から、上腕二頭筋で巻き込むようにバーベルを顎まで上げる。
<注意点>上体を前に倒すということは、二頭筋の最大収縮時に、最大負荷がかかるようにすることなので、二頭筋のピークをつくるのに有効な運動といえる。特に注意することは、肘を後ろに逃がさないように、ストリクト・スタイルでもって行なわなければならない。肘を後ろに引くことは、広背筋が運動に関与するということなので注意すること。また、フィニッシュで肘を前に出し過ぎないように気をつけること。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……固有背筋、前腕屈筋群。
[図3]ベント・オーバー・カール

[図3]ベント・オーバー・カール

《4》スタンディング・カーリング・ベンチ・ミディアム・グリップ・バーベル・カール(カーリング・ベンチ・バール・カール、中級者)[図4]

<かまえ>バーベルをアンダー・グリップで持ち、カーリング・ベンチに腕をのせ、下前方に腕を伸ばしてかまえる。このかまえのとき、ナロー・グリップとワイド・グリップで持ってかまえる方法もある。
<動作>バーベルをゆっくり巻きあげ、おろすときはバーベルを遠くに置くように、ゆっくり元に戻す。
<注意点>この場合のベンチ角度は、45度を利用して行なっているが、次項のように90度で行なう場合もあるが、いずれの場合もカーリング・ベンチの上端にしっかりと腋を入れ、肘を遠くに伸ばすようにゆっくりおろすことが大切である。45度の場合は、下段から中間位にかけて強い刺激があり、とくに上腕二頭筋の短い人はこの方法を採用し、長い二頭筋を作るようにするとよい。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群。
[図4]カーリング・ベンチ・バーベル・カール

[図4]カーリング・ベンチ・バーベル・カール

《5》スタンディング・カーリング・ベンチ・ワイド・グリップ・バーベル・カール(通称:カーリング・ベンチ・ワイド・グリップ・カール、中級者)[図5]

<かまえ>握り幅を広くしてバーベルを持ち、カーリング・ベンチに乗っかるように胸を当て、腕を下方に伸ばしてかまえる。
<動作>上腕二頭筋の外側(長頭)に効かすように、ゆっくりと肘の曲げ伸ばしをする。
<注意点>ベンチの角度が45度の場合も、90度の場合も、グリップ幅を変えることにより、二頭筋の内外側に与える刺激に変化をもたせる。また、角度を90度にすることにより、二頭筋の中間屈曲位からフィニッシュにかけて強い刺激が加わる。このことは、二頭筋のピークをつくるのに向いている方法であるといえる。したがって、カーリング・ベンチを購入するときは、45度と90度の両面が使用できるものを選択することが大切である。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群。
【図5]カーリング・ベンチ・ワイド・グリップ・カール

【図5]カーリング・ベンチ・ワイド・グリップ・カール

《6》スタンディング・カーリング・ベンチ・オーバー・グリップ・バーベル・カール(通称:カーリング・ベンチ・オーバー・グリップ・カール、中級者)[図6]

<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、カーリング・ベンチに上腕を乗せ、前下方に肘を伸ばしてかまえる。なお、バーの握り幅は、ワイド・グリップとナロー・グリップの方法もある。
<動作>バーベルをゆっくり手首より巻き上げ、ゆっくり元の位置に戻す。
<注意点>腕橈骨筋を含めた前腕屈筋群の発達を促すにはオーバー・グリップで行なうのがよい。また、ワイド・グリップの場合は上腕二頭筋から腕橈骨筋にかけて刺激が強くなり、ナローになるにしたがい、前腕屈筋と二頭筋の短頭へ刺激が移行する。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……腕橈骨筋。
[図6]カーリング・ベンチ・オーバー・グリップ・カール

[図6]カーリング・ベンチ・オーバー・グリップ・カール

《7》シーテッド・ミディアム・グリップ・バーベル・カール(通称:シーテッド・カール、初級者)[図7]

<かまえ>アンダー・グリップでバーベルを持ち、ベンチまたは椅子に腰かけて、大腿部の上にかまえる。
<動作>かまえた姿勢から、肘を曲げながら、バーベルを巻き込むように上げる。
<注意点>腰かけることにより、腰の反動が使えなくなるので、必然的にストリクト・スタイルになる。また、肘関節が屈曲状態からのスタートとなるので、ハーフ・レインジによる上腕二頭筋のピークを求めるように動作を行なう。その他、グリップは目的によりナロー、ワイドを使い分ける。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋補助筋……前腕屈筋群。
[図7]シーテッド・カール

