MUSCLE BUILDING in MY HOME GYM 自宅でボディビルダーを目指そう!! 0円から始めるホームボディビル 第14 回バーベルを使ったホーム・トレーニング〈その5〉
[ 月刊ボディビルディング 2014年4月号 ]
掲載日:2017.09.06
今回は前回からの上腕三頭筋に引き続き前腕と手の筋肉の考察になります。特に前腕と手の構造は細かく複雑で分かりにくいので把握するのに大変ですね。またその動きを機能的に説明するのには難しい部分もあるようですが、できるだけ解りやすいように筋肉の発達に関係する部分をピックアップしながら内容を進めていくことにしましょう。
◉筆者紹介
川島英博(かわしま・ひでひろ)1948年8月2日生まれ/O型/(株)ヘルスプロデューサー代表/トレーナー・鍼灸・整体師・通訳/「からだ工房」でスポーツ故障者の治療をする傍ら大手スポーツクラブで治療とパーソナルトレーナーの両方で活躍している。著書に『ザ・ウエイトトレーニング』『筋力トレーニング』がある。
Model =上田 翔
川島英博(かわしま・ひでひろ)1948年8月2日生まれ/O型/(株)ヘルスプロデューサー代表/トレーナー・鍼灸・整体師・通訳/「からだ工房」でスポーツ故障者の治療をする傍ら大手スポーツクラブで治療とパーソナルトレーナーの両方で活躍している。著書に『ザ・ウエイトトレーニング』『筋力トレーニング』がある。
Model =上田 翔
一般に上腕の事を二の腕とよく言いますが、そうすると前腕はさしずめ一の腕とも言えるかも知れません。そして続いてまたその先には大事な手が存在していますね。普段衣服を着用している私達がお互い対面しあっている時に直接的に肌が見える身体部分は顔以外にはこの手だけです。そして会話をする時には言葉は勿論ですが顔の表情と同時に手のジェスチャーを交えて相手に意味を解かりやすく伝える努力をすることが大変多くあります。従って手はその人自身の意思や時には感情をも表す部分として私たちは日常的に注視する習慣があるようです。外国人と言葉が解らない時でも手のジェスチャーだけで話が通じることがよくありますものね。従って人の手はあらゆる表現における大事な意思伝達の原点的な方法の一つと言ってもいいかも知れません。バレエや新体操、フィギュアスケート等の演技では手による表現は重要な芸術的ポイントとなっていますね。
ボディビルディングにおいても手と腕を中心とした力強さや美しさのアピールはポージングにおいて非常に大切な部分を占めています。
今回はこの前腕と手を中心にこれらの筋肉の動きや発達について探って行きましょう。
ボディビルディングにおいても手と腕を中心とした力強さや美しさのアピールはポージングにおいて非常に大切な部分を占めています。
今回はこの前腕と手を中心にこれらの筋肉の動きや発達について探って行きましょう。
前腕の筋肉を知りたいと思うのですがどうなっているのかよく分からないのですが?
確かに前腕や手には多くの細かい筋肉が入り混じっていて、たとえ解剖図を見ても大変複雑でよく分かりにくいことがありますね。
そうはいっても前腕や手を鍛える時にも、大まかにでも機能と関連した大体の位置関係をイメージしながらトレーニングした方が動きを実感しやすく筋肉に効かせやすくなるメリットがあるのもやはり事実なので、ちょっとここで角度を変えながら前腕の筋肉を見ておきましょう。
物の形状や動きを言葉や文章だけで伝えるのは難しいのですが、まずは前腕を機能的に大きく二つに分けることにし、それをもとにそれぞれの位置関係や動きを含めて少し詳しく進めていくことにします。
[機能的な分類例]
前腕には手首を手のひら側へ曲げる(掌屈・前腕屈筋群)と、逆に手首を手の甲の方へ反らす(背屈・前腕伸筋群)の二つがあると、便宜的に考えるとシンプルで解かりやすいでしょう。
※その他に機能的には肘関節(前腕)を動かす筋肉群もあります。(腕橈骨筋、回外筋、円回内筋等)が
○前腕屈筋群 手のひらを上に向けた時に前腕の腹側の大部分を占める筋肉で、手を握って手首を曲げると少し盛り上がるのでよくわかります。
