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テアニン

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掲載日:2019.06.19
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テアニン

緑茶のうま味成分として知られるテアニン。
これはやはりうま味成分であるグルタミン酸からの誘導体で、玉露から発見されました。
GABAと同様、抑制性に働き、集中力をアップさせたり睡眠を深くしたりする作用が期待できます。

テアニンを200mg摂取した群は対照群と比較してα波の出現が有意に増大し、心拍数は優位に減少、視覚的注意や反応時間が有意に改善したという結果が出ています。(※172)

また寝る1時間前にテアニンを200mg摂取したところ、プラセボ群に比較して睡眠途中で起きてしまう時間が短くなり、また起きたときのリフレッシュ感が改善したことが確認されています。(※173)

タウリンとカフェインの同時摂取が認知機能を増加させると前述しましたが、テアニンにも似た効果がありそうです。

100mgのテアニンと50mgのカフェインを摂取したところ、動作の正確性や反応時間が向上したという報告があります。(※174)

また200mgのテアニンと160mgのカフェインを摂取したところ、視覚反応時間が短くなり、また事象関連電位のP300とN2のピークが高くなっていることが示されました。(※175)

なおPMS時のイライラを改善したり(※176)、ドーパミンを増やしたり(※177)、脳梗塞による神経系の衰退や記憶障害を防ぐ効果も期待できます。(※178)

D-アスパラギン酸

体内において使われるアミノ酸は、殆どがL型です。

しかし数少ない例外があり、その一つがD-アスパラギン酸(DAA)です。

DAAにはコレステロールがミトコンドリアに運び込まれ、テストステロンを合成するときに必要となる「StAR(SteroidgenicAcuteRegulatoryProtein)」というタンパク質の発現を増大させる作用があります。

DAAの摂取により、テストステロンレベルが30~40%高まったという報告があります。(※179)
ただし量が多いと逆効果で、一日6gのDAA摂取はかえってテストステロンを減らしたという報告もあります。(※180)
一日3.12gであればLHとテストステロンの上昇が起こるようなので(※179)、量としては一日に3gを大幅に超えないようにしたほうがいいでしょう。
※172: Effects of L-theanine on attention and reaction time response JOURNAL OF FUNCTI ONAL FOODS 3 ( 2 0 1 1 ) 1 7 1 1 7 8

※173: アクチグラフを用いたテアニンの睡眠改善効果の 検討 日本生理人類学会誌 9( 4), 143-150, 2004-11-25

※174: L-theanine and caffeine in combination affect human cognition as evidenced by oscillatory alpha-band activity and attention task performance. J Nutr. 2008 Aug; 138( 8): 1572 S-1577 S.

※175: Acute effects of theanine, caffeine and theanine-caffeine combination on attention. Nutr Neurosci. 2016 Feb 11

※176: 「PMSと健康食品: L-テアニンの月経前症候群改善効果に関する研究」、『 女性心身医学』 第6巻第2号、2001 年

※177: Effect of theanine, r-glutamylethylamide, on brain monoamines and striatal dopamine release in conscious rats. Neurochem Res. 1998 May; 23( 5): 667-73.

※178: Theanine prevents memory impairment induced by repeated cerebral ischemia in rats. Phytother Res. 2008 Jan; 22( 1): 65-8.

※179: The role and molecular mechanism of D-aspartic acid in the release and synthesis of LH and testosterone in humans and rats.Reprod Biol Endocrinol. 2009 Oct 27; 7: 120. doi: 10. 1186/ 1477-7827-7-120.

※180: Three and six grams supplementation of d-aspartic acid in resistance trained men. J Int Soc Sports Nutr. 2015 Apr 1; 12: 15. doi: 10. 1186/ s 12970-015-0078-7. eCollection 2015.
  • 山本 義徳(やまもと よしのり)
    1969年3月25日生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
    ◆著書
    ・体脂肪を減らして筋肉をつけるトレーニング(永岡書店)
    ・「腹」を鍛えると(辰巳出版)
    ・サプリメント百科事典(辰巳出版)
    ・かっこいいカラダ(ベースボール出版)
    など30冊以上

    ◆指導実績
    ・鹿島建設(アメフトXリーグ日本一となる)
    ・五洋建設(アメフトXリーグ昇格)
    ・ニコラス・ペタス(極真空手世界大会5位)
    ・ディーン元気(やり投げ、オリンピック日本代表)
    ・清水隆行(野球、セリーグ最多安打タイ記録)
    その他ダルビッシュ有(野球)、松坂大輔(野球)、皆川賢太郎(アルペンスキー)、CIMA(プロレス)などを指導。

  • アスリートのための最新栄養学(上)
    2017年9月9日初発行
    著者:山本 義徳


[ アスリートのための最新栄養学(上) ]