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潜在能力を発揮し、目標達成へのプロセスを明確にする方法

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掲載日:2016.08.18
何処に向かいたいのかを明確にしなければ、何処にも辿り着くことができないということを学ばなければならない。ミスターオリンピアで勝つという目標は、トレーニングの質を向上させることができるし、強力な刺激剤となるのだ。

意味というものが意志やバイタリティーを刺激し、そしてオリンピアンに人間を超えた、秘められた力を与えてくれるのだ。情熱や意味を持つものにとって達成すべき上限などは無い。ミスターオリンピアのタイトルに向かう意志に何も欠けるものがなければ、達成欲が尽きることはない(マイク・メンツァー)

目標設定

あなたが潜在能力を十分に発揮するためにはどうすればいいのだろうか?そのためにはまず、自らの力を信頼することが必要だ。多くの人々は、何か目標に挑むとき、片方でアクセルを踏みながら、ブレーキも同時に踏んでいるという矛盾に満ちた行動を常にとっている。

例えば、あるボディビル選手がいるとする。彼は日本選手権で活躍するような選手になるという目標をイメージする一方で、「自分にはトップ選手たちのような才能がないのではないか?」であるとか、「果たしてこの方法で目的は達成できるのか?」という迷いのイメージも持っている。迷いは徐々に彼のやる気のエネルギーを奪っていき、遂には目標をあきらめさせる大きな要因となるだろう。ではこのブレーキを外すためにはどうすれば良いのだろうか?

他のスポーツ分野ではトップアスリートたちが日々取り組んでいるメンタルトレーニングというものがあるが、その中でも目標設定が最も有効ではないかと僕は考える。目標設定を行うことで、目標やそれに対する課題が明確になり、それら一つ一つをクリアすることで、自己信頼感を高め、ブレーキを踏むことなくアクセル全開で突き進むことができるだろう。

○メンタルトレーニングとは
旧ソビエトが1950年頃から宇宙計画の一環として開始し、1957年頃にはスポーツでの応用が始まっている。国家プロジェクトの研究であり、巨額の費用と人間が実験には使われていることからも、科学的に効果の実証されたものであると言えるだろう。

心理テクニックを使い、プログラム化されたトレーニングを行うことでメンタル面を強化することを目的に行われる。

○目標設定について少し解説しよう
目標設定はまず長期目標と中期目標、短期目標に分かれるのが一般的だ。(長期と短期の設定もある)長期目標では、あなたが将来的にこうなりたいと思う目標を書き込んでみよう。

夢のような目標でも別に構わないが、前回にも書いた通り、頑張ればなんとかなるかもしれないと
イメージできる目標がちょうどよいだろう。しかし、この目標がいくらリアルにイメージできたとしても達成するまでに時間のかかるもの、特に大きな課題の場合、ゴールが遠すぎて目標に焦点を合わせづらくなってしまう。
(特にボディビルという競技を考えたときに、筋量を獲得するための時間が必要になるし、大きなコンテストを目指す場合には、地方選手権を勝ち抜き、上位のコンテストに挑まなければならない)
そういう場合には、その目標に到達するまでに必要な、クリアしなければならない課題や段階を、中期目標として設定すれば良いだろう。

いろいろな方法はあるけれど、1~12ヶ月(目標の達成期間にもよる)くらいで達成できる目標が中期目標として適当ではないだろうか?(例えば、あなたがコンテストを初めて経験するビルダーで、日本クラス別選手権を目指す選手であれば、中期の目標として、地方選手権の入賞、そして次の段階で、表彰台、そして優勝という中期目標の設定ができる)

中期目標をいくつか設定したら、一旦長期目標は置いておいて、一番近い中期目標に焦点を合わせよう。例えばここでは、一番近い中期目標を地方選手権のクラス別入賞に設定したとする。そうするとその目標に到達するための課題がはっきり見えてくるはずだ。例えば、前年度の入賞者の顔ぶれを確認することもできるし、その選手たちが、どういったレベルでトレーニングに取り組んでいるかも確認はできるはずだ。

