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怪我をしたとき 「冷やす?」 or 「 温める?」 (1/3)

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掲載日:2015.06.05
このシリーズでは、皆様が安全に楽しくトレーニングに取り組んでいただけるよう、ケガの予防とケアを中心にした「コンディショニング」をテーマにお話を進めていきます。

今回はケガをした時や日々のケアに使っておられる方も多いと考えられる「冷却と温熱」について解説していきたいと思います。

ケガをした時の対処法 RICE処置とは


ケガをした時の対処としてはRICE処置が広く一般に浸透しています。

R:REST(安静)
I:ICING(冷却)
C:COMPRESSION(圧迫)
E:ELEVATION(挙上)

ケガをした時、患部の内側では小さな血管がやぶれて出血が起こります。その出血量を少なく抑えることが出来れば腫れ(出血)による痛みや、血流障害などを最小限に止めることができます。安静を保ち、アイシングして血管を収斂させ、さらに圧迫と挙上で出血量を抑えるのです。


医療も混乱している?「冷却 or 温熱」


先述のケガに対するアイシングは、足首を捻挫して病院へ行けばレントゲンを撮って、冷湿布と鎮痛剤をもらって帰るというのが一般的な流れではないでしょうか。

ところが、これが慢性的な痛みとなるとこの一般的な流れに若干の違いが出てきます。足首がずっと半年間痛むと訴えて病院に行ったとしましょう。その際の処方となると、リハビリ室でホットパックを使って温め、帰りに冷湿布と鎮痛剤を処方する。これが一般的なものではないかと思います。

ホットパックという温熱と、冷やそうという目的で処方される冷湿布。場合によっては「自宅のお風呂でよく温めて、お風呂から上がったら冷湿布を貼ってくださいね」となると益々冷やすの?それとも温めるの?と疑問をお持ちになりませんか?医学の世界でも実は「温」と「冷」の目的や効果が整理できていないのです。


熱に弱い人間(生物)


人間は恒温動物なので動かなくても36℃前後で一定の体温を保つことができます。動けばさらに発熱します。それでも36℃前後に体温を保つことができています。運動によって一時的な体温上昇はあったとしても体温がずっと42℃に上がっている・・・なんてことはないわけです。

つぎに、私達の身体が何で出来ているかを少し考えてみましょう。

一番多いのが「水」。水が50〜90%(胎児)も占めています。赤ちゃんは実に70〜80%も水が占めています。人では60%前後、高齢になると50%前後です。

二番目に多いのが「脂質」。身体の約20%を占め、神経組織や細胞膜、ホルモンなどをつくっています。

三番目に多いのが「タンパク質」。身体の約16%を占め、皆さんの大好きなコラーゲンもこのタンパク質からできています。皮膚や筋肉、骨など大切な組織をつくっています。

そして残りの約4〜5%はミネラルなどで出来上がっています。

身体の中で二番、三番を占めている脂質やタンパク質はどちらも熱に弱い性質を持っています。43℃〜44℃あたりから変性し始めてしまいます。熱中症のように深部の体温が僅か平熱より数℃上がってしまうだけで命が奪われるのもわかりやすい例かもしれません。それでも43℃のお風呂に少しくらい浸かったくらいでは熱に弱いタンパク質や脂質で出来た私達の身体は壊れません。

まず身体の60%をも水が占めていることが挙げられます。そして様々な方法を駆使して熱を体外に捨てること(放熱)で私達は熱から身体を守っているからに他なりません。

いくつかその例を挙げてみます。
先ずは「汗」。私達は外の環境が暑くなったり、運動などで体温が上昇すると汗をかきます。その汗が蒸発する時に「気化熱」という形で大量の熱を捨てています。プールから上がって身体に付いた水分が蒸発すると急に寒くなった経験はありませんか?あれも同じく「気化熱」という形で体熱を大量に奪われたからなのです。

次に「吐く息」。呼吸をする時に皆さんが吐く息は、どんなに寒い所へ行っても暖かいはずです。単純に考えて体内の過剰な熱を捨てていると考えられます。また、心臓から全身へ送り出され、全身の隅々にまで酸素や栄養分を届けた血液は再度送り出されるまでに一旦肺を通り、ガス交換だけではなく熱の交換も行なっているのです。

その他にもオシッコもどんな極寒の地に行こうとも、温かいですよね。呼吸と同じく大量の熱を水分とともに捨てていると考えることができます。

このように身体の中には熱を体外に効率よく捨てることによって熱から身体を守るシステムを沢山持ち備えているのです。しかし、長時間の低温環境下で低体温などの状況に陥った時には、震えによって筋肉からの発熱を促すなど当然低温に対する防御機構も備えています。

また低体温になれば免疫力が落ちるなど様々な弊害があるのも確かです。しかし、身体を作っている材料(タンパク質、脂質)を考えたとき、圧倒的に熱による害から身体を守る機構を備えているといえます。


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  • 中山 辰也(なかやま・たつや)
    中山予防医学研究所

  • MODEL: 好川 菜々(Nana Yoshikawa)
    生年月日 1978年6月25日
    出身地 大阪府
    血液型 AB型
    身長 164cm
    所属 雅ボクシングジム

    タイトル
    2005年 第3回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会フライ級 準優勝
    2006年 第4回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会フライ級 優勝
    2008年 第6回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会ライトバンダム級 優勝(2階級制覇)
    2012年 第10回全日本女子アマチュアボクシング選手権大会フェザー級 優勝(3階級制覇)
    2012年 第7回AIBA世界女子ボクシング選手権フェザー級 ベスト16

    戦績
    アマチュア:77戦55勝、プロ:1戦1勝

フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 001 ]

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