ボディビルの基本⑯ 初心者のための基礎知識と実技 【実技編】
[ 月刊ボディビルディング 1973年1月号 ]
掲載日:2017.10.12
竹内威(NE協会指導部長’59ミスター日本)
◇クール・ダウン
ボディビルのように重量を用いて行う運動は,運動による身体の緊張度も強い。したがって,トレーニング後にその緊張をほぐすために軽い体操を行う必要がある。つまり,これがクール・ダウンで,トレーニング後には必ずこのクール・ダウンを行う習慣をつけるとよい。
このことは,筋肉の緊張をほぐすだけでなく,臓器の機能を速やかに平常に戻すので,運動による疲労の停滞するのを軽減し回復をはやめる。
クール・ダウンの方法は,体の力をできるだけぬいて,5~10分間くらい軽い体操を行えばよい。体の緊張をほぐすのが目的であるから,かえって緊張を高めるようなことを行わないように留意する。たとえていえば,タコのような感じで力を抜いて自由に全身を動かせばよい。
このことは,筋肉の緊張をほぐすだけでなく,臓器の機能を速やかに平常に戻すので,運動による疲労の停滞するのを軽減し回復をはやめる。
クール・ダウンの方法は,体の力をできるだけぬいて,5~10分間くらい軽い体操を行えばよい。体の緊張をほぐすのが目的であるから,かえって緊張を高めるようなことを行わないように留意する。たとえていえば,タコのような感じで力を抜いて自由に全身を動かせばよい。
◇トレーニングにあたっての注意
① トレーニングのはじめに,必ずウォーム・アップを行い,充分に体を暖める。そして,トレーニング中も必要以上に休息をとったりして,体を冷やさないように注意する。
② 運動着は動作をそこなわないものを着用し,冬期はとくに保温に留意する。
③ 不測の事故を防止するために,運動を行う場所をよく整理してから行う。
④ 運動の前に必ず器具を点検する。
⑤ 運動は自己の体力に適した重量で正確に,かつ慎重に行う。とくに初心者の段階では無理な重量を用いたり,重量あげ競技をまねるようなことは絶対に慎む。
⑥ 未経験な運動種目を行うときは,正確な動作が身につくまで余裕のある重量で数日間練習する。
⑦ 器具を無造作に扱うことは思わぬ事故のもととなる。運動が完了し,バーベルをラック(バーベル受け,スタンド)におろすときは,静かに慎重におき,ラックに完全にのせたことを確認するまで力を抜かないようにする。
⑧ 体調の悪いときは無理にトレーニングを行なってはいけない。また,トレーニングの途中で体調が悪いと感じたときは思いきって中止する。そのようなときに無理をしてトレーニングを継続すると,さらに悪化させるおそれがある。
⑨ もし,身体に異常を感じたら,直ちにトレーニングを中止し,医師の診断を受け,トレーニング継続の是非を相談する。
⑩ 運動種目と鍛練する筋肉の名称をなるべく早く覚え,鍛練する部分を自覚して運動を行うようにする。
⑪ トレーニングの終わりには必ずクール・ダウンを行う習慣をつける。
⑫ 終了後は,汗や汚れを落とし清潔にしておく。
② 運動着は動作をそこなわないものを着用し,冬期はとくに保温に留意する。
③ 不測の事故を防止するために,運動を行う場所をよく整理してから行う。
④ 運動の前に必ず器具を点検する。
⑤ 運動は自己の体力に適した重量で正確に,かつ慎重に行う。とくに初心者の段階では無理な重量を用いたり,重量あげ競技をまねるようなことは絶対に慎む。
⑥ 未経験な運動種目を行うときは,正確な動作が身につくまで余裕のある重量で数日間練習する。
⑦ 器具を無造作に扱うことは思わぬ事故のもととなる。運動が完了し,バーベルをラック(バーベル受け,スタンド)におろすときは,静かに慎重におき,ラックに完全にのせたことを確認するまで力を抜かないようにする。
⑧ 体調の悪いときは無理にトレーニングを行なってはいけない。また,トレーニングの途中で体調が悪いと感じたときは思いきって中止する。そのようなときに無理をしてトレーニングを継続すると,さらに悪化させるおそれがある。
⑨ もし,身体に異常を感じたら,直ちにトレーニングを中止し,医師の診断を受け,トレーニング継続の是非を相談する。
