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'93MR&MS KATO

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月刊ボディビルディング1993年10月号
掲載日:2020.03.03

未完の大器山本昌弘 驚異の大腿部で会心の勝利!!

BODYBUILDING CHAMPIONSHIPS

8月1日/坂戸コミュニティセンター
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2位○工藤郁夫

2位○工藤郁夫

3位○津田 宏

3位○津田 宏

左より山本、工藤、津田

左より山本、工藤、津田

左より山本、工藤、津田

左より山本、工藤、津田

4位○石崎秀二

4位○石崎秀二

5位○大沢三夫

5位○大沢三夫

6位○佐々木孝二

6位○佐々木孝二

大沢(左)と津田。大沢は明らかにポーズで損をしている

大沢(左)と津田。大沢は明らかにポーズで損をしている

7位○向野博史

7位○向野博史

8位○御堂直樹

8位○御堂直樹

9位○登坂 勉

9位○登坂 勉

10位○林 利明

10位○林 利明

左より林、向野、佐々木

左より林、向野、佐々木

ミスターの部

 プレジャッジの始まりから氷りつくような鋭い眼差しで会場を睨み、挑発的なふてぶてしい態度をとっていたのは、昨年のクラス別東京大会で幅級で優勝をした山本昌弘だった。40名以上もの出場者の中で、初出場である自分を審査員、観客に印象付けるには、やはりこれ位のアピールは必要であろう。ラインナップの段階で、かなり強いインパクトを与えていた。

 規定ポーズに移るとさらに、山本の体に凄さが増した。全体的に昨年より一回り大きくなっている上に、仕上がりも上々。無数にはしる大胸筋のストリエーションや袴のごとく膨らむ大腿部は、ベテラン達に驚異を抱かすには十分の迫力を持っていた。昨年はやや太めに見えたウエストも、背中の広がりをつけた上にポージングも研究しかなり改善されていたようだ。弱点を強いてあげるならばミッドセクションだろう。腹直筋の厚みと腹回り 全体にシャープさが欲しい。細かい面を見ればまだ未完成ではあるが、これから一つ一つ克服することによりさらに大きく飛躍できると思う。いずれは全日本で活躍できる素質はもっているのだから、今後の成長が楽しみだ。

 惜しくも優勝を逃してしまったのは、昨年も2位に終った工藤郁夫である。コンディションは優勝してもおかしくはない程であったが、山本と比べると何かインパクトに欠けていたようだ。もし実力が拮抗している2人が優勝争いをしたら、やはりステージ上での見た目の迫力というのが勝敗を左右すると思う。そして、その迫力というのはアピールが上手であったり、ステージ上での態度、派手さというのが関係してくるのではないか。その点で工藤はポーズ自体はうまいのだが、あまりにも淡々とポーズするため地味に写ってしまい、優勝に対する執念みたいなものが伝わってこない。最近の若いビルダーは個性が強く、闘志むきだしでぶつかってくる者が多いので、工藤のように闘志を内に秘めるタイプは、今後不利になっていくのではないだろうか。

 3位には、選抜大会のフライ級で優勝を飾った津田宏が入った。彼もどちらかというと派手さのないタイプである。その上身長160cmと低いため、ラインナップでは仲々目を引かない。オーバーオールの闘いでは、もっともっと自己アピールをしていかないと実力以上の評価を得るのは難しいと思う。自分では良いと思っても第3者が認めてくれなくては上には行けないのがボディビルのコンテストである。逆に言えば自分では満足していなくても第3者の目に良く写ってしまえばいいのだ。その点で、まだ津田は自分の身体を100%表現できているとは言えない。すぐにでも優勝できる実力は持っているので、これからはもっと闘い馴れをして表現力を磨く必要があるだろう。

 クラス別75kg超級の常連の石崎秀二が4位に入った。長身の分まだ線は細いが、筋肉の質は良さそうだ。今回は仕上がりが十分であったのが、順位を伸ばした原因だろう。

 5位の大沢三夫は、一つ一つの筋肉はゴツゴツとして非常にバルキーなのだが、トータ ル的にみるとまだ荒削りな感じがする。ポージングのまずさも彼の弱点を露呈してしまっているようだ。

 仕上がりさえ良ければ優勝できる実力は持っているのは、6位に甘んじた佐々木である。今回は少々甘さを残したようだ。特に下半身のカット不足が目立った。が、もう少し順位が上でも良いような気がした。

