一九九二年 全日本ジュニアパワーリフティング選手権大会
月刊ボディビルディング1992年8月号
掲載日:2020.01.30
最近の若いパワーリフターの台頭は目ざましいものがある。それは今年の全日本ジュニアの大会を見ても感じられた。今年も昨年と同じ埼玉大学の体育館において、4月26日、全国から23歳以下の若きパワーリフターたちを集めて開催された。各クラスの戦いは年々レベルが上がっており、数年前のように1人がダントツで優勝し、他は低いレベルに留まるなどという事はない。見ている方も力が思わず入ってしまう程の、力のこもった熱い戦いが展開され完全なスポーツになって来た。
女子52kg級
新町友佳子(兵庫)と三藤薫子(埼玉・マッスルロード)との接戦になった。2人共力はあまり差がないのだが、スクワットで100kgの1本目しかとれなかった三藤が、スクワットの10kgの差を、どうしても最後までつめる事ができず、新町がトータル280kgで7.5kgの差をつけ優勝を飾った。
女子56kg級
6人が出場し、女子のクラスの中では一番の見ごたえのあるクラスであった。戦いも非常に接戦で、結果としてはデッドリフトの強い国府田綾子(東京・パワーハウス)が270kgで優勝、2位はおしくも5kg差で高橋裕子(東京・中野ヘルスクラブ)。3位はさらに2.5kg差で飯尾直子(埼玉・大宮TC)が入った。浦和学院高校の3人の生徒は惜しくも4位、5位、6位であったが、今後が期待できるだけにがんばってほしい。
女子60kg級
三種目に平均した力を持つ奥野真理(岡山・岡山大学)が、332.5kgの高トータルで優勝。奥野は5月下旬のベルギーで行われる世界女子大会にも参加するので活躍が期待できる。2位はまだ17歳の小野志津(宮城・石川トレーニング)で、トータル262.5kg。これからが楽しみな選手だ。
女子67.5kg級
河野理恵(香川・高松トレーニングクラブ)1人の参加でさびしかったが、ベンチ70kgを含む平均した力でトータル320kg、昨年に続き2連勝した。まだ19歳なので連勝の記録は伸びそうだ。
女子82.5kg級
67.5kg級と同じく加藤みどり(愛知・東名アスレチック)の1名の参加。加藤はよくがんばりデッドリフトで163kgのジュニア日本新記録を出し、トータル340kgで優勝した。
男子52kg級
梅田芳和(茨城・常総学院高校)と宮田将志(埼玉・浦和学院高校)の2人の対決となった。2人は共に16歳。またそれぞれの所属する常総学院と浦和学院はパワーの世界では日本をリードする高校。結果は梅田が352.5kgで、わずか2.5kg差で宮田を逆転し優勝を果たした。
男子56kg級
昨年の52kg級のチャンピオン松浦克(大阪・個人)が1クラス体重を上げ、同時にトータルを60kgもアップさせて2連勝。松浦はまだ19歳。今後体重の増加と共に記録もますます増加していくだろう。2位は黒田孝行(千葉・国際武道大学)でトータルは417.5kg。どうも本来の調子が出ていなかったようだ。3位は太田嘉和(神奈川・リコー厚木)で、トータルは412.5kgであった。
男子60kg級
このクラスは昨年の上位入賞者が今年はだれも参加していないという、出入りの激しいクラス。その中で1位はトータル460kgで伊藤禎浩(三重・個人)。ベンチプレス112.5kgはなかなかレベルが高い。続いて増田修之(茨城・鬼怒商業高校)トータル430kg。17歳の高校生としてはこれは強い。3位はトータル420kgで出口昇(東京・BIG BEN)が入った。
男子67.5kg級
優勝は谷川克信(富山・パレス富山PLC)。トータルは何と570kgで、全日本選手権の標準記録を上まわっている。3種目の中ではスクワットが235kgで光っている。昨年の3位からついにチャンピオンになったが、まだ20歳、これからが楽しみな選手の内の1人だ。
2位は山田英司(神奈川・アサマTC)。特に弱点もなく彼も今後期待できる1人だ。しかし、私が一番おどろいたのは実は3位の根本明弘(茨城・常総学院高校)である。トータルは507.5kgでまだ16歳。1年たらずしかトレーニングしていない事を考えると末おそろしいものがある。全日本ジュニア大会というのは、毎年新しい才能を見せてくれる。
