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タンパク質の運命 ~体内のタンパク質~

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掲載日:2018.09.13
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さまざまなタンパク質とはなんでしょうか。一番身近なのは、筋肉に含まれる「収縮タンパク質」です。これはアクチンやミオシンなど、筋肉を収縮させるタンパク質のことです。

次に、ヘモグロビンに代表される「輸送タンパク質」。ヘモグロビンの場合は酸素を運搬するわけですが、このように小さい分子やイオンを運搬するものを輸送タンパク質と言います。

なお細胞の中で輸送に関わるタンパク質をモータータンパク質と呼び、記憶にも関わるとされるキネシンやダイニンなどが代表的なものとなります。

そして「構造タンパク質」。これは人体にもっとも多く存在するタンパク質である「コラーゲン」のことで、細胞どうしの接着剤として働き、また骨や歯の主要成分でもあります。コラーゲンについては後で詳しく解説します。

また、消化酵素などの「酵素」もタンパク質ですし、タンパク質からできている「ホルモン」もあります。目の水晶体の主要成分である「クリスタリン」もタンパク質です。インスリンや成長ホルモンなどは「ペプチドホルモン」とも呼ばれ、アミノ酸の連なりからできています。他にも免疫グロブリンなどの「生体防御タンパク質」、ロドプシンなどの「受容体タンパク質」などがあります。
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タンパク質の運命

例えば焼肉食べ放題に行って、肉を一気に1kg食べたとします。肉1kgに含まれるタンパク質は、だいたい200gといったところでしょう。これは体内で、どのような運命をたどるのでしょうか?

噛み砕かれた肉が胃に到達すると、胃酸の強い酸によって、肉のタンパク質が分解されやすい状態にまで変性されます。そしてタンパク質が弱ったところを、消化酵素の「ペプシン」が攻撃します。するとタンパク質はペプチドの鎖にまで分解されます。

これらのペプチド鎖は小腸に送られ、そこでさらに膵液中の「トリプシン」や「キモトリプシン」などの消化酵素の攻撃を受けます。
後述しますがアミノ酸どうしの結合には様々な種類があり、たとえば「グルタミン酸+グルタミン酸」の結合は、「グルタミン酸+リジン」の結合とは種類が違います。そのため、それぞれの結合に応じた切断要員(消化酵素)が必要とされるのです。

さらに小腸粘膜の膜消化酵素であるアミノペプチターゼやトリペプリターゼの攻撃を受け、ペプチド鎖はさらに細かく裁断されて、各種トランスポーター(運搬体)によって小腸の壁を通り抜け、ペプチドあるいは遊離アミノ酸として細胞に送られていくのです。
消化酵素によるこういった多彩な攻撃は、食べた肉が超大量であっても、十分ダメージを与えることができます。

なお肉を50g食べた場合、それがアミノ酸として血中最高濃度になるまでに2時間ほどかかるようです。

次のグラフはイソロイシンの場合です。(※1)最初からアミノ酸として摂取すると15~20分で最高濃度に到達するようです。
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実際のところ、肉や魚、卵の消化率は95%以上だとされています。つまり大量に食べたとしても、食物はその殆どが消化吸収されるのです。私たちの身体はうまくできていて、胃に入りきらないような量の食べ物(つまり食べきれない量)でない限り、ちゃんと栄養素を体内に取り込むことができます。
逆に言えば、食べたものがムダになってしまわないように、「胃の大きさ=十分に消化吸収できる量」となっているのでしょう。

某プロレスラーが書籍に書いたせいで、「タンパク質は一度に30gしか吸収できない」という都市伝説が広まったことがあります。もし本当に一度に30gまでしか吸収できなかったら、一日二食の相撲取りは大変なことになります。二食だと一日に吸収できるタンパク質はたったの60g。それで相撲取りの身体をつくることなどできるわけがありません。
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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