パワートレーニング
月刊ボディビルディング1986年8月号
掲載日:2022.01.12
ドクター・スクワットのベンチプレス・ルーティーン
著:フレッド・ハットフィールド 訳・解説:吉田進(JPA国際部長)
私は、ちょっとしたパワーリフター並の力を持っているボディビルダーをたくさん知っています。また逆に、ちょっとしたボディビルダー並の体をしたパワーリフターもたくさん知っています。パワーリフターもカッコいい体を誇る気持を持っていますが、ボディビルダーでビッグベンチを誇らしく思わない者はないと言って良いくらいです。
このビッグベンチを誇る気持が、ときには肩や大胸筋を痛める原因になることがあります。
パワーリフティングはーーこれを、常に最大筋力を出すことだととらえるとーー他のスポーツと同じように、危険で怪我が起こり得るスポーツと言えましょう。私の両肩のローテーターカフは、長年の小さな外傷が積み重なり治療を必要としていました。これは、いわゆる「使い過ぎ症候群」と言われているものです。
この肩の故障のため、私はことさら注意深くベンチプレスのトレーニングを行なっています。私のベンチプレスの最高記録は240kgです。医者に「ベンチプレスは二度と出来ません」と言われたにしては、悪い記録ではないでしょう。この様に、私は苦労してトレーニング方法を学んだのです。みなさんはいかがでしょうか?表に示したトレーニングプログラムは、ビッグベンチが狙えると同時に、胸筋や肩のケガを最小限にくいとめるためのものです。私は、これをオフシーズンに行なっています。
自分の体がトレーニング出来る状態にある日に(遅すぎず、早すぎず)ベンチプレスを行なってください。私にとって、トレーニングが「遅すぎず、早すぎない日」と言うのは、ベンチプレスを4日ごとに行う事です。そしてスクワットとデッドリフトの練習日とは決して重ならないようにすること、さらにスクワットとデッドリフトの次の日にもベンチプレスは行いません。疲労のために、トレーニングが思うように出来ないからです。
ここに掲げた表のトレーニングは、基礎を養成することに重点が置かれている事にお気付きかと思います。この理由は、次の例え話を考えていただければお分かりかと思います。
砂地で車をジャッキアップすると思ってください。どんなに強力なジャッキをもっていても、すぐ崩れるような砂の上では使いものになりません。同じことがベンチプレスについても言えるのです。肩のガードルーー肩を取り巻く全ての筋肉ーーが重い重量に耐えるだけの強さがなければなりません。1ヵ所でも弱い筋肉があれば、それが肩や胸筋の故障につながります。
また、この表のトレーニングは、ウイダーのスーパーセット法を用いていることに気付かれたでしょう。このスーパーセット法は、肩の柔軟性の維持に役立ちます。あらゆる筋肉を鍛えると言う事は、腕の可動範囲も大きくなると言う事です。
トレーニングの前後には、PNFストレッチを入れてください。そして、肩のあらゆる方向からストレッチすることが大切です。これはトレーニングパートナーの協力を得て行うとよいでしょう。
最後に最も大切な事をお話しておきます。決してトレーニング中に最大重量を狙わないでください。ボディビルダーなら、ビッグベンチより、分厚い胸を誇ってください。パワーリフターなら、競技会で最大重量に挑戦してください。トレーニング中は、筋力とパワーの向上に専念してください。トレーニング中に最大重量を狙って良いことはなにもありません。それは、エゴ(我欲)を満たすだけです。
このビッグベンチを誇る気持が、ときには肩や大胸筋を痛める原因になることがあります。
パワーリフティングはーーこれを、常に最大筋力を出すことだととらえるとーー他のスポーツと同じように、危険で怪我が起こり得るスポーツと言えましょう。私の両肩のローテーターカフは、長年の小さな外傷が積み重なり治療を必要としていました。これは、いわゆる「使い過ぎ症候群」と言われているものです。
この肩の故障のため、私はことさら注意深くベンチプレスのトレーニングを行なっています。私のベンチプレスの最高記録は240kgです。医者に「ベンチプレスは二度と出来ません」と言われたにしては、悪い記録ではないでしょう。この様に、私は苦労してトレーニング方法を学んだのです。みなさんはいかがでしょうか?表に示したトレーニングプログラムは、ビッグベンチが狙えると同時に、胸筋や肩のケガを最小限にくいとめるためのものです。私は、これをオフシーズンに行なっています。
自分の体がトレーニング出来る状態にある日に(遅すぎず、早すぎず)ベンチプレスを行なってください。私にとって、トレーニングが「遅すぎず、早すぎない日」と言うのは、ベンチプレスを4日ごとに行う事です。そしてスクワットとデッドリフトの練習日とは決して重ならないようにすること、さらにスクワットとデッドリフトの次の日にもベンチプレスは行いません。疲労のために、トレーニングが思うように出来ないからです。
ここに掲げた表のトレーニングは、基礎を養成することに重点が置かれている事にお気付きかと思います。この理由は、次の例え話を考えていただければお分かりかと思います。
砂地で車をジャッキアップすると思ってください。どんなに強力なジャッキをもっていても、すぐ崩れるような砂の上では使いものになりません。同じことがベンチプレスについても言えるのです。肩のガードルーー肩を取り巻く全ての筋肉ーーが重い重量に耐えるだけの強さがなければなりません。1ヵ所でも弱い筋肉があれば、それが肩や胸筋の故障につながります。
また、この表のトレーニングは、ウイダーのスーパーセット法を用いていることに気付かれたでしょう。このスーパーセット法は、肩の柔軟性の維持に役立ちます。あらゆる筋肉を鍛えると言う事は、腕の可動範囲も大きくなると言う事です。
トレーニングの前後には、PNFストレッチを入れてください。そして、肩のあらゆる方向からストレッチすることが大切です。これはトレーニングパートナーの協力を得て行うとよいでしょう。
最後に最も大切な事をお話しておきます。決してトレーニング中に最大重量を狙わないでください。ボディビルダーなら、ビッグベンチより、分厚い胸を誇ってください。パワーリフターなら、競技会で最大重量に挑戦してください。トレーニング中は、筋力とパワーの向上に専念してください。トレーニング中に最大重量を狙って良いことはなにもありません。それは、エゴ(我欲)を満たすだけです。
〔「遅すぎず、早すぎない日」にトレーニングを行うと言うフレッドは、ベンチを4日毎に、スクワットを5日毎に、デッドリフトを10日毎に行なっています。尚、ドクタースクワットを自称するフレッドは、今年4月6日ハワイで457.5㎏の非公認ではありますが125kg級スクワットの世界記録を樹立しました。〕
<表>ドクタースクワットのベンチプレス・ルーティーン
月刊ボディビルディング1986年8月号
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