なんでもQ&Aお答えします
月刊ボディビルディング1982年6月号
掲載日:2020.09.08
上腕、前腕の発達が極端に悪いが
Q
あまりにもやせ過ぎの身体をなんとか人並みにしようと、自宅でトレーニングを開始して1年9カ月になります。現在では、一応、当初の目的に近づきつつあると思いますが、まだまだ満足すべきものではありません。
ところで、体位表を見ればおわかりと思いますが、胸囲、大腿囲等は順調に伸びておりますが、上腕囲、前腕囲については、ここ1年、まったく変化がありません。我流ということでバーベルの取り扱いに問題があるのかもしれませんが、他の部分が発達しているだけに、いちがいにそう決めつけることもできません。バルク・アップには低回数制がよいことを聞き、3カ月前から実施していますが、やはり効果が得られません。
そのようなわけで、腕の種目を2~3追加しようかと考えています。しかし、いたずらに種目を増やしても、レーニング全体のバランスを損うおそれがあるので、最も妥当と考えられる範囲内でトレーニング・スケジュールを作成していただきたいと思います。なお、タンパク質の摂取量は、毎日体重1kg当り2gは確保しています。
(愛知県 田中豊弘 会社員 29歳)
《体位の経過》
開始時 1年後 現在
身 長 167cm 167cm 167cm
体 重 52kg 57kg 58kg
胸 囲 84cm 90cm 92cm
上腕囲 28cm 30.5cm 30.5cm
前腕囲 23.5cm 26.5cm 26.5cm
腹 囲 69cm 71cm 72cm
大腿囲 46cm 50cm 51cm
下腿囲 31cm 34cm 34.5cm
《トレーニング・スケジュール》
(火・木・土の週3回実施。1回当りのトレーニング所要時間は約1時間)
あまりにもやせ過ぎの身体をなんとか人並みにしようと、自宅でトレーニングを開始して1年9カ月になります。現在では、一応、当初の目的に近づきつつあると思いますが、まだまだ満足すべきものではありません。
ところで、体位表を見ればおわかりと思いますが、胸囲、大腿囲等は順調に伸びておりますが、上腕囲、前腕囲については、ここ1年、まったく変化がありません。我流ということでバーベルの取り扱いに問題があるのかもしれませんが、他の部分が発達しているだけに、いちがいにそう決めつけることもできません。バルク・アップには低回数制がよいことを聞き、3カ月前から実施していますが、やはり効果が得られません。
そのようなわけで、腕の種目を2~3追加しようかと考えています。しかし、いたずらに種目を増やしても、レーニング全体のバランスを損うおそれがあるので、最も妥当と考えられる範囲内でトレーニング・スケジュールを作成していただきたいと思います。なお、タンパク質の摂取量は、毎日体重1kg当り2gは確保しています。
(愛知県 田中豊弘 会社員 29歳)
《体位の経過》
開始時 1年後 現在
身 長 167cm 167cm 167cm
体 重 52kg 57kg 58kg
胸 囲 84cm 90cm 92cm
上腕囲 28cm 30.5cm 30.5cm
前腕囲 23.5cm 26.5cm 26.5cm
腹 囲 69cm 71cm 72cm
大腿囲 46cm 50cm 51cm
下腿囲 31cm 34cm 34.5cm
《トレーニング・スケジュール》
(火・木・土の週3回実施。1回当りのトレーニング所要時間は約1時間)
A
トレーニング・スケジュールに関しては後ほど記述するとして、まず、腕そのもののトレーニングについて考えてみたいと思います。
あなたは現在、ツー・ハンズ・スロー・カールを30kgで6回×4セット行なっておられますが、これは、はっきりいって、内容的に現在のあなたの力量に即したものではないように思われます。たとえ低回数制を採用されているとはいえ、使用重量が30kgというのは、上腕囲から推察される現在のあなたの筋力に比べて、いかにも重すぎるといえます。
