第27回全日本学生ボディビル選手権
大器、萩原(早大)4年目で栄冠を掴む!!
去年も萩原は関東大会を制して、全日本のタイトルに最も近い位置をキープしていた。もしここで優勝できたなら、まだ彼が3年であることを考えると、須江正尋に続いて全日本2連覇も夢ではない、という期待を我々は抱いていた。 しかし、萩原は見事に期待を裏切ってくれた。同じ大学の先輩池田に敗れたのだ。池田は、その年の関東大会とは別人のような仕上がりで臨んでき、それに対し萩原はというと、関東の時とはさほど変わり映えがしなかった。強いインパクトという点で池田が勝り、逆転をくらったのである。
しかし、今年は違った。ラインナップから他の者を寄せつけなかった。それは仕上がり云々なんてものではなく、明らかにバルクの差、レベルの違いであった。それはまさしく、四年間溜まりに溜ったものを爆発させた結果とも言えるだろう。
小柄ではあるがバルクに富み、その上バランスも整っている。このまま順調に歩んで行けば、社会人の大会でも十分通用できる素材を彼は持っている。
学生時代だけで埋れるには惜しい気がする。
Photo/Ben.K
関西のスキンヘッドコンビの出現で、今大会のレベルがグーンと上がった。2位の宮本崇(右)と4位の松浦弘至
学生の域を脱している萩原のバック。このままでも社会人大会で十分通用しそうだ。
この一年間で見違える程のバルクをつけてきた金子憲司。3位に終り、少々不満そうであったが・・・
第27回全日本ボディビル選手権
しかし、今年は上位にくい込みそうな、非常に目を引く関西の選手が2人もいた(しかも2人共スキンヘッド)。一人は、昨年の全日本で1年生ながらも7位に入った松浦弘至(関西外大)である。その時から定評のあったバルクの充実度をさらに増し、1回り大きくなっての登場である。特に肩と腕がいい。マスキュラー等の絞るポーズでは、肩から腕に走るズ太い血管も手伝って、かなりの迫力を見せていた。仕上がりも上半身に関してはまずまずといったところ。しかし、どうも下半身のカットの甘さが目立つ。力の入れ具合が悪いのかもしれないが、上半身の凄さに比べ大腿部は全くのフラット&スムーズ。別物と言ってもよいだろう。
逆に、もう一人のスキンヘッド、いや注目株関西大の宮本崇は、全身にわたり鋭いカットで目をひいた。宮本は関西大会で松浦を敗り優勝している。バルク面では松浦よりやや劣り、まだ線が細い感じを受けるが、頭のてっぺんから爪先まで研ぎ澄まされたフィジークは、他の選手には見られぬものがある。特にバックのダブルバイでは下背、殿部、そして大腿二頭筋にまで鋭いカットを浮び上がらせていた。色の黒さも手伝って、より体を厳しく見せていた。
金子(左)と萩原
萩原(右)に果敢に挑む小野。小野の仕上がりは中々よかったが・・・
左より小野、中川、宮本
カットでは萩原を上回っていた宮本崇(関西大)
他を寄せ付けぬバルクで圧勝した萩原雄樹(早稲田)
金子は元々バルクでは定評のあった選手だが、昨年の全日本では20位以内にも入っていない。そういった意味では、ここ1年でかなり成長した選手であるといえる。そもそも仕上がりが昨年とは雲泥の差程もあるので評価が急に上がったのかもしれないが、肩、胸、腕の太さ、大きさも去年とはかなりの違いを見せていた。ただ気になったのは、彼の肌の色である。今回はおそらくプロタンにたよったのであろう、全身黄緑色がかっていた。関西の2人が真黒に焼き込んでいただけに、金子の体は立体感に欠けていたようだ。
バルクの面では金子が宮本、松浦をおさえた感があり、仕上がりの面では宮本が抜きん出ている。この3人非常に僅差であると思うが、全身に鋭いカットを見せた宮本が2位を奪いとり、3位は金子、4位に松浦という結果となった。
3位/金子憲司(東洋大工)
4位/松浦弘至(関外大)
専修大の中川祐介は、関東大会では富田、小野の後塵を拝し5位となったが、この全日本では見事にこの2人を下して5位にくい込んだ。骨格が大きく、細さを感じさせない。ポージングも学生にしてはうまい。しかし仕上がりはまずまずなのだが、腹筋のカットが全くといって見られない。腹筋が見られない分、体が平担に見えてしまっているのだ。ウエストも決して細いとはいえないので、プロポーション的には非常に損をしていると言えよう。
5位/中川祐介(専修大)
6位/富田太(早稲田)
7位/小野勝男(筑波大)
そういった学生らしさから見ると、小野のポージングはおとなしすぎて、アピール性に欠けていたようだ。それが順位を今一つ伸ばせなかった原因だろう。
8位に入った富田周治(阪南大)もマッスル面ではバランスがとれており、欠点のない体なのだが、アピール性からいえばややおとなしかったようだ。絞り込みも、今一つ厳しさを欠いていたが、まだ3年生であるので来年が楽しみな選手である。
8位/富田周治(阪南大)
9位/大沼浩之(東北大)
10位/住友謙一(東京大)
11位/芦野祐一(明治大)
12位/大森槇介(日本大)
13位/山下公仁(東北学院)
14位/黒崎智広(東京大)
15位/水越正則(国学院)
来年の全日本では、史上初の関西陣上位独占になるのか、それともそれを阻むことができるのか、すでに戦いは始まっている。
■スコアシート
■部分賞審査
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