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なんでもQ&Aお答えします 1986年3月号

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月刊ボディビルディング1986年3月号
掲載日:2021.11.01

トレーニングの週間頻度の決め方がわからないが

Q ぼくはボディビルをはじめて6ヵ月ぐらいになる高2の男子です。現在は水泳部に所属し、クラブの練習が終ると家でトレーニングを行なっています。胸囲は3cm増えたのですが、最近、上腕、前腕の発達が止まってしまいました。

トレーニング内容を見てもわかるように、月曜・土曜に肩と上腕二頭筋のトレーニングを行なっているわけですが、月曜日に行なった種目は土曜日までまったくやらないということになります。それに、土曜日に行なった種目を月曜日にやらなければなりません。これでよいのでしょうか。

食事に関しては、1日3食の他に、トレーニングの前後45分にプロティン20gを牛乳200ccに溶かして飲んでいます。自分としてはもっとトレーニングしたいのですが、体が疲れて、オーバーワークを気にしてできません。アドバイスお願いします。

≪現在のトレーニング・コース≫
記事画像1
(尼崎市 酒井則和 17歳 高校生)
A 現在のあなたの1週間のトレーニング・コースを表にすると、次のようになります。
月曜…肩・上腕二頭筋
火曜…休み
水曜…胸・上腕三頭筋
木曜…休み
金曜…脚・背
土曜…肩・上腕二頭筋
日曜…胸・上腕三頭筋・脚・背

この分割法ではダメということはないのですが、しかし、これは決っしてよい方法ではありません。

ご質問にもあるように、月曜日の種目は土曜日までに中4日間隔があき逆に次の月曜日までは、4日間連日トレーニングすることになります。

同様に、脚も背も金曜日と日曜日で中1日、その次の金曜日まで中4日あいてしまいます。

あなたの場合、まだトレーニング歴が6ヵ月でもあり、火曜日と木曜日にトレーニングできないという事情を考えて、A・B2コースでの分割法を採用した方がよいでしょう。具体的には次のような分割法をおすすめします。

月曜…胸・肩・上腕三頭筋
火曜…休み
水曜…背・上腕二頭筋・脚
木曜…休み
金曜…胸・肩・上腕三頭筋
土曜…背・上腕二頭筋・脚
日曜…休み

これならば、各筋群とも、中2日から3日は空きますので、ちょうどよい間隔になります。(土曜日の種目は日曜日に替えてもかまいません)

では、この分割法でトレーニング・スケジュール例を作成します。

≪トレーニング・スケジュール例≫
記事画像2
最後に、食事に関しては、1日3食の他に、プロティンを飲むのは非常によいことです。そしてそれ以上に、1日3回の食事を充実させ、バランスのある栄養摂取を心がけるようにすることを忘れずに。

インクライン・ベンチ台なしで胸の上部を発達させるトレーニング法

Q ボディビル歴は10ヵ月です。胸の上部を発達させたいのですが、インクライン・ベンチを所有していません。そこで、フラット・ベンチを用いて胸の上部をトレーニングする方法を教えて下さい。

≪現在の胸のトレーニング種目≫
①ベンチ・プレス
45㎏10回×3セット
②ラタラル・レイズ・ライイング
10㎏10回×3セット
③クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー
20㎏10回×3セット

≪体位≫
身長178cm、体重67kg、腹囲77cm、胸囲93cm
(仙台市 山倉 誠 24歳 学生)
A 大胸筋の上部は、インクライン・ベンチが一台あれば比較的容易に発達させられるのですが、フラット・ベンチを用いても可能です。

ベンチ・プレスでは、バーを胸の上に下ろす位置によってその効果が違ってきます。バーを鎖骨のすぐ上あたりに下ろせば大胸筋の上部に比較的効きやすく、大胸筋の下部(みぞおちに近い部分)に下ろせば、大胸筋下部に効きやすくなります。

したがって、あなたの場合は、バーを鎖骨のすぐ下あたりに下ろす方法でベンチ・プレスを行なえばよいのですが、ただ漠然とトレーニングを行うよりは、次にあげる点に注意して動作を行うとさらに効果が増します。

