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トレーニング場所と施設整備の基本的ガイドライン

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掲載日:2017.10.24
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トレーニンク場所(施設)を確保するための4つの方法

①既存の場所をトレーニングルームとして利用する
②新規にトレーニングルームを設置する
③一時的に器具を出してトレーニングするスペースと器具の保管場所を確保する
④外部の施設を利用する

トレーニングルームのスペースは、1人あたり最低2.5㎡
・1台の器具のスペースは1台あたり4.5㎡を目安とする
これから器具をそろえようと考えている場合には、予算の捻出の前に、まずは既存の施設の中にトレーニング器具を設置できるスペースがあるかどうか検討してみて下さい。

器具を常設したトレーニングルームをつくりたい場合には、どんな場所が考えられるでしょうか?

学校の場合には、体育館の観覧席やフロアーサイド、踊り場、ピロティー、器具庫、空き教室などが候補としてあげられます。できるだけ雨がかからず、湿度の低い場所が理想です。


もし、既存の施設に器具を設置できる場所がない場合には、どうしたらよいでしょうか。
予算が豊富にあれば、トレーニングルームを新築することも考えてみましょう。高校の中には、父兄の協力でグラウンドの片隅にプレハブのトレーニングルームを作ったケースもあります。

どうしても器具を常設する場所がない場合には、一時的に器具を出してトレーニングするスペースと器具を保管する場所が確保できるかどうか検討してみましょう。
トレーニングルームのスペースは、1人あたり少なくとも2.5㎡は必要です(NSCAのガイドラインではリフター1人あたり2.8~5.6 ㎡)。
20名の選手が同時にトレーニングを行いたい場合には、最低50㎡(約15坪)の広さが欲しいところです。

トレーニングを行うスペースがどうしても確保できない場合や、器具を購入する予算がとれない場合には、周辺の公共や民間のトレーニング施設を利用する方法もあります。

公共施設であれば、l回ごとに比較的安い料金で利用できます。また、民間の施設では、チーム単位で契約したり、混雑しない時間帯だけの利用にすると料金が割安になる場合もあります。

外部の施設を利用する場合には、料金や交通の便を検討すると共に、必要な器具がそろっているか?施設に熱心な指導者がいるか?などについてもチェックしておくようにします。

学校において施設を整備したい場合

大規模トレーニング施設のレイアウト(東海大学トレーニングセンター総床面積1050平方mの例)

大規模トレーニング施設のレイアウト(東海大学トレーニングセンター総床面積1050平方mの例)

①複数のクラブの共同の予算で購入する
②複数のクラブが所有する器具をーヶ所に集め、不足分の器具を購入する

学校内の1つのクラブの単独の予算でトレーニング器具をそろえることは大変困難なことです。このような場合には、学校内の他のクラブに呼びかけて、共同の予算で長期的に少しずつ器具を購入していく方法を採ると良いでしょう。

また、多くのクラブの同意が得られれば、各クラブが個別に保有していたトレーニング器具を一ヶ所に集め、どうしても足りない器具だけを購入する方法もあります。


トレーニング器具の整備にあたっては、施設の広さ、同時にトレー二ングを行う人数、実施したいプログラム、予算などの条件を踏まえ、フリーウエイト機器を中心に優先順位をつけてそろえていく。

20名が同時にトレーニングを行うためにそろえたい器具の目安は、
①パーベルシャフトとカラー(回転式:6セット、非回転式:2セット)
②プレート:各パーベルシャフトに20、15、10、5、2.5、1.25kg各2枚ずつ
③ダンベル:1~20kg (2kgきざみで2個ずつ)
④ベンチプレスラック:2台
⑤スクワットラック:2台
⑥フラットベンチ:2台

その他予算があれば、レッグカールマシン、ラットマシン各1台といったものを揃えたいところです。

限られた予算を有効に使うためには、どうしてもそろえておきたい器具や、購入の優先順位を知っておく必要があります。価格が安くても、耐久性や機能に問題がある場合がありますので、選定にあたっては十分に検討する必要があります。

特に、高額なトレーニングマシンを購入する場合には、買ってから後悔しないように、実際に使ってみたり、すでにそのマシンを購入したユーザーに評判を聞いてみることが必要です。