⑩ 運動種目と鍛練する筋肉の名称をなるべく早く覚え,鍛練する部分を自覚して運動を行うようにする。
⑪ トレーニングの終わりには必ずクール・ダウンを行う習慣をつける。
⑫ 終了後は,汗や汚れを落とし清潔にしておく。
◇バーベルの握り方
①オーバー・グリップ
シャフトの上側から手のひらを内に向けて握る方法。
シャフトの上側から手のひらを内に向けて握る方法。
②アンダー・グリップ
シャフトの下側から手のひらを外に向けて握る方法。
シャフトの下側から手のひらを外に向けて握る方法。
③サムレス・グリップ
親指を他の指にそろえてシャフト上を握る方法。
親指を他の指にそろえてシャフト上を握る方法。
ボディビルの長期経験者や重量あげの選手の中には,このサムレス・グリップで運動を行なっている人もいるが,初心者の場合は,あえてそのような握り方で行う必要はない。親指が他の指の反対側からシャフトにかかる握り方(サムレス・グリップに対してこの握り方をサム・アランド・グリップという)で行うほうが安全である。
◇ボディビルの基本動作
ボディビルの運動は,おおむね重量を使用して行うために,誤った姿勢や動作で運動を行うとことは事故の原因となる。したがって,トレーニングの開始にあたっては,正しい動作で器具を扱うことをマスターしておく必要がある。
○デッド・リフト
本来は腰と背を鍛練するための運動種目であるが,この運動の動作はボディビルにおける運動の基本動作でもある。
<かまえ> 両足の甲がバーベル・シャフトの下に位置するように立つ。両足の間隔は肩幅よりいくぶん狭いぐらいでよい。次に体をかがめ,両腕を伸ばして,肩幅よりやや広いくらいの間隔でシャフトをオーバー・グリップで握る。
胸を張り背すじを反らして腰背部を緊張させる。腰の位置が肩より高くならないように留意する。
<動作> かまえの姿勢がととのったら,引きあげ動作にうつる。背と腰をまるくしないで伸ばした状態で,脚を伸ばしながら上体を起こしてバーベルを大腿部の前まで引きあげる
バーベルをおろすときの動作は,背すじを曲げないように注意して,上体を少しずつ前傾しながら脚を屈しておろす。つまり,引きあげるときの逆の要領で行えばよい。
<注意> この運動は,背を彎曲しないで,腰背部を緊張させて動作を行うことが肝心である。ダンベルを使用する場合でも,動作の要領はこれと同じである。
このデッド・リフトの動作は,前述したようにボディビルの基本動作でもあるから,他の運動の場合でも床から重量をあげるときは,すべてこの要領で器具を扱うようにする。誤った動作で無造作に器具を扱うと腰を痛めたりすることがあるから,常に正しい動作で行うように心掛けて欲しい。
本来は腰と背を鍛練するための運動種目であるが,この運動の動作はボディビルにおける運動の基本動作でもある。
<かまえ> 両足の甲がバーベル・シャフトの下に位置するように立つ。両足の間隔は肩幅よりいくぶん狭いぐらいでよい。次に体をかがめ,両腕を伸ばして,肩幅よりやや広いくらいの間隔でシャフトをオーバー・グリップで握る。
胸を張り背すじを反らして腰背部を緊張させる。腰の位置が肩より高くならないように留意する。
<動作> かまえの姿勢がととのったら,引きあげ動作にうつる。背と腰をまるくしないで伸ばした状態で,脚を伸ばしながら上体を起こしてバーベルを大腿部の前まで引きあげる
バーベルをおろすときの動作は,背すじを曲げないように注意して,上体を少しずつ前傾しながら脚を屈しておろす。つまり,引きあげるときの逆の要領で行えばよい。
<注意> この運動は,背を彎曲しないで,腰背部を緊張させて動作を行うことが肝心である。ダンベルを使用する場合でも,動作の要領はこれと同じである。
このデッド・リフトの動作は,前述したようにボディビルの基本動作でもあるから,他の運動の場合でも床から重量をあげるときは,すべてこの要領で器具を扱うようにする。誤った動作で無造作に器具を扱うと腰を痛めたりすることがあるから,常に正しい動作で行うように心掛けて欲しい。
デッド・リフト
○ハイ・クリーン
バーベルやダンベンを床から引きあげ,胸の前に受けとめる運動であるがこの運動の動作も,器具を扱うときの基本動作になる。本来は,全体の総合的な力を養うための運動である。
