ボディビルの基本⑯ 初心者のための基礎知識と実技 【知識編】
月刊ボディビルディング
掲載日:2017.10.12
竹内威(NE協会指導部長’59ミスター日本)
トレーニングで使用する器具の重量(ウェイト)は,実施者各人の現在の能力に応じた適切な重量でなければならない。
ボディビルは,もとより負荷を体に与えることによって,肉体的な適応性を適度に刺激し,身体の強化を促すという原理に基づいた運動法であるが,だからといって,無分別にただ負荷を体に与えさえすればよいというものではない。よい成果を少しでも多く得るには,身体の強化を促すに適した負荷を体に与えることが大切である。つまり,適切な重量を使用して,正しい運動を行う必要がある。
ボディビルは,もとより負荷を体に与えることによって,肉体的な適応性を適度に刺激し,身体の強化を促すという原理に基づいた運動法であるが,だからといって,無分別にただ負荷を体に与えさえすればよいというものではない。よい成果を少しでも多く得るには,身体の強化を促すに適した負荷を体に与えることが大切である。つまり,適切な重量を使用して,正しい運動を行う必要がある。
◇使用重量はどのくらいがよいか
では,実際にバーベルやダンベルを使用してトレーニングを行うのに,どのくらいの重量を用いればよいか,ということであるが,それはトレーニングの目的によっても異なってくる。つまり,筋力を強くし筋肉を発達させる目的でトレーニングを行う場合と,持久力を養うのが目的でトレーニングを行う場合とでは,それぞれに適する使用重量は異なるということである①筋力を強くし筋肉を太くするには
筋力(筋の基礎的な力)を強化し,筋肉の発達を促すのに適した使用重量は,実施者自身が反動を使わないで正確にがんばって1回あげることのできる重量(すなわち最高重量)の60~70%ぐらいである。
もちろん,この60~70%の重量というのは,各運動種目における挙上,あるいは引きあげ可能な最高重量の60~70%ということであり,当然,各種目ごとに,それに該当する重量を定めるということになる。
この60~70%の重量(もしくはそれ以下の重量)を用いて運動を行うということが,初心者のトレーニングにおける基本的な原則であり,それ以上の重い重量を用いる必要はない。
無理をして70%以上の重い重量を用いて運動を行なったとしても,実施者が初心者の段階では,効果の面でプラスになることは少ない。重い重量を使用して行なえば,それだけ効果が多く得られるというものではなく,最高重量の80~90%の重量を使用して行なっても,60~70%の重量を使用した場合と比べて,筋力を強化し筋肉を太くするという効果の面では,ほとんど差がないと考えられている。
そればかりか,重い重量で無理をして行うことは,ときには筋肉に対する刺激が過度になり,かえって体の発達が悪くなることもある。また,重い重量を使用することは,それだけ筋肉と関節に負担が強くかかるので,体を痛める可能性も大となる。
筋肉や関節を痛めると,状態によってはトレーニングを長期にわたって休まなければならないことにもなる。
したがって,身体の鍛練が不充分な初心者の段階では,そのような故障をさける意味でも,重い重量を使用して無理な運動を行うことは絶対に慎しむべきである。
だからといって,トレーニングにおける安全性だけを考えすぎて,ごく軽い重量しか用いないというのではあまり効果を期待することはできない。単に健康法として運動を行うのならそれでもよいが,積極的に筋力の強化,筋肉の発達を意図してトレーニングをするのなら,やはりある程度の重量を使用して運動を行う必要がある。軽い重量で反復回数を多くして運動を行うことは,筋の持久力を増すという点では適しているが,筋力を強くして筋肉を太くするという点ではあまり有効ではない。
②筋の持久力を増すには
筋の持久力を増すには,実施者自身が可能な最高重量の60%以下の重量を用いて,運動の反復回数を多回数にして行うのがよい。(反復回数については後述する)
いま述べた軽重量・多回数のやり方は,最高重量の60~70%の重量を使用して行う場合と比べて,効果の面で筋力を強化し筋肉を太くするという点では有効度は劣るが,持久力を増強するという点ではまさっている。
このような点から,軽重量・多回数の方法は実生活におけるスタミナを養成するような場合に向いており,また筋肉と関節に対する負担も軽くなるので,虚弱者や年輩者の健康管理の運動方法としては適しているといえる。
筋力(筋の基礎的な力)を強化し,筋肉の発達を促すのに適した使用重量は,実施者自身が反動を使わないで正確にがんばって1回あげることのできる重量(すなわち最高重量)の60~70%ぐらいである。
