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フィジカルトレーニングの導入とアプローチ ~自重を活用した身体チェックとトレーニング例~ #2 NSCAジャパンS&Cカンファレンス2017 講演

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掲載日:2018.02.05
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フィジカルトレーニングの導入とアプローチ ~自重を活用した身体チェックとトレーニング例~

泉 建史 いずみ たけし(日本オリンピック委員会JOC強化スタッフ/体操・トランポリン/ナショナルチーム (日本代表)トレーナー・フィジカルコーチ /NSCAジャパン広報委員長,NSCAジャパン関西AAD,NSCA-CPT, アメリカスポーツ医学会認定運動生理学者)

2017年12月9日(土)、10日(日) 神戸ファッションマートにて行われたNSCAジャパンS&Cカンファレンス2017での講演の概要を紹介する。

身体のクセや特徴を知ること

身体のクセを知ることで客観的に自分の特徴と向き合うことができる。
リスクファクター(危険因子)となるものを理解し、パッシブ、またはアクティブリカバリーに取り組み、効果的なフィジカル強化を実施できるようになる。それはパフォーマンスの向上だけでなく障害の予防にも多大な貢献をする。これは競技者だけでなく運動を行う全員に共通することに当てはまることである。

身体のクセや特徴はあっても良い

身体のクセやゆがみ、左右差と聞くと修正すべき悪いものに思えるが、一概に必ずしもそうと言えない場合もある。

クセのメリットとして、競技的な側面や日常の行動変容が要因となっているため、絶妙な比率で力を発揮する左右差も存在することも考えられるためである。

デメリットとしては、テクニカルの練習量や筋力の向上に影響を与え、クセや筋量の偏りを増大させることや、リカバリーが追いつかないことも考えられる。

良い悪いと一概に決め付けず、メリット、デメリットの両面を理解した上で競技のテクニカルな面と向き合い、フィジカル強化やフィットネスの維持に努める。

距離感を具体的な数値で示すこと

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サッカーゴールの高さ、バレーボールのネットの高さはどれくらいか、パッとイメージが沸くだろうか。
サッカーのゴールの高さは2.44m、バレーボールのネットの高さは2.43m。これは走り高跳びの世界記録である2.45mとほぼ同じであり、キーパーであればゴールの上方を防ぐため、バレーの選手であればネットから手を出すためにどれだけの高さが必要かを正確に把握しておくことが重要となる。

競技選手はもちろんのこと、指導者も用具との正確な距離感を知ることは非常に大事であり、選手と話をするときも「これくらい」ではなく「2.45m」というにように具体的な数値で示すことでより正確な意思の疎通や情報の共有が可能になる。

僅かな距離感のズレ

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イメージした15cmの幅を手で作り、近くの参加者と照らし合わせてみるテストでは各々のイメージにより大きく差が出ていた。
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ちなみに実際の15cmはボールペンほどの長さで、「ハンドシェイク」と呼ばれる種目である背中側で左右の手を上下から近づけた際に開く距離の正常基準値も同様とのこと。これに関しても参加者各々の競技歴、競技特性が大きく反映されることとなった。
5cm、10cm単位のこういった些細な感覚のズレは実際のスポーツ動作においては代償動作を起こすこともある。

知る、学ぶ、実践の3つが大事

フィジカルを高めるとスピードが上がり、力のセーブがかかりにくくなる場合もある。それらに加えてテクニカル面の要素も関わってくるため、フィジカルの強化をパフォーマンスの向上へ転化させるためには細かな自分の体の動きを知ることが重要になってくる。

それにあたり泉氏の知る自身の身体の特徴として、過去に陸上競技を経験しており、トラック競技はコーナーで左に身体を倒して走るために今でも右足が外に出やすい傾向にあり、自信が左利きであることでそれを助長していると一例を挙げた。

