意外と知らない!皮膚の構造と働き / ボディメイクにつなげる人体解剖学入門
掲載日:2015.06.05
若さの象徴として皮膚の張りや、きめ細かさが取り上げられることがよくあります。もちろん人に見られることも多いのが皮膚です。
では皮膚って何?そしてどんな役割をしてるの?日焼けをして黒くなった皮膚(肌)を保つためのケアはされているかと思いますが、どうしてケアするの?その他にも考えればどうして?と思うことはたくさんあります。
そんな疑問を解決するために、今回は "皮膚" にフォーカスします。皮膚の構造を知ってオトコもオンナも美しい皮膚(肌)、張りのある皮膚(肌)を保ちましょう
皮膚とは
体内における最も大きい器官で、身体の表面を覆う被膜
皮膚の表面積
総面積:1.6㎡(たたみ一畳分)
厚さ:1〜4mmぐらい(個人差がある)
重さ:体重の16%
皮膚の機能
・身体内部を保護する
・感覚受容器を介して外界の情報を受け取る
・発汗や血流の調節により体温を調整する
・発汗による水分や塩分を排泄する
皮膚の構造
皮膚は3層から成り立っています。
① 角化した重層扁平上皮で、ケラチンが豊富な表皮
② 太い膠原線維が交錯してでき、弾性線維に富んだ結合組織からなる丈夫な層の真皮皮膚
③ 筋・骨格との間をゆるやかにつないだり、断熱材の働きをする皮下組織
以上の3層からからなっています。
※膠原繊維…結合組織を構成する線維の一種。コラーゲンからなる。
ヒトを含む哺乳類は、表皮は特に乾燥に耐えるようになっています。真皮にはコラーゲン線維が多く、皮下組織は皮下脂肪の蓄積する層です。また、毛と爪は皮膚の構造(表皮)が変化して出来たものです。皮膚腺
皮膚腺には、汗腺(アポクリン腺、エクリン腺)、脂腺、耳道腺、乳腺があります。
① アポクリン腺(大汗腺)は眼瞼、外耳道(耳の穴)、腋窩(脇の下)、乳輪、陰部、肛門の周辺にあり、臭気のある汗を分泌します。
② エクリン腺(小汗腺)は全身の皮膚に分布します。水分の多い汗を分泌し体温調整、体温放散を行います。
③ エクリン腺はコリン作動性の交感神経によって、アポクリン腺はアドレナリン作動性の交感神経によって支配されていて、これらの交感神経が活動すると発汗が起こります。
④ 脂腺は毛包に付随していて、顔面と頭皮に最も多いのです。
皮脂は皮膚表面を滑らかにし、水分の蒸発を防ぐほか、抗菌作用に役立ちます。
汗が出るしくみ
汗は皮膚の真皮内にあるエクリン腺で作られる水分です。体温が上昇すると大脳視床下部にある体温調節中枢が自律神経を介して汗腺に指令を出します。汗の成分は99%以上が水で、残りは塩分、乳酸、蛋白質成分です。
発汗には温熱性発汗・精神的発汗・味覚的発汗があります。体温調節に関与するエクリン腺は高等動物にしかなく、人以外の動物には手の平と足の裏にだけしかありません、そしてこれらは体温調節とは関係ありません。
わかりやすい例で言うと、犬や猫は暑いときには口を開けて舌を出して舌の表面から水分を蒸発させることによって体温を下げています。暑くなると、口を開けてハーハーしているのは、苦しいのではなく体温を下げているのです。
一方アポクリン腺から出る匂い物質は汗と混ざることによって体臭となります。ヒトのアポクリン腺は思春期にならないと分泌しません。女性の場合、アポクリン腺から分泌される匂い物質は性周期と関係しています。
今回は身体全体を覆っている皮膚が、どんな構造か、そしてどんな働きをしているかなどをお伝えしました。また皮膚の機能が低下してしまったらどうなるかもご理解いただけたものと思います。自分の身体を守ってくれている皮膚。いつまでも女性は美しく、男性はかっこよくいるためには皮膚のケアを怠らず、張りと艶のある状態に保っていてください。
- TEXT :
- おおしま かえで
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 005 ]
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