まず、せっかくバーを鎖骨のすぐ下に下ろしても、その際に肘が体側の方に寄っていては効果が半減します。肘を充分に張り、上腕部と体の中心線との成す角度が、上から見て直角になるようにします。肘の角度はスタンダード・グリップでよいでしょう。

次に、ヘビー・ウェイトを用いようとして、ベンチ・プレスの際中にブリッジをしたり、まして臀部を上げてしまってはいけません。

大胸筋上部には本来インクライン・ベンチ・プレスが有効なのに、腰部が高くなってしまっては、その逆のデクライン・ベンチ・プレスのようになってしまい、逆に大胸筋下部に効きやすくなってしまいます。あまりウェイトを気にせず、正確なフォームで的確に大胸筋上部に効かせるようにして下さい。

そのほか、フラット・ベンチを用いての上部大胸筋のトレーニング法としてバック・ライイング・ラテラル・レイズがあります。これは、背中のまん中から下をベンチの外に出し、背中の上部と頭部のみをベンチにのせて行うラタラル・レイズです。〔写真参照〕
〔バック・ライイング・ラタラル・レイズ〕

〔バック・ライイング・ラタラル・レイズ〕

その他では、フラット・ベンチの上に足をのせ、両手は床について行うプッシュ・アップ(プッシュ・アップ・ウイズ・フィート・エレベイテッド)も有効です。

以上の3種目を普通のベンチ・プレスの後に、上述の順に3セットずつ行うようにして下さい。

発達が止まるのはトレーニングがマンネリ化したためか?

Q トレーニングを始めて8ヵ月になります。初めのうちは目に見えて効果もあがっていたのですが、最近になってあまり変化が見られなくなりました。特に胸と腕などは発達が止まるどころか、かえって奏んでしまったように感じます。~

トレーニングを開始した時から基本を守り、基礎的な種目のみを行なってきたつもりなのですが、効果があがらなくなったのはなぜでしょうか。やはり、トレーニングがマンネリになったためでしょうか。現在のトレーニング・スケジュール、及び体位は下記の通りです。アドバイスをお願いします。

≪トレーニング・スケジュール≫
記事画像4
<体位>
身長172cm、体重58kg、胸囲90cm、上腕囲30cm、腹囲72cm、大腿囲51cm
(神奈川県 T・M 17歳 高校生)
A ボディビルディングにおいては、いくつかの大切な原則がありますが、その中に『漸進的過負荷の原則』というものがあります。あなたの場合は、まず、この原則に合っていないために発達が止まってしまったものと考えられます。

『漸進的過負荷の原則」とは、「トレーニングはその強度を徐々に大きくしていかなくてはいけない(漸進性)。そしてその強度は筋肉が発達する強さでなくてはいけない」というもので、あなたのように基本を忠実に守ることはよいことですが、使用重量を増やすなどして負荷を高めなければ、発達は止まってしまいます。

負荷を高めることを、重量と回数の面から言えば、例えばベンチ・プレスで、最初30kgで10回しかできなかったのが、徐々に発達して力がつき、楽にこなせるようになります。しかし、これをこのままずっと30kg×10回で行なっていてはいけません。15回くらい挙がるようになったら、10回くらいしか挙がらない重量まで増量してトレーニングを進めて行きます。

しかしウェイトを増加しなかったからといって、発達が止まることはあっても、萎縮することはありませんのでもし、あなたの現在のトレーニング・スケジュールの使用重量が開始時と同じであるならば、ベンチ・プレスとツーハンズ・カールの重量が重すぎて正確な動作が行われず、場合によっては重いウェイトを無理して行なっているためにオーバー・ワークになっているのでしょう。

とくにツーハンズ・カールの重量に問題があります。スタンディング・プレスとベント・オーバー・ローイングとツーハンズ・カールでは使う筋肉の大きさがそれぞれ異なりますので、正しく行えばこの中ではツーハンズ・カールが最も軽く、ベント・オーバー・ローイングが最も重くなるはずです。