最低限そろえたい器具

最低限そろえたい器具としては、バーベル、プレート、カラー、ダンベル、ベンチプレス台、スクワットラック、フラットベンチなどのフリーウエイト機器が挙げられます。バーベルについては、予算の許す限り回転式のオリンピックバーをそろえるようにします。

ベンチプレス台やスクワットラックについては、通信販売などで安価なものが出回っていますが、耐荷重が非常に小さかったり、構造の弱いものが多いようです。

多少価格に目をつぶっても、耐久性にすぐれた本格的なものを購入した方が最終的には得になります。
スクワットラックは、バーベルを挙上できなくなった場合の安全のために、身長に合わせて高さが変えられる補助ラックがついたものを選ぶようにします。

その他、プレートやダンベルを整理して収納するためのラックもそろえておくと便利です。トレーニングマシンについては、予算に余裕がある場合に優先順位をつけてそろえていきます。

例えば、レッグカールを行うためのレッグカールマシンやラットプルダウンを行うためのラットマシンなどは、プログラムでは基本種目としてよく採用されるエクササイズですが、フリーウエイトでは実施しにくい動作ですので、このような器具を優先して購入を検討するようにします。

トレーニングルームの器具のレイアウトの際には、同系統の器具をまとめて設置する。

また導線の確保、補助者や待機者やのスペースの確保、利用者の密集防止、各器具や壁との間隔、ラック類や鏡の配置等に配慮する。

トレーニングルームの器具のレイアウトの基本的ガイドライン

①同じ部位や動きのエクササイズを行う器具は原則としてまとめて配置する

②基本エクササイズ(ベンチプレス、スクワット、パワークリーン等)の実施をするための器具はできるだけ複数導入する。

③トレーニングルーム内の導線(通路)を確保する。導線の設定にあたっては、プログラムの内容に配慮する。通路の幅は90cm以上確保する。

④各トレーニング器具の補助を行うためのスペースとインターバル中や器具の待ち時間に待機するスペースを確保する

⑤多人数が同時にトレーニングを実施した時に、一つのエリアに密集しないように配慮する。

⑥自分自身でフォームをチェックしながら行うと効果的なエクササイズ(スクワット、パワークリーン、立って行うエクササイズなど)を実施する場所の前にはできるだけ鏡を設置する。

⑦各トレーニング器具の間隔は最低60cm以上空ける(できれば90cmが望ましい)

⑧バーベルを縦に並べて配置する場合には最低90cm以上の間隔を空ける。

⑨マシンと鏡の間には、最低15cm以上の間隔を空ける。

⑩プレートやダンベルの移動距離ができるだけ少なくて済むようにラックを配置する。


ウエイ卜トレーニング施設の設計にあたっては、特に設置場所、床の材質、天井高、空調や換気の能力、照明、出入口の大きさなどに配慮する。

ウエイトトレーニング施設を整備する際の基本的なポイント

① できる限り1階や地下に設置し、階下や周辺に騒音や振動の影響を与えないように配慮する。

② フリーウエイトを設置するエリアについては、バーベルやダンベルなどの重量物が落下する場合を想定し、床の耐荷重は余裕のあるものにする(できれば1㎡あたり500~700kg以上が望ましい)。また、床にはラバーなどの衝撃緩衝材を敷く

③ 天井の高さは、選手が立った状態でバーベルを頭上に挙上しでも余裕がある高さにする。できれば、3.7m以上の高さが望ましい。

④ 空調については、多人数が同時にトレーニングを行った場合にも対応できるレベルのものを設置することが望ましい。通常の事務所や教室の2倍以上の能力が必要。

また、換気や空気の流れを十分配慮した上で、換気扇や窓を設置する。空調の能力が低かったり、通風が悪かったりすると、器具への結露や錆の発生の原因となったり、夏場の室温上昇を抑えられない場合がある。

⑤ 出入口は、大型のトレーニング機器の搬入搬出がスムーズに行えるようにできるだけ間口を広くとる。

⑥ クイックリフトを実施するプラットフォームのスペースは3.7×2.4mを確保する。


  • 競技スポーツのためのウエイトトレーニング2001年6月30日初版発行
    著者:有賀誠司
    発行者:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社



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