もちろん,この60~70%の重量というのは,各運動種目における挙上,あるいは引きあげ可能な最高重量の60~70%ということであり,当然,各種目ごとに,それに該当する重量を定めるということになる。
この60~70%の重量(もしくはそれ以下の重量)を用いて運動を行うということが,初心者のトレーニングにおける基本的な原則であり,それ以上の重い重量を用いる必要はない。
無理をして70%以上の重い重量を用いて運動を行なったとしても,実施者が初心者の段階では,効果の面でプラスになることは少ない。重い重量を使用して行なえば,それだけ効果が多く得られるというものではなく,最高重量の80~90%の重量を使用して行なっても,60~70%の重量を使用した場合と比べて,筋力を強化し筋肉を太くするという効果の面では,ほとんど差がないと考えられている。
そればかりか,重い重量で無理をして行うことは,ときには筋肉に対する刺激が過度になり,かえって体の発達が悪くなることもある。また,重い重量を使用することは,それだけ筋肉と関節に負担が強くかかるので,体を痛める可能性も大となる。
筋肉や関節を痛めると,状態によってはトレーニングを長期にわたって休まなければならないことにもなる。
したがって,身体の鍛練が不充分な初心者の段階では,そのような故障をさける意味でも,重い重量を使用して無理な運動を行うことは絶対に慎しむべきである。
だからといって,トレーニングにおける安全性だけを考えすぎて,ごく軽い重量しか用いないというのではあまり効果を期待することはできない。単に健康法として運動を行うのならそれでもよいが,積極的に筋力の強化,筋肉の発達を意図してトレーニングをするのなら,やはりある程度の重量を使用して運動を行う必要がある。軽い重量で反復回数を多くして運動を行うことは,筋の持久力を増すという点では適しているが,筋力を強くして筋肉を太くするという点ではあまり有効ではない。
②筋の持久力を増すには
筋の持久力を増すには,実施者自身が可能な最高重量の60%以下の重量を用いて,運動の反復回数を多回数にして行うのがよい。(反復回数については後述する)
いま述べた軽重量・多回数のやり方は,最高重量の60~70%の重量を使用して行う場合と比べて,効果の面で筋力を強化し筋肉を太くするという点では有効度は劣るが,持久力を増強するという点ではまさっている。
このような点から,軽重量・多回数の方法は実生活におけるスタミナを養成するような場合に向いており,また筋肉と関節に対する負担も軽くなるので,虚弱者や年輩者の健康管理の運動方法としては適しているといえる。
◇反復回数(レピティション)
通常,ボディビルの運動は,同一の動作を中断しないで連続して何回か反復する。たとえば,バーベルを肩の位置から頭上へ挙上する運動であれば,その動作を1回だけでなく,何回か連続して行うようにする。
そのような各運動の反復回数は,先に述べた使用重量との関連において定められる。筋力を強化し筋肉を太くするには,最高重量の60~70%の重量を用いて運動を行うのがよいと述べたが効果を促すに足る刺激を筋肉に与えるためには,その重量で,正しい動作で可能な回数を連続して反復する必要がある。いかに使用重量が適切であっても,反復回数に余裕がありすぎては,筋肉を充分に刺激することはできないこのことは,持久力を強化するという目的の場合も同じである。
それぞれの場合における反復回数を具体的にいえば次のようになる。
①筋力を強化し筋肉を太くするには
8~12回の反復回数が適当であるこの8~12回の反復が可能な重量がいままでに何度も述べてきた最高重量のほぼ60~70%に該当する,というわけである。
したがって,使用重量を定めるにあたって,無理をして危険をともなう最高重量を調べなくても,8~12回くらい行える重量を調べればよい
②持久力を増すには
15~20回,もしくはそれ以上の回数を目的に応じて行えばよい。使用重量については,それぞれの目的によって定めた回数が正しい動作で反復できる重量を使用すればよい。
多回数の反復によるトレーニングでも,筋力の強化と筋肉の発達をかなり促すことができる。ただそのような効果を期待できるのは,特別な場合(下腿部や前腕の発達,手首と握力の強化など)を除けば,せいぜい20回くらいまでである。
[註]反復回数をボディビル用語でレピティションという。そして,標準的な回数(8~12回)よりも少ない回数をロー・レピティション,多い回数をハイ・レピティションという。