2位は山田英司(神奈川・アサマTC)。特に弱点もなく彼も今後期待できる1人だ。しかし、私が一番おどろいたのは実は3位の根本明弘(茨城・常総学院高校)である。トータルは507.5kgでまだ16歳。1年たらずしかトレーニングしていない事を考えると末おそろしいものがある。全日本ジュニア大会というのは、毎年新しい才能を見せてくれる。
男子75kg級
ライバルの存在というのは、記録を伸ばす最良の友かもしれない。このクラスを見ていてそれを実感した。そのライバルとは斉藤達也(神奈川・アサマTC)、内田聡(茨城・国際武道大学)。そして今回はそこに高野優(東京・東工大WTC)が加わって3つ巴の激しい戦いとなった。結果は昨年に続き斉藤が597.5kg優勝、内田は585kgで2位。高野は577.5kgで3位であった。この3人は関東学連の大会で近いうちにもう一度戦う事になる。75kg級は、当分この3人から目が離せそうもない。
男子82.5kg級
昨年、75kg級で惜しくも2位だった松原郷士(兵庫・十三TC)が、今回1クラス上げて成功したようだ。トータル600kgで2位以下に大差をつけての優勝だ。デッドリフト245kgはリッパである。そしてスクワットも強くなってきている。2位は戸谷英司(神奈川・さぎ沼TC)。3位は飯田成人(神奈川・アサマTC)であった。昨年のこのクラスのチャンピオン小河原健(埼玉・浦和学院高校)は、今年は残念ながら4位に終わった。
男子90kg級
金子正彦(神奈川・桜ヶ丘TC)がスクワット240kg、ベンチプレス130kg、デッドリフト235kgとバランスのとれた強さで優勝。トータルは605kg。続いて神奈川県の選手が2位、3位と入り、このクラスの上位3名はすべて神奈川県となった。2位は義澤喜文(アサマTC)でトータル577.5kg。3位は里吉昌博(NEC)で575kgであった。
男子100kg級
このクラスは最近になくレベルの高い戦いとなった。優勝は吉田達也(大阪・ナニワTC)。昨年のチャンピオンだが、昨年のトータル655kgから見ると実に72.5kgも記録を伸ばしての2連勝である。おまけにデッドリフト275kgとトータル725.5kgは小沢選手が昨年作ったばかりのJr日本記録を破るJr日本新記録である。吉田選手の全日本での活躍が期待できそうだ。
2位は昨年まで90kg級で2連勝した宮本昌彦(東京・パワーハウス)。この大会1週間前の東京大会で685kgを出した疲れが出たためか、記録は670kgで終わってしまった。3位の松原大輔(大阪・個人)も600kgを大幅にこえる640kgを出して頑張っていた。
2位は昨年まで90kg級で2連勝した宮本昌彦(東京・パワーハウス)。この大会1週間前の東京大会で685kgを出した疲れが出たためか、記録は670kgで終わってしまった。3位の松原大輔(大阪・個人)も600kgを大幅にこえる640kgを出して頑張っていた。
男子110kg級
優勝した三土手大介(東京・パワーハウス)は、一週間前の東京大会がデビュー戦で初出場にもかかわらず290kgのスクワットとトータル707.5kgのJr日本新を出していた。しかしおどろくべき事に今週もスクワット300kg、トータル725kgでまた2つのJr日本新記録を出してしまった。その上19歳なのでなおビックリだ。2位は澤昌夫(茨城・筑波大学)607.5kg。これも高記録なのだが三土手の影にかくれてしまった。
男子125kg級
愛知のJr日本記録保持者鈴木康夫がケガのため欠場したので、磯野修平(山口・小野田TC)が1人でがんばり優勝。記録は590kg。トレーニング歴が浅いのでこれからの選手だ。がんばってもらいたい。 (レポート/吉田進)
男子75kg級優勝 斉藤達也
女子60kg級優勝 奥野真理
女子56kg級優勝 国府田綾子
男子67.5kg級優勝 谷川克信
男子100kg級優勝 吉田達也
男子110kg級優勝 三土手大介
RESULT
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