フィジーク・オンライン

トレーニングを休んだ方がいいのはどんなとき?

この記事をシェアする

0
掲載日:2021.12.01
記事画像1
トレーニングが習慣化されてくると、休養日を作らずに毎日ジムでトレーニングをする方 は少なくありません。 しかし、その結果オーバーワークになってしまい、疲労が抜けなかったり思わぬケガにつ ながったり、オーバートレーニング症候群になることもあります。

そこで今回は、トレーニングの休養日の入れ方や休むべきタイミング、また休むことのメ リットについて詳しく解説していきます。

休養することのメリット

休養することの一番のメリットに挙げられるのは超回復が得られることです。 超回復とは、トレーニングのような刺激を身体に与えることで一時的に疲労し体力水準は 低下しますが、適切な休息をとることによって以前の水準よりも回復する身体の反応のことです。
この超回復によって、私たちは筋肥大や筋力アップをすることが可能になります。 しかし、強度の高いトレーニングを行っても、回復期間が十分でなければ筋肥大や筋力 アップの効率が下がってしまいます。
さらに、慢性的な疲労によるパフォーマンスの低下が生じ、オーバートレーニング症候群 を引き起こす危険もありますので、トレーニングを行う際は休養も考えた上でスケジュー ルを組んでいくことが大切です。

トレーニングの休養日の作り方

一般的には、強度の高いトレーニングは24~72時間の回復期間が必要とされているため、回復期間を考慮して休養日をスケジューリングすることがポイントです。
一週間にお けるトレーニングの休養日は少なくとも1日は設けるようにしましょう。 また、身体の強化部位を分割してスケジュールを組むことを「スプリットルーティン法 (分割法)」といいます。
この方法を取り入れることで、週6日のトレーニングをしても十分な回復期間を作ること ができるため、多くのトレーニーの方は日ごとに鍛える部位を分けています。
トレーニング頻度別のスケジュール例を下記にご紹介します。

週6回のトレーニングの場合

週6日の場合は部位を3分割に分けてそれぞれ週2日行うことで、中2日の休養を取ることができます。
記事画像2

週5回のトレーニングの場合

週5日の場合も部位を3分割に分けて、特に強化したい部位を週2回行うことで十分な休 養を取ることができます。
記事画像3

週4回のトレーニングの場合

週4回の場合は上半身と下半身の2分割に分けて、それぞれを週2回行うことで全身効率 よくトレーニングすることができます。
記事画像4

週3回のトレーニングの場合

週3回の場合は、全身をトレーニングする日と上半身・下半身メインで行う日に分けるこ とで効率よくトレーニングができます。平日が忙しいサラリーマンはこのようなスケ ジュールがお勧めです。
記事画像5

週2回のトレーニングの場合

週2回の場合は全身のトレーニングを中2~3日で行います。もし実施中に筋肉痛が回復 しない等があれば、上半身と下半身に分けて行うのも良いでしょう。
記事画像6

スケジューリングのポイント

①トレーニング強度を考慮する

トレーニングの頻度はトレーニング強度にも依存します。強度の高いトレーニングを実施すれば休息も長時間必要になるため、次の実施日まで時間をとらなければいけません。
また、上半身と下半身のトレーニングにおいても疲労回復の時間が異なることが報告されており、上半身の筋のほうが早く回復しやすいです。そのため、トレーニング強度に合わせ て頻度を決めることで、オーバートレーニングを防ぐことができます。

②高負荷と低負荷のプログラムを組み合わせる

毎回高負荷のトレーニングを行っていると、回復まで時間がかかりケガなどのリスクも上 がりやすくなります。1週間の中で高負荷と低負荷のプログラムを組み合わせることで、効率的なトレーニングをすることが可能になります。
身体の状態やトレーニング種目に合わせて、高負荷低回数、低負荷高回数を選択しましょう。

③トレーニング量で計算する

自分が1回でどのくらいのトレーニング量をこなしているのかを把握することは、オー バートレーニングを防ぐうえでとても大切です。
1回のトレーニングの中で実施された重 量の総量を「トレーニング量」と呼びます。例えば、あるトレーニングを50kgの重量で 10回挙上し、3セット実施したとすると50kgx10回x3セット=1500kgとなります。
トレーニング量が多いほど、筋への実質的な負担が大きくなるため、当然ですが疲労が溜 まりやすくなります。
各種目だけでなく、1日・1週間のトレーニング量を継続的にモニタリングすることで、 より効率的にトレーニングを行うことができます。

どんな状態だったらトレーニングを休むべき?