したがって、あなたがそのような重い重量を使って運動を行なっているということは、見方を考えれば、あなたは不正確な動作で運動を行なっているということになります。9カ月もの期間、腕の発達がまったく得られなかったというのは、運動そのもののやり方に原因があったものと考えて間違いないでしょう。
このことは、ツー・ハンズ・スロー・カールの場合だけでなく、フレンチ・プレスについてもある程度いえるかと思います。したがって、今のところは、上腕の運動に関しては種目数を増やすというよりも、運動のやり方を改めることのほうが大切であろうと思います。
では次に、以上2つの運動における注意点を述べてみましょう。
トレーニング・スケジュールに関しては後ほど記述するとして、まず、腕そのもののトレーニングについて考えてみたいと思います。
あなたは現在、ツー・ハンズ・スロー・カールを30kgで6回×4セット行なっておられますが、これは、はっきりいって、内容的に現在のあなたの力量に即したものではないように思われます。たとえ低回数制を採用されているとはいえ、使用重量が30kgというのは、上腕囲から推察される現在のあなたの筋力に比べて、いかにも重すぎるといえます。
したがって、あなたがそのような重い重量を使って運動を行なっているということは、見方を考えれば、あなたは不正確な動作で運動を行なっているということになります。9カ月もの期間、腕の発達がまったく得られなかったというのは、運動そのもののやり方に原因があったものと考えて間違いないでしょう。
このことは、ツー・ハンズ・スロー・カールの場合だけでなく、フレンチ・プレスについてもある程度いえるかと思います。したがって、今のところは、上腕の運動に関しては種目数を増やすというよりも、運動のやり方を改めることのほうが大切であろうと思います。
では次に、以上2つの運動における注意点を述べてみましょう。
◎ツー・ハンズ・スロー・カールにおける動作上の注意
①バーベルを巻きあげるときに、上体を前後に振らないように留意する。つまり、できるだけ上体と腰の反動を使わないようにする。
②バーベルをあげるときに、肩の上下動を利用しないようにする。肩の上下動を使うと、上腕二頭筋に負荷が的確にかからなくなる。肩をいくぶん前肩ぎみにして、できるだけ上下に動かさないように運動を行う。
③バーベルをあげるときに、肘を後ろへ引くようにしたり、左右へ開いたりしないようにする。肘を後ろへ引いたり、または開いたりすると、バーベルをあげる動作が、巻きあげるというよりは、引きあげる感じになるので、上腕二頭筋に負荷が的確にかからなくなる。
なお、肘は体側よりも後ろへいかないようにし、中間動作ではシャフトが必要以上にからだに近づかないように留意する。
④バーベルをあげるときに、手首の反動(スナップ)を使わないように留意する。スタートの姿勢で手首に力が入るように、きちんとかまえ、動作の際中には手首をできるだけ動かさないようにする。
⑤バーベルをおろすときの動作は、あげるときとは逆の動作を忠実に行うようにする。中途からフォームをくずしたり、気を抜いたりしないようにていねいに行う。
⑥使用重量を欲ばらないこと。使用重量を欲ばると、上述した動作がきちんとできなくなるので、かえって効果が得られなくなる。いくぶん余裕の感じられる重量を使い、要は、上腕二頭筋に負荷を十分にかけるように留意して運動を行うことである。
このことは、低回数制の場合でも同じである。たとえば反復回数が少なくても、正確な動作で運動を行うには、それなりに使用重量に関する配慮が必要である。
②バーベルをあげるときに、肩の上下動を利用しないようにする。肩の上下動を使うと、上腕二頭筋に負荷が的確にかからなくなる。肩をいくぶん前肩ぎみにして、できるだけ上下に動かさないように運動を行う。
③バーベルをあげるときに、肘を後ろへ引くようにしたり、左右へ開いたりしないようにする。肘を後ろへ引いたり、または開いたりすると、バーベルをあげる動作が、巻きあげるというよりは、引きあげる感じになるので、上腕二頭筋に負荷が的確にかからなくなる。
なお、肘は体側よりも後ろへいかないようにし、中間動作ではシャフトが必要以上にからだに近づかないように留意する。
