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なんでもQ&Aお答えします 1986年10月号

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月刊ボディビルディング1986年10月号
掲載日:2022.02.23

各部位につき2種目ずつ行なっていたのを、3種目ずつに増やしたいが

Q トレーニングを始めて2年、ジムに通ってトレーニングしています。
現在のトレーニング・スケジュールは、胸・腕・肩・腹・背・脚の各部位につき2種目ずつ行なっています。最近では体の調子もよく、体力的にもかなり余裕がでてきたため、これからは各部位ごとに3種目ずつ充当したいと考えています。
現在のスケジュールを下記しますので、どんなトレーニング種目を加えたらよいのか、また、セット数はどれくらいが適当なのかをアドバイスしてください。私が特に発達させたいと希望しているのは、胸廓の拡大背中の広がり、外腹斜筋、上腕三頭筋の上部などですので、これらの点を考慮してお願いします。
(千葉県 E・K 23歳 学生)
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A ある程度トレーニングを経験し、体力的にも余裕が生じた場合、セット数を増やしたり種目数を増やすなどしてトレーニング強度を高めます。あなたの場合、種目を増やすことを望まれていますが、各部位に全部1種目ずつ増やすことはありません。
腕などは胸・背・脚に比べて筋肉も小さいので、この部位はまずセット数を増やしてトレーニング強度を増すのがよいと思われます。
しかし、ここではあなたのご希望でもありますので、各部位ごとに1種目ずつ加えて説明します。また、あなたのご希望の点を考慮して、多少現在の種目にも手を加えて新しいトレーニング・スケジュールを作成します。

≪トレーニング・スケジュール例≫
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あなたのご希望の点のうち、胸廓の拡大のために、スクワットとクロス・ベンチによるダンベル・プルオーバーをスーパー・セットで組みました。
背中の拡がりのためのチンニングはビハインド・ネックが有効です。できればこの方法で行なって下さい。

外腹斜筋の種目は、ツイスティング・シット・アップ以外には特に加えませんでしたが、余裕があればBコースの最後にツイストを加えてもかまいません。
上腕三頭筋の上部に有効な種目として、インクライン・フレンチ・プレスを入れましたが、もし(フレンチ・プレスができるような)インクライン・ペンチがない場合には、ライイングの状態で、肘を少し頭の方へ傾けて行なって下さい。

3分割法を採用して何とかスランプを脱出したいが

Q トレーニング歴3年の会社員です。現在はトレーニング施設に通ってトレーニングしています。今まで2分割法を採用してトレーニングしてきましたが、最近どうもマンネリに陥ってしまいスランプ状態です。そこで今までの2分割法を3分割法に改めたいと思っています。
2分割法のときは胸・肩・腕がAコース、脚、背がBコースという分割でした。もし、3分割にする場合、Aコースに胸・上腕三頭筋、Bコースに背・上腕二頭筋、Cコースに脚・肩という分割が一般的ですが、この方法よりもAコースに胸・背、Bコースに肩・腕、Cコースに脚という分割のほうが効果が大きいと聞いています。

その理由として、大筋肉群をトレーニングした翌日は小筋肉群、小筋肉群の翌日は大筋肉群を……といった具合になるので刺激、疲労の面から考えても有効であるとのことです。
この2種類の3外割法をくらべた場合、やはり効果の面で差がでてくるでしょうか。これから3分割法を採り入れる人でも後者の方法を採用してもよいでしょうか。

現在の2分割スケジュールを下記しますので、3分割のスケジュール例を作ってください。最後にもうひとつ。トレーニング頻度に関してですが、1週間をABCABC休と行なう場合と、ABC休ABC休と4日サイクレで行なう場合とではどちらが有効でしょうか。以上の質問についてお願いします。
記事画像3
(千葉市 T・A 会社員)
A トレーニング法やトレーニング・スケジュールは、トレーニングの主眼をどこに置くかで変わってきます。例えば、カーフを最も発達させたい場合、筋肉優先法を用いてカーフのトレーニングを最初に行なうことなどがそれです。
ただし、分割法に関していえば、一般的な3分割法は、Aコースで胸・上腕三頭筋、Bコースで背・上腕二頭筋、cコースで肩・脚というのが一般的な方法ですが、これは、補助筋としての腕の疲労を考慮したものです。
つまりAコースでは上腕三頭筋を使い、Bコースでは上腕二頭筋を使っています(ただし、ABCABC休…というサイクルで行うと、肩の翌日に胸をやらなければならない日が生じますが…)。

