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マウスガードのメリット・デメリット

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掲載日:2021.08.13

スポーツと歯の健康

最近の子どもたちの習い事には、野球・サッカー・バスケットボールの他、空手や合気道なども人気がありますね。親御様はスポーツ時のお子さまのケガについてどのようにお考えでしょうか?
私は、小児歯科を開業しておりますが、転んで前歯をぶつけ前歯が脱臼(抜けそうでグラグラした状態)してしまった、もしくはヒビの入った状態にあるお子さまがよくいらっしゃいます。
乳歯の神経は強く、ぶつけた衝撃で出血したとしても、一時的に歯の色が変わりますが後に改善してくることはよくあります。
しかし、永久歯は乳歯に比べると神経の再生能力も低く、また萌出途中の永久歯は転んだ際に脱落してしまうこともよくあります。
乳歯だからいいというわけではありませんが、永久歯は絶対に抜けたり欠けたり神経がダメになったりしてほしくないですよね。

子どもの歯を守るマウスガード

皆さまは、スポーツ時にお子さまのお口を守る「マウスガード」の存在をご存知でしょうか。
スポーツをしている子どもたちに聞いても、「マウスガード」装着していないと言います。
乳歯から永久歯への歯の交換期にあり、上下顎の乳前歯が抜け始めているお子さまの永久歯の前歯はとても抜けやすく、また根が十分に完成しておりませんので、本来の永久歯の根よりも根が短く、衝撃により脱落してしまうことがよく起こります。また、脱落しないとしても、歯にヒビが入ったり、歯が折れたりすることも起こります。
このような場合、マウスガードを装着することで、衝撃を抑え、歯の脱落や損傷を防ぐことが出来ます。
また、野球やサッカーなど瞬発力が必要なスポーツは、噛む力も強くなり、歯がすり減ってきます。この歯のすり減りは歯だけでなく顎関節にも悪い影響を与えてしまうため、このような観点からもマウスガードの装着はおすすめです。

マウスガードの正しい使い方

マウスガードはいつでもどこでも装着した方がよいのでしょうか?
答えは、「NO」です。マウスガードの長期着用は、顎の成長を抑制します。
マウスガードは、歯ぎしりや食いしばり、歯の破折や脱臼に対しては意義がありますが、顎の成長を抑制しますので、長時間の装着はNGです。1日10時間以上は装着しないようにしましょう。
長時間の装着をしないように心がけても、マウスガードが浮いてるかな?と感じたり、マウスガードを装着すると違和感を感じるようになった場合は歯列に合わなくなっている可能性があるため、装着をやめ歯科医院で作り直してもらいましょう。
最低でも半年に一度は作り変えることをお勧めいたします。

マウスガードの選び方のポイント

マウスガードには安価な市販の物があります。これはお湯に入れて柔らかくしたものを、お口に入れて固めるというものですが、歯面にピッタリフィットせず、かえって歯ぎしりを起こしやすくしたり、顎関節に負担もかかりますので避けた方が無難です。
マウスガードをご希望でしたら、必ず歯科医院で作ってもらいましょう。そして、定期的に検診し、顎の状態や成長を阻害していないかなど確認してもらいましょう。
  • 岡井有子
    こどもと女性の歯科クリニック

    略歴
    京都市内産婦人科勤務
    大阪歯科大学 卒業
    大阪歯科大学大学院歯学研究科(小児歯科学専攻)修了
    大阪歯科大学大学院歯学研究科 非常勤講師 就任
    2017年東京都港区に「こどもと女性の歯科クリニック」開業

    所属学会
    日本小児歯科学会
    日本小児耳鼻咽喉科学会

    所属研究会
    顎顔面口腔育成学会
    赤ちゃん歯科ネットワーク
    母子フィジカルサポート研究会

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