ポーズでいえばフロント・ダブル・バイセップス・ポーズでよく見える前腕部の筋肉です。
〈起始・停止〉
肘にある上腕骨の内側(肘の内側上顆、一部尺骨・橈骨)から出て手首を通って手に至っている筋肉が多いので、外見的には前腕の腹側(尺側・小指側)の筋肉のアウトラインを大きく形作っていることになります。
〈代表的なトレーニング種目〉
リスト・カールがあげられます。
※殆どの前腕屈筋群は手関節(腹側)を通り手(中手骨)や各指まで続いていて、手の中にある固有の屈筋群と協力して指を曲げる作用をもします。ただし前腕にある円回内筋と方形回内筋は手まで行かず、前腕の中だけにあって、手関節や指には関係なく名前のとおり前腕の回内作用のみを行います。
〈主な筋肉名〉
・橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋(肘→手)
・浅指屈筋、深指屈筋、長母指屈筋(肘・前腕の骨→指)
○前腕伸筋群
手のひらを下に向けた時に前腕の背中側にあって、手を強く握るとスジ状の模様が大きく出てくるので簡単に分かります。ポーズでいえばバック・ダブル・バイセップス・ポーズの時によく見える筋肉群ですね。
〈起始・停止〉
殆どが肘の外側にある上腕骨(外側上顆、一部尺骨・橈骨)から出ていて、手関節(背部)を通って手・指等についていているので、外見的には前腕の背中側(橈側・親指側)に大部分が位置することになります。
〈代表的なトレーニング種目〉
リバース・リスト・カールがあげられます。
※腕橈骨筋はこの前腕伸筋群に所属し前腕の外側にある大きく目立つ筋肉です。
しかし上腕骨(外側下部)から出て手関節より手前の橈骨(茎状突起)に終わっているために手関節や指の動きには直接関与せずに肘関節の屈曲作用を主に行うので、種目としては肘を曲げるリバース・カール(バックハンド・カール)で鍛えられます。また手のひらを下に向けてカールしているために手関節を伸展位に保つ力が働くので、同時に他の前腕伸筋群にも大きな刺激を与えることができます。
〈主な筋肉名〉
・長橈側手根伸筋 短橈側手根伸筋 尺側手根伸筋(肘→手)
・総指伸筋、小指伸筋、示指伸筋、長・短母指伸筋等(肘・前腕の骨→指)
※親指を除く4本の指を伸ばす伸展作用は、手首を通って各々の指にまで伸びている総指伸筋によって主に行われています。従って手の中にある固有の屈筋群と複数の前腕屈筋群とのコラボで行われることの多い指を曲げる屈曲力(握力)の方が指の伸展力と比べると格段に強いものになります。
※手首の動きにはこの屈曲・伸展の他に、小指側に曲げる動き(尺屈)と親指側に曲げる動き(橈屈)があります。これらはそれぞれの側にある屈筋と伸筋が同時に働いた時に起こります。親指側より小指側に曲げる方が手首の関節可動域が大きく取れ、また小指が他の指より短いために手を強く握ると手首はやや小指側に傾く傾向にあります。
※握力を充分に発揮するには手首(手根)が手根伸筋によってしっかりと固定・伸展されている必要があります。
そうはいっても前腕や手を鍛える時にも、大まかにでも機能と関連した大体の位置関係をイメージしながらトレーニングした方が動きを実感しやすく筋肉に効かせやすくなるメリットがあるのもやはり事実なので、ちょっとここで角度を変えながら前腕の筋肉を見ておきましょう。
物の形状や動きを言葉や文章だけで伝えるのは難しいのですが、まずは前腕を機能的に大きく二つに分けることにし、それをもとにそれぞれの位置関係や動きを含めて少し詳しく進めていくことにします。
[機能的な分類例]
前腕には手首を手のひら側へ曲げる(掌屈・前腕屈筋群)と、逆に手首を手の甲の方へ反らす(背屈・前腕伸筋群)の二つがあると、便宜的に考えるとシンプルで解かりやすいでしょう。
※その他に機能的には肘関節(前腕)を動かす筋肉群もあります。(腕橈骨筋、回外筋、円回内筋等)が
○前腕屈筋群 手のひらを上に向けた時に前腕の腹側の大部分を占める筋肉で、手を握って手首を曲げると少し盛り上がるのでよくわかります。
