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JAPAN Jr & Masters

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月刊ボディビルディング1992年10月号
掲載日:2020.02.06

BODYBUILDING CHAMPIONSHIPS

第27回MR、第10回MS東京ボディビル選手権

8月23日江戸川総合文化センター
全日本マスターズ女子優勝◉福田たまみ とてもマスターズには見えない身体とプロポーションで楽に優勝をものにした

全日本マスターズ女子優勝◉福田たまみ とてもマスターズには見えない身体とプロポーションで楽に優勝をものにした

ミスター東京で死闘を演じるピーター・キマニ(左)と有賀誠ニ。持ち前のバルクにカットを備えてきたキマニは、プレジャッジから他を圧倒し優勝した

ミスター東京で死闘を演じるピーター・キマニ(左)と有賀誠ニ。持ち前のバルクにカットを備えてきたキマニは、プレジャッジから他を圧倒し優勝した

ミズ東京優勝◉橿棒幸子

ミズ東京優勝◉橿棒幸子

全日本マスターズ優勝◉朝生照雄 MR日本でも常に上位入賞を果たしている彼にとって全日本マスターズを獲ることはたやすい事であった

全日本マスターズ優勝◉朝生照雄 MR日本でも常に上位入賞を果たしている彼にとって全日本マスターズを獲ることはたやすい事であった

全日本ジュニア優勝◉鉄尾浩樹

全日本ジュニア優勝◉鉄尾浩樹

ゲスト/フランク・ヒルブランド

ゲスト/フランク・ヒルブランド

日本ジュニア&マスターズ
ボディビル選手権大会

記事画像7

◉日本マスターズ

 かねてからの噂どおり朝生照雄がマスターズに出場して来た。今年はミスター・ユニバースが11月10日〜15日、世界マスターズが11月18日〜23日と1週間も離れていないため、両方に出場したいと言っていた。

 MR日本に2度優勝し、'89、'90、'91とMR日本に連続2位に入っている朝生にとって、この日本マスターズ大会を制することは、減量することよりも簡単だったのではないか?実際、ラインナップで一人だけ群を抜いて目立っていた。仕上がりではまだ8割程度だが、何といってもバルクの違いだろう。比較に一回も呼ばれずに、世界マスターズへの切符を手にすることができた。世界マスターズ優勝へ向けて、減量に励んでもらいたい。

 2位には、今年から日本マスターズに出場してきた亀山芳信が入った。彼の2位も、ほぼラインナップで決まったといっても良いだろう。日本人にしては腰の位置が高く、脚が長い。ウエストも細いのでプロポーションには恵まれていると言える。調整としては選抜大会よりはやや甘いように思えたが、それでも腹筋の凹凸がはっきりと出るので悪くはない。後は脚部のバルクをもっとつければマスターズ優勝も夢ではないであろう。

 3位に入った竹下浩一は選抜大会のバンタム級で4位に入っている選手だ。その時より絞り込んでの出場で、堂々の入賞を果たした。

 4位には、マスターズ東京40歳以上の部で優勝した石津永司が入った。かなり厳しく絞り込まれており、大腿四頭筋にストリエージョンを走らせていたのはおそらく彼だけではないか。腹直筋、外腹斜筋のカットも深く刻み込まれ、バックのセパレーションも見事である。広背筋の広がりの無さが少々気になったが、カットでは今回ナンバーワンであったろう。

 カットの厳しさでは登坂勉も定評があるが、今回も甘さが残り5位に終わっている。特に脚部のカットの無さが目立っていたようだ。

 6位の前田憲二は、全体的には絞れているのだが、個々の筋肉のセパレーションがはっきりと浮きでない。ダブルバイセプス等の正面のポーズでは、真っすぐに立ってポーズをとるためか、ややウエストが太く見えバランスが悪い印象をうける。昨年の4位から2つ順位を落としている。

 7位の渡辺好夫、9位の高野常清ともに長身でバルクがあるので、絞るポーズでは非常に迫力がある。しかし、全体のバランス、シンメトリーから見ると、これも2人ともに脚部に弱点をもっているようだ。

 8位に入った阿部忠雄は小柄ではあるが、バランスの良い選手である。今回は調整に甘さを残していた。

 10位には大ベテランの金澤利翼が入った。彼も又例年よりは調整がうまくいかなかったようである。

◉日本マスターズ女子

 女子の方もラインナップで優勝はほぼ決定していたと思う。ここ1、2年の間に急成長を見せている福田たまみがその人である。手脚が非常に長く、腰高であり、ナローウエストから広がるVシェイプは彼女のプロポーションの良さをいっそうひき立てていた。仕上がりは厳しいとまではいかないがほど良く仕上げている。しかし、予想以上にジャッジは割れていたようだ。

