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国際パワーリフティング連盟 殿堂入り パワーリフター福島友佳子 強さの秘密 #2

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掲載日:2018.03.05
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記録を伸ばしていくための秘訣

パワーリフティング競技において47㎏級にしてスクワット188.5kg、ベンチプレス136.0kg、デッドリフト173kg、トータル496kgを挙げ(全て日本記録)、日本人女性初となる世界パワーリフティング連盟の殿堂入りを果たし、国内外において多くの記録を保持し今もなお更新し続ける福島友佳子選手。東京都調布のパワーハウスにて、強さの秘密に迫った。
日頃は基礎的な筋トレをしていますが、競技として技術の精度を高める練習もしています。日頃の練習で、試合で扱う重量よりも重いものを扱って、試合では確実に挙げられる重量を設定するようにしています。

なので、公式な記録として残るのが最初になるだけで、普段の練習の中ではすでに挙がっている重さだったりします。
練習では頑張って重いものを持っておいて、まあ7~8割は挙がるだろうという重量選択を続けています。練習は頑張って、試合は確実に狙いを立てます。

全日本大会や世界大会など、記録が残せる大会は限られているので、記録を確実に残すためにもイチかバチかではなく、語弊がありますが若干の余裕をもたせた重量を見込むようにしています。


なにより、本番に失敗しない事が一番かと思います。余計な力が入りすぎたり、気合が入りすぎたりして変に力んでも良い結果は出にくいです。練習でスクワットは190㎏を挙げているのですが、試合だと同じ重量でも挙がりにくい。体重も落とし過ぎたりして500gでも違うと全く状態が違ってきます。


先日の大会もそうでしたが、人数が少ない階級なので、世界大会レベルでも5人の選手だけで行うときがあります。そうすると、一回やってから自分の番がすぐに周ってくるので休みきれません。

ルール上、5人だとそれぞれの試技が一通り終わった後に1分の休憩時間が入るのですが、1分もらったところで何も変わらず、息が上がったまま自分の番が周ってきてしまうんです。

なので、いい感じの時に合わせられるように準備はするのですが、その時の自分の調子と周りのタイミングと重量の選択が本当にバチッと合わないと、なかなかうまく行きません。選手が15人くらいいればそれも全く変わってくると思います。
あとは、3種目あるので1種目の調子が良くて粘りすぎたり、それで痛めてしまうと別の種目が全く挙がらなかったりするので、やはりバランスも大事です。

記録に関しては、移動による疲れや環境等を考えると全日本が一番いい記録を出しやすいと思います。会場にいる皆が応援してくれますし。

セコンドの関与

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国内大会ではセコンドがしっかりとついていてくれるので、任せっきりです。試技の動きを見て、まだ重くできそうだとかを相談するのですが、大体は一緒の答えになります。試技をやっている方はついイケイケになってしまうことがあるので、そういう時にうまく冷静にブレーキかけてくれる存在でもあります。

実際にやってみて、実はもう少し上がったかなと思う事もたまにはありますが、9本全てを成功させたとしても結局は何かの課題は残ります。

急遽、いつもセコンドについてくれている方が来れなくなった時に別の方にやって頂いても、どうしてもなかなかしっくり来ない感じがあります。やはりセコンドは選手の持っている全力以上の力を引き出してくれる存在だと思います。

得意種目や苦手に関して

自分ではまだまだどの種目も得意とは思えないのですが、結果からみると、バランス的にベンチが得意で、手が短いこともありデッドは苦手かなと思います。二年くらい前まではベンチの世界記録を持っていたのですが、抜かれてしまいました。まだまだ改善点のほうが多いので、自分で得意と思える種目は今のところはないです。

特に印象的だった大会

一つの大会が終わるとそこで「はい終わり」と切ってしまうので、あまりどの大会が特別に記憶に残っているわけでもないんです。辛いことも、大会で勝ったりした嬉しさも大会ごとにパンと切ってしまうので、良いことも悪いことも、反省点以外は長くは覚えていない気がします。

強いて言うならば平成4年、ジュニアの時に出た初めての世界大会。国内の予選で運良く棚ぼたで出られたんです。ルールもよくわからないまま出て、順位は下から数えて1番とか2番。気がついたら終わっていたという状態で、すごく悔しい思いをしました。もっとちゃんと練習しなきゃ、と強く思うきっかけになった大会でした。

正直、女子は選手の人数が少ないので、けっこう大きな大会でも比較的出やすいんです。そこで大きな大会に出て今後のプラスにしていく選手と、大会に出たことに満足をしてしまう選手に分かれます。
男子は女子に比べると選手も多く、皆必死に練習してようやく出場権を得るので全体的にレベルが高いのですが、それと同じくらい女子の全体のレベルも上がればいいなと思います。

また、パワーはすごく狭い世界なので、もっといろんな競技の選手とつながれたらおもしろいと思います。世界大会の時、空手の代表選手と飛行機が一緒だったんです。私達以上にプレッシャーを感じていて、目指すところや方向性も自分たちとは違っていたように感じました。

今後の目標

塗り替えられてしまったベンチの世界記録を取り戻す事と、トータルでのパワーの世界チャンピオンになること。
基本に忠実に、コツコツと練習して積み重ねたものが試合の記録にも積み重なると思います。トップの選手を見ていてもやはり皆それに尽きていて、それが一番の近道だと考えています。
パワーハウスで練習していたメンバーと。 一番右はBIGFIVEの杉田氏。

パワーハウスで練習していたメンバーと。 一番右はBIGFIVEの杉田氏。

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