フィジーク・オンライン
Weekly Monthly Shopping

なんでもQ&Aお答えします 1984年1月号

この記事をシェアする

0
月刊ボディビルディング1984年1月号
掲載日:2021.01.15

フロント・プレスを行うと腰が痛むが体質的にボディビルが合わないのでは

Q 体位表をごらんになれば解ると思いますが、生まれつきの貧弱なからだをなんとか逞しくしたいと思い、1ヵ月前に自宅でトレーニングを始めました。

≪体位≫
身長 173.5cm 上腕囲 26.5cm
体重 56kg  前腕囲 29cm
胸囲 81cm  大腿囲 48cm
腹囲 69cm  下腿囲 34cm

 専門のトレーナーの指導は受けていませんが、参考書や雑誌を参考にして後述のスケジュールでトレーニングしています。しかし、トレーニング後の疲労感がかなり強烈で、翌日にも疲れが残ります。また、トレーニングを始めた日から現在まで、フロント・プレスを行なっているときに、なぜか腰が痛くなります。
 初めのうちは、腰が痛くなるのは自分に体力がないからであろうと簡単に考え、トレーニングを続けていけば腰が強くなり、痛みも感じなくなるものと思っていました。
 しかし、1ヵ月を経過した現在も一向に痛みがなくならず、かえってひどくなっていくような気がして心配になっています。からだを逞しくしたい一心でボディビルを始めたのですが、こんな具合でやめなければならないとすれば残念でしかたがありません。
 トレーニングした翌日は疲れが残るだけで、別段、体力が強くなってきている感じもしないし、もともと私にはボディビルは向いていないのではないかと考えられます。
記事画像1
A 体格が生まれつき貧弱な人にはボディビルは不向きなのではないかということですが、絶対にそのようなことはありません。いかに体格が貧弱であっても、医学的に運動が禁止されるような疾患がないかぎり、ボディビルを行なってもさしつかえなく、正しい方法でトレーニングを続けていけば、必ずそれなりの効果が期待できます。
 あなたの場合、ボディビルを始めて以来、ただ、からだが疲れるだけで、少しも効果が得られないということですが、それというのもトレーニングのやり方に問題があったからではないかと思います。現在、あなたが行なっておられるトレーニングの内容は、正直にいって、いまのあなたには過度なものであるといえます。
 ボディビルのトレーニングというものは、それを行う者にとって適度であらねばなりません。それがボディビルの最も重要な原則です。したがって、これからは、あなたもそこのところをよく考えてトレーニングを行うようにしてください。
 では、今後、どのような点に注意してトレーニングの内容を改めていけばよいかという点について述べることにします。

<1>トレーニング量

 現在のトレーニング量は、いまのあなたにはどう考えても多すぎると思われます。欲ばって、トレーニングの量を多くしすぎると、体力が過度に消耗してしまい、かえって効果が得られなくなります。したがってこの際、思いきって運動の数を減らすのがよいでしょう。現在のあなたの体格からすれば6種目以内、できれば4~5種目くらいに減らすのがよいかと思われます。

<2>使用重量

 使用重量は所定の回数(たとえば8回)を正しい姿勢と正確な動作で反復し、なおかつ、もう2回くらいは反復できそうな余裕のある重量を使うのがよいといえます。初心者の段階では、この程度の使用重量で十分に効果が得られます。したがっていたずらに余裕のない重量を使用して、体力を過度に消耗させることのないように留意してください。

<3>運動のフォーム

 運動は常に正しい姿勢と正確な動作で行うことが大切です。反動を使って行う運動の仕方(チーティング・スタイル)もありますが、初心者の段階では、そのような方法で行うのは慎むべきです。
 あなたは体格の割に重い重量を使って運動を行なっておられるようなので、運動の姿勢と動作に問題があるのではないかとも考えています。
 もしも、使用重量が重すぎるために、運動のやり方が不正確になっているようであれば、ただちにそれを改める必要があります。重い重量を無理に使用しても、運動のやり方が不正確では目的とする部位に刺激を的確に与えることが難しくなってしまいます。

 それでは次に、フロント・プレスによる腰痛の問題について考えてみることにしましょう。しかし、一応、腰に異常がないかどうか医師の診断を受けるようにしてください。その上で、別に異常がないというのであれば、試みに、次に示す点に留意してフロント・プレスを行なってみてください。

