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パフォーマンス向上の鍵となる「専門的エクササイズ」

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掲載日:2018.01.26
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1 )専門的エクササイズとは?

本書で紹介する「専門的エクササイズ」とは、「スポーツのパフォーマンス向上を主目的として、専門スポーツの動作や要求される体力要素を考慮して実施される筋力トレーニングのエクササイズ(種目)」のことを指すものとします。他の呼称として、「専門的筋力トレーニ
ング」がありますが、ここでは「専門的エクササイズ」の名称で統一します。
写真1ー1.スポーツのパフォーマンス向上を目的とした専門的エクササイズの例

写真1ー1.スポーツのパフォーマンス向上を目的とした専門的エクササイズの例

専門的エクササイズは、実際のスポーツ場面と関連の高い動作や条件で行われ、具体的には、砲丸投げのプッシュ動作のパワー向上を目的として、実際の砲丸の投射方向と同じ角度でダンベルを挙上するエクササイズ(ダンベルプッシュプレス)や、バレーボールのスパイクのパワー向上を目的として、スパイクと同じ動きでメディシンボールを投げるエクササイズ(ジャンプ&オーバーヘッドスロー)といったものがあります。

2)一般的エクササイズとの遣い

「専門的エクササイズ」に対して、「一般的エクササイズ」と呼ばれるエクササイズの分類があります。本書で紹介する「一般的エクササイズ」とは、専門スポーツの動作や要求される体力要素とは必ずしも関連したものではありませんが、「競技に必要なからだづくり(筋肉量の獲得)や、身体各部の筋力向上などを効率良く達成することを目的として実施される筋力トレーニングのエクササイズ」のことを指すものとします。
写真1-2. 一般的エクササイズは、競技に必要な身体づくりや、各部の筋力向上を効率よく達成する効果が高い

写真1-2. 一般的エクササイズは、競技に必要な身体づくりや、各部の筋力向上を効率よく達成する効果が高い

「一般的エクササイズ」の具体例としては、ベンチプレスやスクワットのようなポピュラーなエクササイズが挙げられます。これらのエクササイズでは、スポーツ選手の動きの原動力となっている、胸部や大腿部などの大筋群を部位ごとに重点的に強化したり、「押す」「立ち上がる」といった比較的単純な一般的動作の筋力を向上させたりする効果が期待できます。

「専門的エクササイズ」の場合、競技動作を再現した方法で行われることが多く、高負荷を使用するとケガが発生するリスクがありますが、「一般的エクササイズ」の場合には、筋力向上や筋肥大などの目的に応じて、最大挙上重量を扱ったり、最大反復まで追い込むことができるなど、負荷や回数を自由かつ的確に設定することが可能です。
「一般的エクササイズ」は、「専門的エクササイズ」と比べて、より短期間で効率よく各部の最大筋力の向上や筋肥大の効果を上げるととができるのです。
一般的エクササイズと専門的エクササイズの特徴

一般的エクササイズ
・個々の筋肉の筋肥大や、各部位の筋力向上を効率よく達成できる
・比較的単純な一般的動作(押す、引く、立ち上がるなど)の最大筋力や最大パワーを効率よく高める効果が期待できる

専門的エクササイズ
・専門的スポーツの動作パワーの向上に直接的な効果を発揮
・個々の筋肉や部位に対する筋肥大や筋力向上の効果は比較的低い

3)専門的エクササイズはパフォーマンス向上への橋渡し役

スポーツ現場では、「重いバーベルは挙げられるようになったが、競技パフォーマンスが向上しない」といった声がよく聞かれますが、専門的エクササイズは、このような問題を解決するための鍵となるものです。
図1ー1.筋力トレー二ングを競技パフォーマンスに活かす過程(概念図)  専門的工クササイズは、一般的エクササイズの効果を競技パフォーマンスに橋渡しする役割を果たす

図1ー1.筋力トレー二ングを競技パフォーマンスに活かす過程(概念図) 専門的工クササイズは、一般的エクササイズの効果を競技パフォーマンスに橋渡しする役割を果たす

図1- 1に、筋力トレーニングをスポーツのパフォーマンス向上に活かす過程について示しました。スポーツ選手の筋力トレーニングの最終目標は、競技パフォーマンスを向上させて、試合でよい結果を出すことであり、バレーボール選手の場合には、「スパイクやサーブの威力を高める」、「正確で長いトスが上げられるようにする」、「ボールが来た地点にすばやく移動してレシーブをする」などが具体的な目標となります。

一方、スポーツ現場では、筋力トレーニングとしてベンチプレスやスクワットのような「一般的エクササイズ」が多く行われていますが、これらの挙上重量を高めただけでは、すぐにプレーのパフォーマンスが向上するわけではありません。


プレーと関連のある動きや条件による「専門的エクササイズ」を実施することによって、一般的エクササイズで養成された個々の部位や単純な動作の筋力を、競技動作のパワー向上へと橋渡し(転化)することが必要なのです。

例えば、バレーボールのスパイクのパフォーマンスを高めたい場合には、メディシンボールを用いてスパイクの動きを再現した「専門的エクササイズ」を行うことによって、ベンチプレスやスクワットなどの「一般的エクササイズ」で培った各部位の筋力を、スパイクの動きの中でうまく活用できるようになり、結果としてスパイク動作のパワー向上に役立つことになります。
  • 競技スポーツ別 ウエイトトレーニングマニュアル
    著者:有賀誠司
    発行所:(株)体育とスポーツ出版社

[ 競技スポーツ別 ウエイトトレーニングマニュアル) ]

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