<かまえ> デッド・リフトの場合と同じ。
<動作> デッド・リフトのときと同じように背を彎曲させないように留意し,力が腕と肩に片寄らないように脚と腰の力を充分に使い,全身を上に伸ばすようにしてまっすぐ首のあたりまでいっきに引きあげる。
シャフトを首のあたりまで引きあげたら,少し膝を屈し,腕と手首をかえしてバーベルを胸の前で受けとめる。以上の動作を連続した動作で行う。
おろすときは,いったん大腿部の前までおろし,あとはデッド・リフトのときの要領で床までおろす。
バーベルやダンベンを床から引きあげ,胸の前に受けとめる運動であるがこの運動の動作も,器具を扱うときの基本動作になる。本来は,全体の総合的な力を養うための運動である。
<かまえ> デッド・リフトの場合と同じ。
<動作> デッド・リフトのときと同じように背を彎曲させないように留意し,力が腕と肩に片寄らないように脚と腰の力を充分に使い,全身を上に伸ばすようにしてまっすぐ首のあたりまでいっきに引きあげる。
シャフトを首のあたりまで引きあげたら,少し膝を屈し,腕と手首をかえしてバーベルを胸の前で受けとめる。以上の動作を連続した動作で行う。
おろすときは,いったん大腿部の前までおろし,あとはデッド・リフトのときの要領で床までおろす。
ハイ・クリーン
◇器具を使用して行うウォーム・アップ
徒手によるウォーム・アップのみでは不充分と思われるとき,それを補うために器具を用いたウォーム・アップを行えばよい。それには,ごく軽い重量を使用してクリーン・アンド・プレスが適している。この運動は,全身の筋肉を使用し,運動の作業量も大きく適度に心肺機能をも亢進させるからウォーム・アップに向いている。
ただ注意しなければならないのは,器具を用いてウォーム・アップを行う場合は,本運動を行うための筋力とスタミナがそこなわれない範囲で行うことが肝心である。ウォーム・アップで体が疲れてしまうようでは,ウォーム・アップとしての意味がなくなってしまう。
このような点から,器具を用いたウォーム・アップは,本運動として正式に行う場合の40~50%ぐらいの感じで行うようにする。たとえば,50kgで10回行うことのできる体力なら,20~25kgを使用し,筋肉を充分に伸縮させるように留意しながら10~12回ぐらいの反復を行うようにすればよい。
セット数については,その日の気温と体の状態に応じて,適宜増減するようにする。
ただ注意しなければならないのは,器具を用いてウォーム・アップを行う場合は,本運動を行うための筋力とスタミナがそこなわれない範囲で行うことが肝心である。ウォーム・アップで体が疲れてしまうようでは,ウォーム・アップとしての意味がなくなってしまう。
このような点から,器具を用いたウォーム・アップは,本運動として正式に行う場合の40~50%ぐらいの感じで行うようにする。たとえば,50kgで10回行うことのできる体力なら,20~25kgを使用し,筋肉を充分に伸縮させるように留意しながら10~12回ぐらいの反復を行うようにすればよい。
セット数については,その日の気温と体の状態に応じて,適宜増減するようにする。
○クリーン・アンド・プレス
<動作> バーベルを前述のハイ・クリーンと同じように胸の前まであげたら,次いで頭上へ挙上する。
おろすときは,頭上にあげたバーベルを,いったん胸の前までおろしあとはハイ・クリーンのときの要領で下におろす。
つまり,ハイ・クリーンとプレス(押上げ運動)を,ひとつの連続した運動として行う。
<注意> 所定の反復回数を終えるまで,運動の途中でバーベルを床に置いてしまわないように行う。
<動作> バーベルを前述のハイ・クリーンと同じように胸の前まであげたら,次いで頭上へ挙上する。
おろすときは,頭上にあげたバーベルを,いったん胸の前までおろしあとはハイ・クリーンのときの要領で下におろす。
つまり,ハイ・クリーンとプレス(押上げ運動)を,ひとつの連続した運動として行う。
<注意> 所定の反復回数を終えるまで,運動の途中でバーベルを床に置いてしまわないように行う。
クリーン・アンド・プレス
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