この観点からすると、Aコースで胸・背、Bコースで肩・腕・Cコースで脚という分割のしかたでは、ABの時に腕を続けて使ってしまうことになります。胸や背のトレーニングの際、主働筋のみにうまく集中して効かせることができて、腕にあまり効かない人ならよいのですが、その逆の人、つまり胸や背のトレーニングでも腕にかなり効いてしまう人の場合には、この分割法は避けた方がよいでしょう。
両方の分割法で、あなた自身が、1ヵ月程度それぞれの分割法を試してみて、自分に適した方を見つけるのが最良の方法です。ここでは、一応後者の方のトレーニングスケジュール例を記述します。
トレーニングの週間頻度に関しては、先にも少し触れましたが、これもやはり各人の疲労回復能力によって異なります。疲労回復能力にすぐれた人の場合、ABC休ABC休という週間頻度で行なうと、各筋群が中3日もあいてしまいます。これでは超回復のタイミングが合わない場合には、ABCABC休で行なって下さい。


≪トレーニング・スケジュール例≫
記事画像4

腹筋のトレーニングにバリエーションをもたせたい

Q ボディビルを開始して1年になります。現在は自宅で、下記のスケジュールでトレーニングしています。教えていただきたいのは、いろいろな種類の腹筋運動についてです。
現在まで、シット・アップとレッグ・レイズの2種目を行なってきましたが、いつも同じ種目だとマンネリになってしまい効果もあがっていないようです。

そこで、腹筋運動にもバリエーションをもたせて、腹筋のカットアップ、バルクアップを計りたいと思っています。
揃っている器具は、インクラインの腹筋台、ベンチ台、ダンベル、バーベルなどです。よろしくお願いします。
記事画像5
(東京都 T・H 25歳)
A 腹部には、主に腹直筋と外腹斜筋の2つの筋群がありますが、あなたが現在行なっているシット・アップとレッグ・レイズでは、主として腹直筋のみに有効です。
腹部を総合的に鍛えるには、腹直筋と外腹斜筋の両方をトレーニングしなければいけません。また、腹直筋も上部・中部・下部と分けて考えた方がよいでしょう。
では具体的に、上部・中部・下部、外腹斜筋を含めた腹筋のトレーニング種目を説明します。(やり方は後述)

◎シット・アップ

腹直筋全体に有効。腹筋台を用いて行う場合、傾斜を急にしていくに従って、腹直筋の下部に刺激が移行する。

◎ツイスティング・シット・アップ

腹直筋の白線(腹部の中央に縦に走る溝)に接する部分と外側の輪郭をよくする。外腹斜筋にも有効。

◎トランク・カール

腹直筋上部に有効。

レッグ・レイズ

主として腹直筋の中部・下部に有効。インクライン・べンチを用いて頭部を高く上げるほど下部に効きやすくなる。その他、外腹斜筋に有効な種目としては、トランク・ツイスティングとサイド・ベンドなどがあります。
これら以外にも腹部のトレーニング種目には多くの種類がありますが、前記のもののうち、上部・中部・下部、外腹斜筋がまんべんなくトレーニングできるもの、自分に必要と思われるものを適宜選んで行なって下さい。

≪腹部のトレーニング・コース例≫
記事画像6
腹筋のカット・アップには、腹筋を充分に伸縮させることが大切です。トレーニングの前後に腹部を反らせて、充分ストレッチをして下さい。
また、トレーニング種目の動作は、目一杯腹筋が収縮するように行なって下さい。腹筋のトレーニングは、一般的に高回数でやることが多いのですが、バルク・アップを計る場合にはプレートなどを持ち、10回前後の反復で実施することも必要です。

≪種目説明≫
◎ツイスティング・シット・アップ

体を左右にねじりながら行うシットアップ。上体を起こした時に右肘を左膝につけるようにし、次には逆に左肘を右膝につけるようにするとよい。〔写真参照〕
〔ツイスティング・シット・アップ〕