そのような各運動の反復回数は,先に述べた使用重量との関連において定められる。筋力を強化し筋肉を太くするには,最高重量の60~70%の重量を用いて運動を行うのがよいと述べたが効果を促すに足る刺激を筋肉に与えるためには,その重量で,正しい動作で可能な回数を連続して反復する必要がある。いかに使用重量が適切であっても,反復回数に余裕がありすぎては,筋肉を充分に刺激することはできないこのことは,持久力を強化するという目的の場合も同じである。
それぞれの場合における反復回数を具体的にいえば次のようになる。
①筋力を強化し筋肉を太くするには
8~12回の反復回数が適当であるこの8~12回の反復が可能な重量がいままでに何度も述べてきた最高重量のほぼ60~70%に該当する,というわけである。
したがって,使用重量を定めるにあたって,無理をして危険をともなう最高重量を調べなくても,8~12回くらい行える重量を調べればよい
②持久力を増すには
15~20回,もしくはそれ以上の回数を目的に応じて行えばよい。使用重量については,それぞれの目的によって定めた回数が正しい動作で反復できる重量を使用すればよい。
多回数の反復によるトレーニングでも,筋力の強化と筋肉の発達をかなり促すことができる。ただそのような効果を期待できるのは,特別な場合(下腿部や前腕の発達,手首と握力の強化など)を除けば,せいぜい20回くらいまでである。
[註]反復回数をボディビル用語でレピティションという。そして,標準的な回数(8~12回)よりも少ない回数をロー・レピティション,多い回数をハイ・レピティションという。
◇反復回数における注意
同じ回数の反復を行なっても,その反復の仕方によって運動の効率は違ってくる。
つまり,同じ8~12回の反復でも。誤った姿勢と動作で反動を使って行うのと,正しい姿勢と動作で正確に行うのとでは,明らかに運動の内容と体におよぼす影響が違う。また,顔が極度に膨張するほど息ばり,やっと最終反復が終了するようなやり方と,いくらか余裕をもって終了する場合とでも,筋肉に与える影響は違ってくる。
実施者がベテランであれば,反動を利用して運動を行うのもよいが,初心者の段階では反動を使わずに正確な動作で行うのがよい。反動を利用して行うほうが正確な動作で行うよりも,重い重量での反復が可能になるので,効果的ではないかと思われがちであるが実際には正確な動作で行うほうが効果がある。
概してボディビルの運動は,鍛練を意図する部分に上手に刺激を与えるように動作することが肝心で,運動の中間動作の良し悪しによってその効果は違ってくる。たとえば,腕の運動を腰の反動を使って行なったり,脚の運動を背を彎曲して行なったりしては,意図する腕と脚に的確な刺激を与えることはできない。
それだけではなく,誤った動作で行うことは危険性をも増すことになる。上述の場合,腰と背を鍛えたいのであれば,そのための運動を正確に行えば安全にかつ容易に効果を得ることができる。
重い重量を使用して運動が行えるという満足感だけの理由で,利点がなくそのうえ危険のともなう誤った姿勢と動作で運動を行うことは厳に慎まなければならない。
また,姿勢と動作が正しくても,運動の最終反復を全力をふりしぼって終了するといったやり方は,鍛練の不充分な初心者には向かない。そのような運動のやり方は,初心者には刺激が強すぎ,筋肉を疲弊させるだけであまり有効とはいえない。むしろ,運動の反復をていねいな動作で入念に行い,思いきりがんばればあと1~2回できるぐらいの余裕をもって最終反復を終了するようにしたほうが,初心者にとっては効果的である。
したがって,使用重量は上記のことがらを考慮して,定められた回数(たとえば8~12回)をスムーズな動作で行うことのできるものを選ぶことである。
つまり,同じ8~12回の反復でも。誤った姿勢と動作で反動を使って行うのと,正しい姿勢と動作で正確に行うのとでは,明らかに運動の内容と体におよぼす影響が違う。また,顔が極度に膨張するほど息ばり,やっと最終反復が終了するようなやり方と,いくらか余裕をもって終了する場合とでも,筋肉に与える影響は違ってくる。
実施者がベテランであれば,反動を利用して運動を行うのもよいが,初心者の段階では反動を使わずに正確な動作で行うのがよい。反動を利用して行うほうが正確な動作で行うよりも,重い重量での反復が可能になるので,効果的ではないかと思われがちであるが実際には正確な動作で行うほうが効果がある。
概してボディビルの運動は,鍛練を意図する部分に上手に刺激を与えるように動作することが肝心で,運動の中間動作の良し悪しによってその効果は違ってくる。たとえば,腕の運動を腰の反動を使って行なったり,脚の運動を背を彎曲して行なったりしては,意図する腕と脚に的確な刺激を与えることはできない。