ポーズでいえばフロント・ダブル・バイセップス・ポーズでよく見える前腕部の筋肉です。
〈起始・停止〉
肘にある上腕骨の内側(肘の内側上顆、一部尺骨・橈骨)から出て手首を通って手に至っている筋肉が多いので、外見的には前腕の腹側(尺側・小指側)の筋肉のアウトラインを大きく形作っていることになります。
〈代表的なトレーニング種目〉
リスト・カールがあげられます。
※殆どの前腕屈筋群は手関節(腹側)を通り手(中手骨)や各指まで続いていて、手の中にある固有の屈筋群と協力して指を曲げる作用をもします。ただし前腕にある円回内筋と方形回内筋は手まで行かず、前腕の中だけにあって、手関節や指には関係なく名前のとおり前腕の回内作用のみを行います。
〈主な筋肉名〉
・橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋(肘→手)
・浅指屈筋、深指屈筋、長母指屈筋(肘・前腕の骨→指)
○前腕伸筋群
手のひらを下に向けた時に前腕の背中側にあって、手を強く握るとスジ状の模様が大きく出てくるので簡単に分かります。ポーズでいえばバック・ダブル・バイセップス・ポーズの時によく見える筋肉群ですね。
〈起始・停止〉
殆どが肘の外側にある上腕骨(外側上顆、一部尺骨・橈骨)から出ていて、手関節(背部)を通って手・指等についていているので、外見的には前腕の背中側(橈側・親指側)に大部分が位置することになります。
〈代表的なトレーニング種目〉
リバース・リスト・カールがあげられます。
※腕橈骨筋はこの前腕伸筋群に所属し前腕の外側にある大きく目立つ筋肉です。
しかし上腕骨(外側下部)から出て手関節より手前の橈骨(茎状突起)に終わっているために手関節や指の動きには直接関与せずに肘関節の屈曲作用を主に行うので、種目としては肘を曲げるリバース・カール(バックハンド・カール)で鍛えられます。また手のひらを下に向けてカールしているために手関節を伸展位に保つ力が働くので、同時に他の前腕伸筋群にも大きな刺激を与えることができます。
〈主な筋肉名〉
・長橈側手根伸筋 短橈側手根伸筋 尺側手根伸筋(肘→手)
・総指伸筋、小指伸筋、示指伸筋、長・短母指伸筋等(肘・前腕の骨→指)
※親指を除く4本の指を伸ばす伸展作用は、手首を通って各々の指にまで伸びている総指伸筋によって主に行われています。従って手の中にある固有の屈筋群と複数の前腕屈筋群とのコラボで行われることの多い指を曲げる屈曲力(握力)の方が指の伸展力と比べると格段に強いものになります。
※手首の動きにはこの屈曲・伸展の他に、小指側に曲げる動き(尺屈)と親指側に曲げる動き(橈屈)があります。これらはそれぞれの側にある屈筋と伸筋が同時に働いた時に起こります。親指側より小指側に曲げる方が手首の関節可動域が大きく取れ、また小指が他の指より短いために手を強く握ると手首はやや小指側に傾く傾向にあります。
※握力を充分に発揮するには手首(手根)が手根伸筋によってしっかりと固定・伸展されている必要があります。
フレンチ・プレスのバリエーション(上腕三頭筋)
〇ハイ・エルボー・フレンチ・プレス
上腕を垂直方向に持ち上げて両肘をできるだけ高く保ち、肩関節を固定し動かさず肘から先の前腕のみを動かして肘の曲げ伸ばしを行う。上腕三頭筋のアイソレーションに特化したフォームで、中でも長頭への刺激が大きくなり、バーを下したボトムで深く下すほどこの長頭の伸張度は高くなります。初心者からこのフォームを標準として行われることもあるようですが、肩が硬い場合は無理をせず慣れないうちはできる範囲内の関節角度で軽量を用いて行うようにしましょう。
上腕を垂直方向に持ち上げて両肘をできるだけ高く保ち、肩関節を固定し動かさず肘から先の前腕のみを動かして肘の曲げ伸ばしを行う。上腕三頭筋のアイソレーションに特化したフォームで、中でも長頭への刺激が大きくなり、バーを下したボトムで深く下すほどこの長頭の伸張度は高くなります。初心者からこのフォームを標準として行われることもあるようですが、肩が硬い場合は無理をせず慣れないうちはできる範囲内の関節角度で軽量を用いて行うようにしましょう。