〔ツイスティング・シット・アップ〕

◎トランク・ツイスティング

ベンチなどをまたいで座り下半身を固定し、バーベル・シャフト、もしくはごく軽いバーベルを肩にかつぎ、体を左右へ回転させる運動。
なお、バーベルを両肩にかつぎ、肩幅よりやや広く両足を開いて立って、体を左右へ回転させる方法る。〔写真参照〕
〔立って行うトランク・ツイスティング〕

〔立って行うトランク・ツイスティング〕

◎サイド・ベンド

片手にダンベルをぶらさげ、両足を少し開いて立ち、上体を前後に傾けないように留意しながら左右、ま横へ屈伸する運動。左右同回数行うようにする。

スクワットで深くしゃがんだとき腰が湾曲して安定感がなくなるが

Q トレーニングを開始して3ヵ月になります。現在は体育館で友達と一緒に行なっています。スケジュールは下記のとおりですが、まだ体力がないので無理なトレーニングはしないようにしています。内容も、あまり細かい箇所のトレーニングはやめて、大きい筋肉を中心に行なっています。
ところで、僕が今悩んでいるのは、スクワットで重量をかついでしゃがんだときに腰が湾曲してしまって、フォームが非常に不安定になることです。友達にもよく指摘を受けます。
そのためスクワットの重量も、トレーニング開始当時とほとんど変らず、フォームを直すことに専念しているのですが、深くおろそうとすると、どうしても曲ってしまうのです。なにかよい解決策はないでしょうか。よろしくお願いします。
記事画像9
(東京都 K・T 23歳 学生)
A 実際にどのようなフォームになっているのか、直接拝見しないと明確にはわかりませんが、しばしば見られるケースを想定して、原因と対策を考えてみます。

①もともと腰や背中の筋肉が弱い

ふだん運動が苦手で、体力が無い人の場合、負荷をかけないスクワットさえも正しい姿勢がとれません。胸を張り、背骨を伸ばし、視線を前方上に置いて、無重量でスクワットになれてください。
無駄なようでも、最初にフォームをしっかり覚えておくと今後どんどん重いバーベルがかつげるようになります。

②足裏に板を置いてみる

姿勢が安定しない一つの原因は、かかとが地面にくっついていることがあります。厚さ1~2㎝の板やプレートを足裏に置いてスクワットをすれば、重心がちょうど適切な位置に移動し、比較的楽に、正しいスクワットがしやすいのです。

③両足の間隔としゃがみ方、立ち方

両足幅は肩幅よりやや広くとり、基本は平行に揃えて、息を胸いっぱい吸って、ゆっくりしゃがみます。
しゃがむ深さは太ももが床面と平行になる位置までとします。これ以上深くしゃがむと、姿勢が不安定になるだけでなく、立ち上るときに大きなエネルギーが必要とされ、余計な負担がかかります。
パワーの大会でも太ももが床面と平行になる位置までおろさないと、OKの合図が出ません。無理に下まで深くしゃがむ必要はありません。

なお、立ち上るときは、やや両膝を内側にくっつける感じで、背骨をピンと伸ばしたまま、真上へ立ちます。このとき足裏で床面を押しつける感じで立つと、単に太ももだけでなく、腰全体や背筋下部、上部など全身の筋肉が動員されます。
これによりスクワットは相当に重い重量が上るわけです。決して脚の筋肉だけで上下するのでないことを自覚してください。

④肩の後方にバーが乗っているか?

初心者の場合、首のすぐ下にシャフトを乗せていて、しゃがんだとき前傾しすぎることが多いのです。肩の後方にパーを乗せてしゃがむと、重心が正しく後方の脊柱の上に移るので、スクワットのフォームが美しくなり、安定します。
なお、首すじが痛いなら、タオルでシャフトを巻いてかついでください。肩の筋肉(僧帽筋)が発達してくれば痛さはさほど苦にならなくなります。

⑤パワーベルトを腰につける

ふつう初心者の段階では必要としませんが、80kgくらい以上に重くなれば、腰の筋肉や靱帯を保護する目的でパワーベルトを着けると安全です。とくに椎間板ヘルニアを防ぐ作用があるので、腰の筋肉が弱い人は最初から着けても構いません。
パワーベルトは息を吐いて、なるべくぎゅっと強く締めておきます。これにより腰椎がしっかり固定され姿勢も正しくなります。パワーベルトは一度講入しておけば何年間も使えますので、利用することをおすすめします。
〔スクワットのフォーム〕

