トップ選手のトレーニング 体操/トランポリン #1 フィジカル強化編 ナショナルチームフィジカルコーチ 泉建史
掲載日:2017.12.19
国内最高峰である日本代表選手達を率いるチームにおいてトレーニングはどう行われているのか。
日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)体操・トランポリン/ナショナルチームにてフィジカルコーチを務め、ストレングス&コンディショニングに関する国際的な教育団体「NSCAジャパン」にて広報委員会委員長を務めるフィジカルコーチ/トレーナーの泉建史(いずみたけし)氏にトレーニング✕競技スポーツの観点から話を伺った。
日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)体操・トランポリン/ナショナルチームにてフィジカルコーチを務め、ストレングス&コンディショニングに関する国際的な教育団体「NSCAジャパン」にて広報委員会委員長を務めるフィジカルコーチ/トレーナーの泉建史(いずみたけし)氏にトレーニング✕競技スポーツの観点から話を伺った。
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体操・トランポリン競技とフィジカルコーチの仕事
フィジカルコーチは、スポーツ競技動作を分析して戦略を立て、フィジカル強化のためのメニューを立案してトレーニング指導をすることを専門として、本来持っている身体の機能を最大限に引き出す事が仕事になります。
色々な競技の日本代表選手やプロスポーツの育成のフィジカルコーチを務めていますが,
今回紹介するトランポリンの強化トレーニングは海外の文献等でもあまり扱われていない競技といえます。非常にエキサイティングな動きを繰り出す魅力的なスポーツですが、7~8mから落ちる負荷を受け止め、軸を作ったまま耐えうる身体と姿勢でなければなりません。
空中の姿勢や飛ぶ時、着地した時の姿勢にそれぞれ違う観点があるので、それらを統合してトレーニングに繋げる必要性があります。
選手にはトレーニングを通じて「自分が今どういう位置と向きにあるか」という体性感覚を磨くことを伝えています。同時に、癖や自然に発生する歪みなど、いい意味で不均一だったものが疲労や練習、トレーニングで悪い方へ働いてしまうことを防ぐための調整を行い、正確性も鍛えていきます。
競技の側面で、足の力が強くなればそれと同比率で足の指の力も強くないと効率的ではなく、足の左右の筋力や柔軟性・バランスの度合いによって怪我のリスクが関係したりします。
色々な競技の日本代表選手やプロスポーツの育成のフィジカルコーチを務めていますが,
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空中の姿勢や飛ぶ時、着地した時の姿勢にそれぞれ違う観点があるので、それらを統合してトレーニングに繋げる必要性があります。
選手にはトレーニングを通じて「自分が今どういう位置と向きにあるか」という体性感覚を磨くことを伝えています。同時に、癖や自然に発生する歪みなど、いい意味で不均一だったものが疲労や練習、トレーニングで悪い方へ働いてしまうことを防ぐための調整を行い、正確性も鍛えていきます。
競技の側面で、足の力が強くなればそれと同比率で足の指の力も強くないと効率的ではなく、足の左右の筋力や柔軟性・バランスの度合いによって怪我のリスクが関係したりします。
フィジカルトレーニングのメニューを作成するときの考え方
フィジカルトレーニング前の準備運動/ナショナル強化合宿
指導するトレーニングは見たこともない斬新な動きや見栄えのいいものでなく、至って地味というかシンプルなものです。トレーニングには重量をあつかうレジスタンストレーニングや自重エクササイズ、サーキットトレーニング、高強度のスピードトレーニングなどもあります。
トレーニング時の動きでも、ほんの少し足幅を変えるだけで小指や親指の負荷のかかる部分が変わってきたりしますので、今まで使っていなかった部分を使えるようにすることで怪我の予防とパフォーマンスの両面に良い影響を出すことができると思います。
当然、腹部に力を入れて固めた状態だけでは姿勢を保つことはできません。動きを加えることや両手を上げた状態だと腹腔内圧が抜けやすくなり姿勢が崩れて負荷に耐えきれず、演技の安定感を欠くことがあります。
そのため、静的なバランスだけでは意味をもたなくなるので、強度の高いレジスタンストレーニングや両手を上げて実際の動作に近い状態でのトレーニングを行う必要性もあります。
全身を固定して姿勢を安定させるためには下半身だけでなく、上半身が使えると上手くバランスを取れることがあります。
実際に自分が思っている以上の負荷がかかるので、感覚に繊細になってどこにどう力がかかるかを意識し続け、着地の衝撃を吸収しながら減速し、なおかつ瞬発力と空中の固定力、安定性を保つことが求められます。
トレーニング時の動きでも、ほんの少し足幅を変えるだけで小指や親指の負荷のかかる部分が変わってきたりしますので、今まで使っていなかった部分を使えるようにすることで怪我の予防とパフォーマンスの両面に良い影響を出すことができると思います。
当然、腹部に力を入れて固めた状態だけでは姿勢を保つことはできません。動きを加えることや両手を上げた状態だと腹腔内圧が抜けやすくなり姿勢が崩れて負荷に耐えきれず、演技の安定感を欠くことがあります。
そのため、静的なバランスだけでは意味をもたなくなるので、強度の高いレジスタンストレーニングや両手を上げて実際の動作に近い状態でのトレーニングを行う必要性もあります。