このように、ただの目標が、どんどん目に見えるリアルなものになっていくと、自分に何が足りていて、何が足りていないのかがはっきりと浮かび上がってくるだろう。そういった課題を書き出し、クリアすることで、目標達成の確率は上がっていき、あなた自身も成長していくのだ。その課題に対して、もう少し目標を細かく設定し、短期の目標として設定する。

ひとつひとつの小さな課題をクリアすることで中期の目標に到達できるはずだ。

簡単な目標設定の例

○クライアントAさんとの会話から
ク 「腕を太くしたいんですが」
僕 「どれくらい太くしたい?」
ク 「う~んX選手ぐらいですけど、無理ですよね」
僕 「X選手は45cmぐらいかな?」
ク 「やっぱり無理ですよね」
僕 「今Aさんは何センチあるの?」
ク 「36cmぐらいですか…」
僕 「じゃあ40cmになることはイメージできそうかな?」
ク 「40cmぐらいなら、頑張ればなりそうですね」
僕 「じゃあ、仮に今40cmになったとして、45cmになれるかイメージしてみてくれるかな?」
ク 「そりゃ40cmあったら45cmはイメージできますよ」
僕 「じゃあ中間目標は40cmでいこう!」
ク 「あっなるほど、そういうことか(笑)」


目標が遠くに感じられるときは焦点が合わず、リアルな目標になり得ない。だけど、中期目標を設定することで、ゴールまでのイメージを瞬時に作ることができた好例だ。
以前読んだ本の中に、人間の心理状態を上手く描写したこんなことが書かれていた。

あまりにも遠くにかけ離れた目標は、高い空で輝く星の様にどんなにきれいでも手を伸ばして手に取ろうという努力はしない、そしてあまりにも近くにあって、いつでも手に入れられる物に対しても、人間は大きな興味を抱かないものだ。

具体的な目標設定を行おう

STEP 1: 目標を明確にする
あなたがその潜在能力を開花させ目標を達成するためには、明確な目的地(目標)が必要となる。アクセル前回フルスロットルで目標めがけて突っ走るためには、どちらの方向に走って行けばゴールに到達できるのかを知ることが最低限必要だろう。

例えばボディビル競技でいうところの目標地点とは、どの競技会に出場し、どのような結果を望むのかに焦点を定めることだ。ここでの目標は、がんばればなんとかなるかもしれないというレベルが良いだろう。

○あなたの目標(長期目標)は…?

STEP 2: 長期目標に対するアプローチ
次に、この目標地点には、仮に全力で突き進んだとして、果たして確実に到達できるのか?という問題が出てくるだろう。時間的な問題だ。

仮にあなたの目標が間近(期間的に)であるとして、100%の努力を費やしても時間的に間に合わず、結果が得られる可能性がかなり低いと思われるのなら、再考する必要がある。希望的な観測などを捨て、現実的な目標設定期間を考えなければならない。仮に目標到達が当初よりも遠い未来になったとしてもである。リアルにイメージされる目標はあなたのモチベーションを高め、今まで以上にフォーカスする力を与えてくれる。

「あなたの目標(ゴール)達成は何年何月何日?」(ここでは最終的なゴールの日付を設定する)

STEP 3: 中期目標に対するアプローチ
長期目標が達成までに時間がかかると予測される場合には、まず中期的な目標を立てることをお勧めする。まず、最も間近の中期目標として、今シーズンのコンテストで、なんとか頑張れば到達できるかもしれないというイメージを持てる目標を立て、それに向けて今の自分に何ができていて、何が足りないのかを検討していくことが必要だ。一つ一つ検討していくことで、目標達成の確率は上がっていくだろう。