◆フロント・プレスにおける要点

 バーベルを挙上したときに、ウェイトが腰椎よりも後ろにかからないように留意する。
 バーベルを挙上したときに、図Aのように腹部を前へ出っぱらせると腰椎に不当な負担がかかるので、腰を痛めることがあります。したがって、腰を痛めないためには、バーベルを挙上したときに、胸をいくぶん前へ出すようにしてウェイトを保持するのがよいやり方です。
記事画像2

マンネリを打破するためにハード・トレーニングを実施したいが

Q ボディビル歴は約3年です。トレーニング年数の割には体位と筋力があまり向上していないようです。開始時と現在の体位、及びトレーニング・スケジュールについては後に記しますが、次の質問にお答えください。
<1>伸び悩みを解消するには、もっとハードなトレーニングを行う必要があるでしょうか。
<2>ハードなトレーニングとは、具体的にいってどのくらいの体力的な負担を強いるトレーニングを指していうのでしょうか。
<3>ハード・トレーニングの方法としては、具体的にいってどのような方法があるでしょうか。
<4>もしも私がハード・トレーニングを行うとすれば、どのような方法で行うのがよいでしょうか。
記事画像3
(岡山県 伊藤浩司 会社員 26歳)
A 質問にお答えするまえに、あなたが現在までに得たトレーニングの成果が、3年という修練年月からみて、果たして妥当であるかどうか、また、そのことに関連して、あなたが現在実行しておられるトレーニング・スケジュールが適切であるかどうか、それらについて検討してみたいと思います。
 トレーニングによる成果が妥当なものであるか否かを判断するには、他の人のそれと比較することのみにとらわれないで、実施者自身の個別性を重視した見地から検討しなければなりません。しかし、あなたの場合、はっきりいって、3年という修練年月を経たにしては、その成果が少なすぎる感がします。
 あなたの体質がどのようなものであるのかは分りませんが、筋力の面でもまた体位の面でも、その成果は順当なものとはいいがたいようです。おそらく、トレーニングの仕方や栄養、および休養の取り方などにおいて不適、かつ不備な点があったのでしょう。
 といっても、なにが原因かについては、あなたの文面だけでは資料不足なので、はっきりと指摘できません。
 しかし、ただひとつ言えることは、現在実行しておられるトレーニング・スケジュールは、量的にいって、いまのあなたには多すぎると思います。
 トレーニングの効果というものは、トレーニングの量を増やしさえすればそれで単純に得られるといったものではありません。
効果を得るには、常に自己の体力とからだの発達度合を考慮して、質、量ともに適切と考えられる範囲でトレーニングを行うようにしなければなりません
 卒直にいって、あなたの筋力とからだの発達度合は、初歩の段階を完全に脱したとはいい難いので、まだしばらくの間は基本的なトレーニングを行う必要があると思われます。
 したがって、この際、不満はあるでしょうが、もう一度初心にかえり、トレーニングの量を減らし、基本からやり直すようにされるのがよいと思います。そうすれば、意外と短期間のうちに伸び悩みが解消されるかもしれません。
 いずれにしても、いまのままでは伸び悩みは解消されないと思います。ましてや、この上、ハードなトレーニングを行うなどはもってのほかといわなければなりません。
 以上に申しあげたことによって、あなたが質問とされたハード・トレーニングに関する諸事項は、現在のあなたにはかかわりがないことがお分りいただけると思います。したがって、この際、あなたの質問にこだわらずに、ボディビルにおける一般的にいうところのハード・トレーニングの問題について考えてみたいと思います。