全身を固定して姿勢を安定させるためには下半身だけでなく、上半身が使えると上手くバランスを取れることがあります。
実際に自分が思っている以上の負荷がかかるので、感覚に繊細になってどこにどう力がかかるかを意識し続け、着地の衝撃を吸収しながら減速し、なおかつ瞬発力と空中の固定力、安定性を保つことが求められます。
トレーニングによる技術への干渉
砂浜での足底部強化のトレーニング/ナショナル強化合宿
あくまで高い技術を持っていることが前提ですが、首周りの筋肉である僧帽筋を例にすると、同じ筋肉でも上のほうは上手く使えていても下の方がうまく使えていなかったりすることがあります。
それを上手く使えるようになると視線や胸の高さを変えることができ、全体の姿勢やバランスを保ちやすくなります。
身体を変えることはいいことばかりとは限らずリスクもつきまといますが、
テクニカル面の感覚も保ちながらフィジカル強化の基礎的な部分を踏まえ、使えていない部分が使えるようになるとまた新たな可能性が見えて来ることを伝えています。
トップアスリートとして必要な要素としては筋力や身体の使い方、バランス等が挙げられ、初期の段階で身体を作っていかないと後々になって大きな差が出てきます。
重いものを持つ、速く動くなど色々な種類がありますが、それと同様に突発的な動きや減速動作に対応できることが大事です。
そのためにも引き出しを増やす意味合いで色んな動きしておいたほうがいいと思います。
自然と日常にも落とし込めるように準備運動での導入にも必要性が問われます。偏った限定的な動きだけでなく、色々な動きを行なうことは競技には欠かせないことです。
踵に重心がかかったときとつま先に重心がかかった時では全く違う動きになり、トランポリンではその少しの差が特に顕著に表れます。
日本の選手はすごくロジカルで、自分の体の使い方についてもしっかり考えてくれる選手が多いです。
選手は日本代表として、そして競技選手としてのお手本でもありますので、技術面とフィジカル面の情報を共有してロジカルに「考えること」が必要だと思います。
それを上手く使えるようになると視線や胸の高さを変えることができ、全体の姿勢やバランスを保ちやすくなります。
身体を変えることはいいことばかりとは限らずリスクもつきまといますが、
テクニカル面の感覚も保ちながらフィジカル強化の基礎的な部分を踏まえ、使えていない部分が使えるようになるとまた新たな可能性が見えて来ることを伝えています。
トップアスリートとして必要な要素としては筋力や身体の使い方、バランス等が挙げられ、初期の段階で身体を作っていかないと後々になって大きな差が出てきます。
重いものを持つ、速く動くなど色々な種類がありますが、それと同様に突発的な動きや減速動作に対応できることが大事です。
そのためにも引き出しを増やす意味合いで色んな動きしておいたほうがいいと思います。
自然と日常にも落とし込めるように準備運動での導入にも必要性が問われます。偏った限定的な動きだけでなく、色々な動きを行なうことは競技には欠かせないことです。
踵に重心がかかったときとつま先に重心がかかった時では全く違う動きになり、トランポリンではその少しの差が特に顕著に表れます。
日本の選手はすごくロジカルで、自分の体の使い方についてもしっかり考えてくれる選手が多いです。
選手は日本代表として、そして競技選手としてのお手本でもありますので、技術面とフィジカル面の情報を共有してロジカルに「考えること」が必要だと思います。
コンディショニングとは?
海外遠征 試合後のフィードバック/日本代表トレーナー・フィジカルコーチ
コンディショニングの概念はいくつかあるのですが、よくS&Cで引用されている部分をあげると「身体的な準備を整えること、一般的には快適な日常生活を送るための体力要素を総合的に調整すること」をいいます。
競技レベルが高くなると本人だけでコントロールできない部分もあり、その中の1つとしてケア(回復)の部分があり、AT(アスレチックトレーナー)の方と協力しながら選手の状況を見つつ方法や段階を相談しています。ナショナルチームでも中田大輔監督を中心にして千葉崇博トレーナーをはじめ関係者と色々な状況を考察して選手のコンディショニングについて構築することができます。
体調的な意味合いとしては、精神面や栄養、睡眠、集中力などにより視覚的な効果も違ってきます。
普段の運動の距離間や力の入れるタイミングなどのズレやギャップをなくすことも大切です。少しの感覚のズレで大きな影響が出てしまいます。
フィジカルコーチとしてトレーニングだけを指導するだけでなくフィードバックやミーティングを通じて
競技選手、関係者には「自身の身体と向き合うこと」、「フィジカル強化やコンディショニングの指標」を情報共有できるようにしています。
競技レベルが高くなると本人だけでコントロールできない部分もあり、その中の1つとしてケア(回復)の部分があり、AT(アスレチックトレーナー)の方と協力しながら選手の状況を見つつ方法や段階を相談しています。ナショナルチームでも中田大輔監督を中心にして千葉崇博トレーナーをはじめ関係者と色々な状況を考察して選手のコンディショニングについて構築することができます。
体調的な意味合いとしては、精神面や栄養、睡眠、集中力などにより視覚的な効果も違ってきます。
普段の運動の距離間や力の入れるタイミングなどのズレやギャップをなくすことも大切です。少しの感覚のズレで大きな影響が出てしまいます。
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