例えば、日本クラス別選手権での優勝が最終目標であるとすれば、

地方クラス別選手権入賞

地方クラス別選手権表彰台

日本クラス別選手権入賞

日本クラス別選手権表彰台

日本クラス別選手権優勝

というようにひとつひとつの中間目標と達成目標の年月日を記述していこう。

「あなたの中期目標は? そして各目標は何年何月何日に達成する事が目標か?」


STEP 4: 短期目標に対するアプローチ
中期目標を立て、自分に足りないものが明確になれば、さらに期間を細かく分けて、目標を設定しよう。例えば、トレーニングの重量や、身体の各部位のサイズの目標値をつけてみてはどうだろうか?目標を設定すれば、課題がより明確になってくる。

マイクも毎回のトレーニング記録を詳細につけていた(使用重量、セット、レップ等)人間の記憶は不確かなものであるから、面倒でも毎回記録をつけることをお勧めする。強度を効率よく上げていくためには記録が最高のツールになるのである。

それに加え、例えば1ヶ月単位で、コンテストオンシーズンであってもオフシーズンであっても体脂肪率、除脂肪体重やトレーニングでの使用重量の目標値を定めることは有効な手段である。そしてフィジカルコンディション(身体的なコンディション)メンタルコンディション(心理的なコンディション)を書き加えておくと、次回のトレーニングの参考になるだろう。

「あなたの最も近い中期目標に対しての短期目標と達成年月日は?」

STEP 5: 目標の上方下方修正

目標は立てたものの、計画通り達成できるとは限らない。もちろん100%努力をしたとしても、時には叶わないこともあるだろう。こういう場合は目標を速やかに修正することだ。結果を受け入れ、なぜ達成できなかったかを検討し、次の目標を立てれば良いだけだ。そして同時に、結果のみを受けて全てダメだったと認識するのではなく、自分が目標に向けて達成できたことと、達成できなかったことを冷静に分析する能力が必要となる。

例えばコンテストで思ったような結果が出なかったとしても、それは対外的な評価であり、あなた自身は進歩しているかもしれないのである。またその反対に、予想を上回る結果が得られることもあるだろう。

そういう場合も同様に目標の上方修正を行う。目標設定は面倒な作業のようにも思えるかもしれないが、非常に有効な手段だ。目標達成の状況を見ながら随時変更してほしい。

STEP 6: 目標達成への保障、確信
綿密に立てられた目標設定は、あなたの行動やプロセスすべてに意味を持たせることになる。それに加えどんな目標であっても、それらの達成を保障し、確信に変えていくために、理論や知識や経験というものが役に立つ。これらを積んでいくことにより、あなたのアイデアはより深く柔軟なものに成長していくだろう。

人間というものは到達できるかどうか保障の少ないものに、全力で努力することが非常に難しいものだ。もし本気でゴールを目指すのなら、きっと頑張ればゴールにたどり着くだろうだけでは強固な動機付けになり得ない。これだけ準備がすべて完璧ならば、あとはゴールを目指すだけ、その先には必ずゴールにたどり着くことができるんだというイメージを、リアルに持つことが重要なのである。


人間には、「こころ」がある。この「こころ」が人間の行動を決定していることは間違いない。車に置き換えるとすれば「こころ」→「ドライバー」で「身体」→「車体」といえるだろう。車はドライバーの意志がなければ前に進むことも右にも左にも曲がらない。

もしもあなた自身に、何事にも替えることができないような人生の目標や目的があるのなら、ゴールに向かわせるのはあなたの「こころ」であり、何かにチャレンジしたいときにあなたにアクセルを踏ませるものはあなた自身のやる気や情熱なのである。

この人生において、あなた自身がハンドルとアクセルとブレーキを握っている。自分の潜在能力を最大限に発揮するもしないも、あなた次第なのではないだろうか。

  • 肉体と精神究極のトレーニングバイブル ヘビーデューティーマインド
    2013年8月30日初版発行
    著者:小川淳
    監修:日本ハイインテンシティトレーニング協会(JHITA)
    発行人:橋本雄一
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社
    編集:株式会社M.B.B.