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砂糖依存症を知り勝つ!

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掲載日:2022.06.05
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー・横浜医療専門学校非常勤講師)
今回のテーマは「砂糖依存症を知り勝つ!」です。甘い物は心身共にメリットとデメリットがありますが、砂糖には依存性があるので、その摂取量をコントロールできているかがポイントになります。

①砂糖依存症とは

今回のテーマの砂糖依存症とは砂糖を大量には摂らずにいられない、所謂「甘い物中毒」のことです。砂糖は「マイルドドラッグ」とも呼ばれ、薬物やアルコール並の中毒性・依存性があると言われています。
健康であれば食後のデザートくらいの甘い物を口にすれば満足できますが、砂糖依存症を発症すると、大量に甘い物を食べないと欲求が収まらなかったり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
また過剰な糖摂取で糖代謝が悪くなり、「たいして動いてないのに疲れやすくなった」などの体調の変化や、更に砂糖の過剰摂取を続けると、糖尿病、骨粗鬆症、鬱病の原因にもなります。

②砂糖依存症に陥るメカニズム

食べ物から摂取された糖質は体内の消化酵素によって分解されブドウ糖に変わり、血中に溶け込んで全身をめぐり、血糖値を上昇させます。
糖の中でも砂糖はブドウ糖に分解されやすく、特に栄養を吸収しやすい状態にある空腹時に、砂糖を摂取すると血糖値が急上昇します。
その結果、血糖値を下げる働きのあるインスリンが一気に分泌され、血糖値が急低下します。いわゆる低血糖が引き起こされます。体が低血糖になると、脳はそのエネルギー不足を「お腹が空いている」と勘違いし、「糖分を摂取して血糖値を上げろ」と指令を出します。

つまり、砂糖を急激にたくさん摂ると逆に血糖値が下がり、お腹が空いている訳でもないのに繰り返し「砂糖=甘い物」を食べたくなる、という現象が起きます。
さらに、砂糖には幸福感や癒やしを感じさせるドーパミンやセロトニン、ノルアドレナリンなど脳内神経伝達物質の分泌を促す働きがあります。
これらは日常のストレスを和らげる為にも大切な物質ですが、「砂糖を食べると、幸せが感じられる」状態が頻繁に繰り返されると、脳はこの快感が癖になります。
そのため、砂糖に麻薬のような依存性があると言われています。
砂糖依存症とは、「快感を得るためには、砂糖を摂らなければいけない」と脳が勘違いしている状態とも言えます。

③砂糖依存症の症状

砂糖依存症の症状には下記があります。

・ストレスを感じると甘い物が食べたくて仕方なくなる
・甘い物を食べないと落ち着かず、我慢しているとイライラする
・チョコレートやアメを持ち歩き、何処でも頻繁に甘い物を食べている
・妙に疲れやすく、甘い物を食べると元気になる
・短時間の労働などでめまい・立ちくらみなどを感じる

この他、以下のような疲労や鬱病などにも似た、倦怠感などの症状が出やすくなる傾向もあります。

・頭痛がする
・集中力がない
・落ち込みやすい
・怒りっぽい
・手足が冷える
・朝起きるのが辛い

これらの症状は低血糖やビタミンB1不足によるものだと言われています。
気分を落ち着かせる為や、ストレス発散の為に食べていた甘い物ですが、過剰摂取が続くと逆に心身を疲労させます。
何気なく食べてしまいがちなオヤツは、それが食べ過ぎかどうか気をつけた方がいいです。
また、疲労や鬱病に似た症状が長期間続く場合は、鬱病を併発している可能性も少なくはありません。

④砂糖の摂取量の目安

砂糖は、過剰摂取が問題なのであって、糖質は筋トレや身体作りにとって、なくてはならない五大必須栄養素のひとつです。しかし、1日の砂糖摂取制限量は20gと言われてます。これがどのくらいの量かというと、

【砂糖の含有率】
コーラ500ml 約56.5g
アイスクリーム(1個/100g) 約32g
ショートケーキ(1個/110g) 約30g
スポーツドリンク500ml  約24g
チョコレート(1枚/50g) 約22g

コーラやスポーツドリンク1本、ショートケーキ1つで1日の摂取制限量20gを超えてしまいます。1日トータルの食事には、これに料理で使う砂糖やみりん、根菜や主食の炭水化物などが加わります。私たちの身の回りには砂糖を含む食べ物や飲み物が多く、普通に生活しているだけで、簡単に砂糖の摂取制限量をオーバーしてしまうのです。

ストイックな糖質制限をする必要はありませんが、この事実を頭におき、簡単に摂れる甘い飲み物を控えるなど、できることから少しずつ砂糖依存症のリスクを減らしていきましょう。