④バーベルをあげるときに、手首の反動(スナップ)を使わないように留意する。スタートの姿勢で手首に力が入るように、きちんとかまえ、動作の際中には手首をできるだけ動かさないようにする。
⑤バーベルをおろすときの動作は、あげるときとは逆の動作を忠実に行うようにする。中途からフォームをくずしたり、気を抜いたりしないようにていねいに行う。
⑥使用重量を欲ばらないこと。使用重量を欲ばると、上述した動作がきちんとできなくなるので、かえって効果が得られなくなる。いくぶん余裕の感じられる重量を使い、要は、上腕二頭筋に負荷を十分にかけるように留意して運動を行うことである。
このことは、低回数制の場合でも同じである。たとえば反復回数が少なくても、正確な動作で運動を行うには、それなりに使用重量に関する配慮が必要である。
◎フレンチ・プレスについて
あなたのスケジュール表に記入されているフレンチ・プレスは、おそらくスタンディング(立った姿勢)によるものであろうと思います。したがって、もしもスタンディングによるものであれば、ライイング(寝た姿勢)の運動に変えたほうがよいと思います。
というのは、フレンチ・プレスは立った姿勢で行うよりも、横になった姿勢で行うほうが、どちらかといえば、より正確な動作で運動が行えるからです。
というのは、フレンチ・プレスは立った姿勢で行うよりも、横になった姿勢で行うほうが、どちらかといえば、より正確な動作で運動が行えるからです。
◎フレンチ・プレス・ライイングのやり方
〔写真参照〕
<かまえ>バーベルをオーバー・グリップで持ち、ベンチに仰臥して垂直に挙上する。この場合の両手の握り幅は、通常、肩幅以内である。
<動作>両肘を左右横へ開かないように留意しながら、上腕部をできるだけ動かさないようにして前腕を手前に屈曲し、バーベルを額、または頭の上あたりへおろす。おろしたなら、やはり両肘を開かないように留意して、腕を伸ばし、バーベルを元の位置に戻す。いくぶん余裕の感じられる重量を用いて、できるだけ上腕部を動かさないように留意して行うのが効果的である。
<動作>両肘を左右横へ開かないように留意しながら、上腕部をできるだけ動かさないようにして前腕を手前に屈曲し、バーベルを額、または頭の上あたりへおろす。おろしたなら、やはり両肘を開かないように留意して、腕を伸ばし、バーベルを元の位置に戻す。いくぶん余裕の感じられる重量を用いて、できるだけ上腕部を動かさないように留意して行うのが効果的である。
〔フレンチ・プレス・ライイング〕
◎前腕の運動について
あなたは現在、前腕の運動をまったく行なっておられませんが、前腕を太くしたいというのでしたら、やはりこの部分の運動を新たに採用してください。最も一般的な前腕の運動としては次に説明するリスト・カールがよいでしょう。
◎リスト・カール〔写真参照〕
<かまえ>写真のような姿勢か、もしくは、バーベル、またはダンベルをアンダー・グリップで持ち、両膝を床につき、あらかじめ体の前に横向きに据えておいたベンチの上に、手首から先を向う側へ出すようにして、左右の前腕を乗せる。
<動作>前腕をベンチの上に固定したまま、手首だけの屈曲運動を行う。
では次にトレーニング・スケジュールについて記述します。まず、現在行なっておられるスケジュールの問題点を指摘し、その上で、現在のあなたに妥当と思われるスケジュール例を2つ示すことにします。
<動作>前腕をベンチの上に固定したまま、手首だけの屈曲運動を行う。
では次にトレーニング・スケジュールについて記述します。まず、現在行なっておられるスケジュールの問題点を指摘し、その上で、現在のあなたに妥当と思われるスケジュール例を2つ示すことにします。
◎現行のスケジュールの問題点
①全体のトレーニング量が多すぎる
あなたは現在、合計34セットの運動を行なっておられますが、これはボディビルダーとしての身体的な段階からいって、現在のあなたには多すぎると考えられます。
したがって、現在のように採用種目全部を隔日的週3度の日程で行うのであれば、1種目当りのセット数を今よりも少なくするか、あるいは採用種目そのものを減らす必要があるかと思います。