〇ロー・エルボー・フレンチ・プレス
上腕を垂直より少し前へ倒して両肘を低めにした状態でのフレンチ・プレス。わずかですが肘関節の伸展とともにプレス動作で肩関節の動きを伴うため上腕三頭筋の他に三角筋、大円筋、前鋸筋などが運動に加わるので ハイ・エルボーに比べてやや重めのウエイトを用いることができます。さらなるバリエーションとして、重めのウエイトを用いる時は肘を少し広めに開いて行ってもよいでしょう。この場合は上腕三頭筋の内側頭に大きな刺激が加わってきます。スパイクやスマッシュのように上腕三頭筋を中心として肘を伸ばしながら上腕を上から下へ向ける動作を伴うスポーツ動作のパワーをつける補強種目としても応用できます。この場合は追い込み方法として多少上半身の前後のあおりを使ってもよいでしょう。
上腕を垂直より少し前へ倒して両肘を低めにした状態でのフレンチ・プレス。わずかですが肘関節の伸展とともにプレス動作で肩関節の動きを伴うため上腕三頭筋の他に三角筋、大円筋、前鋸筋などが運動に加わるので ハイ・エルボーに比べてやや重めのウエイトを用いることができます。さらなるバリエーションとして、重めのウエイトを用いる時は肘を少し広めに開いて行ってもよいでしょう。この場合は上腕三頭筋の内側頭に大きな刺激が加わってきます。スパイクやスマッシュのように上腕三頭筋を中心として肘を伸ばしながら上腕を上から下へ向ける動作を伴うスポーツ動作のパワーをつける補強種目としても応用できます。この場合は追い込み方法として多少上半身の前後のあおりを使ってもよいでしょう。
〇ナロー・エルボー・フレンチ・プレス
左右の上腕が互いに平行に近くなるように両肘の感覚を狭めにして肘の屈伸を行うフォームです。肩甲骨が前方に外転し動きが抑えられ自由度が減少するために上腕三頭筋のアイソレーション化が一層強くなり、また外側頭への刺激もやや加ってきます。肘を狭く、また高くするほどバーベルの軌道が大きくなり、重いウエイトは持ち上げづらくなりますが、逆に軽量でも動作を正確にして行えば効果を得ることが可能になるともいえます。
〈回数・セット数〉 10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
フル・レインジでレップスを続けるのが難しくなってから肘角度が90度までの浅いハーフ・プレスに切り替えて数レップスを繰り返す。また挙上動作中に頭を少し起こして上向きにすると動作がしやすくなる傾向にあります。
※肩関節の硬いトレーニーの場合は運動を行う前にウォーム・アップとしてプル・オーバーや肩入れなどの肩関節の軽いストレッチをしておくと動作をしやすくなり、動作中の肩関節の不快感やケガの予防にもつながります。
左右の上腕が互いに平行に近くなるように両肘の感覚を狭めにして肘の屈伸を行うフォームです。肩甲骨が前方に外転し動きが抑えられ自由度が減少するために上腕三頭筋のアイソレーション化が一層強くなり、また外側頭への刺激もやや加ってきます。肘を狭く、また高くするほどバーベルの軌道が大きくなり、重いウエイトは持ち上げづらくなりますが、逆に軽量でも動作を正確にして行えば効果を得ることが可能になるともいえます。
〈回数・セット数〉 10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
フル・レインジでレップスを続けるのが難しくなってから肘角度が90度までの浅いハーフ・プレスに切り替えて数レップスを繰り返す。また挙上動作中に頭を少し起こして上向きにすると動作がしやすくなる傾向にあります。
※肩関節の硬いトレーニーの場合は運動を行う前にウォーム・アップとしてプル・オーバーや肩入れなどの肩関節の軽いストレッチをしておくと動作をしやすくなり、動作中の肩関節の不快感やケガの予防にもつながります。
バーベルの握り方にはサム・アラウンド・グリップとサムレス・グリップとがあるようですが、リスト・カールではどちらで行ったらいいのですか?