[図7]シーテッド・カール

《8》ニーリング・ワイド・グリップ・バーベル・カール(通称:ニーリング・バーベル・カール、中級者)[図8]

<かまえ>アンダー・グリップでバーベルを持ち、膝をついて腰の位置にかまえる。
<動作>かまえの姿勢から、肘を曲げながらバーベルを巻き込むように上げる。
<注意点>膝をつくことにより、ストリクト・スタイルで動作を行ない、さらに刺激を強めるためには、ニーリングでオール・アウトしたら、立ち上がってチーティング・スタイルに移行し、反復を継続するとよい。
 グリップ幅は、前項と同様にナロー、ワイドを目的に合わせて使い分けるとよい。また、グリップもオーバー・グリップでもって行なう方法もある。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群(腕橈骨筋)。
[図8]ニーリング・バーベル・カール

[図8]ニーリング・バーベル・カール

《9》インクライン・ミディアム・グリップ・バーベル・カール(通称:インクライン・バーベル・カール、中級者)[図9]

<かまえ>アンダー・グリップでバーベルを持ち、インクライン・ベンチに腰かけ、大腿部の上にかまえる。背はベンチにもたれかけて、胸を張り出す。
<動作>上腕を固定し、ゆっくり肘を曲げてカールする。
<注意点>背はインクラインに固定した姿勢を保持し、上体を前に屈したり、肘を前に出したりしないこと。カーリング・ベンチと同様に、動作初期に刺激効果が大きいので、90度までがとくに大切な動作となる。グリップは目的に合わせてオーバー・グリップやナロー、ワイドなどを使い分ける。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群。
[図9]インクライン・バーベル・カール

[図9]インクライン・バーベル・カール

《10》インクライン・フェイス・フォワード・ミディアム・グリップ・バーベル・カール(通称:インクライン・フェイス・バーベル・カール、中級者)[図10]

<かまえ>アンダー・グリップでバーベルを持ち、インクラインの台座に膝を置き、ベンチの裏側にバーベルをおろしてかまえる。
<動作>胸をベンチにつけ、上体を固定した状態から、肘を曲げてカール運動をする。
<注意点>カーリング・ベンチの90度の場合と同じように肘関節90度からが強い刺激を受けるので、この位置にポイントを置き、上腕二頭筋のピークを作る目的でもって行なうようにする。その他、オーバー・グリップとナロー、ワイドを使い分けて実施する。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群。
[図10]インクライン・フェイス・バーベル・カール

[図10]インクライン・フェイス・バーベル・カール

《11》ライイング・ミディアム・グリップ・バーベル・カール・オン・ハイ・フラット・ベンチ(通称:ライイング・カール、上級者)[図11]

<かまえ>アンダー・グリップでバーベルを持ち、高いフラット・ベンチに伏臥し、下に腕を伸ばしてかまえる。
<動作>下垂した腕を曲げながら、バーが顎につくように巻き上げる。
<注意点>90度のカーリング・ベンチと同様に、屈曲中間位から後半にかけて刺激が強くなるので、上腕二頭筋のピークを作る目的で行なうとよい。特に注意することはカールの後半に肘を前に出さないように気をつけることである。この運動の場合のグリップは、ワイドはあまり用いず、ナローを有効に使うとよい。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……前腕屈筋群。
[図11]ライイング・カール

[図11]ライイング・カール

《12》ライイング・オーバー・グリップ・バーベル・カール・オン・ハイ・フラット・ベンチ(通称:ライイング・オーバー・グリップ・カール、上級者)[図12]

<かまえ>オーバー・グリップでバーベルを持ち、ハイ・フラット・ベンチに伏臥し、下に腕を伸ばしてかまえる。
<動作>下垂した腕を曲げながら、バーが顎につくように巻き上げる。
<注意点>前項同様、90度の中間位から刺激が強くなる。この時、リストから巻き上げてこないと腕橈骨筋への抵抗が少なくなり、背面側のリストの強化ができなくなるので注意する。
<作用筋>主働筋……上腕二頭筋、補助筋……腕橈骨筋。
[図12]ライイング・オーバー・グリップ・カール

[図12]ライイング・オーバー・グリップ・カール

月刊ボディビルディング1983年12月号

Recommend