しかし、あなたがなんとしても現在行なっておられる種目とセット数に固執するのならば、その場合は、分割法でトレーニングを行うのがよいでしょう。
②運動の順序に疑問がある
運動の順序には別にきまりがあるわけではありませんが、同じやるのなら、やはりトレーニングとしての効率を考えて運動の順番を定めるのがよいでしょう。
現在あなたが採用しておられる運動の順序はどのような意図をもって定められたのか分りませんが、はっきりいって、あまりよい順番であるとはいえません。
具体的にいえば、腕の運動を初めにもってきたり、また、脚の運動を上半身の運動の中間に入れたりするなどは、トレーニングの効率の面で大いに問題があるといえます。腕の運動に関しては次の項で別に触れますが、脚の運動は上半身の運動の前か後で行うようにして、中間に入れないようにするのがよいと考えられます。
③マッスル・プライオリティ・システムを腕に適用するのは問題がある
意識的にマッスル・プライオリティ・システムを採用されてのことなのか、あるいは偶然なのかは分りませんが、あなたは腕の運動をトレーニングの初めに行なって実施されております。しかし、そのように腕の運動をトレーニングの初めに行うことは少なからず問題があるといえます。
腕の運動を行えば、当然、腕が疲労します。そのように腕が疲労した状態で他の多くの運動を行えばどうなるかというと、他の運動もほとんどが腕を使って行う運動であるだけに、腕の筋肉がボディビルのトレーニングとしての正常疲労の範囲を越えてしまうことになります。つまり腕の筋肉疲労が、次回のトレーニング時までに完全に回復できなくなるということです。したがって、筋肉優先法(マッスル・プライオリティ・システム)を格別な配慮もなしに腕に適用するのは考えものであるといえます。
あなたは現在、合計34セットの運動を行なっておられますが、これはボディビルダーとしての身体的な段階からいって、現在のあなたには多すぎると考えられます。
したがって、現在のように採用種目全部を隔日的週3度の日程で行うのであれば、1種目当りのセット数を今よりも少なくするか、あるいは採用種目そのものを減らす必要があるかと思います。
しかし、あなたがなんとしても現在行なっておられる種目とセット数に固執するのならば、その場合は、分割法でトレーニングを行うのがよいでしょう。
②運動の順序に疑問がある
運動の順序には別にきまりがあるわけではありませんが、同じやるのなら、やはりトレーニングとしての効率を考えて運動の順番を定めるのがよいでしょう。
現在あなたが採用しておられる運動の順序はどのような意図をもって定められたのか分りませんが、はっきりいって、あまりよい順番であるとはいえません。
具体的にいえば、腕の運動を初めにもってきたり、また、脚の運動を上半身の運動の中間に入れたりするなどは、トレーニングの効率の面で大いに問題があるといえます。腕の運動に関しては次の項で別に触れますが、脚の運動は上半身の運動の前か後で行うようにして、中間に入れないようにするのがよいと考えられます。
③マッスル・プライオリティ・システムを腕に適用するのは問題がある
意識的にマッスル・プライオリティ・システムを採用されてのことなのか、あるいは偶然なのかは分りませんが、あなたは腕の運動をトレーニングの初めに行なって実施されております。しかし、そのように腕の運動をトレーニングの初めに行うことは少なからず問題があるといえます。
腕の運動を行えば、当然、腕が疲労します。そのように腕が疲労した状態で他の多くの運動を行えばどうなるかというと、他の運動もほとんどが腕を使って行う運動であるだけに、腕の筋肉がボディビルのトレーニングとしての正常疲労の範囲を越えてしまうことになります。つまり腕の筋肉疲労が、次回のトレーニング時までに完全に回復できなくなるということです。したがって、筋肉優先法(マッスル・プライオリティ・システム)を格別な配慮もなしに腕に適用するのは考えものであるといえます。
〔リスト・カール〕