「知る、学ぶ、実践」の3つの流れを紹介し、機器測定を使用せずとも身体1つでチェックできる種目の例を上げた。

身体チェック実践

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手を後ろで組み両足の内側をつけてしゃがむ「スクワットダウン」という動作。深くしゃがむことよりも、ここでは踵に重心がかかった時に転ばないかを重視する。この感覚はトレーニングの前後で大きく変えることができる。
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目を閉じてその場で足踏みを30秒続ける「フットライン」の実践では、それぞれ元の開始地点より左右前後大きく移動する参加者の姿もあり、自分の身体の癖や代償動作を知るための有用な手段であると提言した。
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ほんの僅かなズレでも、繰り返して積み重なると非常に大きな差になる。この「フットライン」テストでも、長時間続ければ遥か遠くへ移動していたはずである。
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他、身体の使い方やクセをみるための一例として、バランスボールを左右から投げる動きを例に取った動作観察の方法を数点紹介した。
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足を揃えて直立し、身体が自然な状態で前後に倒れた時にどういう動きになるかを観察する手法を紹介した。傾き始めた直後に片足が出たり腰が反ったり、様々なパターンが考えられる。直立してプランク状態で行うやり方もある。
足の裏を合わせて転がる

足の裏を合わせて転がる

捕えられないように手と手の間を素早く通す

捕えられないように手と手の間を素早く通す

それらに加えて、足の裏を合わせて転がる「バタフライターン」と呼ばれる動作や、手と手の間を素早く通し、片方はそれを挟むように捕まえることも実践し、非常に和やかな雰囲気の中での実技となった。


「フィジカルトレーニングの導入とアプローチ」という演題において、前半は競技分野や関係者との取り組み方法、後半は導入時の身体のクセの確認、コレクティブエクササイズなどを実施した。

競技を戦略的に捉える結果、シンプルなフィジカルトレーニングの実施は当然であり、その基本を根付かせることが一番大変であるが、時に身体を動かす「楽しみ」を知ってもらうことや再発見することも目的の一つであるとした。

まとめ

今よりも良い結果を出したい、身体を変えたい、スポーツや運動を続けたい等、様々な状況のクライアントに対してまずは自分自身の身体を知ってもらうことから始め、「今は未来、未来は今」として先の未来に向けて今準備することを提言して講演を終えた。
フィジカルコーチ/トレーナー
泉建史(いずみ たけし)

経歴
■日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ(医・科学スタッフ)体操・トランポリン/ナショナルチーム/フィジカルコーチ
■JRA日本中央競馬会/競馬学校/トレーニングセンター騎手実践課程 フィジカル強化担当/WILLING所属フィジカルコーチ
■ウエイトリフティング競技 他/大阪商大強化選手専任フィジカルコーチ
■大阪医専/ヒューマンアカデミー大阪 講師歴任
■Japan Life Support Association(JLSA)大阪支部長
■YFC(FITNESSCLUB)総括マネージャー
■NSCAジャパン広報委員会委員長/NSCAジャパン関西AAD

ライセンス
■NSCA:全米ストレングス&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー
■ACSM:アメリカスポーツ医学会認定運動生理学者
■健康運動指導士

フィジカルコーチとしてオリンピックや国際大会に向け、ナショナルチームや日本代表選手を含めた様々なスポーツ競技のフィジカルトレーニング指導を行う。現在は日本代表チームや選手のトレーナーとしてオリンピックに関わる。JRA日本中央競馬会/競馬学校・トレーニングセンター騎手実践課程(WILLING所属)のフィジカル強化も担当し、プロスポーツの育成にも携わる。運動指導ではランニング、バランスのトレーニング、ストレングストレーニングに至るまでフィジカルコーチとしてスポーツ関係の各分野のスペシャリストと戦略を考え、様々なスポーツ競技のフィジカル要素の強化を図る。スポーツトレーナーの教育にも関わり、専門学校やNSCAジャパンの講師、組織委員会の委員としてスポーツ指導者の育成、健康事業活性にも携わる。

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