フィジーク・オンライン

カーボアップの実際

この記事をシェアする

0
掲載日:2018.08.30
記事画像1
Sherman/Costill法におけるカーボアップをさらに効果的にする方法を紹介しましょう。

・低糖質期間においては、青魚やサーロインステーキなど、しっかりと食物から脂肪を摂取する。

・カーボアップ開始。最初の1~2日はグリコーゲン合成酵素が活発になっているため、できるだけ急速に消化吸収される高GI食品(ブドウ糖やマルトデキストリン溶液、シリアル、ジャガイモ、白米、餅、ウドンなど)を優先させる。

・次の1~2日は中GI食品(パスタやソバ、全粒粉のパン、サツマイモなど)を摂取する。このタイミングで高GI食品を摂取すると、グリコーゲンにならなかった炭水化物が体脂肪に変換されてしまう可能性が少しだけある。

・消化吸収の速度や胃腸の負担を考えて、一度に大量に食べ過ぎないようにする。できれば100g(糖質として)を7回に分けて食べるなどして、小分けに炭水化物を摂取するようにすること。

・タンパク質や脂質は少な目に摂取し、脂っこいものは控えること。

・毎食後にクエン酸を1~2gずつ飲む。

これらのポイントをしっかり押さえてカーボアップを行えば、通常を超えた持久力が発揮できるはずです。カーボアップ未経験の方は、ぜひお試しください。

なお体重規定のある格闘技などの場合は、西オーストラリア大学の方法がお勧めです。まずは計量の直前になったら、次のような運動を行います。

・150秒間のランニング。ペースとしては、1500m走のトライアルを行自ているつもりのスピードで走ること。
・150秒間経ったら、すぐに全力で30秒間のスプリントを行う。

これだけです。
実験ではエアロバイクを使っているのですが、前述の通り上肢を使ったダッシュやステアマスターのほうが効率的にグリコーゲンを蓄積することができると思われます。

また計量を行う場所の近くにエアロバイクを持ち込むことができない場合もありますが、ダッシュだったら場所を選ばずに行うことが可能です。
ダッシュもできない場合は、バーピーやジャンピングスクワットなどでもOKです。
記事画像2
そして計量をクリアしたら、速攻でカーボアップを開始します。
目指すは除脂肪体重1kgあたり12gの糖質。除脂肪体重が80kgの方でしたら、960gの糖質となりますが、これは固形の食べ物だけでは到底不可能です。

そこで、計量をクリアしたら「糖質を溶かしたドリンク」を飲みまくるようにします。CCDやマルトデキストリンのパウダーが市販されていますので、それを水に溶かして使ってください。

あまりドロドロに溶かしてしまうと、かえって吸収が遅くなります。
目安としては1リットルあたり100gの炭水化物としましょう。計量が終わってから寝るまでの間、4リットルの水に400gの炭水化物を溶かし、チビチビと時間をかけて、それを飲み切るようにします。

そして起床してから試合の2時間前くらいまでの間に、残りの560gを摂取します。ここではモチやウドンなどの高GI食をメインにして、もし食べきれないようでしたら、残りをドリンクで補うようにしましょう。

なおタンパク質や脂質は必要最小限に抑えます。前日に飲むドリンクに20~30g程度のアミノ酸を入れ、また当日の食事で合計100~200g程度の肉を食べるだけで十分です。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]