《トレーニング・スケジュール例1》
(隔日的週3日。使用重量および反復回数は省略)
(隔日的週3日。使用重量および反復回数は省略)
《トレーニング・スケジュール例2》
(分割法を採用)
(分割法を採用)
腹直筋が左右アンバランスだが
Q
ボディビル歴は4カ月です。僕は、ボディビルを始める前からいくぶんそういう傾向があったのですが、腹直筋に力を入れると、右側の腹直筋よりも左側の腹直筋の方が出て見えます。見た目にもぶかっこうなので矯正したいと思います。なにか良い方法があったら教えていただきたいと思います。現在実施しているスケジュールと体位は次のとおりです。
《トレーニング・スケジュール》
①シット・アップ 50回×1セット
②スクワット 10回×2セット
③ベント・オーバー・ローイング 10回×2セット
④フロント・プレス 10回×2セット
⑤ツー・ハンズ・カール 10回×2セット
《現在の体位》
身 長 170cm 上腕囲 31cm
体 重 60kg 大腿囲 52cm
胸 囲 75cm 腹 囲 72cm
(大阪市 小山竜一 高校生 17歳)
ボディビル歴は4カ月です。僕は、ボディビルを始める前からいくぶんそういう傾向があったのですが、腹直筋に力を入れると、右側の腹直筋よりも左側の腹直筋の方が出て見えます。見た目にもぶかっこうなので矯正したいと思います。なにか良い方法があったら教えていただきたいと思います。現在実施しているスケジュールと体位は次のとおりです。
《トレーニング・スケジュール》
①シット・アップ 50回×1セット
②スクワット 10回×2セット
③ベント・オーバー・ローイング 10回×2セット
④フロント・プレス 10回×2セット
⑤ツー・ハンズ・カール 10回×2セット
《現在の体位》
身 長 170cm 上腕囲 31cm
体 重 60kg 大腿囲 52cm
胸 囲 75cm 腹 囲 72cm
(大阪市 小山竜一 高校生 17歳)
A
右側よりも左側の腹直筋の方が出ているとのことですが、これは、右側よりも左側の方が筋肉そのそのが発達しているということなのでしょうか。あなたの文面ではそのところがはっきりしませんが、一応、上記のように解釈して回答をすすめていきます。
左側の腹直筋の方が発達しているということは、いいかえれば、右側の発達が弱いということになります。したがって、今後、当分の間は、その発達の弱い右側の腹直筋を重点的に鍛えるようにするのがよいと考えられます。
では、右側の腹直筋を重点的に鍛練する方法を紹介します。
◎ツイスティッド・シット・アップ
<かまえ>普通のシット・アップの場合と同様に腹筋台に仰臥し、上体を左側へねじる。
<動作>上体を左側へねじったままの状態でからだを起こす。
ところで、あなたの胸囲は75cmしかありませんが、この数値が計測上の誤りでなければ、あなたの胸囲は異常に小さいといえます。
あなたは現在、胸の運動を行なっておられませんが、これには何かわけがあるのでしょうか。別にこれといった理由がないのでしたら、ベンチ・プレスを必ず行うようにしてください。
もし、ベンチが無いためにベンチ・プレスができないのでしたら、丈夫な箱などを利用してラタラル・レイズ・ライイングを行うようにするとよいでしょう。その場合は、プッシュ・アップ(いわゆる腕立伏せ運動)をラタラル・レイズ・ライイングと併わせて行うようにすればかなり効果が期待できます。
右側よりも左側の腹直筋の方が出ているとのことですが、これは、右側よりも左側の方が筋肉そのそのが発達しているということなのでしょうか。あなたの文面ではそのところがはっきりしませんが、一応、上記のように解釈して回答をすすめていきます。
左側の腹直筋の方が発達しているということは、いいかえれば、右側の発達が弱いということになります。したがって、今後、当分の間は、その発達の弱い右側の腹直筋を重点的に鍛えるようにするのがよいと考えられます。
では、右側の腹直筋を重点的に鍛練する方法を紹介します。
◎ツイスティッド・シット・アップ
<かまえ>普通のシット・アップの場合と同様に腹筋台に仰臥し、上体を左側へねじる。