◆ハード・トレーニングについて

 体力的な持久力を必要とするスポーツにおいては、そのスポーツにおける持久力と、競技に際しての精神力を高める意味でハード・トレーニングも必要であるといえます。のスクワット
 しかし、ボディビルの場合は、その目的とするところが筋の持久力の強化にあるのではなく、筋の肥大と筋力の強化にあるので、ボディビルの運動の性質から考えて、ハード・トレーニングはひかえるべきであるといえます。
 ボディビルの場合、そのトレーニングにおいては、筋を上手に刺激することを第一義的に考え、体力をいたずらに消耗させることは慎むべきであるといえます。
 というのは、つまり、ボディビルは、元来、体力的に多少の余裕をもって受けいれられる範囲でトレーニングを行うのが原則であって、いわゆる根性でからだにムチ打つようにしてトレーニングを行う性質のものではないからです。
 体力的にかなりのレベルに達した人がハード・トレーニングを行うことは、筋に対する刺激に変化を与える意味で、ときには必要であるかもしれません。しかし、いかに体力的に高いレベルにある人でも、正常疲労(次回のトレーニング時までに体力的な消耗が完全に解消されるかたちの疲労。註:ボディビルの場合はその上に超回復が得られなくては意味がない)の範囲を超えるようなトレーニングを長期間にわたって行うことは、効果の面でマイナスになるといえます。
 ボディビルは、先にも述べたように、自己の体力に応じて、いくぶん余裕の感じられる範囲でトレーニングを行うことが原則であるので、そのことから考えれば、ボディビルには、恒常的、かつ、継続的な意味でのハード・トレーニングはあってはならないということがいえるかと思います。そして、ボディビルの場合は、自分と他の人とのトレーニングの比較においてハードなトレーニングというものが認められても、当事者自身にとって決してハードであってはならないということもいえると思います。
 あなたも、このことを自覚して、体力的にあまり無理のない範囲でトレーニングを行い、段階的にその強度と量を増していくようにされるのがよいということです。そうすれば現時点ではハードと思われるトレーニングも、やがては、さほど無理することなく、多少の余裕を持って行うことのできる時が必ずや来ると思います。

三角筋の前面の発達と、大腿部を太く逞しく、しかも軽快にしたいが

Q ボディビル歴は1年、自宅でトレーニングしています。からだの発達は、1年間の成果としてはまあまあといったところですが、2、3不満な点もあります。
 そこで、次の2つの質問にお答えいただきたいと思います。
<質問1>三角筋の前の部分が弱いのですが、これを解決するにはどのような運動をすればよいでしょうか。なお、現在は、肩の運動として下記の3種目を実施しています。
[註]フロント・プレスとスタンディング・ローは、運動をしている時には三角筋の前の部分にかなり効く感じがするのですが、実質的にはあまり効果が得られないようです。

[註]フロント・プレスとスタンディング・ローは、運動をしている時には三角筋の前の部分にかなり効く感じがするのですが、実質的にはあまり効果が得られないようです。

<質問2>開始当初から見れば、大腿部は5cmほど太くなったのですが、見た目に、脚の印象が重そうに感じられます。太く、逞しく、しかも軽快さの感じられる脚をつくるにはランニングがよいとききましたが、その効果と運動の仕方について具体的にお教えください。

≪現在の体位≫
身長 172cm   上腕囲 32.5cm
体重 67.5kg   前腕囲 28cm
胸囲(平常)93cm  大腿囲 54cm
胸囲(拡張)100cm 下腿囲 38cm
腹囲 74cm
(長野県 高田正治 会社員 24歳)
A まず三角筋の前の部分の発達についてお答えします。こういってはなんですが、体位表からうかがえる、現在のあなたのからだの段階では、ことさら特殊な運動を行わなくても、フロント・プレスとスタンディング・ローによって、まだまだ三角筋前部の発達を促すことは十分可能であるといえます。
 あなた自身は、三角筋前部の発達についてかなり不満をお持ちのようですが、そのような発達上の不満があるというのも、いまの段階では仕方がないことでしょう。
 人のからだというものは、運動の力量に相応して筋肉が付いてくるものです。はっきりいって、現在のあなたのフロント・プレスとスタンディング・ローの力量では、三角筋前部の発達が顕著に見られないのも当然のことであるといえます。
 したがって、いまのところは、あまり目先のことを考えないで、じっくり肩の運動に取り組んでいくのがよいのではないかと思います。
 三角筋前部のための特別な運動を採用すれば、それなりの効果は得られるかもしれませんが、いまは、基礎的な運動によって三角筋を総体的に鍛えることを考えるのがよいでしょう。そうすれば、現在の肩のメニューでも、運動(とくにフロント・プレスとスタンディング・ロー)の力量が増えれば、それにともなって三角筋前部の発達も次第に顕著になってくると思います。

 次に大腿部についてのご質問にお答えします。
 ランニングは、大腿四頭筋のみではなく、もものつけ根、殿部、ももの裏側、下腿等の筋の発達を促すのに有効です。また、膝と足首をひきしめるのにも効果があるので、調和がとれ、かつ、敏捷性のうかがえる印象のよい脚をつくるために、ランニングを採用するのは大変よいことです。
 ランニングは緩走と疾走とがありますが、ビルダーとしての筋肉づくりの観点からいえば、後者の方が向いているといえます。
 では、トレーニングの方法例を参考までに記述することにします。

