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その他アミノ酸~非必須アミノ酸#2~

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掲載日:2019.05.23
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プロリンとヒドロキシプロリン

「アミノ酸の構造」の項で書きましたが、プロリンはアミノ基ではなくイミノ基が結合しているため、イミノ酸というのが精確な分類です。
プロリンはグルタミン酸からオルニチンを経てつくられますが、このイミノ酸の主な作用はコラーゲンの材料となることです。

コラーゲンの25%がプロリンで、さらにその半分はヒドロキシプロリンです。なおコラーゲンの33%はグリシンです。
ヒドロキシプロリンのヒドロキシというのは「水酸化」という意味ですが、この水酸化作用にはビタミンCが必須となります。
そのため、コラーゲンの合成にはビタミンCが重要な役割を果たします。
コラーゲンの量の多さ、またコラーゲンに占めるプロリンとヒドロキシプロリンの割合を考えると、プロリンの体内における合成の重要性が示されます。

様々な動物にプロリンを添加したエサを与えたところ、成長が促進されたという報告(※135)や、プロリンの摂取によってケガが早く治ったという報告(※136)、プロリンが免疫を改善したという報告(※137)などがあります。

アラニンとセリン、アスパラギン、アスパラギン酸

残りのアミノ酸について駆け足で紹介しましょう。

まずはアラニンです。
このアミノ酸は「グルコース・アラニンサイクル」によって知られています。
この回路はアラニンが肝臓でピルビン酸とグルタミン酸になり、ピルビン酸がブドウ糖になる反応です。

逆に筋肉ではブドウ糖が解糖系によってピルビン酸になり、アラニンになります。なお筋肉で解糖系によってできた乳酸が、肝臓でまたブドウ糖に戻る反応のことをコリ回路と呼びます。
セリンは脳に多く含まれるアミノ酸で、脳の機能に重要となるホスファチジルセリンの前駆体です。

また美容にも関係し、表皮の天然保湿因子(NMF)において最も多く含まれるアミノ酸です。
セリンには水酸基が含まれ、これがリン酸化されるとタンパク質の高次構造(前編を参照のこと)を変化させ、酵素活性の変化を引き起こします。

なおセリンからグリシンがつくられ、逆にグリシンからもセリンができます。
アスパラギン酸はオルニチンサイクルのところで出てきましたが、アンモニア排出の際に役立ちます。

また興奮性の神経伝達物質としても働きます。
なおD-アスパラギン酸については後述します。アスパラギン酸とは別に、アスパラギンというアミノ酸もあります。グルタミン酸とグルタミンのところでも書きましたが、これはどういう違いなのでしょうか。

最初に戻って、「アミノ酸の構造」の項を復習してみましょう。側鎖である「R」の部分で、各種アミノ酸の違いが現れてきます。アスパラギン酸やグルタミン酸は側鎖の末端がが-COOH(カルボキシル基)となっています。

いっぽうでアスパラギンやグルタミンは側鎖の末端が-CONH2(アミド)となっています。カルボキシル基があると酸性化合物となりますが、アスパラギンやグルタミンはそれがないため、電荷は中性となります。

アスパラギン酸やアスパラギンは、アスパラガスから発見されたため、このような名前が付いています。どちらも容易にオキサロ酢酸になり、エネルギーを産み出すことができます。
135: Proline and hydroxyproline metabolism: implications for animal and human nutrition. Amino Acids. 2011 Apr; 40( 4): 1053-63. doi: 10. 1007/ s 00726-010-0715-z. Epub 2010 Aug 10.

136: Efficacy of L-proline administration on the early responses during cutaneous wound healing in rats. Amino Acids. 2013 Jul; 45( 1): 179-89. doi: 10. 1007/ s 00726-013-1486-0. Epub 2013 Mar 19.

137: Dietary L-proline supplementation confers immunostimulatory effects on inactivated Pasteurella multocida vaccine immunized mice. Amino Acids. 2013 Sep; 45( 3): 555-61. doi: 10. 1007/ s 00726-013-1490-4. Epub 2013 Apr 13.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


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