<動作>上体を左側へねじったままの状態でからだを起こす。
ところで、あなたの胸囲は75cmしかありませんが、この数値が計測上の誤りでなければ、あなたの胸囲は異常に小さいといえます。
あなたは現在、胸の運動を行なっておられませんが、これには何かわけがあるのでしょうか。別にこれといった理由がないのでしたら、ベンチ・プレスを必ず行うようにしてください。
もし、ベンチが無いためにベンチ・プレスができないのでしたら、丈夫な箱などを利用してラタラル・レイズ・ライイングを行うようにするとよいでしょう。その場合は、プッシュ・アップ(いわゆる腕立伏せ運動)をラタラル・レイズ・ライイングと併わせて行うようにすればかなり効果が期待できます。
上半身のバルク・アップ、とくに広背と上腕の発達を促したいが
Q
ボディビルを始めてから約8カ月になります。下記のようなスケジュールで、自宅でトレーニングを行なっています。まず現在のスケジュールと体位を書いて、そのあとで2つほどお尋ねします。
《トレーニング・スケジュール》
(1~2日おき、週3回実施)
ボディビルを始めてから約8カ月になります。下記のようなスケジュールで、自宅でトレーニングを行なっています。まず現在のスケジュールと体位を書いて、そのあとで2つほどお尋ねします。
《トレーニング・スケジュール》
(1~2日おき、週3回実施)
《現在の体位》
身 長 168kg 腕 囲 32.5cm
体 重 61kg 前腕囲 28cm
胸 囲 96cm 大腿囲 53cm
腹 囲 74cm
《質問1》ここ4カ月というもの、大腿部を除いてほとんど効果が得られませんでした。中でも、広背と上腕はまったく変化がありません。もしも、トレーニングの仕方に問題があったらアドバイスをお願いします。
《質問2》上半身をバルク・アップするために、2種目ほど運動を増やしたいと考えています。どのような種目を増やすのがよいでしょうか。
(千葉市 山崎 昇 店員 23歳)
身 長 168kg 腕 囲 32.5cm
体 重 61kg 前腕囲 28cm
胸 囲 96cm 大腿囲 53cm
腹 囲 74cm
《質問1》ここ4カ月というもの、大腿部を除いてほとんど効果が得られませんでした。中でも、広背と上腕はまったく変化がありません。もしも、トレーニングの仕方に問題があったらアドバイスをお願いします。
《質問2》上半身をバルク・アップするために、2種目ほど運動を増やしたいと考えています。どのような種目を増やすのがよいでしょうか。
(千葉市 山崎 昇 店員 23歳)
A
まずはじめのトレーニングのやり方についてのご質問ですが、まったく疑問点がないとはいえません。そこで、推測できる範囲でトレーニング上の不備な点について考えてみたいと思います。しかし、それについては、疑問点をより明確にするために、質問の内容を2つの項目に分けることにします。つまり、①全体的に効果がなかった ②中でも広背と上腕の発達がまったく得られなかった、という2つに分けて考えてみたいと思います。
まずはじめのトレーニングのやり方についてのご質問ですが、まったく疑問点がないとはいえません。そこで、推測できる範囲でトレーニング上の不備な点について考えてみたいと思います。しかし、それについては、疑問点をより明確にするために、質問の内容を2つの項目に分けることにします。つまり、①全体的に効果がなかった ②中でも広背と上腕の発達がまったく得られなかった、という2つに分けて考えてみたいと思います。
<1>大腿部を除いて、全体的にほとんど効果が得られなかった原因
これはおそらく、大腿部を除く他の身体部分に適切な休養が与えられなかったことに原因があると考えられます。
あなたは、隔日的に週3度、バーベルによる運動をし、その他にブルワーカーによる運動を毎日実施しておられます。これはボディビルの原則からいえば少なからず問題があるといえます。バーベル運動にしてもまた、ブルワーカーの運動にしても互いに使用する器具は異なってはいても、抵抗運動であることには変りがありません。