ではトレーニング・スケジュール例を作成しますので参考にして下さい。

≪トレーニング・スケジュール例≫
(隔日的・週3日)
記事画像5
使用重量と回数については、前述のように正しいフォームで8~10回がやっと反復できるようにして下さい(ただし⑩は除く)。

負荷を強めるのは重量を増やすだけではないのと、同じ種目ばかりで精神的にもマンネリにならないように、新しい種目を加えました。

◎ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング〔写真参照〕

両手にそれぞれダンベルを持ってベンチに仰臥し、左右のダンベルを胸の上方に挙上してかまえる。その位置から両腕を少しまげながら、真横へ広げるようにして下ろす。充分におろしたなら、つぼめるようにして元の位置へ戻す。このとき、肘の屈折度を増さないように注意する。
ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング

ベント・アーム・ラタラル・レイズ・ライイング

◎サイド・レイズ〔写真参照〕

直立した姿勢で、左右それぞれの手に持ったダンベルを手の甲を外に向けて大腿部の横にぶら下げる。その位置から、肘をあまり曲げないように注意してダンベルを真横へあげる。
サイド・レイズ

サイド・レイズ

◎フレンチ・プレス・ライイング

ベンチに仰臥して、バーベルをオーバー・グリップで持ち、腕を垂直に挙げ、上腕三頭筋が充分に作用するように、肘を支点にして前腕を屈曲、伸展させる。また、その際に肘が開かないように注意する。なおカーリング・バーの狭い方を握って行うと動作がしやすい。

分割法によるトレーニング・スケジュールを作りたいが

トレーニングを開始して1年3ヵ月になります。現在は下記のスケジュールでトレーニングしています。

≪トレーニング・スケジュール≫
(隔日的・週3日)
記事画像8
以上のスケジュールの所要時間は約2時間30分。トレーニング後はかなりの疲労感があります。このスケジュールを約6ヵ月続けた結果。頑張った割りには効果はあがりませんでした。ちなみにこの6ヵ月間の体位の変化は次のとおりでした。

≪体位の変化≫
記事画像9
このようにほとんど変化なく、どの部分をとっても満足できません。

自分なりに、いろいろ原因を究明した結果、1日に行うトレーニング量として多すぎたように思われます。

そこで現在採用している種目をもとにして分割法によるスケジュールを作っていただきたいと思います。また。トレーニング内容について不備な点があったらアドバイスをお願いします。
(愛知県 T・T 21歳 学生)
A 初心者の段階では、1日で全身のトレーニングを行なった方が、体力的にも時間的にもちょうどよいのです。何ヵ月か経過し、基本的な種目だけでは不足した時、各筋群に何種目かずつ充当しますが、それらを全て1日で行うのには時間がかかりすぎますし、体力的にも負担が大きくなり、全ての筋肉をみな効果的に鍛えるのが難しくなります。

そこで分割法を採用しますが、いろいろな分割の方法の中でも、あなたの場合はまだ1年3ヵ月のキャリアですので、AB2分割法で、週4日のトレーニングで充分でしょう。そして、これで物足りなくなったら、ABC3分割で週6日行うか、AB交互に週6日行うようにして下さい。

では具体的な2分割法を説明しますが、ここでは、最も一般的な、補助筋として上腕三頭筋を使う日と上腕二頭筋を使う日とに分ける方法を説明します。あなたのトレーニング・スケジュールをもとにしてAB2コースの一例を記します。

≪トレーニング・スケジュール例≫
記事画像10
 上記のスケジュールでは、器具などの点で無理がある場合には、種目を適宜変えてかまいません。例えば、レッグ・カール・マシンがない場合は、レッグ・イクステンションの代わりにシシー・スクワットを、ラット・マシンがない場合はT・バー・ローイングという具合に。レッグ・カールの場合はマニュアル・レジスタンス(補助者に負荷をかけてもらう方法)で行うとよいでしょう。

美しくやせるための食事法と練習法

私は、20歳の女子大生です。ウェイト・トレーニングを始めて約6ヵ月になります。シェイプ・アップ、つまりやせる目的で現在、大学のサークルとジムでトレーニングを行なっています。ところが最近、鏡に映った体を見ていると、やせるどころか逆に逞しくなったように思います。だからといって、私はボディビル界に足を踏み入れようとは決して思ってません。ただやせたいだけなのです。

