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森谷敏夫 #1「歩くスピードで人の命の長さが変わるの?」NSCA国際カンファレンス

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掲載日:2017.04.06

〜筋肉は偉大な臓器である〜 NSCAジャパン理事長 森谷 敏夫先生の講座を受講しました!

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筋肉が臓器である…えっ?どういうこと?と思っていましたが、受講してみてなるほど!の連続でした。筋トレをすることにより元気で長生きし、糖尿病、認知症の予防になるとしたらどうでしょう?筋肉美を求めて筋トレをしていたとしても、更にこんなメリットがあることが分かると、トレーニングのモチベーションアップになりそうです。

また、トレーナーの方々の指導にも力が入るはずです。ぜひこの記事を読んで、筋トレの素晴らしさを老若男女問わず多くの人に伝えていただきたいと思います!森谷先生がおっしゃる、「筋肉は立派な臓器である」ということ、とても興味深いお話しだったので講義レポート、シリーズ化してお届けしたいと思います。

森谷先生とは

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森谷先生とは、2011年よりNSCAジャパンの理事長を6年間に渡り務めてこられました。昨年3月に京都大学大学院人間・環境学研究科の教授をご退官され、現在は京都大学名誉教授の他、京都産業大学や、中京大学の客員教授としてご活躍されています。

「ダイエットを科学する」「メタボにならない脳のつくり方」など数々の著書があり、「ためしてガッテン」や「世界一受けたい授業」「生活ホットモーニング」、「たけしのニッポンのミカタ」などのテレビ出演も多数されています。

健康寿命と平均寿命の違いとは

誰しもが必ずいつかは向き合う時がやってくる『高齢期』。その高齢期をどのように迎えるのかということは、実は若い人でも、中高年でも気づいた「今」から準備をしておく必要があります。人の命の長さとは、決して人が決められるものではありませんが、もし長生きできるとすれば、できる限り介護なしで健康に年を重ねたいものです。では、森谷先生のお話しをレポートしていきたいと思います。


「まず、健康寿命と平均寿命というものをご存知ですか。健康寿命というのは、介護を受けずに人が独立して自分の人生を謳歌できている上限の年齢を言います。平均寿命というのは言わずと知れた、人があと何年生きられるのかというのを示す平均余命を算出したものです。近年、健康寿命と平均寿命が平行して伸びています。とは言っても、平行して伸びていっているということは、健康寿命と、平均寿命の差が縮まっているのではありません。

平均して約9年間介護を受ける期間があると言われています。

また、女性の場合は、更にその期間は長く12年ほどあります。厚生労働省の話しでは、一生涯で使う医療費の約70%はこの時期に使っているのだそうです。一人でも多くの人達が、健康寿命と平均寿命のギャップを埋めることができて、健康な状態で年を重ねられるようになると驚くほど医療費が削減することができるということが分かっています。

男性の多くが最初に要介護になる理由は脳卒中。ですから、男性の皆さんは特に、脳血管系の病気にならないように、食生活・運動習慣の改善を心掛ける必要があります。また、女性の場合は認知症が要介護の1位だと言われています。

また、骨や筋力の低下やバランス能力の低下によって転倒骨折しやすくなり、そのことが原因で自立した生活ができなくなり要介護になる危険性が高くなることをロコモティブシンドロームといいます。そのロコモティブシンドロームから、骨折、転倒する方が要介護になることが多いのです。

私たちNSCAジャパンは、指導者の養成に力を入れて、人々の健康寿命と平均寿命のギャップをなくし、介護なしで健康な体で生活できる方が増えるよう運動指導をしていくことが必要だと思っています。」
平均9年間介護を受ける期間があり、一生涯で使う医療費の約70%はこの時期に使っている

平均9年間介護を受ける期間があり、一生涯で使う医療費の約70%はこの時期に使っている

歩くスピードと命の長さが比例している?