バーを握る時に親指(thumb)をバーに巻いた握り方をサム・アラウンド・グリップ(thumb around grip)と言い、親指をバーに巻かないで他の4本の指と同方向に揃えた握り方をサムレス・グリップ(thumb|less grip)と言います。
リスト・カールにおいては、バーをサム・アラウンド・グリップで持った場合は親指と人差し指を中心にして指先方向に近いところで握る傾向にあり、サムレス・グリップでは親指のバーに対する引っ掛かりがないため母指球の上までバーを手首に近づけて深く握り込むことができます。また手の形状でも分かるように、手首から拳(MP関節)までの距離は示指側が長く小指側では短いので、手首両端と全拳部を通る双方の横のラインは平行ではなくなり、拳の小指側が少し下がる角度が生じます。ダンベル・リスト・カールでは手首の動きが自由なので、その角度通りに動けますが、ストレート・バーのバーベルでは手首や肘の角度を自ら若干修正しながら行うことになります。この場合にサムレス・グリップにすると、小指側に乗せる位置と親指側に乗せる位置とがほぼ同じ高さになるので、手関節に無理なくバーを深く巻き込むことができます。
どちらが優れているとは一概には言えませんが、親指側の前腕屈筋群や手首のスナップ強化にはサム・アラウンド・グリップ、手首の負担を少なくして前腕屈曲時の収縮を強くしたい場合はサムレス・グリップがいいかも知れません。トレーニングの変化をつけるために、セッションごとにグリップを変えてみるのも一つの方法ですね。
※リバース・リスト・カールの場合はサム・アラウンド・グリップの方が動作が安定し伸展時の可動域を大きくとれます。
※どちらにしても親指にかかる負荷は小さいので親指で物をつまむ力を特別につけたい場合はプレート・ピンチングやグリッパー等の他のピンチ力強化のエクササイズを付加する必要があります。
※サム・アラウンド・グリップとサムレス・グリップのどちらにするかはプレス系やプル系のエクササイズおいてよく議論になる話題ですがここではリスト・カール系エクササイズのみについての一考察になっています。
リスト・カールにおいては、バーをサム・アラウンド・グリップで持った場合は親指と人差し指を中心にして指先方向に近いところで握る傾向にあり、サムレス・グリップでは親指のバーに対する引っ掛かりがないため母指球の上までバーを手首に近づけて深く握り込むことができます。また手の形状でも分かるように、手首から拳(MP関節)までの距離は示指側が長く小指側では短いので、手首両端と全拳部を通る双方の横のラインは平行ではなくなり、拳の小指側が少し下がる角度が生じます。ダンベル・リスト・カールでは手首の動きが自由なので、その角度通りに動けますが、ストレート・バーのバーベルでは手首や肘の角度を自ら若干修正しながら行うことになります。この場合にサムレス・グリップにすると、小指側に乗せる位置と親指側に乗せる位置とがほぼ同じ高さになるので、手関節に無理なくバーを深く巻き込むことができます。
どちらが優れているとは一概には言えませんが、親指側の前腕屈筋群や手首のスナップ強化にはサム・アラウンド・グリップ、手首の負担を少なくして前腕屈曲時の収縮を強くしたい場合はサムレス・グリップがいいかも知れません。トレーニングの変化をつけるために、セッションごとにグリップを変えてみるのも一つの方法ですね。
※リバース・リスト・カールの場合はサム・アラウンド・グリップの方が動作が安定し伸展時の可動域を大きくとれます。
※どちらにしても親指にかかる負荷は小さいので親指で物をつまむ力を特別につけたい場合はプレート・ピンチングやグリッパー等の他のピンチ力強化のエクササイズを付加する必要があります。
※サム・アラウンド・グリップとサムレス・グリップのどちらにするかはプレス系やプル系のエクササイズおいてよく議論になる話題ですがここではリスト・カール系エクササイズのみについての一考察になっています。
ベント・オーバー・バーベル・キック・バック(プッシュ・アウエイ) 上腕三頭筋・三角筋後部・広背筋・大円筋
〇ベント・オーバー・バーベル・キック・バック
体の後ろでバーベルをオーバー・グリップで肩幅に握り、膝を曲げ上体を前傾したベント・オーバー姿勢になって膝の後ろにあるバーベルを上腕三頭筋を収縮させながら肘を伸ばし、上腕を水平位置まで持ち上げて少し止めてからもとの位置までもどします。上腕を最大近く前上方に挙上しているフレンチ・プレスとは反対に上腕を体側より後方へ持ち上げながら肘を伸展していくことになります。また手のひらが後ろを向き上腕が内旋しているので、上腕三頭筋が収縮しやすい状態でフィニッシュすることになり、また上腕を水平に支えている長頭への収縮刺激も増してきます。
※この種目はスイミングにおける上肢の補強種目(プッシュ)として使われることもあります。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
レップスを繰り返せなくなってから肘を伸ばしたまま水平位置で10 秒間以上保持したあと、バーベルを床へ戻します。
