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【ウエイトトレーニングの障害予防への効果】怪我からの復帰を早め、再発予防に役立つ

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掲載日:2017.03.06
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けがをすると痛みが出るため、練習を休まざるを得なくなりますが、痛みがとれるとすぐに練習に復帰してしまう人が多く見られます。痛みがあって休んでいるときには、けがをした周辺を動かさなくなるため、どうしても筋力が低下してしまいます。このため、痛みが軽減して練習に復帰した時には、患部周辺の筋力が低下しているため、前よりも衝撃を和らげる能力が低下しており、再発しやすい状態でプレーをすることになります。

また、膝や足首などの下肢のけがをした場合には、練習を休んでいる間に、動作中のからだのバランスをとる能力や、危険な動きを避けるための神経のセンサー機能が低下しやすくなります。このため、以前ならけがをたやすく避けることができた動きでけがを再発してしまったり、無意識のうちにけがをしている側の脚をかばって、反対側の脚に負担をかけてしまうような場合があります。
さらに、けがが再発するのではないかという不安が常に付きまとい、思い切ったプレーができなくなったりもします。

もしけがをしたら、「痛みがとれた=競技復帰可能ではない」ことを選手に理解させる必要があります。けがをした原因がそもそも筋力不足や筋力のアンバランスであった可能性もあります。練習への復帰は強度の低い内容から段階的に行っていくことはもちろんですが、できれば患部周辺の筋力を、けがをする前よりも強化してから練習に復帰し、その後も再発予防のために筋力を低下させないように努力を続けることが大切です。
図2 -7. 足関節の捻挫による関節のゆるみ

図2 -7. 足関節の捻挫による関節のゆるみ

足首の捻挫は比較的軽視されがちだが、再発を繰り返すことによって関節が不安定になってしまう場合が多い。足首周辺の筋力強化を行うと共に復帰にあたっては、様々な動作における安全な足首の動きの練習やバランス能力の改善など、各種コンディショニングをしっかり行うことが大切。
図2 -8. 体幹部周辺の筋力強化によって腰背部の正しい姿勢が維持しやすくなり、腰痛予防にも効果的(山本、1995より改変)

図2 -8. 体幹部周辺の筋力強化によって腰背部の正しい姿勢が維持しやすくなり、腰痛予防にも効果的(山本、1995より改変)

図2 -9. 肩のインナー・マッスル

図2 -9. 肩のインナー・マッスル

野球選手に多い肩の投球障害を予防するためには、インナー・マッスルと呼ばれる肩関節の深部の細かい筋群を強化することが重要
図2 -10.試合期の筋力低下がもたらす弊害

図2 -10.試合期の筋力低下がもたらす弊害

試合期にはウェイトトレーニング実施をやめてしまうケースが多いが、準備期にせっかく高めたパワーが低下すると、さまざまな弊害が起こる可能性がある。試合期においても、できるだけ週1回はウェイトトレーニングを実施して筋力やパワーを維持することが大切である。
  • 競技スポーツのためのウエイトトレーニング2001年6月30日初版発行
    著者:有賀誠司
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社