⑤砂糖依存症の改善の仕方

どんな食品にも入っている糖質を完全にカットすることは難しく、甘い物が好きな人にとって甘い物をまったく食べてはダメと言われるのは辛いことです。
しかし、砂糖依存症にはきちんとした対処が必要で、正しい知識があれば、無理なく砂糖摂取をコントロールできます。

①甘いものを物理的に排除する
甘い物を家や職場などに置かないように排除します!家にお菓子やデザートがストックしてあるから食べてしまうのです。またダイエット中は、CMや広告などの美味しい宣伝は食欲を増してしまいますので遠ざけるようにします。
またコンビニなどで甘い物を買っている場合はその習慣を無くすようにします。
物理的排除の論理の三原則、買わない、見ない、触らない!買わない、見ない、触らないです。

②おやつはフルーツや芋、栗などを食べる
小腹が空いたり、甘い物が食べたくなったときは、フルーツ、ドライフルーツ、さつま芋、栗などを食べるようにしましょう。飲み物にはちみつなど、自然由来の甘みをプラスするのもお勧めです。天然の甘みに味覚を戻す事が大事です。

③ビタミン、ミネラルが豊富な食事を心がける
全粒穀物、玄米、豚肉、野菜を中心としたビタミンB群やミネラルのクロムが豊富に含まれる食品を意識的に摂りましょう。これらの成分は甘い物の過剰摂取で不足した栄養素を補い、脳が砂糖を欲しがってしまう負のサイクルに歯止めをかけてくれます。

④運動やストレッチをする
「疲れたから甘い物を食べる」のではなく、疲れたときはゆっくり身体を休めることで疲れを取りましょう。
そして二日休んで取れない疲れは運動しましょう。筋トレや有酸素運動は糖代謝を良くして、糖分が余って体脂肪になる事を防ぎます。さらにトレーニングの達成感があるので、自然とドーパミンが出ます。これは訓練すると糖分摂取によるドーパミン分泌より高まります。
またストレッチは深い呼吸で行うと、副交感神経が優位になるので自律神経が整い心が落ち着きます。

⑤睡眠のリズムを作る
夜更かしは止めて十分な睡眠を取る、食事の時間やバランスを見直すなど、規則正しい生活を心がけると、自律神経のリズムが安定し、身体のストレスが減るので、脳の視床下部の満腹中枢も安定し、砂糖に依存してたエネルギー回路も整います。

⑥砂糖摂取による「鬱病」のリスク

糖質は体内で分解されてブドウ糖になり、これが代謝機能に働きかけることでエネルギー源に変わります。糖の分解にはビタミンB群やカルシウムなどが必要ですが、それらは体温の維持や食べ物の消化、脳を正常に働かせる為にも重要な栄養素です。
しかし、甘い物をたくさん食べると、体内に入ってきた大量の糖分を分解するためにビタミンB群やカルシウムがどんどん使われます。すると、体を正常に働かせる栄養素があちこちで不足し、さまざまな弊害が起こるようになります。
砂糖依存症が鬱病を併発させるといわれる原因は、この「栄養不足」があります。
エネルギーを作り出す為の素材(糖質)はあっても、道具(ビタミンB1)がないために脳神経がガス欠状態になってしまいます。
それによって気持ちはどんどん不安定になり、興奮したり、落ち込んだり、すぐにイライラしたり、緊張したりと、鬱症状が出やすくなっていきますので注意が必要です。

まとめ

砂糖依存症を抜け出す為には、依存している事を自覚することからです。その為には口に入れる食べ物を書き出すなどのレコーディングダイエットが効果的です。少量の糖分だから大丈夫だからと、頻繁に砂糖を摂っていると砂糖依存症になりますので、運動や生活状況に合わせたご自身の適量を見定めてください。
そして一番は「追い込んだ筋トレで糖分を使い切る習慣(^^)」ですね。
  • 三橋 忠
    加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院 代表
    ファイン・ラボフィット パーソナルトレーナー
    大手スポーツクラブのチーフトレーナー・責任者を経験した後、パーソナルトレーニングスタジオ店長として4年間勤務し、整形外科・接骨院でもキャリアを積み、2011年に加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院を開業。パーソナルトレーニングで年間3500 セッションの指導を行う。

    <資格>
    ・厚生労働大臣認定柔道整復師
    ・加圧スペシャルインストラクター
    ・米国認定ストレングス&コンディショントレーナー(NESTA-PFT)
    ・キネシオテーピングトレーナー

    <競技実績>
    2008年ボディビルMr茨城 準優勝
    2008年ボディビルMr茨城70kg以下級 準優勝
    2009年ボディビルMr茨城70kg以下級 優勝