体の後ろでバーベルをオーバー・グリップで肩幅に握り、膝を曲げ上体を前傾したベント・オーバー姿勢になって膝の後ろにあるバーベルを上腕三頭筋を収縮させながら肘を伸ばし、上腕を水平位置まで持ち上げて少し止めてからもとの位置までもどします。上腕を最大近く前上方に挙上しているフレンチ・プレスとは反対に上腕を体側より後方へ持ち上げながら肘を伸展していくことになります。また手のひらが後ろを向き上腕が内旋しているので、上腕三頭筋が収縮しやすい状態でフィニッシュすることになり、また上腕を水平に支えている長頭への収縮刺激も増してきます。
※この種目はスイミングにおける上肢の補強種目(プッシュ)として使われることもあります。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
レップスを繰り返せなくなってから肘を伸ばしたまま水平位置で10 秒間以上保持したあと、バーベルを床へ戻します。
バーベル・リバース・カール(バックハンド・カール) 腕橈骨筋、上腕筋、上腕二頭筋、前腕伸筋群
〇バーベル・リバース・カール(バックハンド・カール)
バーベルをオーバー・グリップで握り、腕を伸ばして立ち体の前にぶら下げてスタート・ポジションとします。上腕の位置を変えずに肘を曲げて最上点に達したらもとの位置へもどします。手幅は肩幅か少し狭めにして手首をまっすぐに保ち、しっかりとバーベルを握ります。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
上半身の前後のアオリを使って更にレップスを繰り返します。
バーベルをオーバー・グリップで握り、腕を伸ばして立ち体の前にぶら下げてスタート・ポジションとします。上腕の位置を変えずに肘を曲げて最上点に達したらもとの位置へもどします。手幅は肩幅か少し狭めにして手首をまっすぐに保ち、しっかりとバーベルを握ります。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
上半身の前後のアオリを使って更にレップスを繰り返します。
バーベル・スタンディング・リスト・カール 前腕屈筋群
〇バーベル・スタンディング・リスト・カール
オーバー・グリップでバーベルを握り、肘を伸ばして身体の前でぶら下げて立ちます。手首だけを内側(手のひら側)へ出来るだけ上へ巻き上げてもとへ戻します。指力も強化したい場合はボトムで指をできる範囲内で伸ばして行います。
前腕の長軸方向に負荷がかかるので手関節に負担をかけにくいリスト・ポジションとなり、比較的重いウエイトでも行うことが可能なので前腕、握力の強化にも適します。シーテッド・リスト・カールと異なり、肘を伸ばした前腕の回内位でのリスト・カールでまた手関節がニュートラルに近い状態からポジティブ・スタートする屈曲動作が主になる特徴があります。
〈回数・セット数〉10 ~ 20 回×2セット
〈追い込み方法〉
動かなくなってからすぐに床にバーベルをもどさず、可能であれば握ったままシュラッグを可能な回数行う方法もあります。
オーバー・グリップでバーベルを握り、肘を伸ばして身体の前でぶら下げて立ちます。手首だけを内側(手のひら側)へ出来るだけ上へ巻き上げてもとへ戻します。指力も強化したい場合はボトムで指をできる範囲内で伸ばして行います。
前腕の長軸方向に負荷がかかるので手関節に負担をかけにくいリスト・ポジションとなり、比較的重いウエイトでも行うことが可能なので前腕、握力の強化にも適します。シーテッド・リスト・カールと異なり、肘を伸ばした前腕の回内位でのリスト・カールでまた手関節がニュートラルに近い状態からポジティブ・スタートする屈曲動作が主になる特徴があります。
〈回数・セット数〉10 ~ 20 回×2セット
〈追い込み方法〉
動かなくなってからすぐに床にバーベルをもどさず、可能であれば握ったままシュラッグを可能な回数行う方法もあります。
バーベル・スタンディング・リバース・リスト・カール 前腕伸筋群
〇バーベル・スタンディング・リバース・リスト・カール
スタンディング・リスト・カールと同じ要領で構えて、手首を逆に前方(手背側)へ返す動作を繰り返しますが、指は開かずバーベルを終始握ったままになります。手首を伸展する筋力は弱いので軽めのウエイトで回数を多く行います。
〈回数・セット数〉15 ~ 20 回×2セット
〈追い込み方法〉
通常動かなくなったら終了としますが、経験者ではそのままリバース・カールに移って追い込む方法もあります。
スタンディング・リスト・カールと同じ要領で構えて、手首を逆に前方(手背側)へ返す動作を繰り返しますが、指は開かずバーベルを終始握ったままになります。手首を伸展する筋力は弱いので軽めのウエイトで回数を多く行います。
〈回数・セット数〉15 ~ 20 回×2セット
〈追い込み方法〉
通常動かなくなったら終了としますが、経験者ではそのままリバース・カールに移って追い込む方法もあります。
スタンディング・リスト・カール・ビハインド・ザ・バック 前腕屈筋群