運動としての程度にもよるので、いちがいにはいえませんが、少なくともボディビルとして抵抗運動を行う場合は、通常、同一部分の運動は1~2日置きくらいのスケジュールで行うのがよいとされています。
あなたの手紙にはブルワーカーによる運動の詳しい説明がないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、おそらく、バーベルの運動も含めて、連日、同じ部位の運動を行なっているのではないかと思います。
たとえ運動のかたちが変っても、同一部分の運動を連日行うことは、多くの場合、その部分の正常な回復が妨げられるので、かえって効果が得られなくなります。いうなれば、ボディビルのような抵抗運動における筋の肥大、または筋力の向上といった効果は、トレーニングの回数を増やしさえすれば得られるというものではないということです。
トレーニングの効果を効率よく得るためには、適切な休養を筋に与えることも大切な条件の1つになります。
したがって、今後はブルワーカーによる運動も含めて、ボディビルのためのいっさいのトレーニングは隔日的、週3日(場合によっては2~3日おき週2日)のペースで行うようにし、間の日は完全に休養されるのがよいでしょう。
なお、大腿部のみが発達の面で不調をまぬがれたというのは、おそらく、他の部分ほどには大腿部がブルワーカーの運動によって酷使されなかったからであると思います。
あなたは、隔日的に週3度、バーベルによる運動をし、その他にブルワーカーによる運動を毎日実施しておられます。これはボディビルの原則からいえば少なからず問題があるといえます。バーベル運動にしてもまた、ブルワーカーの運動にしても互いに使用する器具は異なってはいても、抵抗運動であることには変りがありません。
運動としての程度にもよるので、いちがいにはいえませんが、少なくともボディビルとして抵抗運動を行う場合は、通常、同一部分の運動は1~2日置きくらいのスケジュールで行うのがよいとされています。
あなたの手紙にはブルワーカーによる運動の詳しい説明がないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、おそらく、バーベルの運動も含めて、連日、同じ部位の運動を行なっているのではないかと思います。
たとえ運動のかたちが変っても、同一部分の運動を連日行うことは、多くの場合、その部分の正常な回復が妨げられるので、かえって効果が得られなくなります。いうなれば、ボディビルのような抵抗運動における筋の肥大、または筋力の向上といった効果は、トレーニングの回数を増やしさえすれば得られるというものではないということです。
トレーニングの効果を効率よく得るためには、適切な休養を筋に与えることも大切な条件の1つになります。
したがって、今後はブルワーカーによる運動も含めて、ボディビルのためのいっさいのトレーニングは隔日的、週3日(場合によっては2~3日おき週2日)のペースで行うようにし、間の日は完全に休養されるのがよいでしょう。
なお、大腿部のみが発達の面で不調をまぬがれたというのは、おそらく、他の部分ほどには大腿部がブルワーカーの運動によって酷使されなかったからであると思います。
<2>とくに広背と上腕の発達がまったく得られなかった原因
〔注〕この問題には関しては、本号の田中さんの質問に対する回答と一部重複する点があるので、そちらの回答も参考にしてください。
さて、からだの中でも、とくに広背と上腕部の発達がまったく見られなかったとのことですが、もちろんそのことに関しても前項で述べたことが原因の1つになっているといえます。しかし、この場合は、それだけが原因ではないようです。
つまり、スケジュールの面での不備に加えて、技術的な面での不備もあるようです。具体的に考えられるのは、ベント・オーバー・ローイングとツー・ハンズ・カールの運動のやり方そのものに問題があるのではないかと思われます。
あなたは現在、ベント・オーバー・ローイングは45kg、ツー・ハンズ・カールは35kgの重量を用いて運動を行なっておられます。しかし、これらの重量は、現在のあなたの体位から推測される筋力に比べるといかにも重すぎると思います。