 2位に入った佐藤千恵子は、おそらく過去最高のシェイプで大会に臨んでいたのではないか。バルク、プロポーションでは福田に一歩引けをとってしまうが、腕、胸、脚のデフィニションは福田より良かったかもしれない。予選、決勝を通して2人ずつ1位をつけている。ただ、彼女のフリーポーズは何かゆらゆらとしていて決めに欠けているように思える。キチッ、キチッとポージングをしないので、カメラマン泣かせである。これは改善の余地があるように思えるのだが……。

 全体的な筋量では3位の佐藤敦子の方があるのだが、佐藤千恵子が絞り込んでいたために甘さが目についていたようだ。特に腹筋はセパレーションがキレイに浮きでなかった。
マスターズ女子1位・福田たまみ

マスターズ女子1位・福田たまみ

マスターズ女子2位・佐藤千枝子

マスターズ女子2位・佐藤千枝子

マスターズ女子3位・佐藤敦子

マスターズ女子3位・佐藤敦子

◉日本ジュニア
 

 元々バリバリに絞れるタイプでないことはわかっているが、それを考慮しても甘い。それは誰の目にもわかる。マスキュラーやサイドチェスト等の絞るポーズではまだ良いが、ダブルバイやスプレッド等の広げるポーズでは正にフラット&スムーズ。特にミッドセクションの甘さが顕著だった。

 決勝のフリーポーズではジュニアにしては仲々しぶみのあるポージングで魅せてくれたが、結局甘いという印象はぬぐいきれず優勝をとりこぼすどころか、3位に落ちてしまった。

 強敵小川を下して見事優勝したのは同郷で同じジム所属の鉄尾浩樹であった。ウエストがやや太く広がりに欠けるため、バランス、シンメトリーでは小川に劣るが、何しろ仕上がりが抜群。大胸筋に走るストリエージョンは、ジュニア離れしている。大腿部のバルクはかなり豊富なので、このまま上体に厚みと広がりをつけていけば、一般の部でも十分通用していけそうな選手である。

 2位には東京のジュニアを制して出場して来た井上貴幸が入った。長身のためか、まだ全体に縦長の感じをうけるが、仕上がりはまずまず。マスキュラーポーズでの僧帽筋の大きさが目を引いた。手脚が長くプロポーションには恵まれているので、今後の精進に期待したい。

 4位の平林康之も、結構バルクのある選手だ。特に大腿部は正面、サイド共に良い。ただ今回は今一つ絞りきれていなかったようだ。色の白さも手伝って、余計に甘く見えていた。

 北海道からエントリーしてきた渡辺伸一郎が5位に入った。三頭筋の太さが目を引いたが、全体的にバルク、仕上がり共にもう一歩といったところだろう。

 6位に入った高梨圭祐はやる気満々で大会に臨んでいた。ジュニアらしくて良いのだが、ポージングと気持ちが何か空回りしているようでもあった。肌の色も、染料のせいかと思うが、黒いというよりは黒すぎて汚いという印象を受けた。やはり肌の色も黒ければ良いというわけではないので、染料も考えて使う必要があるだろう。



 マスターズ男子、ジュニアの部に関しては年々選手のレベルが、上がっているように思えるのだが、女子に関してはどうも当てはまらない。女子ジュニアは2年前の第2回大会を最後に開催されてなく、このままではマスターズ女子も無くなってしまうのではないかと心配になってしまう。マスターズの選手層が年々減っているのかと言えば、そうとも思えない。

 やはり、そこは選手のやる気以外の何ものでもないと思う。男子の選手のように、世界女子マスターズ大会を目指してもっと貪欲にチャレンジしてもらいたい。
マスターズ1位・朝生照雄世界マスターズ優勝への期待も大きい

マスターズ1位・朝生照雄世界マスターズ優勝への期待も大きい

マスターズ2位・亀山芳信

マスターズ2位・亀山芳信

マスターズ3位・竹下浩一

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マスターズ4位・石津永司

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マスターズ5位・登坂勉

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マスターズ6位・前田憲二

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マスターズ7位・渡辺好夫

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マスターズ8位・阿部忠雄

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マスターズ9位・高野常清

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マスターズ10位・金澤利翼

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ジュニア1位・鉄尾浩樹

ジュニア1位・鉄尾浩樹

ジュニア2位・井上貴幸

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ジュニア3位・小川典秀

ジュニア3位・小川典秀

ジュニア4位・鳥屋健吾

ジュニア4位・鳥屋健吾

ジュニア5位・渡辺伸一郎

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ジュニア6位・高梨圭祐

ジュニア6位・高梨圭祐

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月刊ボディビルディング1992年10月号

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