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肩甲骨後傾・肩甲骨上方回旋の誘導

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掲載日:2016.09.09
フィジークオンラインをご覧の皆様、三橋忠です。(加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院院長、ファイン・ラボフィットパーソナルトレーナー)

前回までのコラム「トレーニングに影響する日頃の癖」シリーズ、今回は「肩甲骨後傾・肩甲骨上方回旋の誘導」についてです。解剖学・ケア・トレーニング方法などをお伝えしていきます(^^)

肩甲骨の解剖学

肩甲骨は背中に2つあり、三角形のような形をしております。肩甲骨は解剖学的には関節ではありません。しかし、関節のように滑らかに動き、他の関節の動きに伴い動きます。

胸鎖関節・肩鎖関節・肩甲上腕関節の動きにより協調しています。肩の関節はこれ以外にもたくさんの関節と筋肉が動いているので、一般的に言う肩こり、肩の痛みの原因の特定が難しい場所です。

痛みの原因を探るには、肩甲骨のアライメントの位置を静的、動的に見るのが1つの指標となります。

肩甲骨の理想的アライメント

肩甲骨の位置
第2~第7肋骨間
棘突起から約5~6cm離れている。下角は7~8cm
肩甲棘が第3肋骨
関節窩は水平面より上方約4~5°
前傾約10°、上方回旋約5~10°前額面に対して約30~35°前方

鎖骨の位置
水平面より上方に位置し、前額面より後方に約20°向く。

上腕骨の位置
両肩の位置が後面・前面からみて、胸椎1番の水平面よりわずか下に位置し、垂直線から肩峰を2分する位置。
上腕骨頭が後方に約30°捻転。
上腕骨頭と上腕骨体の角度約135°

数字で書くと難しいそうですが、脊柱を中心に肩甲骨の左右差を見極める事からアライメントを見ると、立体的にも見えてきます。

肩甲骨後傾・肩甲骨上方回旋の誘導

肩甲骨後傾・肩甲骨上方回旋の誘導についてですが、トレーニングの不調、外傷などを持っている場合、この2つのポイントが意識してできない事が多いです。その為には、各肩甲骨の動きの時に、本来ある動きを制限してしまってる要素を解消する必要があります。

下記が肩甲骨の各動きに対して、スムーズな動きを制限してしまってる要因です。エクササイズや手技でこの原因を取り除きます。

挙上


肩をすくめる動きです。肩先の肩峰から全体的に上がっている場合は、僧帽筋の上部線維の短縮が疑われます。肩甲骨の上角が挙上していると、首が短く見えます。

僧帽筋上部線維の場合は鎖骨の外側がやや高くなり、後ろから見て、肩が全体的に上がっている状態になります。肩甲挙筋だけではなく、菱形筋も考えられる為、肩甲骨の内側縁が理想的アライメントより脊柱寄りになっていないか見ると分かりやすいです。

下制


肩を落とす動きです。肩甲骨が胸椎2番以下に位置する場合は下制を疑います。僧帽筋上部線維の筋力不足や、前面の大胸筋の問題などもあります。

胸鎖関節の位置と肩鎖関節の位置がほぼ同じであったり、鎖骨が上方でなく、平行だったり、肩鎖関節が胸鎖関節よりも低位置にあるなど、この状態だと、各関節にストレスが過剰にかかります。

内転


内側に肩甲骨を寄せる動きです。肩甲骨が内転し、脊柱寄りに位置している場合、肩甲挙筋や菱形筋の短縮や前鋸筋の弱化などが原因になります。

外転


外側に肩甲骨を開く動きです。立位で肩が前方に位置し、手の位置も股関節より前に下垂するような姿勢で、後ろから見ても、肩の位置が前方に位置します。

外転時に肘窩が前方を向いていて、肩甲骨の動きが正常の場合は、外旋筋などの短縮が考えられ、前鋸筋や大胸筋の影響もあります。

上方回旋


バンザイするときに肩甲骨が背中の上で回転する動きです。僧帽筋の上部線維の短縮、前鋸筋の下部線維の短縮、菱形筋・肩甲挙筋などの筋力低下なども考えられます。

小胸筋や僧帽筋の上部・下部線維と、前鋸筋などの運動パターンが悪いことも稼働を悪くします。

下方回旋


背中を掻くときに肩甲骨が背中の上で回転する動きです。肩甲骨の内側縁及び、下角が脊柱側へ変位している状態です。

多い例としては、肩甲挙筋や菱形筋が短縮しているため、僧帽筋上部線維や前鋸筋が伸ばされているような状態か、僧帽筋上部線維の弱化、前鋸筋の弱化などが原因です。

前傾


肩甲骨の下角が胸郭から離れていて、浮いているような場合は小胸筋の機能低下が考えられます。

それ以外には上腕二頭筋の短頭や烏口腕筋などの烏口突起に付着している筋肉、三角筋前部線維・胸郭の後湾の増加も考えます。上腕二頭筋が原因の場合は肘の屈曲もみられます。

エクササイズ

◯プローンビハインドネックプルダウン


①ベンチにうつ伏せに寝て、おでこをタオルなどにつけ、頸部から体幹を安定させます。
②棒、傘、タオルなどを持って、挙上した位置が開始姿勢。この時に頭より腕が後ろに行くようにする。
③棒を首の後ろまで引きつけ、肩甲骨を寄せるようにし、開始姿勢に戻る。これを10~15回×2~3セット
※筋力がある人でも、ほとんど負荷をかけなくて良い種目です。

◯プローンリアレイズ


①ベンチにうつ伏せに寝て、おでこをタオルなどにつけ、頸部から体幹を安定させます。
②ダンベル1kgを持って、肩甲骨を外転させ、ベンチの下でダンベルを合わせるようにします。(写真3)
③肩甲骨を内転させ、ダンベルの負荷を背中に乗せるようにします。開始姿勢に戻る。これを10~15回×2~3セット
※この種目も同様に、負荷は軽くて大丈夫です。

まとめ


肩甲骨は背面にあり、視覚的に見えないのがトレーニングする上で難しいポイントです。立位、坐位、仰向け、うつ伏せ、横向きなど、様々な種目で、肩甲骨の動きと固定を確認することが大事です。

可能な環境なら、ビデオカメラで肩甲骨の動きを確認すると癖を認識し易いので、1度試してみてください(^-^)
  • 三橋 忠
    加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院 代表
    ファイン・ラボフィット パーソナルトレーナー
    大手スポーツクラブのチーフトレーナー・責任者を経験した後、パーソナルトレーニングスタジオ店長として4年間勤務し、整形外科・接骨院でもキャリアを積み、2011年に加圧トレーニングスタジオHAPPINESS&ハピネス整骨院を開業。パーソナルトレーニングで年間3500 セッションの指導を行う。

    <資格>
    ・厚生労働大臣認定柔道整復師
    ・加圧スペシャルインストラクター
    ・米国認定ストレングス&コンディショントレーナー(NESTA-PFT)
    ・キネシオテーピングトレーナー

    <競技実績>
    2008年ボディビルMr茨城 準優勝
    2008年ボディビルMr茨城70kg以下級 準優勝
    2009年ボディビルMr茨城70kg以下級 優勝