〇スタンディング・リスト・カール・ビハインド・ザ・バック
バーベルをオーバー・グリップで腰幅より狭めに握り、肘を伸ばして臀部の後ろへ前腕をつけて持ち。手首を手のひら側に屈曲します(掌屈)。手首が固定され安定するので動作がしやすく、臀部の突出によって手首が浮いた分背屈も少し可能になるので可動域が広くとれるようになります。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
通常動かなくなったら終了としますが、臀部の前後のアオリを使ってレップスを繰り返すことも可能です。
バーベルをオーバー・グリップで腰幅より狭めに握り、肘を伸ばして臀部の後ろへ前腕をつけて持ち。手首を手のひら側に屈曲します(掌屈)。手首が固定され安定するので動作がしやすく、臀部の突出によって手首が浮いた分背屈も少し可能になるので可動域が広くとれるようになります。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
通常動かなくなったら終了としますが、臀部の前後のアオリを使ってレップスを繰り返すことも可能です。
前腕をでかくしたくてバーベルでシーテッド・リスト・カールをしているのですが、最近手首を動かしづらいような違和感があって力が入りづらいのですが、何かいい方法はないでしょうか?
まずサム・アラウンド・グリップで行っている時は、サムレス・グリップに代えて行ってみて下さい。それでも違和感が取れない場合は(関節の位置関係は人によって個人差が出る時があるので)、この種目自体が自分の手関節の構造や動きに合ってないのかも知れません。バーベルをダンベルに代えてみるのも一つの方法ですが、思い切って種目を変えてスタンディング・バーベル・リスト・カールにトライしてみてはどうでしょうか? この種目は手関節に剪断的なストレスがかからず、特にサムレス・グリップで行えば捻じれ感がなく、手首への負担は相当少なくなります。ややヘビーなウエイトも扱えてバルク・アップにも効果的です。
※注意
どの種目を行っても前腕から手に違和感に加えて痛みまであるケースでは、腱鞘炎など何らかの障害を発症している可能性があるので医師による診断と治療が必要になってきます。手首や指に少々痛み等があっても我慢しながら頑張ってトレーニングを続けているケースも(気持ちは良く解りますが)あるかも知れませんが、軽く見て放置していると重症のケガに進行してしまったり、関節リウマチなどの重い病気のサインを見逃したりすることがあります。手指のしびれや痛みを伴う手根管症候群でオリンピア級のトップ・ボディビルダーが手術するに至ったこともあるようです。痛みが続く場合は、専門の医師に早目に相談することをお勧めします。
前腕は他の大きな筋肉群に比べると小さい上にトレーニング種目も派手というより割合地味なものが多いので、この部位のトレーニングをメインに行っているトレーニーは少ないかも知れません。しかし補助者を必要とせずにトレーニングをすることが可能で、また一人で創意工夫が自由にできる点で、ある意味悠然とホーム・アローンを楽しみながら、精神的にも余裕を持ってトレーニングできる部位だともいえるかもしれません。さらに前腕が最大にパンプアップして張った状態で手を強く握った時の充実した感触は、自分の体が強く大きくなろうとする意志力の象徴のようで頼もしくも感じられます。こうして発達した前腕を高々と頭上にあげて堂々としたポージングができるよう日々頑張ってトレーニングを続けていきましょう。
KEEP LIFTING!!
※注意
どの種目を行っても前腕から手に違和感に加えて痛みまであるケースでは、腱鞘炎など何らかの障害を発症している可能性があるので医師による診断と治療が必要になってきます。手首や指に少々痛み等があっても我慢しながら頑張ってトレーニングを続けているケースも(気持ちは良く解りますが)あるかも知れませんが、軽く見て放置していると重症のケガに進行してしまったり、関節リウマチなどの重い病気のサインを見逃したりすることがあります。手指のしびれや痛みを伴う手根管症候群でオリンピア級のトップ・ボディビルダーが手術するに至ったこともあるようです。痛みが続く場合は、専門の医師に早目に相談することをお勧めします。
前腕は他の大きな筋肉群に比べると小さい上にトレーニング種目も派手というより割合地味なものが多いので、この部位のトレーニングをメインに行っているトレーニーは少ないかも知れません。しかし補助者を必要とせずにトレーニングをすることが可能で、また一人で創意工夫が自由にできる点で、ある意味悠然とホーム・アローンを楽しみながら、精神的にも余裕を持ってトレーニングできる部位だともいえるかもしれません。さらに前腕が最大にパンプアップして張った状態で手を強く握った時の充実した感触は、自分の体が強く大きくなろうとする意志力の象徴のようで頼もしくも感じられます。こうして発達した前腕を高々と頭上にあげて堂々としたポージングができるよう日々頑張ってトレーニングを続けていきましょう。
KEEP LIFTING!!
