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ビック・アーム・レース

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月刊ボディビルディング1981年4月号
掲載日:2020.05.19
★ケイシー・ヴィエタ
★訳=松山令子
これは世界一といっていい前腕を持つ、スーパースター、ケイシー・ヴィエタの最近の腕のトレーニング法である。
コンセントレーション・カール“わたしは、自分の摂取したカロリー全部を筋肉を発達させるエクササイズに使いたいので、ウォーム・ア・ソプは省き、はじめから第1のエクササイズとしてこれを行なう。これ自体がよいウォーム・アップの役目を果す”

コンセントレーション・カール“わたしは、自分の摂取したカロリー全部を筋肉を発達させるエクササイズに使いたいので、ウォーム・ア・ソプは省き、はじめから第1のエクササイズとしてこれを行なう。これ自体がよいウォーム・アップの役目を果す”

シーテッド・トライセップス・イクステンション“トライセップスのトレーニングの最後にこのエクササイズきする腰かけて行なうので体の安定に神経を使うことなく、全神経をエクサササイズに注入することが出来る”

シーテッド・トライセップス・イクステンション“トライセップスのトレーニングの最後にこのエクササイズきする腰かけて行なうので体の安定に神経を使うことなく、全神経をエクサササイズに注入することが出来る”

記事画像3
 わたしは、コンテストでの戦いに備えてトレーニングする期間には毎日腕のトレーニングをする。バイセップス(上腕二頭筋)と、トライセップス(上腕三頭筋)のトレーニングは1日交替である。バイセップスと胸を組合せ、トライセップスとラット(広背筋)を組合せる。そして運動の性質は、プッシュ(押す)とプル(引く)の組合せである。
 この方式によると、腕の屈筋と伸筋が、どちらかが働き過ぎ、どちらかが慟き足らぬということがなく、むらのないトレーニングが出来る。
 コンテストを目指して、仕上げのトレーニングをしているのでないときは、わたしは、普通、腕のそれぞれの筋肉を週3回ずつトレーニングする。この期間には、各エクササイズのセット数を1セットずつ減らす。しかし、使用する重量の総量は減らさない。
 話をもっと進める前に説明しておきたいことがある。それは、いままでにもわたしがいったことであるが各レップスをどのよに行なうか、という問題である。それは、各レップごとに、その働いている筋肉に精いっぱい心を集中して、そのことにより、筋肉の運動能力をよりいっそう高める方法である。
 すなわち、6~8レップスを完全なストリクト・フォームで行なったあと、少しリラックスして余分なレップスを行なうよりは、反対に、精神集中によって、最後の数レップスをスピード・アップして行なうという方法である。
 実際には、運動はほとんどスピード・アップしない。しかし、スピード・アップしようと考えるだけで運動が容易になる。それは、スピード・アップしようと心で考えるだけで直ちに脳から筋肉に向って、もっと多くの筋肉繊維を動員させよという烈しく強い命令力伝達せられ、その命令を受けた筋肉はいままでよりも多くの筋肉繊維を運動に参加させるからである。
 一度、諸君にこれをすることを強くわたしはすすめる。一度こうしてみたら、これによってどれほどパンプ・アップの度が高まるかを諸君は身をもつて知るにちがいない。
 わたしはここで、さらに云っておかねばならぬことがある。それは、私の腕のトレーニングには、ウイダー・フラッシュ・プリンシプル(充血法)を用いることである。この方法にしたがって、わたしは1つの筋肉部位を徹底的にトレーニングしてそこがこれ以上ないほど充血するまでは、他の筋肉部位へ移らない。
 この方法で、わたしは鍛えつつある筋肉部位を絶えず緊張させ、充血させつづける。わたしのトレーニング法は次のとおりである。先ずバイセップスから。
記事画像4

バイセップスのトレーニング

<1>ワン・アーム・コンセントレーション・カール

 第1セットは75ポンド(約34kg)のダンベルからはじめ、10~12レップスで、順次重量を増しながら4セット行なうが、最後のセットは100ポンド(約45.4kg)である。ウェイトが大きくなったセットでは、空いている手で、働いている腕の前腕を軽く押上げて助けてやる。これは自分でするフォースト・レップス法である。
 わたしは、スピード・アップしようと心の中で考える。しかし、上方へ押上げる動作の時間を充分に考慮し、調節して、ダンベルを持ちあげる腕の動作が必要以上に速くならないように心をくばる。この動作くなるときは、バイセップスに最も多く圧力をかける腕の角度をさっと通り過ぎてしまい、結局、バイセッブスは少ししか苦しまないこととなり、従ってバイセップスには不十分な運動となる。このあと2分間休息して、直ちに次のエクササイズに移る。
ワン・アーム・オーバーヘッド・トライセプップス・イクステンション これは一番人の眼につくトライセップスの外側のヘッドを鍛えるのによいエクササイズである

ワン・アーム・オーバーヘッド・トライセプップス・イクステンション これは一番人の眼につくトライセップスの外側のヘッドを鍛えるのによいエクササイズである

<2>ワン・アーム・スタンディング・ケーブル・カール

 わたしは空いている一方の手で、アップライト・バー(垂直に立っている棒、写真参照)を握って、体のバランスを保つ。そして全力をかたむけてカーリング運動に専念する。
 実際、わたしは、器具の中に体を固定してしまうエクササイズよりは全身で力を出し、自外でバランスを保たねばならぬエクササイズが好きである。だから、各身体部分のためのエクササイズのルティンには、好んでこのバランスを自分で保たねばならない種目を1セットいれている。
 4セット 10~12レップス
 70ポンド(約32kg)からスタートして、90ポンド(約41kg)まであげる。
 そしてこれはノー・チーティングノー・フォースト・レップスで行ない、やはり最終の数レップスをスピード・アップしようと心の中で考える。
ワン・アーム・ケーブル・カール“垂直棒を空いているほうの片手で握り、体を支えバランスを失わずにカール運動に全神経を打込む”

