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ケトンダイエット完全攻略①

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掲載日:2023.05.07
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フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー・横浜医療専門学校非常勤講師)
今回のテーマは「ケトンダイエット完全攻略」です。

①ケトンダイエットとは?

ケトンダイエットは三大栄養素の比率をP・F・C 30:60:10にします。(P=タンパク質:F=脂肪:C=炭水化物)
体重やトレーニング経験にもよりますが、炭水化物の摂取量を1日50g、あるいはエネルギー摂取量の10%以下に抑え、たんぱく質摂取量を20〜30%確保した状態で、残りのエネルギーの70〜80%を脂質から摂取する食事法になります。

これは昔、アメリカのアトキンス博士が提唱した、炭水化物を殆ど摂取しない「アトキンスダイエット」とも類似しており、身体は炭水化物を摂っていない状態が長く続くと体脂肪を脂肪酸とケトン体に分解し、身体はブドウ糖ではなく、ケトン体をエネルギーにします。

ケトンダイエットでは糖質の摂取量が非常に低いため、生体内ではケトン体の産生と、脂質をエネルギー源として利用する能力が著しく増加し、体脂肪の減少を進めます。

②ケトン体とは

ケトン体には①アセト酢酸・②β-ヒドロキシ酪酸・③アセトンがあり、これら三つを総称してケトン体と呼びます。

体内の糖質が少なくなった時、脂肪がエネルギーとして代謝されるときに生成される物質です。
身体は糖質と脂肪を使いエネルギーを作り出しています。糖質はすぐに脳や身体で使いやすいエネルギー源です。しかし脂肪は使いづらいエネルギー源なので、通常の食生活ですと糖質と一緒に使われます。
体内の糖質が極めて少なくなると、脂肪は「ケトン体」に変換されて、アセチルCoAに変換されてエネルギーとして働きます。
ちなみにケトン体は、糖の代わりとなる脳の唯一の代替エネルギーでもあります。

③ケトンダイエットの脂肪燃焼ポイント

ケトンダイエットの脂肪燃焼のポイントは、ケトン体回路の活性化に加えて、体内で血糖値を下げる唯一のホルモン、インスリンの分泌のコントロールにあります。

通常、私たちがエネルギーとして使う糖質の糖代謝ですと、インスリンが体内の脂肪を蓄えるように作用しやすくなります。
摂取した糖がエネルギーに使われれば、脂肪になることはありませんが、身体が摂り過ぎた糖をエネルギーに変換するには限界があります。
そのためインスリンは余った糖をグリコーゲン、または脂肪に変えて蓄えることで血糖値を下げます。
インスリンが分泌されると、糖から脂肪を合成して蓄えようとすると同時に、脂肪の燃焼を抑制してしまいます。

1度に大量の糖を摂り、インスリンが沢山分泌されるほど、秒で太ってしまうということになります。
ケトンダイエットの食事法は、炭水化物の摂取を低くし、インスリン分泌を抑えることにより、脂肪の合成を高める働きを抑制したり、脂肪の蓄積を防ぐ働きを促進します。

④ケトンダイエットを成功させる3つのポイント

1.PFCバランスから各栄養素の摂取量を厳密に計算する

2.糖質を大きく制限して体内の糖質を枯渇させる

3. 良質な脂質を選び、そこからカロリーを確保する

⑤ケトンダイエットのカロリー計算

①一般的な 1日の摂取カロリーを計算する

日々の活動量にもよりますが、一般的に女性は2,000kcal、男性は2,500kcal前後が適正な1日あたりの摂取カロリーであるといえます。(通勤がないテレワークなどであまり歩いてない方、日頃からハードトレーニングをしている方は摂取カロリーを増減して調整する必要があります。)

② PFCバランスから摂取カロリーを算出する

「P=たんぱく質:F=脂質:C=炭水化物」の比率をカロリー単位で「3:6:1」にします。
計算しやすく、1日に摂取すべきカロリーが2,000kcalの人は摂取カロリーの割合をタンパク質から600kcal、脂質から1,200kcal、炭水化物から200kcalにするということになります。
1日50gの糖質を摂る事によって筋肉の減少を抑えられます。
また体重の減少を早めたい場合は糖質を50g以下にしてもいいですが、筋肉の減少も進む可能性がありますので注意が必要です。

③ カロリーをg(グラム)にする

上記の②で算出した摂取カロリーをg(グラム)に変えます。
三大栄養素の1グラムあたりのカロリーは、
・タンパク質:4cal・脂質:9cal・炭水化物:4kcal
これを当てはめると、

・たんぱく質:600kcal→150g
・脂質:1,200kcal→133g
・炭水化物:200kcal→50g

これが1日に摂って良い三大栄養素のgです。これを食事回数分で分けるので、炭水化物は1日50g、コンビニおにぎりが1個40gの炭水化物なので、 「1食でおにぎり1つ食べたらアウト」になります。

この1日の炭水化物の摂取量を超えないようにすると、ケトン体をメインにエネルギーとして使い始めます。
個人差がありますが、このケトン体のエネルギー回路への移行は、早い人で2・3日、遅い人でも7日経てば変わると言われております。(確認にケトン体試験紙を使うことをお勧めします。)
また筋肉量が多い人ほど、ケトーシスになりやすいので、炭水化物摂取が1日に50gを超えてもケトーシスになります。ですので筋トレは大事です。

まとめ

今回はケトンダイエットの総論でした。ざっくり「目に見える炭水化物はゼロにする」生活を始める覚悟を持つ事が大事です。
次回は、食べて良い食品、食べてはいけない食品、意識的に摂るべき栄養素などを紹介していきます。
  • 三橋 忠
    加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院 代表
    ファイン・ラボフィット パーソナルトレーナー
    大手スポーツクラブのチーフトレーナー・責任者を経験した後、パーソナルトレーニングスタジオ店長として4年間勤務し、整形外科・接骨院でもキャリアを積み、2011年に加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院を開業。パーソナルトレーニングで年間3500 セッションの指導を行う。

    <資格>
    ・厚生労働大臣認定柔道整復師
    ・加圧スペシャルインストラクター
    ・米国認定ストレングス&コンディショントレーナー(NESTA-PFT)
    ・キネシオテーピングトレーナー

    <競技実績>
    2008年ボディビルMr茨城 準優勝
    2008年ボディビルMr茨城70kg以下級 準優勝
    2009年ボディビルMr茨城70kg以下級 優勝