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“ボディビルディングのすすめ” 1983年6月号

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月刊ボディビルディング1983年6月号
掲載日:2020.10.23
 身体の運動の効用については、いまや全国民だれ1人として知らない者はない。ただ、どんな運動を選んだらいいかということが問題となる。

 確かにラグビーやフットボールをやることは素晴らしい運動である。しかしこれらの運動では広い運動場と多くの仲間、さらに高度なスキル(技能)を必要とする。

 では、ゴルフやボーリング、ダンスはどうか。やって楽しいスポーツであることは間違いない。しかし筋力や持久力を養うという点で、大きな効果を期待することは無理であろう。

 つまり、前者は競技スポーツであり、後者はレジャー・スポーツといってもよかろう。

 では、オールラウンドの健康と体力を確保する手段として、最適な運動としてはどんなものがあるだろうか。

 この疑問に答える前に、正しい運動の内容として必要と思われる条件を考えてみよう。

1.筋肉、筋力、持久力の強化が効果的にあらわれるものであること。

2.体力の強弱にかかわらず、すべての人が採用できるものであって、体力の強弱に合わせて負荷の量や強度を調節できること。

3.できるだけ器具を必要としないものであること。

4.多くの仲間を必要とせず、家庭でも行えるものであること。

5.短時間でも行えるものであること。

6.高年齢になっても効果的に持続できるものであること。

7.老若男女を問わず、すべての人が安全に行えるものであること。

 以上の条件を全て満足させるウェイト・トレーニングこそ、万人のための理想的な運動方法といっても過言ではないだろう。

 最小限の時間と努力で、筋肉と筋力発達の効果が目に見えてあらわれる。1日30分、週3回のトレーニングで、あなたの体はベスト・コンディションが保たれる。中高年者の場合は、週2回でも、筋肉の調子をととのえ、体の姿勢をよくする効果は大きい。

 ウェイトは、体力の弱い人も強い人も、それに応じてすべての人が使用できる。まず、楽に扱えるウェイトを選んで運動を開始し、体力がつくにつれて、それに見合った増量を考えていけばいい。これほど完全に各人の能力と身体条件にマッチさせることの出来る運動形式がほかにあるだろうか!

 この幅広い融通性があればこそ、ウェイト・トレーニングは、青少年や女性、中高年者、筋力養成をめざす運動選手、身体障害のハンディを背負った人たち、つまり、すべての人たちのよき伴侶となりうるのである。

 ウェイト・トレーニングは、わずかな器具で行うことができる。健康管理が目的なら、50kgのウェイトがあれば充分であろう。トレーニング・センターに通うにしても、1カ月の会費は1万円前後である。これで健康と体力が買えるとすれば安いものだ。

 さらにウェイト・トレーニングは、ネコ背、丸肩、平たい胸などの体型を矯正するのにきわめて有効である。矯正治療法的な効果をもつ運動を厳密に選んで行えば、どの身体部分の筋肉をも発達させ、あるいはその機能を呼びさますことができる。これほど選択の自由な運動がほかにあるだろうか。

 競技スポーツやレクリエーション.スポーツとちがって、ウェイト・トレーニングは高年齢にいたるまで、持続的に、そして効果的に行うことができる。年寄りの冷水という言葉はウェイト・トレーニングでは通用しない。
月刊ボディビルディング1983年6月号

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