〔スクワットのフォーム〕

プルオーバーについての疑問

Q 自宅に器具を購入し、トレーニングを始めて6ヵ月になります。それ以来、本誌は欠かさず読んでいるので、一通りのトレーニング種目及び方法は理解することができました。
しかし、不可解種目がひとつあります。それが、プルオーバーなのです。本誌によれば、胸の種目と組み合せた方が良いとか、スクワットの後が良いとか、広背筋及び上半身全体の発達を促すなどと書かれています。

実際に自分でクロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバーを行なってみたところ、胸に効いたようで背中にも効いていて、上腕三頭筋にもかなり効いてるな、という感じを得ました。しかしどの箇所をとっても、ベンチ・プレスやスクワットを行なった後のような強烈なパンプアップは実感できません。それでもプルオーバーという種目は重要なのでしょうか。
現在のスケジュールにプルオーバーは入っていませんが、やはり入れるべきでしょうか。アドバイスお願いします。
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(東京都 吉村浩一 17歳 高校生)
A プルオーバーの場合やり方にもよりますが、例えばシット・アップを行えば必ず腹直筋に効くというようなものとは異なり特定の筋肉のみに効かせるのは難しい種目です。
というのは、プルオーバーの効果が、大胸筋、広背筋、前鋸筋、胸郭の拡張と多岐にわたっているからです。

どの部位に効かせたいかによって、やり方や他の種目との組み方も変わってきます。あなたが行なったクロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバーの場合、スクワットなどとスーパー・セットで組んで行うと胸郭の拡張に最適です。
胸や背などのパンプ・アップを得ようとするより、プルオーバーの特性を考えて、このように胸郭の拡張を目的とした方がよいでしょう。胸や背の筋肉は他の種目の方が発達させやすいですが、胸郭を発達させるにはこれ以外にはちょっと難しいので…。
スクワット以外には、ハイ・クリーンなど、運動量の大きい種目とスーパー・セットを組むと効果的です。

あなたの場合、「上腕三頭筋にもかなり効いている」ということですが、プルオーバーの動作中、肘を曲げた状態から伸ばすと、上腕三頭筋に効いてしまいます。プルオーバーは、ストレート・アームにしろ、ベント・アームにしろ、肘を固定して行なわなければいけません。
ここでは、クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバーの正しいやり方を説明します。まずフラット・ベンチにクロスするように、つまりべンチ・プレスなどの時とは違い、背がべンチと十字を成すように、仰臥し、首は力を抜いてベンチの外に垂らします〔写真参照〕
〔クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー〕

〔クロス・ベンチ・ダンベル・プルオーバー〕

両手で1つのダンベルを持ち、肘を軽く曲げ、プルオーバーの動作を行いますが、ここで前述のように肘の角度をあまり変えてはいけません。ダンべルを降ろした時に肘を曲げて、ダンべルを上げていくに従って肘を伸ばす人がよくいますが、これでは上腕三頭筋の運動にもなってしまいます。
あなたの場合、ダンベルを低く降ろそうとして肘か必要以上に曲がってしまうのでしょうが、ダンベルを低く降ろすのではなく、胸郭が充分に伸展するよう、肘の位置が低くなるようにします。この際、臀部を低く下げるようにすると、より胸郭が伸展でき、さらに効果的です。

この運動では、呼吸法が最も大切です。胸が伸びている時に目一杯息を吸って、そのまま少し呼吸を止め、ダンベルを挙上し終る少し前に息を吐くようにして下さい。
このプルオーバーも、スーパー・セットで組む種目(スクワット、ハイ・クリーンetc)も高回数で行なった方が胸郭の拡張には効果的です。
では次に、胸郭の拡張を目的としてプルオーバーを組み入れたトレーニング・スケジュール例を記します。

≪トレーニング・スケジュール例≫(隔日的・週3日)
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(回答はトレーニング・プラザ代々木・野沢秀雄先生、工藤悦弘先生、演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生・赤羽トレーニング・センター会長・重村尚先生)
月刊ボディビルディング1986年10月号

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