 そこでこの際、スクワット、ベンチ・プレス等の種目をやめて腹筋運動重点のトレーニングに変更し、特に気になっているお腹のゼイ肉と戦いたいと思っていますので、良きアドバイスお願いします。

 問題の食事については、1日3食、偏食しないでなんでも食べるようにしてますが、時々ケーキ等の甘い物も食べたりします。私も女ですから甘い物なしには生きていけません。もし、これだけトレーニングを続けても脂肪が落ちない場合は大幅な食事制限を考えていますので、食事の量及び内容についてのアドバイスもお願いします。

 また、ある人から聞いた話なのですが、食事の総カロリーさえ落せば、甘い物を食べてもかまわないというのは本当でしょうか。

≪現在までのスケジュール≫
記事画像11
≪体位の変化≫
記事画像12
〔註〕練習は週3日、所要時間は約1時間半。希望としてはあと4kgは落としたいと思っています。
(神奈川県 T・K 20歳 学生)
A 肥満、太るということは、体に必要以上の脂肪がたまることです。トレーニングや日常生活での消費カロリーよりも、食事からの摂取カロリーが多いと、エネルギー源として利用して残った分が皮下脂肪として蓄えられてしまいます。ですから、やせるためには、このカロリーの量を逆に、つまり消費カロリーが、摂取カロリーを上まわるようにしてやればよいのです。それにはトレーニングと減食のどちらか片方よりも、両方を同時に行なった方が効果的です。

 お腹のゼイ肉を落とす為に必死になって腹筋運動を行なっても、食事で摂るカロリーがそれよりも多かったら意味がありません。

 ではまずトレーニング・スケジュール例から述べます。

≪トレーニング・スケジュール例≫
(隔日的・週3日)
記事画像13
 「腹筋運動重点のトレーニング……」とありましたので、運動量の多いヒンズー・スクワットを加えました。

 また、ウエスト・ライン全体のトレーニングとして、腹側部や下腹部のトレーニングも加えておきました。

 なお、トレーニングは空腹時に行うと効果的です。

 では次に、食事に関しての注意事項を列挙します。

◎朝食をしっかりと摂り、夜は食べすぎないこと。
◎脂肪分を摂りすぎないこと。それには調理の時、テフロン加工のフライパンを使うと便利。また、フライなどの揚げ物を控える。
◎甘い物に注意すること(コーラなどの清涼飲料水は飲まない)。
◎よくかんでゆっくりと食べること。

 減量食のモデル・メニューの1つを次に示します。

朝食:白米茶わん1杯、焼魚、大根おろし、ゆで卵1個、ほうれん草おひたし、牛乳1本(以上656カロリー)
昼食:白米茶わん1杯、納豆(納豆1パック、卵1個、ネギ少々)、豆腐1/2丁、野菜煮物少々、果物少々(以上629カロリー)
夕食:生野菜大盛1杯(ドレッシング少々)、プロティン・ドリンク(プロティン大さじ2杯牛乳1本)(以上232カロリー)
間食:紅茶1杯(砂糖抜き)(0カロリー)

1日合計総カロリー1517kcal
たんぱく質95.79
脂肪57.9g
糖質148.8g

 次にカロリーについては、確かに総カロリーさえ落せばやせるでしょう。しかし、食事のバランスを考えなければ健康的にやせることはできません。

 特にたんぱく質・ビタミン・ミネラルは毎日補給しなければいけませんので、一定カロリー内でバランスよく摂るようにするには、当然のことながら減量中の体に必要でない甘い物や脂肪分は控えるということになります。ですから、逆にいえば、減量中であっても一定のカロリー内で、しかも必要な他の栄養素がバランスよく充足していれば、ケーキなども食べてかまいません。
〔回答はトレーニング・プラザ代々木・野沢秀雄先生、工藤悦弘先生
演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生〕
月刊ボディビルディング1986年3月号

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