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腸内環境を改善するためにどうすべきか

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掲載日:2018.07.12
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腸内細菌を良い状態にするには

腸内細菌を良い状態にするには、どうすれば良いのでしょうか。 いくつかの方法を紹介しましょう。

「イヌリン」という水溶性の食物繊維があります。
玉ねぎやゴボウ、キクイモやチコリなどに多く含まれ、構造としては砂糖に果糖がいくつかつながったものとなります。イヌリンは別名「フラクトオリゴ糖」。

砂糖や果糖はNGですが、イヌリンは食物繊維であり、消化吸収されにくい構造となっているため、 砂糖や果糖として吸収される量は僅少となります。
「イヌリン」にはヒト大腸の各部位において、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を増やすことがわかっています。上行結腸においてビフィズス菌増加、横行結腸においてビフィズス菌と乳酸菌を増加&大腸菌(悪玉)を減少、下行結腸においてビフィズス菌と乳酸菌を増加&大腸菌とブドウ球菌(悪玉)を減少させるようです。(※37 末尾に記載)

(※37)の論文では、「イヌリンによって増えたビフィズス菌がプロピオン酸や酪酸などの短鎖脂肪酸の産生能を高める」ことも明らかにされています。またイヌリンが悪玉菌によって産生されたアンモニアを減少させることも示しています。

なお短鎖脂肪酸の産生が増えることにより、GPR43が活性化するだけでなく、カルシウムやマグネシウム、鉄などの腸管による吸収を促進する作用も期待できます。
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バクテリアのエサ「プレバイオティクス」

なぜイヌリンにこのような作用があるのでしょうか。
前述の通り、イヌリンは消化されにくく、消化酵素の影響を受けません。しかし腸において、バクテリアのエサとなるのです。このようなものを、「プレバイオティクス」と呼びます。

善玉菌そのものを含んだヨーグルトやサプリメントもありますが、それらの大半は胃において胃酸でやられてしまいます。実際に腸にまで到達する善玉菌は、非常に少ないといって良いでしょう。そこで、善玉菌そのものを腸に送り込んでやるのではなく、善玉菌のエサを送り込んでやり、自然に善玉菌が増えるようにしようというのがプレバイオティクスの発想です。

ただしバクテリアにより、イヌリンから二酸化炭素やメタンが発生します。そのため、いきなり大量に摂取するとガスが溜まったり、腹部の膨満感を覚えたりすることもあります。
イヌリンを摂取する場合、問題のない量としては一日に10g程度まででしょう。

アメリカでの実験では、18歳から60歳までの男女26名を対象にして調査したところ、一日10gのイヌリンならば腹部膨満感などの胃腸症状を伴わずに使用できたとされています。

(※38) また肥満児童たちに一日平均8gのイヌリンを摂取させたところ、腸内環境が改善し、体脂肪の増加を抑制できたという報告もあります。(※39)

イヌリンにはコレステロールや中性脂肪を下げる効果があるという報告もあります。
これはキチン・キトサンなどと同様、水溶性の食物繊維は脂質を包み込んで吸収を阻害する働きがあるためだと思われます。

一日に9gのイヌリンを4週間にわたって摂取することで、これらの効果が期待できるようです。(※40) この程度の摂取量でしたら必須脂肪酸や脂溶性ビタミンの吸収を邪魔するほどのことはないものと思われます。

※37: Prebiotic effects of chicory inulin in the simulator of the human intestinal microbial ecosystem.
FEMS Microbiol Ecol 2004 Dec 27;51(1):143-53

※38:Gastrointestinal tolerance of chicory inulin products.
J Am Diet Assoc. 2010 Jun;110(6):865-8. doi:10.1016/j.jada.2010.03.025.

※39:Prebiotic Reduces Body Fat and Alters lntestinal Microbiota in Children With Overuveight or Obesity.
Gastroenteroloqv. 2017 Jun 5. pii: S0016-5085(17)35698-6. doi:10.1053/j.gastro.2017.05.055.

※40:Effect of consumption of a ready-to-eat breakfast cereal containing inulin on the intestinal milieu and blood lipids in healthy male volunteers.
Eur J Clin Nutr. 1999 Sep;53(9):726-33.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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