バーベル・シーテッド・リスト・カール 前腕屈筋群
〇バーベル・シーテッド・リスト・カール
ベンチの端に座り大腿部の上に前腕を休め、手首だけを膝から先を出してバーベルをアンダー・グリップで握り手首から先のみを上方へ巻き込みまた下げる運動を繰り返します。できるだけ大きく可動域をとるようにし、また指の力もつけたい場合はボトムで可能な範囲で指を伸ばすようにします。
〈回数・セット数〉8~ 12 回×2セット
〈追い込み方法〉
前半は指を開くフォームで行いつらくなってきたら握ったままでレップスを繰り返します。
ベンチの端に座り大腿部の上に前腕を休め、手首だけを膝から先を出してバーベルをアンダー・グリップで握り手首から先のみを上方へ巻き込みまた下げる運動を繰り返します。できるだけ大きく可動域をとるようにし、また指の力もつけたい場合はボトムで可能な範囲で指を伸ばすようにします。
〈回数・セット数〉8~ 12 回×2セット
〈追い込み方法〉
前半は指を開くフォームで行いつらくなってきたら握ったままでレップスを繰り返します。
バーベル・シーテッド・リバースリスト・カール 前腕伸筋群
〇バーベル・シーテッド・リバース・リスト・カール
シーテッド・リスト・カールとほぼ同じポジションですが、バーベルをオーバー・グリップで握り、前腕を大腿部にのせて手首を反らせる(背屈)ように上下させます。
強い力を発揮できないエクササイズなので軽いウエイトで回数を目指して追い込んでいきます。
〈回数・セット数〉15 ~ 20 回×2セット
〈追い込み方法〉
動かなくなった時点で終了とします。
シーテッド・リスト・カールとほぼ同じポジションですが、バーベルをオーバー・グリップで握り、前腕を大腿部にのせて手首を反らせる(背屈)ように上下させます。
強い力を発揮できないエクササイズなので軽いウエイトで回数を目指して追い込んでいきます。
〈回数・セット数〉15 ~ 20 回×2セット
〈追い込み方法〉
動かなくなった時点で終了とします。
バーベル・ベンチ・サポーテッド・リスト・カール 前腕屈筋群
〇バーベル・ベンチ・サポーテッド・リスト・カール
ベンチの端に座り、上体を前傾させて前腕をベンチに休めて手首だけでリスト・カールを行います。両肘間が狭く平行になるためにバーベルのオーバー・グリップでは動作がしづらいので殆どアンダー・グリップが主体で行われます。反動をつけず集中して手や前腕を鍛えることができます。両方の大腿部内側を両肘の外側につけて前腕の動きをサポートしてもいいでしょう。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
最初は指の伸展を含め手関節の全可動域で行い動きの難しくなった後半は指を握ったまま水平より上の屈曲角度のみのパーシャル・ムブメントにし動きが止まった時点で終了とします。
※この種目は現在多くのトレーニーに行われ大変ポピュラーになっているので、そのまま(シーテッド)リスト・カールと短く呼ばれることも多くあります。
ベンチの端に座り、上体を前傾させて前腕をベンチに休めて手首だけでリスト・カールを行います。両肘間が狭く平行になるためにバーベルのオーバー・グリップでは動作がしづらいので殆どアンダー・グリップが主体で行われます。反動をつけず集中して手や前腕を鍛えることができます。両方の大腿部内側を両肘の外側につけて前腕の動きをサポートしてもいいでしょう。
〈回数・セット数〉10 ~ 15 回×2セット
〈追い込み方法〉
最初は指の伸展を含め手関節の全可動域で行い動きの難しくなった後半は指を握ったまま水平より上の屈曲角度のみのパーシャル・ムブメントにし動きが止まった時点で終了とします。
※この種目は現在多くのトレーニーに行われ大変ポピュラーになっているので、そのまま(シーテッド)リスト・カールと短く呼ばれることも多くあります。
[ 月刊ボディビルディング 2014年4月号 ]
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