「アメリカのとある医学部が、3万4千人を対象に21年間追跡するという実にスケールの大きな研究を行いました。その行った大々的なデータによると、歩くスピードによって人の寿命は決定されると言えます。

21年追跡した中で、34,000人の内、17,582人の方がお亡くなりになりました。医学部が行っていますので、お亡くなりになられた方全てのコレステロール、歩くスピードなどが記録されています。

その中で75歳〜85歳の間に亡くなる方が多かったことが分かりました。その亡くなられた方々の75歳の時のデータを精査すると、よぼよぼとしっかり歩くことができなかった75歳の方々は、10年後の85歳まで生き延びた方々は19%のみ。残りの約80%の方々はお亡くなりになったということが分かりました。

それに対して健脚でしっかり歩ける方は85歳まで87%の方々が生きておられたというデータがあります。

たかだか歩くスピードかと思われるかもしれませんが、亡くなった方々の年齢を最も正確に予測できたのは、血圧でもコレステロールだけでもなく、歩くスピードでした。」

なぜ歩くスピードで人の余命が決まると言えるのか?

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「歩くということはものすごいエネルギーが必要になります。時速4kmを歩こうと思うと安静時の3倍のエネルギーを使います。ということは、3倍の血液エネルギーと共に筋肉を供給して3倍の推進力で人は歩いているのです。

そうすると、心臓が弱りかけているとエネルギーが届きにくいのです。また高齢者の方で大変遅いスピードでしか歩けない方は、そのスピードでしか歩けない分だけのエネルギーしか届きません。認知症になり、足下がしっかりしなくなってくると、スピードは確実に遅くなります。

また肺がんで肺が片方しかなくなってしまった人は、いくら呼吸をしても体に入る酸素は半分になるので歩行スピードはどれほど頑張っても半分以下になってきます。

他にも、股関節、膝関節が悪くなり筋力も低下することにより確実に歩くスピードが遅くなります。

人間の体というのは、腰から下に6割以上の筋肉を持っています。筋肉の収縮というのは、第二の心臓とも呼ばれています。筋肉が収縮する時には、血液が収縮する力によって心臓に押し返されるように人間の血管は構造的にできています。

歩くスピードが遅くなるということは、心臓に返る血液の量が減ってしまうので、歩くスピードが遅くなると、心臓まで弱くなり死期が早く迫ってくるということになるのです。ということで、男性も女性も足腰の筋肉をしっかりと鍛えておく必要があります。その理由は、自分の心臓を鍛えるということにつながるからです。」

いかがでしたか

フィジークオンラインをご覧のみなさまは、日頃から体を鍛えている人が多いかと思います。なので、しっかり筋肉もついていて、ダラダラと歩いている人は少ないのではないかと勝手に予想しております。

森谷先生のお話しにあった、「歩くスピードと命の長さが関係している」としたら、自分は体を鍛えて健康で長生きできそうだとしても、自分のパートナーや親など、大切に思っている人が、ゆっくり、ゆっくりと歩いているとすればどうでしょう。

筆者自身はフラのインストラクターをしていますが、早速、自分も筋トレを始めたばかりでなく、親にもすぐに電話をかけて、また私が指導しているすでに糖尿を煩っている方や、ゆっくり歩いていらっしゃる方に、とにかくまずは下半身の筋トレから始めるよう呼びかけました。

特にトレーナーの仕事をされている方々、ぜひこの記事を参考にしていただき、日本の医療費の削減の為とかではなく、少しでも多くの方々が介護を受けるのではなく、少しでも健康に元気に幸せに年を重ねられるようなお手伝いをしていただけたらと、森谷先生のお話しを聞きながらそう思いました。

では、次回のお話しでは、高齢者のタンパク質の摂り方や、認知症と筋肉の関係、マッスルメモリーって本当にあるの?などに触れていきたいと思います!vol.2も引き続き読んでくださいね!



文:カナ



■NSCAカンファレンス 森谷敏夫 基調講演  〜筋肉は偉大な臓器である〜
森谷敏夫氏 #1「歩くスピードで人の命の長さが変わるの?」NSCAカンファレンス

森谷敏夫氏 #2「年を取ってもずっと筋肉は大切」NSCAカンファレンス

森谷敏夫氏 #3「肥満・糖尿病・認知症って筋肉と関係があるの?」NSCAカンファレンス
■森谷 敏夫(モリタニ トシオ)
NSCAジャパン理事長
京都大学 名誉教授
中京大学 客員教授


■特定非営利活動法人NSCAジャパン(全米ストレングス&コンディショニング協会・日本支部)
HP:www.nsca-japan.or.jp
Blog:オフィシャルブログ

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