 7位の向野、8位の御堂は今年のMR神奈川の1位、2位の選手だ。向野は全体的にバルキーな感じがし、バランスも良い。バックのスプレッドの厚みは全日本クラスでもそうはいない。ただ、今回は仕上がりが甘すぎたようだ。御堂は向野ほどのバルクはないが大腿部と体幹部は、仲々充実している。将来性のある選手の一人だ。

 今大会で唯一人50才台で参加した登坂は9位だった。やはり他の若い選手と比べると筋量では負けてしまうがカットの方は相変らずバリバリである。

 2位の林利明は、全体的にまとまっているのだが、もう少しインパクトが必要だろう。
優勝○内田美紀子 まだまだ線は細いが、ここまで絞ったのは凄い

優勝○内田美紀子 まだまだ線は細いが、ここまで絞ったのは凄い

記事画像18
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2位○石川祐子

2位○石川祐子

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内田(左)と石川。上体はほぼ互角だが、下半身のカットで差がついたようだ

内田(左)と石川。上体はほぼ互角だが、下半身のカットで差がついたようだ

3位○浅見由理香

3位○浅見由理香

4位○岡本久子

4位○岡本久子

左より内田、岡本、石川

左より内田、岡本、石川

左より岡本、石川、浅見

左より岡本、石川、浅見

5位○福田かおり

5位○福田かおり

6位○石川早百合

6位○石川早百合

ミズの部

 今年のクラス別東京大会を制して波にのる石川祐子と、昨年同大会3位の内田美紀子との一騎打ちになることは、プレジャッジの段階で容易に予想はついた。

 91年にはミズ日本で7位に入りこのまま伸びていくかと思われた内田であったが、昨年一年間は伸び悩んでいたようだ。今年に再起をかけているのか、今年の内田は明らかに今迄とは違っていた。写真を見てもらえば分かると思うが、全身、頭のてっぺんから爪先まで正にデフィニションの鬼と化しての登場である。特に大腿部のカットは凄かった。女性の場合どんなに絞り込んでも、上体に比べると下半身は甘さを残してしまう。だが、内田の場合、上体よりも下半身のカットの方が鋭いように思える。大腿四頭筋、縫工筋、大腿二頭筋、大殿筋とこれだけのデフィニションを見せた女性ビルダーは、ここ数年では思い当たらない。

 一方の石川も絞り込みの厳しさでは定評があるが、クラス別時よりはやや下半身にシャープさがなかったようだ。この二人、プレジャッジ、決勝をとおして同点となり、再審査の結果辛くも内田が優勝をものにした。

 内田と石川、フィジークの面では本当に甲乙付け難く、どちらが優勝しても、おかしくはなかった。ならば二人の差は何が付けたのかといえば、やはりインパクトの差だと思う。石川の場合、毎回厳しく絞り込んでくるので悪くいえば見馴れてしまっている。一方の内田は、ここまで厳しく絞り込んだのは初めてで、たとえ厳しさが石川と同じレベルであったとしても、インパクトは内田の方が強かった。
 昨年一年間伸び悩んでいた内田が、今年になって見事イメージチェンジに成功し、一皮むけたような気がするが、以前からの課題であったバルクアップは今後も課題として残るだろう。今年は無理としても、一年後、二年後に今回の仕上がり状態で一回り大きくなった彼女の姿をステージ上で見たいものだ。

 石川にも同様のことが言える。現在はどちらかと言えば絞り込みで勝ってきているが、今後全日本大会で上位にくい込むためには、一回り以上のバルクアップが必要であろう。

 3位の浅見由理香もかなり絞り込んでの登場だ。特に腹筋のシェイプとセパレーションは、上位2名よりも目立っていた。クラス別東京大会で、惜しくも石川に敗れているだけに今回はその雪辱に燃えていたであろうが、下半身と全体の細かなデフィニションが劣っていたようだ。だが、昨年と比べると上体の広がりも増し、ビルダーらしい体型になりつつあるので、今後関東を制するチャンスはいくらでもあると思う。

 4位に入ったベテランの岡本久子は、上位3名と比べ全体的に重量感にあふれている。ただ、上位3名が絞り込んでいただけに、岡本のカット不足も目につく。特にミッドセクションやバックのデフィニションに乏しく、体全体の立体感がうせていたようだ。

 5位の福田かおりは東京の選手だが、初めて見る顔である。やや広がりに欠ける体だが、全身に細さを感じさせないのは強みとなるだろう。ダブルバイ等で見せる上腕二頭筋のセパレーションの良さが、将来性を感じさせた。

 6位には、ミズ埼玉を制した石川早百合が入った。脚が長く、腰高であり、プロポーションは非常に優れているので、今後もう一回りのバルクアップに努めてほしい。
月刊ボディビルディング1993年10月号

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