ワン・アーム・ケーブル・カール“垂直棒を空いているほうの片手で握り、体を支えバランスを失わずにカール運動に全神経を打込む”

 わたしは、自分が摂取したカロリーのすべてを、筋肉を発達させる運動に使いたいので、一般的なウォミング・アップは省いてきた。わたしは、コンセントレーション・カールからスタートした。それは、これのあとにつづくバイセップスのトレーニングよりは、この方が楽なエクササイズであったから。
このエクササイズがほんとうの意味でのウォーミング・アップの役目を果した。
 この手順は非常にわたしには有効だった。わたしは、この順々に楽なものから骨の折れるエクササイズに移っていくというルティンを用いなかったら、きっと普通のウォーミング・アップが必要であったろう。これにつづくエクササイズは次のものである。

<3>スタンディング・バーベル・カール(肩幅よりやや狭いグリップで)

 4セット 10~12レップス
 135ポンド(約61kg)からはじめて225ポンド(約102kg)で終る。
 この225ポンドの時は、終りの数レップスをパートナーにほんの少し押上げさせるというフォースト・レップス法を用いる。そして、オフ・シーズンには、この骨の折れる最後の1セットを省く。このあと第4番目で、かつ最後のエクササイズに移る。
スタンディング・バーベル・カール 用いるウェイトが大きいので、最後のセットの終りのレップスのとき,力がなくなってあがらなくなったとき、パートナーの助けをかりる

スタンディング・バーベル・カール 用いるウェイトが大きいので、最後のセットの終りのレップスのとき,力がなくなってあがらなくなったとき、パートナーの助けをかりる

<4>オールタニット・カール

 4セット 10~12レップス
 45ポンド(約20kg)からはじめて、75ポンド(約34kg)で終る。
 この最後のエクササイズの要点は手のひらが大腿の方向に向いた形から始めて、だんだんと手首を外上方に回転させていき、ダンベルの位置が一番高いところへ来た時には、手のひらが外方向に向いているようにすることである。両手を交互にカール運動させる。これはパンプ・アップさせるエクササイズである。用いるウェイトは、バーベル・カールに比べるとかなり軽い。
 わたしはいいたい――トレーニングは、いまやわたしにとって、わたしの生活そのものであると。エキジビションのためのトレーニング、たびたびあるコンテストで戦うためのトレーニングなどで、わたしの生活は1年中、トレーニングから成っている。
ベントオーバー・キック・バック“どのトライセップスのエクササイズよりも、これがあの印象的な馬の蹄鉄型の筋肉をつくるのに最適である”

ベントオーバー・キック・バック“どのトライセップスのエクササイズよりも、これがあの印象的な馬の蹄鉄型の筋肉をつくるのに最適である”

 オフ・シーズンという時期は、わたしには現実にほとんどない、といっていい。やや、オフ・シーズン的な時期はあるが、そんな時も、わたしのルティンにはほとんど変更がない。ただ、各エクササイズの4セットめの最後の1セットを省いて、3セットとする。
 わたしのダイエットは、現在でも極めて厳しいものである。わたしはいつも“ノー・モア・チーズ・ケーキ(チーズ・ケーキはダメ)”というモットーを用いて、いつも自分の定めたダイエットを破らないように努めている。
 では次に、トライセツブスのトレーニングに移る。

トライセップスのトレーニング

<1>ライイング・トライセップス・イクステンション

 4セット 10~12レップス
 125ポンド(約58kg)からはじめて155ポンド(約70kg)で終る。
  重いバーベルを持って、人の助けなしに行なう。鼻柱のところから押上げる。時として、最後のセットの終りの3レップスをするとき、力がつきると人を呼んで咀かけてもらうことがある。トライセップスのトレーニングで効果をあげようと思うなら肘をいつも胴の近くに保つことである。つまり、肘と体の間に隙間をつくらないようにする。また、バーベルを頭の後下方へぷらんとおろしてはいけない。このエクササイズは,わたしのトライセップス全体にきく。
[以下、本文56ページにつづく]
ライイング・トライセップスイクステンション鼻柱のとこから押上げる。125ポンド(約57kg)から始め、165ポンド(約75kg)で終る

ライイング・トライセップスイクステンション鼻柱のとこから押上げる。125ポンド(約57kg)から始め、165ポンド(約75kg)で終る

シーテッド・リスト・カール“このエクササイズでは、重いウェイトを用いて15~20レップスで1セットる。それは、わたしの前腕に、あの誰もが探しもとめる瓶のような形を与える”

シーテッド・リスト・カール“このエクササイズでは、重いウェイトを用いて15~20レップスで1セットる。それは、わたしの前腕に、あの誰もが探しもとめる瓶のような形を与える”

オールタニット・ダンベル・カール

オールタニット・ダンベル・カール

リバース・カール“このエクササイズは、長年わたしのトレーニングのさまたげとなった、上腕筋の慢性的な痛みを快癒してくれた”

リバース・カール“このエクササイズは、長年わたしのトレーニングのさまたげとなった、上腕筋の慢性的な痛みを快癒してくれた”

月刊ボディビルディング1981年4月号

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