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ボディビルダーにとって最適な有酸素運動の時間とは?

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掲載日:2017.05.02
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トレーニングと減量 - 有酸素運動とボディビル

僕の考えでは、筋量を増やそうとしているボディビルダーは、有酸素運動をするべきではありません。なぜなら、ウェイトトレーニングは、アナボリック状態をつくりだす運動であり、有酸素運動は、カタボリック状態(筋肉が消耗していく状態)をつくりだすからです。ウェイトトレーニングは体内でアナボリックホルモンの分泌を促し、筋発達を助けますが、有酸素運動は、このホルモンの分泌を減少させることによって、その効果を相殺してしまうのです。

ボディビルにおける神話として、オフシーズンに有酸素運動をすれば、代謝が刺激されるということがあります。そのため、ボディビルダーはしばしば、脂肪をつけないようにと有酸素運動を行います。これは、大間違いです!まず、有酸素運動は、皆が思っているほど多くのカロリーを燃やすわけではありません。これに対して、筋肉をつけるのが目的のウェイトトレーニングによって、体は何もしていないときですら多くのカロリーを燃やすようになるのです。ウェイトトレーニングも有酸素運動も、行った後数時間は、代謝が高まります。しかし、異なる点は、ウェイトトレーニングは、筋肉の分解、そして再生を促すのです。ハードトレーニングにより引き起こされた回復という行為、筋肉の同化作用は、カロリーの必要性を増すのです。

有酸素運動は、その回復過程にとってためになるとはいえません。回復には、十分なカロリー、栄養、そして休息が必要です。休息を取ろうとする体を(有酸素運動などをして)十分に休ませなければ、それは筋発達を妨害していることになります。

それに、ボディビルダーは、ハードトレーニング中に使っているエネルギーシステムを利用することにより、力と発達を引き出しています。長年トレーニングをしているボディビルダーほど、体が効率よくグリコーゲンをため、ATPを再合成し、乳酸を処理し、神経を強力に刺激して筋肉の収縮を高めることができるのです。

有酸素運動はまた、異なる筋線維を使います。有酸素運動では遅筋を使い、ボディビルでは速筋を使うのです。使えば、遅筋も発達しますが、それは速筋繊維を犠牲にしてのことです。

それぞれの筋肉は、遅筋と速筋の両方からできています。速筋繊維の中にも2種類あって、タイプIIaとタイプIIbです。このうち、IIb繊維がウェイトトレーニングに反応して大きくなっていくのです。IIa繊維は、有酸素運動にもウェイトトレーニングにも反応します。もし、有酸素運動もウェイトトレーニングも行えば、両方に反応するIIa繊維は、ウェイトトレーニングを好まなくなってしまいます。このように、オフシーズンに有酸素運動をウェイトトレーニングと組み合わせて行えば、変化しやすいIIa繊維が有酸素運動に適応し、IIb繊維の特徴を奪ってしまうことによって、サイズを増す妨げになってしまうというわけです。

脂肪を減らすために有酸素運動を行う場合、段階的に量を増やしていくことをお勧めします。スタートとしては、一週間に3回、一回30分がいいでしょう。これを2週間続けてみてください。順調に脂肪が落ちているようであれば、同じプログラムを続けてみてください。もし、脂肪が落ちない様であれば、有酸素運動を一週間に4回に増やします。これで脂肪が落ちなくなったら、少しずつ量を増やしてかまいませんが、最大で一週間に5回、一回45分にとどめるべきです。これ以上行っても、単に疲れるか、必要以上に空腹感を覚えるかのどちらかです。

  • ■究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック
    2013年6月20日第6版発行
    著者:クリス・アセート
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

[ 究極の筋肉を作り上げるためのボディビルハンドブック ]

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