①ストレッチング
全身のスジをよく伸ばしておく

②ジョグ(緩走)400~600mウォーム・アップのために行う。

③ダッシュ(疾走)40~50m数回繰り返す。

④ストレッチング

 前述したように、筋を発達させ、ビルダーとしての形のよい脚をつくるには、ダッシュが効果的で、それもごく短い距離にして行えば、あまり体力を消耗させないで脚に刺激を与えることができます。したがって、他のトレーニングにそれほど支障をきたすこともないと思います。
 ちなみに、1982年ミスター日本の小山選手は、3日に一度近くの神社の113段の石段を10往復ずつして脚を鍛えたといいます。

ボディビルと空手をやっていますが、腕をもっと太くするには

Q ボディビル歴は1年10ヵ月です。現在、ボディビルと並行して空手の練習をしていますが、そのせいか腕がなかなか太くなりません。現在は下記のスケジュールでトレーニングしていますが、このまま続けてよいものかどうか、不安に思っています。どこか改めるべき点があればご指摘ください。
記事画像5
 以上の運動を隔日的に週3度実施しています。翌日に疲れが残るということはありません。空手の方は、ボディビルの休みの日に週2度けい古しています。
 
≪現在の体位≫
身長 181cm 上腕囲 34cm
体重 83kg  前腕囲 29cm
胸囲 114cm 大腿囲 57cm
腹囲 80cm  下腿囲 40cm
(鳥取市 佐々木雅夫 自由業 26歳)
A ボディビルと武道を並行して行なっている人の場合には、オーバー・ワークに起因する体位の伸び悩みがよく見られます。しかし、あなたの場合は、トレーニング後の疲労感も快いものとのこと、また翌日に疲れが残らないとのことなのでオーバー・ワークが原因になっているとは考えられません。
 したがって、腕の発達がかんばしくないのは、多分にトレーニングの方法に原因があるのではないかと思われます。
 あなたは現在、上腕の運動として、屈筋と伸筋の運動をそれぞれ1種目ずつしか採用されていませんが、この際思いきって、これを2種目ずつ行うようにしたらいかがでしょうか。つまり屈筋の運動としてプレキアリス・カールを、伸筋の運動としてナロウ・グリップ・ベンチ・プレスを今のメニューに加えられるのがよいと思います。
 プレキアリス・カールという運動は上腕二頭筋にも有効ですが、どちらかといえば上腕筋(上腕二頭筋の下にある筋)の発達を促すのにすぐれた運動であるといえます。したがって、この運動によって上腕筋の発達を促しておけば、上腕部が中の方から太くなってくるということがいえます。
 また、ナロウ・グリップ・ベンチ・プレスは、フレンチ・プレスが主として上腕三頭筋の長頭のための運動であるのに対して、外側頭のための運動であるといえます。
 では、この2種目の具体的な運動法について述べることにしましょう。

◎ブレキアリス・カール

<かまえ>左右のグリップの間隔を両ももの幅くらいにとり、アンダー・グリップでバーベルを持ち、立った姿勢で大腿部のあたりにかまえる。この場合、両腕が床に対して垂直になるように、上体をいくぶん前傾させるのがよい。
<動作>両肘を後方、斜め外側へ引くようにして、バーベルを上腹部のあたりまで垂直に引き上げる。この場の合、グリップは下へさげたままでよい。

◎ナロウ・グリップ・ベンチ・プレス

<かまえ>左右のグリップ間隔を20~30cmくらいにしてバーベルを持ち、ベンチに仰臥して胸のあたりにかまえる。ただし、この場合、両肘の位置がベンチの高さよりも下へさがらないようにする。肘が深く下へさがると、運動のポイントが胸の方へ移るので注意。
<動作>腕を伸ばして、バーベルを胸の上方へ挙上する。
[註]あなたのトレーニング・スケジュールには使用重量が記入されていないので、あなたが正しい動作で運動を行なっているか否か、その判断ができません。

[註]あなたのトレーニング・スケジュールには使用重量が記入されていないので、あなたが正しい動作で運動を行なっているか否か、その判断ができません。

 もしも、余裕のない重量を用いて不正確な動作で運動を行なっているのであれば、直ちにそれを改める必要があると思います。いくぶん余裕の感じられる重量で行うほうが、運動としてのロスも少なくなるので、むしろよい結果が得られると思います。
回答は1959年度ミスター日本、NE協会指導部長・竹内 威先生
演技指導は平井ボディビル・センター会長・熊岡健夫先生
月刊ボディビルディング1984年1月号

Recommend