トレーニングを休むべき状態は大きく3つあります。

オーバートレーニング症候群の兆候がある

オーバートレーニング症候群とは、過度なトレーニングの繰り返しによってパフォーマン スが低下し,容易に回復しなくなった慢性疲労状態のことです。パフォーマンスの低下は簡単には改善されず、回復には数週間から数ヶ月かかることもあります。
オーバートレーニング症候群には、交感神経性と副交感神経性の2つのタイプがあり、交感神経性は安静時の交感神経の活動が高まるのに対して、副交感神経性は、安静時・運動時の副交感神経 の活動が高まります。
多くの場合、交感神経性が先に生じ、最終的には全てのオーバート レーニングが副交感神経性の症候群になります。

オーバートレーニング症候群になると下記のような症状が現れます。

• 疲労感
• 抑うつ
• モチベーションの低下
• 不眠
• 食欲不振
• 体重減少
• いらいら
• 興奮状態
• 集中力の低下
• 徐脈
• 頻脈
• 高血圧
• 不安感
• 寝てもリフレッシュされない

もし、このような症状に当てはまる場合は、オーバートレーニング症候群になっている可 能性があります。
現在のトレーニング強度や頻度を見直したり、休養日を意識的に増やすことで身体の状態 をモニタリングすることが大切です。

急性的なケガ(炎症)がある

高強度のトレーニングは関節や筋肉にかかる負担も大きくなるため、当然ケガもしやすくなります。 特に急性的なケガ(受傷した直後~3日ほど)は炎症反応が出ており、その部位を安静に しないとさらに悪化してしまうおそれがあります。
いつもと違う違和感や痛み・しびれが ある場合は整形外科の診断を受けることをお勧めします。
※炎症反応は腫れ、熱感、発赤、痛みなどの症状です。

過度な筋肉痛が出ている

久しぶりにトレーニングを行ったり、高負荷トレーニング実施後に過度な筋肉痛が出てい る場合、他の部位のトレーニングを行ったとしても多少の負荷はかかるため、ストレッチ や軽めの有酸素運動を行うことで休息期間を設けることをお勧めします。
過度な筋肉痛がある方は、後述するアクティブレストを取り入れるようにしましょう。

積極的休養(アクティブレスト)とは?

アクティブレスト(積極的休養)とは、疲労時にあえて軽く身体を動かすことで血流を改 善させ、疲労物質を効率的に排出させる休養方法のことです。
休養日に全く動かないよりもあえて軽めの運動を取り入れることで、トレーニングによる 疲労を早期に回復させることができます。
具体的には、ウォーキングや軽めのジョギン グ、水中ウォーキングなどの有酸素運動、ストレッチやヨガなどです。 また、普段行わないスポーツを軽めに行うこともリフレッシュになりますので、休養日に うまく取り入れてみてください。

まとめ

今回はトレーニングの休養日の取り入れ方や休むべきタイミングについて解説をしていきました。 トレーニングが習慣化されるのは非常に良いことですが、やりすぎてしまうことでデメ リットもあります。
回復期間は人それぞれ変わるので、是非ご自身の身体に合わせて休養を取るようにしてみ てください。
参考文献
篠田邦彦ら(2018). ストレングストレーニング&コンディショニング(第4版) 公益財団法人日本体育協会(2015). 第6巻 予防とコンディショニング
  • 高正康平
    パーソナルジムBeU代表
    ストレッチ専門店、整形外科、大手パーソナルジムなど様々なバックグラウンドで3000人を超え る指導実績を持つ。2020年1月に起業、パーソナルジムBeU田町芝浦店を開業。現在は医師や経営 者などの運動指導を行っている。

    ◯経 歴
    順天堂大学スポーツ健康科学部卒業
    ◯資 格
    JSPO公認アスレティックトレーナー
    赤十字救急法救急員
    アンチエイジングプランナー
    ◯HP
    https://beu.co.jp/