つまり、あなたは、自分の筋力的な能力に即さない重量を使って運動を行なっているといえます。このことは、見方を変えれば、この2種目の運動をきちんとした方法で行なっていないということにもなります。したがって、今後、運動のやり方を改めないかぎり、スケジュールのみを改めたからといって効果が得られるようになるかどうかは疑問です。
腹臓のないところをいわせていただけば、推測されるあなたの現在の筋力であれば、両種目ともいま使っている重量の半分くらいの重量で十分ではないかと考えられます。思いきって使用重量を減らし、きちんとした方法で運動を行うようにされるのがよいでしょう。正しい運動方法については専門書やテキストを参考にしてください。
さて、からだの中でも、とくに広背と上腕部の発達がまったく見られなかったとのことですが、もちろんそのことに関しても前項で述べたことが原因の1つになっているといえます。しかし、この場合は、それだけが原因ではないようです。
つまり、スケジュールの面での不備に加えて、技術的な面での不備もあるようです。具体的に考えられるのは、ベント・オーバー・ローイングとツー・ハンズ・カールの運動のやり方そのものに問題があるのではないかと思われます。
あなたは現在、ベント・オーバー・ローイングは45kg、ツー・ハンズ・カールは35kgの重量を用いて運動を行なっておられます。しかし、これらの重量は、現在のあなたの体位から推測される筋力に比べるといかにも重すぎると思います。
つまり、あなたは、自分の筋力的な能力に即さない重量を使って運動を行なっているといえます。このことは、見方を変えれば、この2種目の運動をきちんとした方法で行なっていないということにもなります。したがって、今後、運動のやり方を改めないかぎり、スケジュールのみを改めたからといって効果が得られるようになるかどうかは疑問です。
腹臓のないところをいわせていただけば、推測されるあなたの現在の筋力であれば、両種目ともいま使っている重量の半分くらいの重量で十分ではないかと考えられます。思いきって使用重量を減らし、きちんとした方法で運動を行うようにされるのがよいでしょう。正しい運動方法については専門書やテキストを参考にしてください。
<3>上半身全体をバルク・アップするには
上半身全体をバルク・アップしたいということでしたら、スタンディング・ローと、ベント・アーム・プルオーバーを行うのが効果的です。
この2つの運動は、それぞれ上半身の運動種目としては、上半身の部分に比較的広範囲に効くばかりでなく互いに結抗し合う運動であるともいえます。〔写真参照〕
この2つの運動は、それぞれ上半身の運動種目としては、上半身の部分に比較的広範囲に効くばかりでなく互いに結抗し合う運動であるともいえます。〔写真参照〕
〔スタンディング・ロー〕
〔ベント・オーバー・ローイング〕
したがって、現在の段階において上半身全体のバルク・アップを促すには、その2種目の運動を行うのが効果的であるといえます。ちなみにスタンディング・ローと、ベント・アーム・プルオーバーの効果は次のとおりです。
○スタンディング・ロー
三角筋、僧帽筋、上腕二頭筋、上腕筋、前腕の伸筋。
○ベント・アーム・プルオーバー
広背筋、大胸筋、上腕三頭筋、前腕の屈筋、(三角筋)。
〔回答は1959年度ミスター日本NE協会指導部長・竹内 威先生
演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生〕
○スタンディング・ロー
三角筋、僧帽筋、上腕二頭筋、上腕筋、前腕の伸筋。
○ベント・アーム・プルオーバー
広背筋、大胸筋、上腕三頭筋、前腕の屈筋、(三角筋)。
〔回答は1959年度ミスター日本NE協会指導部長・竹内 威先生
演技指導は平井トレーニング・センター会長・熊岡健夫先生〕
月刊ボディビルディング1982年6月号
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