それだけではなく,誤った動作で行うことは危険性をも増すことになる。上述の場合,腰と背を鍛えたいのであれば,そのための運動を正確に行えば安全にかつ容易に効果を得ることができる。
重い重量を使用して運動が行えるという満足感だけの理由で,利点がなくそのうえ危険のともなう誤った姿勢と動作で運動を行うことは厳に慎まなければならない。
また,姿勢と動作が正しくても,運動の最終反復を全力をふりしぼって終了するといったやり方は,鍛練の不充分な初心者には向かない。そのような運動のやり方は,初心者には刺激が強すぎ,筋肉を疲弊させるだけであまり有効とはいえない。むしろ,運動の反復をていねいな動作で入念に行い,思いきりがんばればあと1~2回できるぐらいの余裕をもって最終反復を終了するようにしたほうが,初心者にとっては効果的である。
したがって,使用重量は上記のことがらを考慮して,定められた回数(たとえば8~12回)をスムーズな動作で行うことのできるものを選ぶことである。
◇セット数について
ボディビルでの運動は,通常,同一動作を何回か(たとえば8~12回)反復して行うのであるが,その運動開始から終了までを称してセットという単位で呼ぶ。
1セットにおける回数は,必ずしも8~12回とは限らない。12回以上の場合もあれば,極端な場合は1回の動作で1セットの場合もある。
ボディビルは体を部分的,かつ多角的に鍛練する運動法である。したがって,初心者でもボディビル開始当初から数種目の基本運動を行うようにするわけであるが,実施者の体力に応じて同一の運動種目を1セットずつではなく,2~3セットずつ行うようにしてもよい。
しかし,ジムなどで直接コーチの指示にしたがってトレーニングを開始する場合は別にして,普通は1種目につき1セットずつで始めるのが安全である。
この1種目につき1セットずつ行う方法をシングル・セット・システムというが,初心者の場合なら,さしあたってこのシングル・セット・システムによるトレーニングでも充分な効果をあげることができる。しかる後に,体力が増すにつれ順次2セット,3セットずつ行うようにすれば,さらにその上の効果を期待することができる。このように同一種目を2セット以上行う方法をセット・システムという。
このようにして,体力が向上するにしたがってセット数を増すことで,一段と効果を高めることは可能になるがだからといって際限なくセット数を増やしていけば,際限なく運動の効果も高められるというものではない。生理的な許容量を越える運動量は,かえって体力を低下させる。
基礎体力を養成するために基本種目のみを行う初心者の段階では,1種目につき3セット以下が適当であり,体力的な余裕があっても,採用種目のうち,せいぜい1~2種目に限って1~2セット多く行う程度に止めるのがよい。
1セットにおける回数は,必ずしも8~12回とは限らない。12回以上の場合もあれば,極端な場合は1回の動作で1セットの場合もある。
ボディビルは体を部分的,かつ多角的に鍛練する運動法である。したがって,初心者でもボディビル開始当初から数種目の基本運動を行うようにするわけであるが,実施者の体力に応じて同一の運動種目を1セットずつではなく,2~3セットずつ行うようにしてもよい。
しかし,ジムなどで直接コーチの指示にしたがってトレーニングを開始する場合は別にして,普通は1種目につき1セットずつで始めるのが安全である。
この1種目につき1セットずつ行う方法をシングル・セット・システムというが,初心者の場合なら,さしあたってこのシングル・セット・システムによるトレーニングでも充分な効果をあげることができる。しかる後に,体力が増すにつれ順次2セット,3セットずつ行うようにすれば,さらにその上の効果を期待することができる。このように同一種目を2セット以上行う方法をセット・システムという。
このようにして,体力が向上するにしたがってセット数を増すことで,一段と効果を高めることは可能になるがだからといって際限なくセット数を増やしていけば,際限なく運動の効果も高められるというものではない。生理的な許容量を越える運動量は,かえって体力を低下させる。
基礎体力を養成するために基本種目のみを行う初心者の段階では,1種目につき3セット以下が適当であり,体力的な余裕があっても,採用種目のうち,せいぜい1~2種目に限って1~2セット多く行う程度に止めるのがよい。
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