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'ミスター&ミズ大阪ボディビル選手権大会
8月30日/大阪市南御堂会館

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月刊ボディビルディング1992年11月号
掲載日:2020.02.07
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ミスターの部

 ミスター大阪はまずクラス別から審査が始まり、続いてオーバーオールの審査へと移る。
各クラスの優勝者は以下の通りである。

フライ級/山本眞
バンタム級/久世悟
ライト級/吉岡憲太郎
ミドル級/川本勝
Lヘビー級/村上武司

 オーバーオールのラインナップで目を引いたのか、ライト級を制している吉岡である。いつものことながら、バリッとした厳しい仕上かりで臨んでいる。絞り込みならば日本のトップクラスと言えるだろう。
 その吉岡に対抗しうるであろう選手としては、Lヘビー級1位の村上武司が上げられる。学生時代と比べるとビルダーとしての完成度もかなり増しているようだ。
 この2人、昨年のミスター関西では、村上が1位、吉岡が2位という結果になっているだけに、べテランの吉岡としてはその雪辱を果たしたいところだろう。
 結局、仕上がりに勝る吉岡が念願の優勝を飾ることができた。だが、村上の出来も決して悪くはなかった。マスキュラーポーズで見せる腕、胸、肩の迫力は吉岡を凌ぐものがあり、又外腹斜筋を含むミッドセクションもキレ味が鋭かった。
 しかし、上半身の前面のカットが厳しいのに対しバックでの精彩にやや欠けていたようだ。特に殿部から大腿ニ頭筋、カーフにかけての下半身のデフィニションで、吉岡との差かついたものと思われる。
 逆にバックのデフィニションの良さで目を引いたのが、3位に入った夏川健司である。デフィニションだけではない。バルクの方も腕、胸、背、脚と全身にわたりカ強さを感じさせる。特に絞るポーズで見せる大胸筋からは、その密度の高さかうかがえた。ただ、体の厚みに対しやや広がりに欠けた点が今回3位に甘んじた要因あろう。
又、彼の唯一の弱点として上げられるのは、腹直筋の凹凸のなさ。吉岡、村上の腹筋のセパレーションが良いだけに、この差は、大きくついただろう。
 4位の今中直博もバックポーズの安定感は素晴らしい。彼の場合、上背だけでなく下背部のバルクも充実している。夏川と共にバックポーズでは上位2名に勝っていたのではないか。さらに、彼の重量感溢れる大腿部も大きなセールスポイントである。特にサイドから見る大腿の厚みは全日本クラスのレベルである。腹直筋も形良く浮きでていたが、今回は厳しいという仕上がりにもっていけなかったのが敗因か。
 5位にはベテランの成定が入った。全体的に筋肉も発達しているし、仕上がりもまずまず。でも、何故かインパクトに欠けてしまう。やはり、何か自分としての武器が欲しいところだ。
 ミドル級で優勝した川本勝か6位となった。腰の位置が高く、肩幅が広い、いわゆるプロポーションの良い選手だ。それに手脚も長く広背筋も広がっているので、リラックスやダブルバイ、ラットスプレッド等のポーズが非常に映える。ただし、広がりがある分全体的に厚みに欠ける。特に大胸筋のバルクアッフが今後の課題であろう。
 7位の安福浩ニはバランスも良く、スケールの大きい選手だが、今回は仕上がりに甘さを残したようだ。
 逆に8位の山本眞は絞り込みは十分、カットバリバリなのだが、やはりオーバーオールで戦うには、バンタム級では大きさで見おとりがしてしまうようだ。
 9位には長身の三坂晋一が入り、10位はミドル級3位の武村秀也であった。
宿敵村上を下し念願の大阪を制した吉岡憲太郎

宿敵村上を下し念願の大阪を制した吉岡憲太郎

最近急成長を見せている村上武司は2位

最近急成長を見せている村上武司は2位

3位☆夏川健司

3位☆夏川健司

4位☆今中直博

4位☆今中直博

5位☆成定輝美

5位☆成定輝美

6位☆川本勝

6位☆川本勝

7位☆安福浩一

7位☆安福浩一

8位☆山本眞

8位☆山本眞

ミズの部

 ミズの部もカットの鋭さで目を引いた高田葉子が勝利を収めた。少々ポージングが堅いようであったが、細いウエストから脇にかけてのVシェイプがキレイであり、大腿部もバルキーであった。
 2位となった太田みどりも、ここ数年見られない程のコンディションの良さである。ただ、絞りに徹したためかやや線が細く見えた。特に下半身はバルク、カット共に高田との差がついたようだ。
 3位の阪ロ幸絵は腹筋が売りの選手である。しかし、細部にわたるデフィニションに欠けていたようである。
 4位の成定さつき、5位の石田朋子ともにバランスの良い選手ではあるが、仕上がり甘さが目立った。
 6位の高石好子も上体のVシェイプが美しく、メリハリのある体をしているが、厳しさは欠いていたように思われる。
バルク・カット共に優れていた高田葉子が栄冠を手にした

バルク・カット共に優れていた高田葉子が栄冠を手にした

スタイルと共にコンディションも良かった太田みどりが2位に入る

スタイルと共にコンディションも良かった太田みどりが2位に入る

ミズ3位☆阪口幸絵

ミズ3位☆阪口幸絵

ミズ4位☆成定さつき

ミズ4位☆成定さつき

ミズ5位☆石田朋子

ミズ5位☆石田朋子

ミズ6位☆高石好子

ミズ6位☆高石好子

9位☆三坂晋一

9位☆三坂晋一

10位☆武村秀也

10位☆武村秀也

月刊ボディビルディング1992年11月号

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